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2010年5月

2010年5月31日 (月)

六義園のカワセミ受難

今日は、月2回行っている六義園のセンサス調査の日。K藤さんとK久保さんも同行してくれました。5月の終わりともなると、都内の野鳥たちの姿はめっきり少なくなります。それに対しスズメやシジュウカラなどの身近な野鳥たちの雛の姿が増えます。種類が単調になり数が増える季節です。
 調査中、カワセミ1羽が森の上を飛んでいきました。ほぼ1ヶ月ぶりの出会いです。後で常連のバードウォッチャーに聞いたら、5日前からときどき姿を見せてくれているとのこと。ただ、1日いるようなことはなく安定はしていないようです。
 実は、六義園のカワセミについては一騒動ありました。
 六義園では、今年もカワセミが巣作りをしてくれたのです。ここ六義園では、毎年巣作りを行いますが、繁殖が成功したことはありません。今年こそと思っていた矢先、トラブルに見舞われました。野鳥カメラマンが、巣に近づき放棄をしてしまったのです。その経緯は、「カワセミ受難」と題し、デジスコドッドコムのメールマガジンに詳しく書きましたので、下記URLで読んでいただければ幸いです。
  http://www.digisco.com/mm/dt_47/toku1.htm
 メールマガジンには写真は掲載されていませんので、ケモノ道ならぬケモノ野鳥カメラマン道の写真をアップしておきます。

Kingfisherroad_1
 今いるカワセミは、周辺の公園と行き来をしているようです。今日、私が見たときは嘴に何かをくわえているようでした。周辺で、子育てが順調に進んでいるならば良いのですが。

2010年5月30日 (日)

東京バードフェステバル再訪

 昨日はろくに会場を廻れなかったので、今日も東京港野鳥公園で行われている東京バードフェステバルへ行きました。
 寒いどん曇りにかかわらず会場はそこそこの入りで、関係者には知人が多いだけに、私も安心いたしました。
 今日は、私が在籍していた当時の日本野鳥の会職員の現役から退職者まで来訪していて、懐かしい対面をいたしました。私の部署で私を支えてくれたH山さんと冗談を言い合うと、昔に返った感じになります。また、ばったり会えたO原さんは、この公園の設計から運営にいたるまで当時、保護部長として関わった方だけに、この公園でこうしたイベントが開催されるのは感慨無量なことでしょう。お互い体に気をつけようと分かれましたが、日本野鳥の会の卒業生が各界で活躍をするのを見るにつけ、人生色々、時の流れを感じます。

 また、日本野鳥の会東京支部が主催する探鳥会にお邪魔して園内を一週、どのような指導や解説を行っているのか、ベテランのリーダーたちの仕事ぶりを拝見させていただきました。

 会場で人が賑わっていたのは、やはり光学メーカーのブースです。なかでも、スワロフスキーとニコンに人が集中していました。
 私が日本野鳥の会時代にお世話なったニコンビジョンの担当者は管理職になっておりました。そして、ウワサのEDGの双眼鏡を触らせもらいました。EDEは、ニコンビジョンとしては最高級のグレードとして位置づけているシリーズです。ニコンの技術の粋を集め、さらに細かいところまで行き届いた機能、「いわば集大成です」と、営業部課長のI根さんの弁です。それだけに、発売は出ると言ってから2年は遅れたでしょうか。また、アメリカでは売っているのに日本での発売は、やっと昨日という遅れようでした。アメリカのB&HのWebサイトに載っているのを見るにつけ、なぜ日本では売っていないのか気になる機種でした。担当者によると「手作り的な部分が多く供給体制がなかなか思うようにならない、それだけに素晴らしい機種です」と、さらに物欲を刺激するようなことを1年以上、言われてまいりました。
 そのEDGの双眼鏡に触れてみると、まずは高級感のあるデザイン、質感です。手に取ったときに重さを感じますが、重心のバランスがよいので安定して視野がぶれない感じがしました。シリーズには、7×42、8×42、、10×42、、8×32、10×32の5機種あります。今日は、8×42を中心に覗かせてもらいましたが、明るさ、シャープさ、色味など最高機種に恥じないものがあります。とくに、藪の中などの暗いところを見ると、ニコンの他の機種と比べて明るさの違いは明白でした。また、周辺部にありがちなボケはなく、すみずみまでクリアです。このあたりは、オーストリアのスワロフスキーの双眼鏡を意識していることは担当者も認めています。
 バードウォッチング用の双眼鏡と言うのは、見え味ばかりではありません。視度調整のしやすさ、対物、接眼ともにキャップの形状から着脱のスムーズさ、ストラップ、そしてケースに至るまで野外で使いやすいものでなくてはなりません。視度調整は今までにない方式で、ずれることのないシステムです。ストラップはかなり凝ったもので、こだわりを感じましたし、キャップはなくすくことのない工夫がされていました。
 それだけに、値段もそれだけのものになっています。ただ、スワロフスキーを越えなかったのは値段だけと言う評価をもらえたら良いですね。ニコン党のオジさんにとっては待ちに待った究極の双眼鏡といえるのではないでしょうか。
 詳しくは下記メーカーサイトへ。
 http://www.nikon.co.jp/news/2010/0517_edg_01.htm

 そろったEDGシリーズ。

Nikonedg1

 触らせてもらった8×42。

Nikonedg2

2010年5月29日 (土)

多忙な日

 今日は、東京バードフェステバル。東京港野鳥公園で開催されているイベントへ。
  5月末だというのにこの寒さ、雨もばらつくなか会場に着くとけっこう人が入っているに驚きました。
 まずは、ジャマイカの大使がお出でになるので、お出迎えとご挨拶。とても、美味しいジャマイカのコーヒーをいただきました。
 その後、江戸家猫八師匠とのトークショー。トークショーは、会場がいっぱいになり、立ち見も出る盛況ぶりでほっといたしました。
 猫八師匠の相変わらずの軽妙な進行で、トークショーとは言え私はとても楽な役回りです。師匠とのからみは、トークショーと対談を含めれば、これで4回目。突っ込みどころもわかってきたので、楽しみながら話をすることができました。
 今日の師匠の話のなかで、キビタキのさえずりには「ヒーチョリ」「ピピピ」があり、というのはよくわかりますが、そのほか「トッポジージョ」と鳴くのがあって「キンキキッズ」、さらに「さあ、お出でよ」があると言います。それぞれ、その通りに指笛でやると、そう聞こえるのですから不思議な感じです。これからキビタキの声を聞くときは、「トッポジージョ」と鳴いているとか、あれは「キンキキッズ」だ、それとも「さあ、お出でよ」だと言うことになるのでしょう。
 午後は、日本野鳥の会の評議員会へ。西五反田の事務所近くの会場には、全国から評議員の方が集まり2時から4時まで討議。私は、議長役です。相変わらずの赤字体質ですが、この不景気の中、大きな瑕疵もないのは多くの方々の支えがあるからです。
 日本野鳥の会は、今年度に財団法人から公益法人と制度が変わり、現在のメンバーの評議員は今回で終わりです。記憶では、私は評議員を6年、議長副議長を4年くらいやったでしょうか。これで大任を果たせたと、ほっといたしております。
 5時からの懇親会は、最後の評議員会を終えたメンバーで盛り上がること盛り上がること。いちばん、盛り上がっていたのは柳生会長かもしれませんが皆さん、大きな仕事をやり遂げた気持ちでいっぱいなのでしょう。私は、一日しゃべり続けていたので、喉が痛くなりました。

2010年5月28日 (金)

iPadに触ってきた

 今日は、銀座でiPadに触ってきました。
 といっても、アップルストアに並んで今日から発売のiPadというわけではありません。
一足先にアメリカから手に入れたものを、たまたま今日の打ち合わせのあった銀座の事務所で触らせてもらいました。
 以前よりiPod用の鳥のアプリができないかということで、エンウィットのS藤さんから相談があり、今日もその打ち合わせです。いろいろ試行錯誤をしているうちに、今度はiPadの発売です。なんと、企画がハードの進歩に追いつきません。
 今朝のTVのワイドショーでは、軒並み今日からiPad発売と話題になっていました。TVのコメントでは軽いというのが多かったのですが、私が持ってみると意外と重いという印象でした。タッチパネルの感度はとても良く、サクサクと動いてくれます。ディスプレイの解像度もよく、藪内さんの精巧なイラストがそのまま表現できそうです。音もキビタキの高い音が歪むことなく再現できました。これは、やっぱり一台は欲しい。物欲が刺激されるツールです。
 今後、野外の指導で紙芝居替わりに、あるいは図鑑として活用など、使い方次第で有効なツールとなりそうです。
 今日は、明日からはじまる東京バードフェスティバルにむけて、藪内正幸さんのイラストに私の録音した鳥の声を乗せて流すスライドショーのチェックです。写真は、藪内さんのキビタキのイラストがiPadに乗るか示したところです。

Iipad_2

 このアプリを触ってみたい方は、明日から始まる東京バードフェスティバルのエンウィットのブースへ。詳しくは、下記の公式サイトで。
 http://www.tptc.co.jp/park/tbf2010/ 

 なお、私は明日、会場で江戸家猫八さんとトークショーを行います。ご用とお急ぎでない方、お立ち寄りいただければ幸いです。
 ネイチャーセンター視聴覚室2階 Dエリア
 最大80名
 時間11時~11時45分
 受付15分前開場/座席なくなり次第終了ですので、お早めに。

2010年5月26日 (水)

小杉放菴記念日光美術館にて

 小杉放菴は、日本野鳥の会に関わりの深い画家です。戦前戦後を通じて日本野鳥の会の『野鳥』誌の表紙を描くなど、日本野鳥の会参与という肩書きで、厳しい時代に支えくれた方です。今、日本野鳥の会が存在するのもこのような協力者がいてくれたからこそです。

 その美術館が、栃木県日光市内にあります。また、後で知ったのですが、この美術館の企画には日光野鳥研究会の副会長のE村さんが絡んでいたました。ということで、今回「自然@美術 小杉放菴の自然へのいつくしみ」と題し、美術館で企画展が開催されます。放菴が書いた、さまざまなスケッチから本画が描かれていく経過がわかります。また、正確に鳥や植物を描くためにどこにポイントを置いて見ていたのか、残されたスケッチを見るとわかります。
 この企画展のため、ここ数日、展示されるスケッチの解説をT森さんと手分けして書きました。私が寝たあとに、E村さんとT森さんがメールでやりとりをしていて、朝起きると仕事が進行しているという仕事ぶりです。まるで、夜に小人さんが仕事をしてくれる正直者の靴屋になった感じです。このスタッフの努力のたまものをご覧いただくことも含めて、会期中にぜひお立ち寄りいただければ幸いです。

 なお、私も出演するトークショーも企画されています。
会期:2010年6月5日(土)~7月19日(月)会期中無休
実術鼎談「小杉放菴の寫生画」-その魅力を語る
日時:2010年6月19日 午後1時30分から午後3時
場所:小杉放菴記念日光美術館エントランスホール
出演:入江観(画家)・手塚登久夫(彫刻家)・松田道生(野鳥研究家)
参加料:入館料のみ。事前の申し込みは必要ありません。
 チラシのコピーをアップしておきます。

Kosugi1

Kosugi2

2010年5月25日 (火)

良い思いをした後は忘れ物をする

「良い写真が撮れた後は忘れ物をする」というのが、六義園の常連の野鳥カメラマンのオジさんたちのジンクスです。たとえば、サンコウチョウを撮った後にレンズを忘れた、カワセミの交尾を撮影できたら三脚を忘れたというように忘れ物をしてしまうのです。
 これは、私もよくやります。
  やはり良い思いをしたとき、きつい調査が終わってほっとしたとき、面倒な取材の撤収時には忘れものをします。私の持ち物の多くが、迷彩柄であったりカーキ色やモスグリーンと目立たない柄が多いのも、これまた忘れる理由です。
 いちばん困ったのは干潟の調査で、スコップを忘れ、潮が満ちてきてしまい回収できなったことでしょう。また、アウトドア雑誌の取材では、山のなかに迷彩の水筒、リュックをまるごと忘れてしまいました。
 最近では、明石市にヒクイナの声を録りに行き、なんとかものにできたと思った帰りの新幹線で帽子を忘れました。これは、裏地が迷彩というお気に入りの帽子でがっかりでした。その後、仕事でばたばたしているうちに、JR東海の落とし物センターから淀川警察署の遺失物係にものが行ってしまい、取り戻すのに面倒な思いをいたしました。
 昨日、報告したコノハズクも念願かなった録音です。こういう時こそ、あぶないと録音機を置き忘れていないか入念にチェックをして撤収しました。
 ところが、機材は大丈夫だったものの帽子を忘れてしまいました。この帽子は、御徒町のウエスタングッズのお店の一点物です。インディー・ジョーンズのロゴが入っています。気がついたのは、ガンマイクなど一式を回収しての帰りの車のなか、何となく頭に手をやると帽子のないことに気がつきました。それならば、帰り道の弁当を食べたあたりにあるはずと、林道に目をこらし探しながら行きました。ありました。道ばたにある帽子がヘッドライトの光のなかに浮かび上がりました。これで、忘れ物はありません。
 ところがこれで終わりになりませんでした。帰りの電車で、この帽子をまた忘れてしまったのです。さすがにコノハズクの録音成功の御利益はたいしたものです。ということで、今日は終着駅まで帽子を取りに行き、ちょっと恥ずかしい思いをしました。

2010年5月24日 (月)

30年ぶりのコノハズク

 野鳥録音は、人の群れのなかではできません。ですから、人が集まる珍鳥情報には興味ありません。しかし、録りたい鳥が人気、あるいは少ない鳥の場合があります。たとえば、サンコウチョウもアカショウビンもいるところは名所になってしまい、人が集まっています。しかし、野鳥の録音は貸し切り状態でないとできないのです。そうなると自分で探すしかありません。季節と環境、そしてカンをたよりに出かけます。私は、これでサンコウチョウやアカショウビンをゲットすることができました。
 A部さんは別の方法で、会いたい鳥を探します。彼は、古い資料を駆使して当たりをつけて出かけます。古い単行本や報告書などを入手して、いたと記録のあるところへ行ってみるのです。過去に記録のあるところですから、可能性はゼロではありません。
 そのA部さんが、報告書に地名の載っていた栃木県北部のダム湖のほとりで、コノハズクが鳴いているという情報を一昨日の夜にいただきました。私にとってコノハズクは30年以上前に三重県の大杉谷で会って以来、声を聞くことは久しくなく、ぜひとも録音をしたい鳥です。
 今回は、夜の取材です。道もよくわかりません。近づくことができないかもしれません。A部さんの話では移動して鳴いていたとのこと。ということは、どこで鳴くかわかりませんので、YAMAHAのW24、C24、そしてソニーのPCM-D1を持って行き、とにかくあちこちに仕掛け、可能性を高めることにしました。また、遠くで鳴いたときのためにPMD620にはガンマイク(AKG C568EB)とマイクアンプ(Wendt NGS X2)をセットして使ってみることにしました。このセットのために、バッテリーボックス、それぞれをつなぐコード、そして確認のためのヘッドフォーンが必要です。これに双眼鏡と防寒のために衣類で、かなりの重装備。腰がきしります。
 ダム湖のほとりには、午後5時半に着きました。静かです。何も鳴いていません。ダム湖ですから周囲の山から沢がいくつも流れ込んでいます。そのため、ガンマイクをセットして聞くと「ゴーッ」という音がどこへ向けてもします。これで果たして録音できるか不安になって来ました。
 A部さんは「昨日は7時10分に鳴いた。今日もきっと鳴く」と自信ありげです。私としては、ちょっと標高の低いこの地では渡りの途中立ち寄ったもので、今日は抜けてしまっているのではという不安がありました。
 ところが、まだ明るい6時頃、A部さんが「鳴いた!」。確かに金属的な声が聞こえたような気がします。耳を澄ましましたが、一声のみ。録音はできません。それもかなり遠くです。それではということで、声がした方へ2人でダムの畔の道を歩きます。登り坂に息を切らして、先ほど鳴いていたあたりに到着。ここへガンマイクのセットを仕掛けることにしました。
 太陽が山の端に隠れると、アカハラが遠くで鳴き始めました。カケスも忙しそうに飛び交っています。鳥はいるし、とにかく1声は鳴いたのだからいることはいる。期待がたかまります。じっと押し黙って鳴くのを待っているところへ同じ録音仲間のE村さんが合流。さきほど、車を置いたところで鳴いていたとのこと。それではということで、ガンマイクのセットは置いたままにして、道を戻ることにしました。
 行ったり来たりしているうちに、昨日鳴いたという7時10分も過ぎました。あたりは夕闇が迫ってきて、アカハラの声がいちだんが賑やかです。それを録ろうと、岩陰で録音機を構えていると「鳴いている」との声。聞こえます。さっきに比べれば近い、しかし前には沢があり水音も賑やかです。ここで2分15秒、録音できました。まあ、番組には無理でも加工すれば図鑑には使える声をゲットすることができたと一安心。7時32分のことでした。
 いるのが確認できたということで、ここでE村さんはお帰りになりました。真っ暗になる前に、コンビニで買った弁当を食べて腹ごしらえし長期戦に備えようと、弁当をあけて一口食べたとたん、すぐ横の山の斜面で鳴き始めました。今度は近い。録音機を3台持ってそっと近づくと、頭の上で鳴いているのではないと思うほどの近さです。これならば沢音はなんとかなります。しかし、口に含んだご飯は、音が出るので噛むことができません、この時の録音は4分4秒。こんなに長い間、口のなかに食べ物が入っていたことはありません。
 その時の録音がこれ。YAMAHA W24、48Khz/16bitで録音。ボリューム調整、ノイズリダクションを軽くかけています。ヨタカとの競演が良い感じです。

 どうですか?ちゃんと「仏法僧」と聞こえますか。
 この後も長く鳴いてくれ、雌と思われる声が間の手をいれるシーンもありました。なお、残念ながらガンマイクのセットには近くでアカハラが鳴いてくれた以外、コノハズクは入っていませんでした。
 まずはA部さん、ありがとうございました。

2010年5月23日 (日)

ペンギンの声の録音

 イラストレイターのM輪さんからの紹介で、ペンギンを研究しているM崎さんが録音の方法についてたずねにきました。お二人と、六義園の新緑のなかで機材の説明から方法、編集までざっと説明をしてあげました。
 私の録音の多くは、数10m離れたところで鳴く小鳥の声をいかに大きくクリアに録るかにかかっています。しかし、M崎さんが録りたいのは、ニュージーランドのコガタペンギンです。コロニーのなかで大きな声で鳴き合うそうです。そうなると、急な大音量でも音が割れないように録音しなくてはなりません。また、波の音や騒然としたコロニーの騒音のなかで個体の声を取り出すだけの音源を確保できるか難しい課題です。 
 私の経験では天売島のウトウがいちばん近い経験です。この時は、3台の録音機をしかけ、延べ6時間録音して15秒、ウトウの声をゲットできました。しかし、ウトウの声は小さな声でした。また、先日記事にしたカンムリウミスズメの録音の状況も参考になるかもしれません。置き放しにしてリミッターをかけ録音ボリュームを低めに設定をして、とにかく近くで鳴いてくれるのを待つという手法でしょう。話は盛り上がり、ペンギンなのですから録音ボリュームを最低にして小型の録音機を首に下げられないかなど、アイデアがいろいろ出ました。
 そのなかで、ペンギンは水の中でもボーカルコミュニケーションをしている可能性があるのではという話になりました。イルカやクジラは、鳴き合うことが知られています。それと同じようにペンギンも水中で鳴くのか。でも、泳ぎながら口を開けて鳴けるのか。そもそもイルカやクジラがどうやって声を出しているのか。そして海中での録音は可能なのか。議論はつきません。いずれ、防水型の録音機ができれば、ペンギンに背負わせて後で回収という手法ができるかもしれませんね。
 実は前日の夜、栃木県北部のダム湖のほとりでコノハズクが鳴いているという情報をいただきました。午後は早々に現地へ飛びました。私にとってコノハズクとは30年以上、ご無沙汰の鳥です。はたして、録音ができたのか。明日のお楽しみ。

2010年5月21日 (金)

京千花のしらこばと

 今日は谷津干潟にチュウシャクシギのネグラ入りを録りにいきましたが、午後6時になっても強い風は止まず断念いたしました。どんなに高性能な器機が開発されても自然にはかないません。
 ということで今日のネタは、昨日に引き続いて林泉寺さんです。こまやかな心遣いというのは、このようなことを言うのでしょう。鳥の関係者ということで、お土産まで鳥でした。
 お土産のお菓子の詰め合わせには、越谷の和菓子屋さん京千花(きょうせんか)の「しらこばと」が入っていました。京千花は、テレビ東京系で放送されている「TVチャンピョン」に出たこともある人気の和菓子屋さんのようです。
 越谷の鳥といえばシラコバト。天然記念物です。シラコバトは、日本本来の鳥ではないというのが通説です。おそらく江戸時代に持ち込まれたものが、この越谷一帯に根付き現代まで代を重ねてきたものです。ある意味、よそ者なのですが日本の自然に溶け込んだ鳥です。
 このシラコバトの名前を付けたお菓子とはどんなものでしょう。私は、パッケージを空ける前に、シラコバトのイメージから白あんでふわっとした感じのお菓子を予想しました。しかし、予想に反し餡は私の好きな小豆の粒あんです。その餡が、マドレーヌとフリアンの中間のような洋風な焼き菓子(ちゃんとした名前があるのかもしれませんが)に挟まれていました。焼き菓子部分は、とてもふわっとしていて、これがシラコバトのイメージになります。

 食べてみると、洋風なバターの風味と小豆の餡が解け合って、美味しいお菓子でした。

Eurasian_collareddove
 京千花は、伝統的な和菓子というより創作和菓子が売りのようです。この「しらこばと」も和洋折衷、日本の伝統的な粒あんを洋風な焼き菓子で挟むという思い切ったコラボレーションです。鳥のシラコバト自体、本来は外国産の鳥で、長い歴史を経て日本の自然と一体となった生きものです。ですから、このお菓子の組み合わせ自体、シラコバトのイメージということになります。はたして、菓子職人の方がそこまで考えているのかわかりませんが、ひとつのお菓子から広がる想像の世界を楽しませていただきました。

 林泉寺さん、ご馳走様でした。

2010年5月20日 (木)

天井に描かれた鳥たち

 山階鳥類研究所のH岡さんから「お寺の天井絵の鑑定依頼が来たのだか見てあげてくれないか」と依頼を受けました。鳥の名前を調べるくらいならばご協力しましょうと、安請け合いしたのは良いのですが、この季節は野鳥のハイシーズン、なかなか都合がつきません。本日やっと、うかがうことができました。
 うかがったのは、越谷市にある林泉寺です。周囲には水田が広がり、のどかな風景の中に大きなお寺がありました。広い敷地には、大きな本堂、スダジイやアカマツの古木が往時をしのばせます。林泉寺は、かなり古いお寺で、天井絵は江戸時代初期かそれ以前のものの可能性があるとか。それだけに絵もかなりくすんでいます。それに暗い本堂の上に飾られているのですから難しい鑑定です。
 絵は、全部で63枚。植物や寄進したであろう家の家紋もあり、鳥はこのうち43枚でした。 いずれの鳥も動きのある図柄で、生き生きと描かれています。

Rinsenji1
 種名が特定できたもののなかには、マナヅル、キジ、カワセミ、アカゲラ、メジロ、スズメ、フクロウ、ヒガラ、ウズラなど、仲間までの特定は、ガン類、カラス類、ハト類、シラサギ類など。そして、かなり種の特定の難しい絵もあります。描かれているイメージからモズのようなのですが、色が違うといったようなものです。これはタカ類、オオタカだろうか。

Rinsennjinorthern_goshawk
 また、絵柄は画面いっぱいに鳥を描いたものと花との取り合わせと2つのパターンがあり、どうも複数の絵師が製作に関わったのではないかと思われました。さらに、タカやホトトギスの描き方から狩野派の流れをくむ絵師と思われますが、このあたりは専門外なので言及はさけます。
 このほか、鳥の名前がわかるものの中には、サンケイやおそらくハクオウチョウのような外国産の鳥も描かれていて、これらの鳥が当時すでに輸入されていたことがわかります。
 残念なことに、色はほとんど退色してしまっていますが、赤がほんのり残っています。じつは、これが種の特定を難しくしています。というのは、胸の赤いタカ類や胸が赤いモズのような鳥となっているのです。どうも、当時としては貴重な赤い絵の具を手に入れ、それを多用している可能性もあり、本来の色とは違うのではないかと思いました。

 これは謎の鳥。模様はウソ、顔つきはモズ、尾に目玉模様のある鳥はいないし。

Rinsenji2
 それにしても、お寺の天井画が古文書のように貴重な資料として、現在に情報を伝えてくれたことになります。おかげさまで、天井絵でバードウォッチングを楽しませていただきました。
 また、林泉寺のご住職はじめご家族の皆さまには、ご丁寧にご案内いただいたばかりではなく手厚いおもてなし、たいへん恐縮してしまいました。このおもてなしも、日本人の失った心情を思い起こされました。ちょっとタイムスリップして江戸の自然と心に触れた一日でした。

2010年5月19日 (水)

YAMAHAの録音機2種

 YAMAHAといえば音楽器機メーカーとして有名です。以前、秋葉原のプロショップの店員に「YAMAHAがメモリー録音機を出すようになったら録音機の本格的な普及が始まるのでは」と聞いたら、店員が「YAMAHAは出さないでしょう」と言っていたのは、わずか4年前のこと。そのYAMAHAが三洋電機と共同開発したPOCKETRAK CXを発売し、さらに二世代目のW24とC24が発売されています。
 今日は、日本野鳥の会でYAMAHAの担当者と打ち合わせがありました。私にとっては、高性能で簡単便利、その上安いこれらの機種を使って野鳥録音を普及させることができるか、興味のあるところです。メーカーにとっては、バードウォッチャーという今までつき合ったことのない人種への市場調査と言ったところでしょう。お互いに情報を交換する場でした。
 W24 とC24は、まだ2回しか使用していないので、厳密に評価をすることは難しい段階です。本来ならば、夏の暑さ冬の寒さを体験させないと、フィールドでの使用に耐えるのかの判断ができないのです。ここでは、最初の印象まで。
 W24もC24も機能はてんこ盛り、細かいところにまで使い勝手を検討して設計されているという印象があります。おそらく、これまで出ている機種の悪いところを洗い出し、改良を重ねたのでしょう。私がもっとも気に入っているのは、自動的に付くファイル名です。なんと、ファイル名に録音時の時刻が分単位まで入るのです。これでは、同じファイルが発生する可能性はまずありませんので、上書きして前のファイルを消してしまうことはないでしょう。そして、ファイル名がそのまま記録となってくれます。
 このほか、電池も持ちも長いですね。1本の電池(W24は単3、C24は単4)で、まだ目盛が動きません。起動も速いので、自動的にパワーが切れる時間を短めにしておけばOK。ホールドを使う必要はありません。
 W24が携帯電話を小さくしたサイズに対し、C24は驚異的な小ささ、使い捨てライターをやや大きくしたサイズなのです。ただ、小さいだけに老眼には見にくいディスプレイとなっています。
 音については、スペクトル表示をしても変なノイズが乗っていることもなく、素直で自然な音に聞こえます。C24は低音のボリュームが足りない感じがしますが、このあたりの検証はもう少し使いこんでから評価したいと思います。
 W24が3万円弱、C24が2万円弱と価格も小型軽量です。いずれにしても簡単に手が届くようになったメモリー録音機、これで野鳥のさえずりを楽しまない手はないと思います。

W24c24

左がC24、右がW24。

追伸1:D50とW24の比較音源をアップします。日光の山の中、ノイズの少ない環境で、いずれも同じウグイスが鳴いています。倒木の上に置いて録音しています。フェードイン、フェードアウト、ボリュームを同じにした以外、加工はしていません。48kHz/16bitで録音したものをmp3に変換しています。ウグイスのまろやかさの比較、虫の羽音、遠くで鳴くセンダイムシクイの距離感など、聞き比べのポイントです。

 W24の音源

 D50の音源

追伸2:W24とC24の比較音源をアップします。六義園、都会の公園の中での録音です。同じシジュウカラの同じ部分です。両手に持って録音しました。フェードイン、フェードアウトのみ他の加工編集はせず、mp3に変換しています。鳥の声は違いを感じませんが、グランドノイズの「ゴーッ」という音に違いがあると思います。

 W24の音源

 C24の音源

2010年5月18日 (火)

カラスが増える巣落とし

 今年から東京都が都立公園のカラスの巣落としをすることになりました。そのため、六義園では造園業者を雇って巣落としをすることはなくなりました。私もこれで嫌な思いをしないですむとほっといたしております。ただ、繁殖状況はひとつの指標なのでデータは取っています。
 実は今日が東京都が雇った駆除業者が六義園の巣落としを実地する日でした。私は、今日中にやらなくてはならない仕事があったので、これ幸いと立ち会うことはしないで家で仕事をしていました。毎年、六義園の巣落としのときには、ハシブトガラスが騒いで園内が騒然となります。しかし、今日は静か。造園業者ではなく専門の駆除業者はさすが違う。どんな方法をとっているか立ち会うべきだったとちょっと反省をしておりました。
 夕方になって仕事が一段落したので六義園へ出向き、様子を聞こうと事務所に寄ると窓口の女性から「巣は3つしか落とせなかった、トイレに入ってたばこを吸ってお茶を飲んで帰って行った」とのこと。どうりで静かなわけです。
 もう、閉園時間がせまっていましたので、6箇所しかチェックできませんでしたが、3個は確かになくなっていました。しかし、3個は手つかず。17個ありましたから、まだ14個残っていることになります。
 私の経験では、散発的な巣落としは残ったもののが有利になり結果として、その地域で生産される雛の数は減らない可能性があります。ひょっとしたら増えるかもしれません。ようするに競争相手が減って、残ったものがより多くの雛を育て上げられる間引き効果となってしまうのです。こうした間引き効果のある巣落としを都内の公園各地でやっているのでしょうか。カラス対策にはならないかもしれない巣落とし、税金の無駄遣いと言われてもしかたないかもしれません。
 このことは、拙著『カラスはなぜ東京が好きなのか』に書いています。また、六義園には私のようにうるさいオヤジがいることも情報として持っていない業者ということになります。カラスのことも勉強もせず、情報も持たない人間ではカラスに負けます。

 Crowtree_2

 巣のある木にマークとして巻いたビニールも、はずしていかない杜撰な仕事ぶり。

2010年5月17日 (月)

歩くモニター

   週末は栃木県日光に行っていました。日光野鳥研究会の稚児の墓観察会です。例年ならばヤマツツジの花園のなかでバードウォッチングを楽しめるのですが、今年はまだ蕾です。山の初夏は1週間から10日遅れている感じです。
 稚児の墓コースは、私としてはもっともきついコースなので、いつもは徹底的に身軽にして行きます。しかし、今回は新機種の試用を頼まれ、装備が多くなりました。ニコンビジョンからは、新しい双眼鏡のモナークⅢ・8×42、日本野鳥の会からYAMAHAの録音機・C24とW24です。首から双眼鏡、ウエストポーチにはあふれんばかりの録音機。まさに歩くモニターです。

Warkingmonitor
 おかげで、YAMAHAのW24を落としてしまいました。観察会でお弁当を拡げつつ、さっき録音した音源をチェックしようとしたらないです。こうなると食事も喉をとおりません。観察会の皆さんには申し訳なかったのですが、もと来た道を戻ることにしていただきました。デジタル時代というのはすごいもので、参加者の何人かがナビを携帯しています。そのため、道無き道を歩いてきたのですが、ナビのおかげで5mの誤差で同じコースをたどることができます。これで、見つかるはずです。しかし、道無き道はササ原ですので藪の中に落としたら見つけることはできません。参加者の方々は横に広がって探してくれていますが、今度は踏んづけてしまわないか心配です。
 落としたのは、たぶん最後に使用した後、ウグイスを録音したあと他の録音機を出すときにひっかけてしまったのではないかという懸念がありました。最後に録音したポイントに行き、そこで探せば見つける可能性が大です。しかし、稚児の墓コースは、ササ原とヤマツツジの灌木が広がり同じような風景が延々と続きます。どこで、ウグイスを録音したかの目印がありません。それにウグイスもたくさんいて、さかんに鳴いています。ただ、録音したウグイスの声は低めで「ホケキョ」が短く「ホケ」と聞こえた記憶がありました。これがその声。録音機は、YAMAHAのW24。落とす前に録音したものです。ボリュームの調整とノイズリダクションをかけています。

 このウグイスの声をまず探せば良いのです。しかし、なかなか記憶通りで鳴くウグイスがいません。思った以上にコースを戻ったところでやっと、それらしいウグイスが鳴いていました。そして、録音機を置いた倒木も見つけました。そして、ありました。W24は、シラカバの木の根元に落ちていました。F田会長からは「ウグイスの声から捜し出すとは、さすがプロ」と、ほめられましたが、そもそもプロならば落とさないでしょうね。
 観察会の参加者の皆さん、お騒がせいたして申し訳ございませんでした。おかげさまで、弁償しないで済みました。また、還暦のお祝いもありがとうございました。重ねてお礼申し上げます。

2010年5月14日 (金)

六義園のツツドリ

 今日の六義園では、ツツドリが見られました。
Oriental_cuckoo

 六義園でのツツドリの記録はおもに秋で、わずかに千里場の桜並木で見られた記録があります。六義園で25年以上調査をしていますが、春の記録、それも声も聞くことができたのは今回が初めてのことです。
 栃木県日光では、ツツドリは多く声もたくさん録音しています。しかし、姿をよく見たことはなく、声をたよりに近づくと鳴きやんでしまったり、飛び去ってしまうたいへん警戒心の強い鳥という印象があります。
 それが、六義園では姿もよく見られ、常連の野鳥カメラマンの方々は良い写真が撮れています。最初は、渡りの疲れでへたっているのだろうと思いましたが、もう5日もして同じ調子なのです。もともと、警戒心の薄い個体かもしれません。
 ただ、鳴くことは少なく、1日に数回。それも短いので鳴いたと思って、準備をしているうちに鳴きやんでしまいます。ですので、録音できたのは、2声のみ。あとはハシブトガラスの声です(多少の加工とボリューム調整をしています)。


 
 今日は、メジロとシジュウカラがやけに騒ぐので、その中心を見るとツツドリがいました。これらの小鳥が、ツツドリに対してモビングをすることがわかりました。六義園の小鳥たちがツツドリを知っているとは思えませんので、姿がタカに似ているためのモビングなのでしょうか。
 去年、ちょうど同じ頃に六義園に出現したヤツガシラは、北風が強く吹いている間は渡ることをしないで滞在していました。それと同じように、ツツドリもここ数日の北風と寒さで、六義園からなかなか旅立とうしません。
 北風が止みそうな明日、ツツドリの旅がまた始まることでしょう。

2010年5月13日 (木)

チュウシャクシギのネグラ入り

  今夕は、千葉県習志野市の谷津干潟にチュウシャクシギのネグラ入りの声を録りにカミさんと行きました。ネグラをとりながら渡っていくというのは、当たり前のようで珍しい行動です。
 16:40、旧谷津遊園側に着くと干潟は満潮、隅にキアシシギとセイタカシギが数羽いる程度、満ちた干潟ではコアジサシが盛んにダイビングをしていました。はたして、これで数100羽というチュウシャクシギが集まってくるのでしょうか。
 待つこと数10分、17:01に19羽の群れが入ってきました。これは、谷津干潟自然観察センターの前に降り鳴かない上に遠くてだめ。この後は、ネグラ入りは見られず、寒さに耐えること1時間強。ところが、18:15になると、次から次に群れが入って来ました。日が沈んでいますので、夕闇せまるなか集まってきます。入ってくるのは津田沼高校側、東からです。
 ただ、見ていると干潟の上を旋回し、降りるところを探しているものの干潟に降りることはなく、西側へ出て行ってしまいました。
 そして、18:39に35羽の群れが入り、終了。それまで、谷津干潟に入ってきたチュウシャクシギを合計すると307羽となりました。ただ、群れが飛び交い、かつ谷津干潟から出ていくので同じ群れを数えている可能性もあります。その後19:00まで見ていましたが、ネグラ入りは見られませんでした。
 この付近の今日の満潮は17:12、ですからちょうどチュウシャクシギがねぐらに入ってくるときは水深が深く、どこも降りるところはないことになります。そのため、チュウシャクシギは出て行ってしまったようです。そのため、あまり鳴かない上に、鳴いても遠くて録音は使える音源が録れず残念でした。
  以前は、夕日に染まった水面に舞い降りたチュウシャクシギが、シルエットが浮かび上がり、とても幻想的な風景になったこともありました。今日は、ちょうど日が沈むあたりに大きな雲があって、夕焼けもイマイチ。こんな日もあります。

Whimbrel_4
  考えてみると、仮に水深が浅く降りることができたとしても一晩のうちに潮が満ちてくることもあると思います。そうすると、飛び立たざるをえないはずです。干潟のネグラはゆっくりと一晩眠ることができないのに、なぜという疑問が湧いてきます。

2010年5月12日 (水)

「朝の小鳥」6月放送分・収録

 本日は、文化放送にて「朝の小鳥」の6月分4本の収録でした。
 毎度のことながらディレクターの佐々木なほ子さんとアナウンサーの石川真紀さん名コンビで番組が作られました。
 6月分の放送内容は、昨日ブログに書いたヤツガシラをはじめサンコウチョウ、アオバト、アカショウビンと、とっておきの野鳥たちの声です。いずれも数が少ない上に、とてもキュートな姿、それに合わせたように魅力的な声の持ち主たちです。それだけに、録音の難しい鳥たちでもあります。ヤツガシラとアカショウビンは今回番組で使用した音源のみ、サンコウチョウとアオバトは何度か録っているものの人に聞かせることができるレベルの音源はこれだけという、きわめて録音のチャンスの少なかった鳥たちとなります。ぜひお聞きください。
 ところで、文化放送のスタジオが、かつての四谷に社屋があった頃は、オープンテープのデッキがドンと2台も並び、蒲谷鶴彦先生は音源をオープンテープで持ってきていました。社屋が浜松町に移ってからは、デジタルとなりスタジオはコンピュータが中心となり、音源もMOで納品となりました。
 新しくなったスタジオのスピーカーは高性能です。dynaudio AIR15だと思います。というのは、こういったプロ用の機材は民生用と違って、メーカー名や機種の型番が大きく表示されておらず、わかりにくいのです。撮ってきた写真を元にメーカーを見つけ、メーカーのサイトの中から該当の型を探しての推測です。それに加え、アンプなどの性能もそれに見合ったものがセットされているものと思います。
 家では、コンピュータにUSBオーディオデバイスのUA-4FXを通して、Rolandのアンプ付きUSBスピーカーMA150Uで聞きながら編集しています。完成した音源は、ケンウッドのSLG-7で飛ばし、ONKYOのA-1VL(アンプ)を通してONKYOのD-605F(スピーカー)を鳴らして確認しています。
 こうして作って確認した音源をスタジオのスピーカーで流すと、おやっと思うことがときどきあります。ようするに、スタジオのスピーカーの解像度が良いのでアラが気になり、ノイズが聞こえるのです。たとえば、人声を完全にカットしたはずなのにかすかに残っていることがありました。また、遠くを行く船のエンジン音、あるいは車の音が聞こえてしまうのです。今日の収録では、アオバトの奥でもう1羽のアオバトが鳴いているのが聞こえました。かすかな声なので、家では気がつかなかった音です。
 実際、このグレードでラジオを聞くいている方はまずいないと思いますが、インターネットを通じて番組を流すことも多くなると思います。そうなると、アラはアラとして聞こえてしまう可能性があります。野外での録音はもとより編集作業も今まで以上に神経を使って作らないといけないことになります。
 いずれにしても、6月20日放送のアオバトの奥で鳴く、もう1羽のアオバトが聞こえるチェックしてみてください。

2010年5月11日 (火)

あれから一年

 六義園にヤツガシラが出現して大騒動になってから、あと2日で1年になります。経緯はデジスコドットコムのメールマガジンに「載勝騒動」と題し投稿していますので、まずはお読みください。
 http://www.digisco.com/mm/dt_42/toku1.htm
 今、この原稿を読み直すと「私にとってヤツガシラはそれほど珍しい鳥という認識がなかったのです。」というくだりは、自慢げでいやみですね。メールマガジンには写真は掲載されていなので、わかりにくいと思いますので写真を掲載しておきます。
Hoopoe2 

 3日目、開園1時間前にも関わらず、正門の前にはこれだけの人が集まっていました。

  Hoopoe1

 3日目。これでも全体のおよそ3分の1。左右にまだまだ砲列は続いています。

 おかげで、このところ多くの人から「今年も来ますかね」と聞かれます。私が六義園で25年以上、鳥を見ていてはじめて渡来したわけですから来るわけはないと思うという考え方と去年来たのだから生きてれば同じ渡りのコースを通り、立ち寄る可能性が高いという考え方、どちらが可能性が高いでしょうか。ヤツガシラ騒動の結果、良いこともありました。六義園の常連のバードウォッチャーや野鳥カメラマンの方々の結束が高まったことがあります。皆さん、仲間意識を強くなり六義園だけではなく、あちこちで出かけるようになって野鳥ついての見聞を拡げています。その一人から「六義園での撮影は三脚の使用ができない」と思っている野鳥カメラマンに会ったという話を聞きました。そんなことはないのですが、当日ヤツガシラを撮影する人があまりにも多く、とくに三脚があると居座ってしまうため、3日目の午後に六義園サービスセンターと善後策を考えました。その一つが、もし翌日もヤツガシラがいるようだったら三脚禁止にしようというもの。その主旨のチラシをくばり看板を立てたのですが、その情報が今も残っていることになります。
Hoopoe3 

 3日目の午後から「三脚の使用をご遠慮いただいております」と書かれた看板が表示されました。

 Hoopoe4

 お祭りは終わりました。しかし、この張り紙って、ヤツガシラが鳥の名前だとわからない人は何だと思うでしょう。

 できたら六義園にはうるさいオヤジがいて野鳥の写真は撮れないというウワサが広まってくれるとうれしいのですが。

2010年5月10日 (月)

今日からバードウィーク

  今日からバードウィーク。かつては、忙しい時期でした。5月の連休返上で仕事をしたこともあったほどです。印刷物に関わることが多かったので、2月頃からバタバタしはじめた記憶があります。しかし、このところバードウィークの話題がマスコミに取り上げられることも少なくなりました。今日の夕方のニュース、テレビ朝日系の「スパーJニュース」の鳥ネタは、逃げたクジャクに次いでカラスでした。しかし「今日からバードウィーク」というフリはなく、事件と特集枠での扱いです。
 カラスに関しては私もコメントを述べましたが、とても不本意な内容でした。相変わらずカラスは悪者と言う一方的な内容で、取材に来た記者にはかなり丁寧に説明し理解してもらったつもりですがダメでした。「カラスの群れをバックにコメントを録りたい」という最初の電話で、やな予感がいたしましたが的中してしまいました。
 カラスがトキの卵を食べた、動物園のワラビーの子を掠った、さらに人を襲うは何年も前の映像でテレビ朝日系はいつもこの映像です。男がカラスの雛をつかんで連れ去ろうとするところを親鳥2羽が体を張って体当たりをしている感動的なシーンなのですが、凶暴ガラスとナレーションが言えば恐怖しか伝わりません。
 トキの卵をカラスが食べた話では、カラスに卵を捕られてしまうスキのあるトキに問題があるのであって、このような不注意な親は子孫を残せないのが自然の摂理だと説明したのですが生かされることはありませんでした。この日本のなかでトキが生息できる環境ならばカラスは必ずいるはずです。その中で生きていく以上、カラスにスキを見せては生きていけないわけです。多くの野鳥たちは、生きていくすべの一つとしてタカやカラスを避けることを学び、ごく普通に生活をしていることになります。対カラスの訓練をケージのなかでできるとは思えませんが、その覚悟とリスクを背負って放鳥すべきなのです。
 かつての日本産のトキもカケスに卵を捕られた例がありました。カラスがダメでカケスならば良いのでしょうか。自然のなかは天敵だらけ、それを乗り越えてはじめて生存できるわけです。
  動物園で飼育されている動物の子どもがカラスにさらわれるのは、飼育下である以上、人間の管理下にあるわけで、襲うカラスより飼育動物を守れない人に問題があると思いますが、いかがでしょうか。
  いずれにしても、バードウィークは環境と野鳥の問題を考えもらうよい機会だと思うのですが、こんなニュースしか流せないのは、野鳥保護団体から適切な情報発信がなされていないことが原因だと思います。

2010年5月 9日 (日)

フクロウと謎の虫

 大阪市立大学の学生の方々のためにフクロウをご案内したお話をしたことがあります。

 若きカラスとフクロウの研究者たちと

 しかし、私は時間ぎれでフクロウに会うことも声も聞くこともできませんでした。昨夜は、その再挑戦で東京郊外の里山に先日同様O村さんにお世話いただき再訪いたしました。  多少風のあるものの生暖かい夜で、フクロウ探しには絶好の雰囲気です。田んぼではカエルが鳴き、ときおりゴイサギが星明かりのなか鳴きながら飛んでいきます。
  今までフクロウとは日光で時折出会っています。ただし、遠くで鳴いているのをフルボリュームでの録音、フクロウの声が低いだけにノイズに埋もれた音源しかありません。ところが、O村さんの話だと、この木の上、あの電柱、こっちのアンテナと皆近いのです。また、面白いのは、日光だと日没前後に鳴き始めるのですが、ここでは深夜11時や12時にならないと鳴かないとか。町が近く明るいためか、それともカラスが寝るのを待ってから鳴くのか、わかりませんが、お泊まり覚悟でないとフクロウの声を録音できないのです。
 そして、ついにO村さんが「雌が鳴いている」と声を潜めて教えてくれました。そして、「ギャー」と雌の声のする林に一つの黒い影が飛び込み「ゴロスケ、ホーホー」と鳴きました。雌の声に雄がやって来て、2羽が鳴き合いはじめたのです。これは凄い。雌の声を聞くのも初めてですし、フクロウがデュエットをするとはしりませんでした。録音時刻は11時33分、予言通りです。
  別の場所では、フクロウが鳴くであろう木の下にPCM-D50とPMD620を仕掛けて置いて朝回収をいたしました。のべ16時間12Gのデータとなります。しかし、残念なことにフクロウは鳴いてくれませんでした。世の中、甘いものではありませんでした。
 ところが波形表示をすると、ものすごい大きな音が長時間にわたって録音されているのがわかりました。聞いてみると音が聞こえません。不思議に思ってスペクトル表示をすると10000Hzから15000Hzにかけて音があります。ボリュームを上げて聞くと「ズー」という音となりました。高い音のために、もう私には聞こえないのです。いちおうアップして置きますが、再生環境と耳の能力によっては聞こえない可能性があることをお断りいたしておきます。

Pmd50noise2_2

 まるで機械音のようなパターンの波形となっています。

Pmd50noise_3 
 ちょうど10000Hzから15000Hzにかけてくっきりと音があります。
 はじめは、てっきり録音機が壊れてノイズが発生したのだと思いました。ところが、50mほど離して置いたもう一台の録音機にも強弱の違いはあれ、入っているのです。ノイズの音域がちょうど10000Hzから15000Hzですので疑ったのは電気的なノイズ、たとえば変電施設が近くにあったのだろうかという懸念です。
 O村さんに問い合わせると、まわりにはそのようなものはなく、虫の声だと思うとの解答。さっそく「高音 鳴く虫」などで検索するとクビキリギスの名前が出てきました。はじめて聞く名前です。10000Hzから15000Hzというパターン、季節、環境が一致いたしました。下記サイトには音もアップされています。
http://www.hitohaku.jp/wave/docs/kubikiri.html

 昆虫は専門外なので確定はできませんが、可能性大ということで記事にしました。ご存知の方、追加情報をいただければ幸いです。
 フクロウと謎の虫の声、今回一夜にして体験できました。O村さん、ありがとうございました。

 

2010年5月 8日 (土)

今日はキビタキ

 今日の六義園では、キビタキがよく鳴いていました。昨日もいたのですが、強風と姿を見せないキビタキだったので、写真も録音もダメでした。

 今日のキビタキは、姿もきれいな上に声もなかなかの美声でした。

Narcissus_flycatcher

 音は、週末の混雑する六義園の雰囲気を残して加工してみました。3000Hz以下のノイズの軽減、ヒスノイズリダクションをかけています。再生装置によっては、人声やとなりの競技場の歓声が大きく聞こえるかもしれません。

 昨日はキビタキを追いかけてだいたい六義園を半周およそ500mは歩きました。今日のキビタキも同じように移動しながらさえずっています。日光などの繁殖地では、なわばりはせいぜい50m四方程度で、こんなに移動しながら鳴くことはありません。

 渡り途中のさえずりの意味には、何があるのでしょう。

 

2010年5月 7日 (金)

カンムリウミスズメの声、公開

 先日、PCM-D50、凱旋でご紹介したカンムリウミスズメの声が日本野鳥の会のWebサイトで公開されました。ぜひお聞きください。下記URLです。

http://www.wbsj.org/nature/kisyou/sw/about.html#twitter

 実際の音源は、ガーガーピーピー賑やかなオオミズナギドリやウミネコの声のなかでカンムリウミスズメの声が突然onで入っています。それと同時にバックノイズが急に静かになる不自然なものです。こんな感じです。フェードインとフェードアウトかけ、鳥の声の間隔を詰めただけです。

 これは、PCM-D50のデジタルリミッターが働いているためです。リミッターは突然大きな音が入ってきた場合、ボリュームを下げて録音する機能です。かつてのカセットデンスケにもありましたが、アナログの場合音を感知してからボリュームが下がるのでほんの一瞬ですが、音が割れたりひずんだりします。

 ところが、PCM-D50などのデジタルの場合、ADコンバーターを使い通常の音声とともに12dB低いボリュームでたえず録音していて、急に大きな音がした場合、その時点までもどってデータを差し替えてくれます。ですから、タイムラグはなく、音がひずむこともありません。

 今回のカンムリウミスズメの場合は巣の前に置いたので、おそらく鳥と録音機の距離は数10cm、そのため声はかなり大きな音で入っていました。それを、ひずみなく音を差し替えてくれるデジタルリミッターの威力はたいしたものです。

 ただ、録音ボリュームが下がることでそこだけバックのノイズも小さくなり不自然なつながりとなります。そのため、今回はonで入ってきたカンムリウミスズメの声の部分4ヶ所を取り出し、それをひとつずつのファイルにして、それぞれボリュームを同じになるように調整しました。さらに、3000Hz以下のノイズを軽減、さらにヒスノイズリダクションをかけて全体のノイズを軽減しておきました。つぎに、バックに使用する部分、カンムリウミスズメが鳴いていなくて全体に音が均一なところを20秒ほど取り出しファイルにします。これも3000Hz以下のノイズを軽減しておきます。このベースのファイルの適当なところに、カンムリウミスズメの声のファイルを配置して、ミックスダウンしました。さらに間を詰め、フェードイン、フェードアウトをかけて完成です。もとのファイルはwavですので、mp3に変換しアップしています。全行程、1時間ほどの作業です。

 種明かしをしてしまいましたが、実際に聞いておわかりになるでしょうか。「松田がうまくやっているなあ」と思われては失敗です。加工しているのがバレてはいけません。報われないですが「良い録音ですね」と言われると、してやったりと思います。

2010年5月 6日 (木)

夜の録音に入っていた大物

 昨日は、1日かかって粟島の音源を整理していました。昼間の録音に加え、夜に録音機を置いたままの音がのべ4泊分あるので、時間がかかります。もちろん、全部聞くわけには行きません。声紋表示をして、音のあるところを探しては聞いて確認という作業です。

 そんな作業のなか、とんでもないものが録音されていました。遠い上に一声のみ、音としてはかなり厳しいものがありますが、聞く人が聞けばわかると思いアップしておきます。

 声の主は、セグロカッコウです。この録音は、宿の隣の神社で鳴くアオバズクを録るため、録音機を空に向けて置いた時に入っていました。だいたい午後9時頃です。録音機はマランツのPMD620。フルボリュームで録音しています。ちょうどアオバズクも鳴いているので、低音をかなりカットしてヒスノイズリダクションをかけ、ボリュームを上げています。これ以上、加工を加えると音が歪んでしまうぎりぎりのところだと思います。

 セグロカッコウと言えば1978年、中学生(当時)がラジカセで録音したのが日本で最初の記録です。その音源を蒲谷鶴彦先生ご自身が韓国で録音した声と比較し確認して発表されました。音による日本初記録の鳥として脚光を浴びた記憶があります。

 昼間、この声を聞けば気がついたと思いますし、現地にいたバードウォッチャーの方々とは仲良くなれたのでセグロカッコウ情報があれば教えてもらえたと思います。ですので誰も気がつかなかった声です。

 同じ録音には、昼間見ることのなかったソリハシシギの声も入っていました。夜、鳴きながら渡って行く鳥がたちがいることがわかります。こうなると夜もおちおち眠ていられないことになりそうです。

 

2010年5月 5日 (水)

粟島に行ってきました

 連休は、新潟県の沖合にある粟島に行ってきました。舳倉島、飛島に並んで珍鳥ファンの集まる島と聞いていたので身構えて行きましたが、バードウォッチャーは数10人程度+ワイバードツアーのお客さんという感じでのんびりとバードウォッチングを楽しむことができました。

 ちょうどオオルリの渡りのタイミングと当たったようで、一生分ほどのオオルリが見られました。

 クロジョウビタキとカラアカハラが初見、ウタツグミとハシグロヒタキが国内初見。

 録音的には、ツグミ、マミチャジナイ、コムクドリのさえずり、ミズナギドリの声が初録りでした。また、今までも持っていたツバメやトビ、アトリのさえずり、そしてスズメの交尾がより良い状態の音で録れました。
 アオバズクの鳴き声の上をソリハシシギが鳴き合いながら飛んでいく音は、とても言葉では言い表せない島の夜の風景でした。また、アオバズクがいろいろな鳴き方をすることも新知見でした。

 カラス的にも面白い島でした。漁港だけにスカベンジャーが多く、トビとカラスが絶えずケンカをしています。優占しているのはハシブトガラスではなく、ハシボソガラスの方で、畑から住宅地にいます。ハシブトガラスはどちらかというと森のなかでの出会いが多いのですが、密度は希薄です。

 ハシボソガラスは、漁港のコンクリートの上でクルミを落として割る行動が見られ、周遊道路にはあちこちに割れたクルミが落ちていました。写真は、クルミを落とそうとしているハシボソガラスです。

Awasimacrow

 おどろいたのは、島の密集した住宅地のなかの路地にハシボソガラスが入り込んでいることです。路地の雰囲気はこんな感じです。

Awashimaroji_2

 こんな狭い空間にハシボソガラスが入っているのを見たのは初めてです。考えてみれば、東京のハシブトガラスが路地に入るようになったのは増えた1990年代以降のことだと思います。ハシボソガラスも増えればやればできる行動だったのです。

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