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2010年6月

2010年6月30日 (水)

遙かなる天売島

 去年の今頃は、北海道の天売島にいました。
 生息数30万羽とも60万羽とも言われているウトウ狙いです。実は、一昨年も天売島に行きましたので2年連続の来島でした。
 天売島のウトウは、日没とともに島に戻って来ます。暗い中、戻ってくる上に飛ぶのはあまりうまくないので、うっかりするとウトウが体に衝突します。鳥をよけながらのバードウォッチング、いつ鳥がぶつかるもしれないエキサイティングなバードウォッチングが楽しめるのは天売島ぐらいでしょう。
 足元に降りたウトウは道路の上を歩き、巣穴に向かいます。ですから、標準レンズ付きのカメラでも、そこそこの写真を撮ることができます。ただし、立ち入れるのは 赤岩展望台の駐車場周辺のみ。それも午後8時までです。ですから、録音のチャンスは、毎日1時間30分くらいしかありません。そのため、録音機R-09、H2、PCM-D50の3台をウトウが来そうなところに置いておきました。手元には、PCM-D1を持ち近くで鳴いたら録るという作戦です。
 一昨年は、2日間この方法で録音し延べ6時間録音をしましたが、ウトウの声は15秒しか録れませんでした。これがその貴重な15秒のウトウの声です。

「rhinoceros_auklet.mp3」をダウンロード

 ところが、去年は置いた録音機にすべてにたくさん入っていて、いったい一昨年の苦労はいったい何だったんだろうと思うほどです。おとずれた時期が2週間ほど早かった違いがあります。そのせいでしょうか。
 天売島の野鳥は、ウトウばかりではありません。島の草原はノゴマだらけ、周遊道路の一部は誰が名付けたかノゴマ銀座と呼ばれました。同じ草原にいるコヨシキリのさえずりの中にはアマツバメの鳴き声が入っていました。
 森の中にもノゴマがいて、草原より複雑なさえずりでした。また、いたるところでコムクドリが繁殖。雛の声がにぎやかでした。すっかり日が落ち暗くなった森でじっとしていると、頭の上をヤマシギが鳴きながら飛んでいきました。怖くて歯を食いしばって、森の中で辛抱したかいがありました。
 しかし、天売島は遠いですね。そう簡単には行けない場所だけに思いが募ります。この時期になると、ふっと街の騒音のなかにウトウの羽音が聞こえます。

2010年6月28日 (月)

無音体験

 何の音もしない無音体験を自然の中でしたことがありますか。では、「『シーン』と何の音もしない」と言う、『シーン』は何の音なのでしょう。
 初めての無音体験は、日光の男体山の裏側にある志津小屋に泊まったときでした。志津小屋は、トイレも水道もない避難小屋です。まわりに沢も無く、町からも離れているので人為的な音は、上空を通る航空機だけ。それも、深夜になればまったくの無音となります。アカネズミでしょうか。ときおり、「カサッ」と言う音が大きく聞こえたのを覚えています。
 先週末の日光の山奥でも無音体験をしました。このシーズン、まだ虫が鳴いていません。風も無い夜なので、夜が更けるとともに無音となりました。暗闇の中で、音がしないというのは不安をかき立てられます。まるで、自分の体が空中に浮いているかのような錯覚さえします。もし、同行している仲間がいなければ、気の小さい私は怖くって、早々に引き上げていたことでしょう。
 そこで、無音を録音してみました。録音機は、PCM-D1です。録音ボリュームは、いつもの7。無音の音量は-48デシベルでした。ということは、音はあったのです。最近のメモリ録音機は、テープ走行のノイズなどが無くS/N比が低いのが利点です。ですから、この-48デシベルは録音機が立てる音ではなく、無音と聞こえる自然の音と考えて良いでしょう。
 同じ録音ボリュームで、何も音がしないと感じる森の中で録音すれは-18~-12デシベル、街の公園で静かと感じる状態でも-12デシベルを越えます。ですから-48デシベルというのは、かなり静かであることは間違いありません。
 しかし、聞こえづらいと思いますので、-36デシベルまでボリュームを上げてアップしておきます。

「muon-D1.mp3」をダウンロード

 いかかでしょうか。「シーン」と聞こえますか。どうきいても「ゴーッ」ですよね。実際、この音は聞こえません。無音と感じていました。この程度の音は、自分の耳鳴りの中でかき消えてしまう音なのでしょう。ですから「シーン」は耳鳴りの音だと思うのですが、いかがでしょうか。

2010年6月27日 (日)

久しぶりの戦場ヶ原

 このシーズン、日光は毎年毎週のように行くのですが、戦場ヶ原にはまず行きません。林間学校の子どもの群れが多いのがその理由です。すれ違いながらの「こんいちは」攻撃は公害です。また、先生に急かされながら早足で自然のなかを駆け抜ける歩く子どもたちが可哀想です。なぜ先生たちは、戦場ヶ原の自然を解説しないのでしょう。
 ということで、昨日は久しぶりに戦場ヶ原に行きました。義弟のR太郎さんが「土曜日ならば子どもの群れはいない、朝早く行けば観光客の少ないはず」の言葉に誘われて午前5時に起きて6時過ぎに到着いたしました。前日は、コノハズク狙いで午後9時までがんばったため今までになく辛い朝でした。
 R太郎さんの言うとおり、子どもの群れはゼロ。観光客もほとんどおらず、メインルートの木道からカッコウ、キビタキ、アオジ、ホオアカ、ニュウナイスズメを録音することができました。とくにホオアカは、ろくな音源がなかっただけに無理をして早起きをしたかいがありました。そして、戦場ヶ原では10年ぶりになるでしょうか、オオジシギを見ることができました。
 それでも、午前8時を過ぎると観光客が多くなりました。赤沼の駐車場は早くも満車の立て札が立ち、車の列ができていました。もうこうなると、録音は諦めて写真を撮ることにしました。それでも、鳥が鳴いているとつい録音機を向けてしまいます。そうすると色々な会話もいっしょに録音されてしまう面白さがありました。まさに初夏の戦場ヶ原、音の風景です。鳥はアオジ、PCM-D1で録音、前後のカットとフェードイン、フェードアウトのみ。Wavからmp3モノラルに変換しています。

「senjyogahara.mp3」をダウンロード

 つい鳥がいると教えてしまうのは、私の性です。それにしても、楽しそうな家族でした。

2010年6月26日 (土)

タイマー録音・作戦成功

 以前の記事「タイマー録音の傾向と対策」で「たとえば、毎日の午前3時~6時と設定して日曜日に設置して、次の休みの日曜日に回収しに行けば、たっぷりと録音できているはずです。」と書いたものの実際はどうなのか、実験をしてみました。
 先週日曜日にトークショーのために日光に行ったおり、山の中にYAMAHAのW24を置いてきました。場所は、私が顧問をしている日光野鳥研究会のサイトで「日光、最高のコーラス」と題し紹介した霧降高原を通る霧降道路の際です。
 W24には、TeamのTG016GOMC26A 16Gを増装。電池も新しいエボルタに入れ替えました。設定は、48Khz/16bit、録音ボリュームは最大、リミッターはON、録音先はSDです。録音時刻は、毎日午前3時30分から5時まで。前の日に設定して、ちゃんと動くかどうか確認しておきました。
 W24をビニールの袋にくるみ、マイクスポンジの元を輪ゴムでしっかりととめておきました。雨の当たらない場所を探して、谷間に向けて置きました。
 この5日間、たまたま午前3時頃に目が覚めると、今あの録音機が日光の山の中で動いているのだと思い、どう録れているのかワクワクして目がさえました。しかし、回収に行くまで、もし無くなっていたらどうしよう。雨に濡れて壊れていたらと、悪いことも考えていました。ですから昨夕、置いたところにちゃんとあったのを見たときは、ほっとしました。この季節の日光ですから雨は降ったはずなのですが、水が染みていることもなく大丈夫でした。そして、確認すると5つのファイルができています。プレイボタンを押すと、アカハラの元気な声が聞こえました。作戦成功、タイマー録音万歳です。

「kirifurichorus.mp3」をダウンロード

 今、データを整理していますが、すべてちゃんと録音されていました。毎日、午前3時45分頃からさえずりがわき上がり、1時間ほど続いているのわかります。また、時折コルリ、ミソサザイ、エゾムシクイ、ミソサザイ、ホトトギス、アカハラが、あたかもマイクの前にいるのではないというほど近くで鳴いてくれています。とくにコルリのソングポイントの前に置いてしまったようで、今まで録音したコルリを遙かに超える録音が録れました。
 この場所で録音するのは久しぶりで、日光野鳥研究会の原稿当時からもう10年も経っています。その頃の録音と比較すると、たくさんいたコマドリがほとんどいなくなりコルリに入れ替わっています。また、ルリビタキ、メボソムシクイの声もありません。ウグイスはいることはいるのですが、声が少なくなりました。エゾムシクイは増えました。ホトトギス、アカハラは変わらず、と言った傾向がありました。
 自動車道路の際なので、車のたくさん通っているのではないかと心配しましたが、多い日で2台、まったく車の通らない日もありました。平日の早朝ならば、かなり静かなことがわかりました。
 帰りの電車のなかで聞きながら帰って来ましたが、まだ電池のマークは減っておらず、W24の電池の持ちは凄いものがあります。
 次は、どこに置いてやろうか。これからの計画を考えるとワクワクします。

2010年6月24日 (木)

ヤマビルのおかげで

 先週末の日光でヤマビルに噛まれました。
 かつて日光にはヤマビルに出会うことはありませんでしたが、2年前の夏から急に増えました。この時は夕食後、ズボンの裾に血の染みができているのに気がつき、さがすと血を吸ってまるまるとしたヤマビルを台所の隅に見つけました。困ったことに、血がなかなか止まらないのです。出血を発見したのは、午後7時。寝ようとした10時でもにじみ出るように血が出ていました。カットバンは効かないので、タオルを足に巻いて寝ることにしました。
 今回もヤマビルのことを思い出しズボンの裾を靴下に入れていたのですが、帰りの車のなかでふくらはぎのあたりで違和感を感じました。ズボンの外から触ると中になにかいます。慌てて車を降りて払い出しました。ところが、これだけではありませんでした。帰ってから、もう1匹ズボンからぽろりと出てきました。油断もすきもありません。録音中は動けないことが多いので、ヤマビルの被害に遭いやすいのがこまりものです。
 ヤマビルの増加には、シカが介在していると言われています。日光では、確かにシカが多くなりました。その影響が大きいと思いますが、それにしても困ったものです。日光の別荘地に住んでいる人は庭仕事をしているだけで、ヤマビルに良く噛まれると言って、噛み跡のたくさんある足元を見せてもらったこともあります。ヤマビル自体、何かを伝染するということはなさそうですが、日光の鳥仲間の一人はリンパ腺が腫れて往生したそうです。噛みつくことで雑菌が入れば、いろいろな感染症になることは少なくないでしょう。
 たとえばキャンプで、サンダル履きに半ズボンやTシャツと言うのは無防備、自然の脅威を知らない人のやることです。自然のなかに入るときには、長袖長ズボンが常識です。これからは、これに長靴が加わることになります。
 ヤマビルの増加は日光だけではなく各地から報告されています。このおかげで安易なネイチャー嗜好の人が、まざまざと自然の脅威を身をもって知ることになるでしょう。私の持論である、自然は癒しにならない、自然のなかに入ったら緊張感を持てと言っていることが、理解されることも多くなると思います。

写真は、私の血を吸って太ったヤマビル、だいたい3cmくらいの大きさです。

Yamabiru

2010年6月23日 (水)

7月の「朝の小鳥」は玉原湿原

 文化放送「朝の小鳥」の7月放送分のスタジオ収録でした。
 7月は去年、同じ頃に行った群馬県の玉原湿原の野鳥たちです。鳥は、アオジ、コルリ、アカハラ、カッコウです。いずれも高原らしい野鳥たちのさえずりです。
 玉原湿原は、T森さんに案内してもらって2度訪れています。「とても面白いところだから」と誘われたのです。玉原湿原は、標高1000mほどのブナなどの囲まれた小規模な湿原です。つづれ織りの山道を登っていくと、ぽっかりと平坦なところがあって森に囲まれた湿原が広がっていました。周囲には木道があって、森の中には小径が縦横にあるので、野鳥を見るのには良い場所でした。自動車道からも離れているので、車の音も少なく録音には最適の環境。ただ、周りの森は深くクマも出るということで森のなかを歩くときは緊張いたしました。湿原は、下の写真のようなところです。

Tanbarasitugen
 面白いというのは、関東で標高1000mですからアオジ領域なのですが、数100mまでのはずのノジコもいるのです。アオジとノジコがいっしょにいるのは、はじめて見ました。この2種は標高のよって棲み分けていると思っていたのですが、既成概念が崩れました。この2種類の違いはいったい何なのか。興味はつきません。
 このとき、ノジコは録音できませんでしたがアオジが、最高の音が録れました。なにしろ、複雑で長いさえずりを繰り返すもので聞いていて飽きません。そんな、高原の野鳥たちを来月お楽しみいただければと思います。
 なお、来月からCMがなくなります。蒲谷先生もCMがない時代が長くあり「肩身が狭い」とよくおしゃっておりましたが、私も同じ気持ちです。しかし、番組つくりはCMがない分、長くなって作るのがたいへんになることがわかりました。

2010年6月22日 (火)

カラスの鳴かぬ

 今朝、我が家のベランダに針金ハンガーが落ちているのカミさんが見つけました。
 六義園では、5月27日にハシブトガラスの巣落としをしているのですが、毎年再挑戦するカラスがいます。落ちていたハンガーはその兆候かと思い、今日の午前中に六義園を一回りして作り直しをしていないか調べてみました。
 巣を見つけことはできませんでしたが、それ以前にカラスが少ないのに驚きました。いつもならば数10羽のカラスがいてにぎやかです。中には、私を覚えていて付いてくるものまでいます。ところが今日、出会ったカラスはわずか1羽。遠くで鳴くのを加えても2羽です。
 そして気がついたのですが、今年はまだ駒込で幼鳥の声をまったく聞いていません。ハシブトガラスの雛は巣の中にいるときはほとんど鳴きません。しかし、巣立つと良く鳴きます。「ウンガー」という甘えた声で、親鳥に食べ物をねだります。こんな声です。

「largebilled_crowchick.mp3」をダウンロード

 この声を録音したのは6月23日(2003年)です。六義園では、巣落としをしてしまうので六義園生まれの幼鳥はいませんが、周辺で巣立ったものが六義園に入ってきます。早ければ5月下旬、おおむね6月上旬には初認されています。現在、池の上ではツバメ、芝生ではムクドリ、森の中ではスズメとシジュウカラの幼鳥で満ちあふれています。いわば、六義園は巣立った幼鳥たちの学校、ここで食べ物の在処やとらえ方を学んでいきます。ハシブトガラスの幼鳥も親鳥に連れられて、同じように六義園に入ってきます。しかし、今年は6月下旬なっった今日現在、見ていないのです。
 6月8日に行った浮間公園では幼鳥の声を聞いていますから、順調にいっているところもあることはあるようです。
 実は、六義園で巣落としをした18巣のうち、卵があったものが2巣(卵は合計4個)、雛がいたものが2巣(雛の数は3羽)で、例年になく不作でした。六義園がこの調子なのですから、周辺の住宅地の巣も繁殖率が悪いことが想像できます。
 原因は、野菜が不作になった4月の寒さでしょうか。それとも、ゴミの分別が変わったことによる食べ物が取りにくくなったせいでしょうか。六義園の周辺だけしか見てないので結論を出すことは早計ですが、この傾向が東京都全体にあるのでしたら、たいへん興味深いですね。

2010年6月21日 (月)

放菴美術館でトークショー

 以前、記事にいたしましたように先週末は栃木県日光市にある小杉放菴記念日光美術館にて、トークショーをしてまいりました。
http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2010/05/post-ba14.html

 美術館のホールに設営された演台の後ろは大きなガラス窓で、外の木々は新緑に輝き、白いヤマボウシがアクセントになっていました。その中でトークショーだけに、自然に関わる者としてはとても興味深い内容でした。
  トークショーは、青の独特の使い方で風景画が素晴らしい入江観先生、フクロウの彫刻家の手塚登久夫先生、そして私でした。入江先生とは初めてでしたが、手塚先生とは以前、お会いしたことがありました。日本野鳥の会の創立70周年記念事業で、富士山麓の須走で記念碑の除幕式などの記念事業でごいっしょしたのでした。この記念事業は、当時の探鳥会を再現しようと、第一回の探鳥会に参加した北原白秋のお孫さんや文壇画壇の著名人に集まってもらおうというものでした。日本野鳥の会の創立の主旨は、日本の文化のなかで、野鳥の知識を正しく普及させようという意図があったためです。
  放菴が戦中戦後、参与として日本野鳥の会の「野鳥」誌の表紙や記事中のカットを描いていました。放菴が当時、日本野鳥の会と関係があったのも野鳥についての知識を得て、よりよい作品を残したいという意図があったからでしょう。そんな、話から放菴の自然への取り組み、日本人の自然観への話は広がっていきました。
 とても有意義な会だったと自画自賛しておりますが、30人程度の観衆でとてももったいなかったというのが、正直な感想です。
 いずれにしても、放菴が描いた鳥でもホオの枯れ葉一枚でも実物を見て比べて見れば、放菴が捉えた自然とは、何かヒントは得られると思いました。また、現在の日本野鳥の会、そしてバードウォッチャーは野鳥好き、マニアで完結していますが、往年の日本野鳥の会の活動は日本の文化を担う自負があったことを思い出しました。
 なお、「小杉放庵の自然へのいつくしみ」展は7月19日まで、開催されています。日光にバードウォッチングにお立ち寄りの際に、ご覧いただければ幸いです。

 写真は左から手塚先生、入江先生、そして私です。

Talkshow

2010年6月17日 (木)

ミドリシジミを探す

 埼玉県さいたま市にある秋ヶ瀬公園にミドリシジミを探しに行きました。チョウは鳴かないので今ひとつ気が乗りませんが、梅雨の合間の好天に誘われて出かけました。
 以前、レンジャク類が出てたときに100人を越えるバードウォッチャーや野鳥カメラマンで賑わっていた森です。今日も、カメラを持ったオジさんたちがあちこちにいます。ただ、双眼鏡は持っていないしカメラに付いたレンズは短め、昼間なのにストロボを付けている人が多いという共通点があります。鳥と違って一ヶ所に集中するのではなく、数人のグループ、あるいは単独でうろうろしています。数の把握は難しいのですが3,40人はいるでしょうか。彼らは皆ミドリシジミ狙い、この季節はチョウマニアの森になっていました。
 数人のオジさんたちが指をさし一生懸命に写真を撮っているので、近づいたらミドリシジミのいることを教えてくれました。私もお邪魔して撮らしてもらいました。

 Midorisisimi_2

  着いたのは午前9時30分頃で、もうこの時間になると羽をなかなか広げてくれないとのこと、閉じた写真しか撮れませんでした。それでも、なかなか可愛いチョウです。
 この人たちは皆親切で、いろいろ情報を教えてくれました。これも、バードウォッチャーと変わるところはありません。また、ホルダーに入った写真を見せてくれるのも同じ。話を聞いていると石垣島へ行った話や高山チョウを求めて○○岳に登った話など、これも同じ。そして、少ない珍しい種類を追うのは、マニアに共通した心理です。
 違いも感じました。年が、平均してバードウォッチャーより若いのです。私が話をした集団は、平均は40代後半でしょうか。30代の人もいました。それが、なぜ平日の昼間にチョウを追いかけていられるのか聞くのははばかれましたが、皆よく秋ヶ瀬には来ているようです。それなりの苦労をして、時間を作っているのでしょう。
 私が「なぜバードウォッチャーは年寄りが多いのだろう」と言うと「野鳥の写真を撮るための機材は高価、定年後の金のある人ができる趣味だ」という意見が帰って来ました。なるほど、こういう見方もあるのですね。
 また、たまたまかもしれませんが、女性が少ないですね。今日は、3,40人いたのですが、夫婦が一組と単独1人でわずか2人です。最近では、集団の半数が女性ということもあるバードウォッチャーに比べれば、チョウ子は珍しいのでしょう。
 鳥とチョウ、同じ自然を対象にした趣味ですが、こうして比べるとバードウォッチャー・ウォッチングのポイントがつかめそうです。

2010年6月16日 (水)

タイマー録音の傾向と対策

 昨日の「はじめてのタイマー録音」を書いて以降、いろいろ考えました。
 昨日の記事を読んだ研究者のU田さんからは、YAMAHAの機種で30日間タイマー録音が可能かとの問い合わせのメールをいただきました。今まで、OLYMPUSのDS71で朝3時間、夜1時間を毎日、WMA形式で録音してデータを収集。これを30日間放置して収集したそうです。WMAですからメモリーは余裕です。そして、電源はAC電源から取ることで対応。しかし、この機種は廃盤となってしまい他の機種を選定中とのことでの問い合わせでした。
 凄いことを考えたものです。確かにタイマー録音を利用すればモニタリング調査のデータが録音機の台数分収集できます。一回置いておけば良いのですから、何回も出向く必要はありません。データ収集がとても楽にできることになります。それも大量に確実に入手することができるのですから、ありがたい機能です。
 YAMAHAのW24やC24のタイマー録音の設定を見ると、毎日と曜日指定ができます。たとえば、毎日の午前3時~6時と設定して日曜日に設置して、次の休みの日曜日に回収しに行けば、たっぷりと録音できているはずです。野鳥のさえずりのハイシーズン、体がいくらあってもたりない季節ですから、この方法を試して見たいと思います。
 あるいは、毎週特定の曜日、たとえば水曜日の午前3~6時と設定して、5月から6月まで録音。8日×3時間=24時間ですから16Gあれば、48kHz/16bitでの録音が可能です。バッテリーの持続時間は、カタログ値ではW24がmp3録音で56時間、wav(44.1kHz/16bit)で38時間、C24はmp3録音で26時間、wavで16時間となっています。ですから、W24ならばwavで、C24ならばmp3で録音すれば可能ということになります。こうしてデータを収集すれば、季節によるさえずりの量と質の変化、日の出時間とさえずりのピークの季節変化など、とらえることができると思います。
 いずれにしても、雨が当たらない都合のよい設置場所があることと、拾われることのない場所ということになります。それにしても、防水仕様の録音機が出ればもっと安心して、タイマー録音ができます。
 こんな便利なタイマー録音、問題もあります。このまま、タイマー録音をしてばかりいたら、生で野鳥の声を聞かなくなってしまうのではないかという心配です。真っ暗な森がかすかに明るくなると、わき上がるように聞こえてくる野鳥たちのコーラス、清涼でかぐわしい森の空気に包まれて聞く野鳥たちの歌声の素晴らしさは、やはり生で聞かなくてはその本当の良さはわかりません。それに実際に体験しているからこそ、編集でいろいろ加工しても自然な音として再現できるわけで、体験無くして編集もできません。
 それに、タイマー録音した音源って、著作権が発生するものなのでしょうか。著作権は、創意工夫を行ったところから発生します。録音機をただ置いただけの作業で、実際録音しているときは本人はいないのですから、創意工夫の余地はありません。
 いずれにしても、メモリー録音機で広がり深まる世界があると思いますが、問題も同時に考えていくべきでしょう。

2010年6月15日 (火)

はじめてのタイマー録音

 ICレコーダーを使っている録音仲間が「タイマー録音ができるので便利」という話を着たことがあります。ICレコーダーの機能ということで、正直バカにしていたのです。今回、手元にあるYAMAHAのW24、C24ともタイマー録音ができるので試したところ、とても便利な機能であることがわかりました。

 タイマー録音とは、何時から何時まで録音をすると設定しておけば、録音機が勝手に録音しておいてくれる機能です。 W24、C24とも、メニューから簡単に設定できます。 今まで、夜や早朝の録音は、長時間録音ができる機種にメモリーと電池をたっぷりと入れて放置録音するしかありませんでした。これをやると膨大なデータとなり、後の処理がたいへんです。しかし、タイマー録音では午前3時~6時のもっとも野鳥が賑やかな時間を設定しておけば、その時間だけ録音が行われるので約2G(48kHz/16bitで録音の場合)で済みます。ですからW24、C24とも本体メモリーだけでOKですし、電池は10回分くらい持ちそうです。 実際に録音した波形をAdobe Auditionで示してみました。見やすいようにモノラルで表示しています。

Timarrec_2

  録音機はW24、場所は日光の山のなかです。時間は午前3時~6時までの3時間、48Khz/16bitで録音しています。録音ボリュームはフルです。 こうしてみると、録音開始から50分後の午前3時50分からクロツグミを中心とした野鳥のコーラスが始まり、約1時間盛り上がっているのがわかります。その後も、たまたま近くにやって来たセンダイムシクイやキバシリの声が大きく入っています。

 問題は、どこに置くかです。今回、置いたところは去年、午前3時に来たら野鳥のコーラスが素晴らしかったところです。ですから、ある意味リハーサル済みの場所です。初めての所では経験からのカンをたよりに置くしかありません。あるいは複数台を用意して、より可能性を高めるということでしょう。それでもスケジュールによって、早起きが出来ない場合には、とても有効な方法だと思います。今回は、翌日に観察会がありましたので体力の温存をはかりたくて試してみました。また、万が一夜に雨が降ったりするといけないので、マイクはスポンジ、本体はビニールでくるみました。そして、木の陰で雨が当たりにくそうな所を選んで置きました。

 メモリー録音機の発達により野鳥録音の方法が、どんどん変わっていく感じがします。

2010年6月14日 (月)

カラスのパネルに生みつけられたもの

 今日の朝、居間に飾ってあるパネルにシミがあるのに気がつきました。このパネルは、NHKの「クローズアップ現代」でカラスネタをやったときにスタジオに飾った私が撮影した写真です。ディレクターに「どうせ捨てるなら、ちょうだい」と言ってもらったものです。もう10年前になりますから、色は飛んでいるし何度も落としているので角も傷ついています。しかし、写真自体にシミは無かったはず。写真の左の上の隅にある点のようなものです。

Kamemusi2

 虫でもとまっているのかとルーペで見ると、なんと小さな虫が卵から孵っていました。

Kamemusi1

 白い卵のほとんどが割れて、その周りに2,3mmの虫がとまっています。体には黒と赤茶色の模様があって、小さなテントウムシという感じです。
 いったいこの幼虫たちは、何なのでしょうか。思いついたのはカメムシです。こんな小さな幼虫を見たことはありませんが、体の形はカメムシの幼虫に似ています。そういえば、1週間ほど前、夜中に虫が飛んでいて眼が覚めたことがあります。カミさんがベランダに置いた植木鉢を入れたときにいっしょに入ってきてしまったようです。朝、この虫を探すと地味な茶色のカメムシでした。昆虫は専門外なので確定的なことは言えませんが、大きさと色、多さからクサギカメムシの可能性があります。
 六義園に隣接しているので、よくカメムシは見ます。また、網戸や窓ガラスに卵を産み付けられたことはありますが、家のなかは初めてです。それにしても、白い卵をパネルの白い部分に産んだのは偶然でしょうか。親虫はカムフラージュを考えてのことなのでしょうか。毎日見ているパネル、今まで卵のあるのにはまったく気が付かなかったのですから効果はありました。
 幼虫たちを見ていると、まだ卵から出てくるものもいます。皆、卵のまわりにいて動きません。皆が孵ってからそろって動き出すのでしょうか。これが部屋中に広がってはたいへんと、ベランダにそっと持っていて六義園に放しました。
  けっこうしっかりととまっていて、つぶさないように落とすのはたいへんでした。

2010年6月13日 (日)

思わぬ伏兵

 第3日曜日は、私が顧問をしている日光野鳥研究会の自然観察会の日です。今日は、日光と足尾を結ぶ細尾峠を歩きました。細尾峠は、かつての日光と足尾を結ぶ旧道で、いろは坂に匹敵するほどの曲がりくねったつづれ織りの坂道が続きます。しかし、初夏は新緑、秋は紅葉が素晴らしいところです。標高はおよそ1000m、野鳥がもっとも多い高さです。
 今日から梅雨入りかという予報もあって、雨が心配でした。会員の気象予報士のT中さんは「午前中は、大丈夫」と太鼓判を押してくれての観察会の開始です。たしかに、薄雲はあるものの所々に青空も見え、まずますの天気です。これはたっぷりと夏鳥たちのコーラスが期待できると、わくわくしながら細尾峠に向かいます。
 ところが、思わぬ伏兵です。峠に着くとエゾハルゼミの大合唱です。唸るようなセミたちの声に森は満ちあふれていました。エゾハルゼミは、ほんの3,4センチメートルの小さなセミです。体は褐色で羽は透明、これだけたくさんのセミが鳴いているはずなのに姿はいくら探しても見つけことはできません。やっと見つけたエゾハルゼミの小ささに驚きました。この小さな体から、こんな大きな音が出るのは不思議です。

Ezoharu

  声は、こういう感じです。

 「ezoharu.mp3」をダウンロード

  これでは、オオルリもキビタキが鳴いても聞こえません。というか、そもそも鳥たちも鳴くのを諦めているのか、まったく鳥の声は聞こえません。やっと、見つけたのはヤマガラの家族。幼鳥たちが鳴き合いながら、木々の間を異動していきます。彼らの絆は、ボーカルコミュニケーションがたよりのはずです。このセミの騒音のなかで、幼鳥たちがはぐれてしまわないか心配です。
 お昼を過ぎると、T中さんの予報どおり少し雲が厚くなってきて風が吹き始めました。すると、まるでフェードアウトをかけたようにセミたちの声がすーっと静かになっていきました。きっと、温度との関係が深いのでしょう。私も脱いでいたフィールドコートを引っ張り出して着ました。
 すると、待っていたかのようにキビタキが鳴き始めました。メジロ、ジュウイチ、センダイムシクイ、そしてオオルリも高らかにさえずり始めたのです。昼下がりの時間帯は、野鳥たちはほとんど鳴きません。それが、今日は違っています。セミが鳴いていた間、さえずれなかった分を埋め合わせをするように鳴き始めたのです。やはり、セミの大合唱の中ではさえずっても意味がないと理解しているのでしょうか。

 考えてみれば、セミにとっても今日は最後の初夏の日、明日から気温の低い梅雨に入ります。日光の梅雨はとても寒いのです。彼らにとっては今日が正念場であったのかもしれません。

2010年6月10日 (木)

難題の鳥・シロチドリ

 これは難題です。3時間ねばりましたが一声も鳴きませんでした。これで、5年越しの挑戦です。
 課題の鳥はシロチドリ。チドリのイメージとしては群れで鳴き合う印象があるのですが、シロチドリはほとんど鳴きません。今まで録音できたのは三番瀬で、そっと近づいて飛び立った時の数声のみです。それも小さな声です。
 毎年、イラストレイターのM輪さんにお願いしては東京湾で繁殖しているシロチドリを案内してもらっています。今日もお願いして案内してもらったのですがダメでした。
 去年は、目の前で交尾を行うシーンがありました。他のシロチドリとのいさかいもありました。それでも鳴かず、録音はできませんでした。なんとも物静かな鳥です。
 今日は千葉の海岸、かつてコアジサシのコロニーがあった砂浜に、たった一つの巣がありました。今年こそと思いYAMAHAのW24を2台、ソニーのPCM-D50を1台、合計3台を巣の周りに置きました。写真の手前にあるのがW24です。

Kentish_plover
 600mm程度の望遠レンズで撮っているので巣の近くにあるように見えますが、実際は5,6m離れています。こうしておけば、鳥に影響を与えることなく鳴き声が録れはずでした。しかし、人やイヌが近づいてきても警戒の声を出すわけではなく、そっと離れて、そっと巣に戻ってくるだけでした。天気は快晴、海から吹いてくる風はさわやかです。ウインドサーフィンを楽しむ人も多く、初夏の海辺はおだやかでした。しかし、鳴いてくれないのですから商売あがったりです。
 皆さん、お気づきでしょうか。シロチドリがたいへん少ない鳥になってしまったことを。たとえば、1970年代の谷津干潟では干潟に石がたくさん転がっていると思って見ると、千羽近いシロチドリの群れでした。埋め立て地を歩けば、あちこちからシロチドリの雛が走り出してきたものです。造成されたばかりの埋め立て地という繁殖地があったために一時的な増加であったかもしれません。それにしても、ここ数年のシロチドリの減少は著しいものがあります。
 シロチドリと関連して、コアジサシの減少も上げられます。シロチドリは、コアジサシのコロニーの周辺で巣作りをしていとが良くあります。敵に対し果敢に集団で立ち向かっていくコアジサシに守られて、子育てをしている傾向がありました。その守護神のコアジサシが減ってしまったのも大きく影響していることでしょう。
 かつての東京湾では、ツルシギが普通種でした。300羽程度の群れでよく見られました。それが、今では1羽でも出現すれが珍鳥情報として飛び交う対象の鳥となってしまいました。今に「昔は、シロチドリが東京湾で繁殖しててさあ」と言われるように伝説の鳥になってしまわないか心配です。

2010年6月 9日 (水)

夜の録音に入っていた大物・その2

 先週末に訪れた兵庫県北部の山地では、夜に合計4台の録音機を仕掛けておきました。おかげで30時間以上、20Gに及ぶデータが録音できました。ただ、たいへん残念なことに夜半過ぎから強くなった風が「ゴウゴウ」と入っていて、使えるのはところどころしかありませんでした。私たちが早朝に行ったときには、風はあったものの強風という感じはしなかっただけに、録音に入っている風音に驚きました。
 この30時間の音源を聞くには時間がかかりすぎますので、Adobe Auditionで5分から10分程度を声紋表示させてチェックしていくという作業を行います。それでも、昨日今日と延べ2日かかりました。
 ヨタカが一声入っていたり、1時間以上もトラツグミが鳴き続けていたりして、作業は飽きることはありません。そんな中に、大物の音が入っていました。これがその音。PCM-M10で録音、ボリュームのアップをしています。

 「inosisi.mp3」をダウンロード

 ケモノの足音、そして鼻息です。どうも、録音機が気になって臭いをかいでいった感じです。当地で出会った大きなケモノは、イノシシとシカです。雰囲気としてはイノシシではないかと思いますがいかがでしょうか。いずれにしても大物の感じです。
 夜の録音をすると、昼間とは違った素顔を自然が見せてくれます。この発見がやみつきになりますね。
 

2010年6月 8日 (火)

関西弁の野鳥たち

 週末から月曜日にかけて、ヒクイナでお世話になったW辺さんのご案内で兵庫県北部の山地に行ってきました。山頂からは日本海や氷ノ山の山並みが見えるあたり、標高は1000m程度です。コノハズクがいる、アカショウビン、サンコウチョウもいるということで、野鳥を知らない野鳥カメラマンが横行するご時世、地名の明記はご容赦ください。
 コノハズクはフラれましたが、アカショウビンとサンコウチョウの声が、100mも離れていないエリアで聞くことができるなど、たいへん面白いところでした。
 私は関西地方の森林の野鳥の声を意識して聞いたのは、今回が初めて。それだけにいろいろな発見がありました。さえずりが、違う鳥もいれば同じ鳥もいるのです。
 たとえば、違うのはオオルリ。これを聞いてください。

「blueandwhite_flycatcher.mp3」をダウンロード

 10羽程度のオオルリの声を聞きましたが、このオオルリがいちばん単調でした。比較的複雑な節で鳴くオオルリもいましたが、この単調な節が良く入っていました。私は、W辺さんが「オオルリ!」と言わなければわかりませんでした。関東地方のバードウォッチャーならば、ベテランでも一瞬迷う声です。逆に、関東のオオルリがCDに入っていても関西のバードウォッチャーには役に立たないほど違います。慣れれば、音色が同じなのでわかりますが、初心者には無理なほど違います。今後の課題をいただいきました。
 このほか、キビタキも単調ですし、イカルは違う節でした。音色での識別のため一瞬の迷い、判断が必要な鳥たちでした。いわば関西弁の野鳥たちです。
 録音機4台を夜に置いて録音したら、すべてトラツグミが入っていました。かなり長時間の録音なのですべてをチェックしていませんが、低い1音のみでした。関東では低い声と高い声で交互に鳴くのと低い声のみとでは、2音のほうが多いように思えますが、これも今後の課題となりました。もし、1音だけであれば相鳴鳥の由来となった雌雄が鳴き合うという説は疑問ということになります。詳しくは、下記URLで「鳥声鳥語」→「相鳴鳥の謎」へ。
  http://www.birdcafe.net/howto/howtoall.htm
 声ばかりではなく、鳴く時間が違うというのもありました。関東地方では、マミジロは日の出と日没の前後、15分程度しか鳴きません。昼間のさえずりは希です。しかし、当地では昼間もあちこちで長く鳴いていました。
 もちろん違いの少ない鳥もいます。クロツグミは、バリエーションが多いので節が違っていてもいつも音色で判断しているためか、すぐわかりました。さらに、「良いですよ君の帰還」で記事にした「良いですよ」が節の中に入っているのには、驚きました。
  http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2010/04/post-acad.html
 この他、アオバト、ホトトギス、カッコウ、アカショウビン、サンコウチョウ、そしてウグイスは大きな違いを感じませんでした。
 たった1泊の駆け足の録音行でしたが、とても中身の濃い旅でした。
 W辺さん、重ねてお礼申し上げます。

2010年6月 4日 (金)

メジロのさえずりを聞きながら

  ベランダの前のクスの木で、メジロが良くさえずってくれます。朝はもちろんのこと、夕方に良く鳴きます。ベランダでメジロの声を聞きながら、ビールを飲むのは至福の時です。でもやっぱり録音してしまうのです。録音機はYAMAHAのW24。低音のノイズを軽減し、ノイズリダクションを軽くかけています。

「White-eyeW24_100521_0354e.mp3」をダウンロード

 ベランダで聞いているとかなり声量があるように思えますが、録音してみるととても小さな声であることがわかります。スズメの半分ほどの体、その喉を振るわせているのですから大きな声であるわけがありません。それが、都会の騒音のなかでもしっかりと聞こえるのは音の幅、とくに音域が高いところまで伸びているからでしょう。さえずりを声紋のパターンで見ると、低いところ3,000Hz、高いところは8,000Hzまであり、その幅は5,000Hzもあります。「チュル」一声がこれだけの幅があるのです。この音域の幅の広さが、遠くまで音を響かせる効果があるのだと思います。再生装置によっては、耳がキンキンするかもしれないほど高い声です。

 それに加え、メジロを見ていると、体をあちこち振って鳴いています。まるで、さえずりを振りまいているように見えます。
 このベランダの前のメジロは、ここ10年は鳴いています。もちろん代は変わっていると思いますが、メジロは減りません。ここ数年は、むしろ増えた印象さえあります。
 バックでハシブトガラスの声が入っているように、六義園はとてもハシブトガラスの多いところです。シジュウカラやコゲラなど、樹洞に巣を作る小鳥はカラスからの攻撃を避けることは容易だと思いますが、メジロのように木の枝にハンモック状の巣を作る小鳥はカラスの良い餌食に思えます。大きなカラスの入ってこられないような良く茂った茂みのなかでの巣作りをしているからかもしれません。
 また、以前メジロの巣立ったばかりの雛に遭遇したことがありますが、親鳥が目の前まできて威嚇をしました。小さなメジロに攻撃されても怖くもなんともありませんが、親鳥の勇気に感動しました。この攻撃力で、カラス圧をはね飛ばしているのかもしれません

2010年6月 3日 (木)

ササゴイの栄枯盛衰

 このところ天気が良いので疲れます。毎日1万歩を越える歩きで、とうとう右足に小指にマメができてしまい痛い!
 今日も今日とて、A原さん情報から都内の公園にササゴイを狙いに行きました。
 去年も同じ公園でササゴイが巣作りをしているということで録音にまいりましたが、時期が少し遅かったことで巣立ち直前。図鑑的な音しか録れませんでした。ササゴイは、他のサギ類が「グワッ」とか「ゴアッ」という声しか出さないのに対し、体が小さいだけに「キューッ」といった可愛い感じの声で鳴き、私は好きです。以前、夜に六義園の上空を鳴きながら飛んでいったときはサギ類の声とは思えず、ずいぶん名前を特定するに苦労したものです。
 声は、このような感じです。去年録音したものです。録音機はPCM-D1、ノイズの多い公園のためかなり加工しています。

「striated_heron090704_00e.mp3」をダウンロード

 ササゴイについて面白いのは、人によって増えた減ったの感覚が違うことです。私がバードウォッチングをはじめた1960年代は関東ではササゴイはいませんでした。はじめてササゴイのを見たのは、広島の親戚の家へ行ったときに連れてってもらった岩国の錦帯橋の下でした。その次が調査に訪れた熊本市の水前寺公園、珍しくて何枚も写真を撮ったのを覚えています。ようするに西日本の鳥でした。
 ところが、1970年代後半には関東でもよく見られるようになり多摩川で見たのが都内ではじめて。1980年代には、ルアーフィッシングをする鳥として熊本市の水前寺公園のササゴイが話題になりました。この頃から始めた六義園のセンサス調査では、秋の渡りに時期に記録されました。
 1990年代になると減少し始め、水前寺公園のコロニーもなくなったと聞いています。2000年代、私が録音をしようと情報を集めた時も関東地方のコロニーは軒並みなくなってしました。ところが、ここ2,3年の傾向ですが、都内の公園で繁殖が確認されるほど、姿を見ることが多くなり増加傾向にあります。
 ですから、1970年代に比べれば増えていますし、1980年代に比べれば減っていることになり、1990年代に比べれば増加の印象があるということになります。ですから、ササゴイが増えたか減ったかで、その人のバードウォッチング歴がわかることになります。
 ちなみに今日のササゴイは、午前中がんばりましたが鳴いたのは1声だけでした。 

2010年6月 2日 (水)

運河を歩く

 「運河が良いよ」「運河ってどこの運河?」「運河は東武野田線の駅の名前で、その周辺が面白い」と六義園の常連さんの一人A原さんに教えてもらいました。そして、手前の駅の江戸川台駅から運河駅にかけて、歩くと良いとのアドバイスをいただきました。ということで、今日歩いてみました。
 江戸川駅から指示通り愛宕神社を目指し江戸川に向かって歩くと、すぐに畑が広がりところどころにこんもりとした森が点在しているどこか懐かしい風景が広がります。そして、台地を下ると、水田が広がりアシ原もありました。ここでは、オオヨシキリの大合唱です。それに加えて、台地の森からはウグイスのさえずり、畑からはキジやヒバリ、そしてアシ原からヨシゴイの声(低い声で「ウッ、ウッ」と鳴く声)も聞こえてきて、そこそこの録音ができました。ただ、周囲は道路が巡っているので、それに負けない声でさえずるオオヨシキリがいなければ、録音は無理な環境でもあります。
 これが、音の風景です。録音機は、PCM-D1。低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「unnga.mp3」をダウンロード

 今日は暑いので、A原さんのアドバイスどおり江戸川の堤防の上を歩く気にはならず、木陰の多そうな台地の上を歩いてみました。ムクドリが忙しそうに飛び交い、シジュウカラがさえずっています。台地の上には、探索路の標識があるのですが、いつの間にか農家の庭に入ってしまい、そこで行き止まりということで、途中で道がわからなくなってしまいました。しかたなく台地の下を走る自動車道にもどって、運河に向かいます。運河は江戸川運河。流れは細いもののアシ原やカワラヤナギの植生が発達していて鳥の影も多いコースです。川を渡る風は涼しくて気持ちの良く、その風に乗ってオオヨシキリの声がどこでも聞こえきました。
 鳥を見ながら3時間弱。約12,000歩の行程でした。A原さん、ありがとうございました。

2010年6月 1日 (火)

カミさんの録音

 カミさんが尾瀬に行ってきました。
  行く前に、どうせ行くならば録音機を持って行ったらという話になり、もっとも軽いYAMAHAのC24を持って行かせました。おかげで、ネタがいくつも・・・
 まず、ヤマアカガエルが鳴いていたので、録音しました。風があるもののなかなか良い感じです。ヤマアカガエルの声は、低音から高音まで幅広い音域に広がっているために、近くで鳴いてくれないと自然な音に録れません。ということで、木道の下に置いて置いたら、こんな会話が入っていました。

「001A_100530_1341.mp3」をダウンロード

 若い女性の2人連れです。「何これ?」はC24を発見したためです。この2人は、録音機を再生装置と勘違い、カエルの声はここから流れていると思ってしまったようです。勘違いさせてしまい申し訳ない気持ちです。しかし、天下の尾瀬、天然自然100%の環境、そこで人工的に声を流すものでしょうか。もしそうならば怒れ、とも思いますが、なっとくしてしまう素直な2人に、ちょっとコメントのしようがありません。

  C24は、マニュアルによると単4アルカリ電池1本、44.1kHz/16bitで約16時間の録音が可能です。メモリーは、16GのマイクロSDを増装していますので、約24時間分、録音できます。ですから一晩は余裕、夕方から置いておけば、夜の鳥の声から早朝の小鳥のコーラスまで録れるはずと伝授。ということで、宿から少し離れた木道の下に午後7時20分に隠すように置いたとのことでした。ところがなんと朝、C24は落とし物として届けられていました。世の中には親切な人がいるものです。正直、大きなお世話なのですが、持って行かれなかっただけ幸いでした。
 録音中に光る赤いLEDが見えないように裏返しして置いたのですが、見つかってしまったようです。どうも、後からつけた緑色のスポンジ製のウインドジャマーが、まだ春早い枯れ野の尾瀬では目立ってしまったようです。がっかりです。

 それでも、朝拾われるまで、夜の録音が入っているはずと、音を探すとありません。時間を示す1920の名前の付いたファイルがあるのですが、なにもないのです。どうも、LEDが目立たないようにひっくり返したときにストップボタンを押したか、スタンバイ状態のまま置いてしまったようです。C24は、録音ボタンを連続して2回押すとスタンバイ状態になり録音が始まりません。震える指で押したのでしょう。カミさんはがっかりの2乗です。
 じつは私は、同じことをいろいろな機種で何回もやっています。日光、群馬の山奥、小櫃川河口、このほかにもありますが、みな覚えています。忘れられないほど、悔しくて残念なことです。ただ、このようなミスは、メモリー録音機になってから。DAT時代のD10-ProⅡではありませんでした。DAT録音機で、録音をスタートさせた後もレベルを監視しテープの走行を見てヘッドフォーンで音を聞くという気合いの入った録音では、ありえないミスです。録音機が簡単便利になっただけに、ついやってしまうケアレスミスです。
 ということで、いくら良い機材が開発されても使うのは所詮、人間。ミスはまぬがれません。

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