遙かなる天売島
去年の今頃は、北海道の天売島にいました。
生息数30万羽とも60万羽とも言われているウトウ狙いです。実は、一昨年も天売島に行きましたので2年連続の来島でした。
天売島のウトウは、日没とともに島に戻って来ます。暗い中、戻ってくる上に飛ぶのはあまりうまくないので、うっかりするとウトウが体に衝突します。鳥をよけながらのバードウォッチング、いつ鳥がぶつかるもしれないエキサイティングなバードウォッチングが楽しめるのは天売島ぐらいでしょう。
足元に降りたウトウは道路の上を歩き、巣穴に向かいます。ですから、標準レンズ付きのカメラでも、そこそこの写真を撮ることができます。ただし、立ち入れるのは 赤岩展望台の駐車場周辺のみ。それも午後8時までです。ですから、録音のチャンスは、毎日1時間30分くらいしかありません。そのため、録音機R-09、H2、PCM-D50の3台をウトウが来そうなところに置いておきました。手元には、PCM-D1を持ち近くで鳴いたら録るという作戦です。
一昨年は、2日間この方法で録音し延べ6時間録音をしましたが、ウトウの声は15秒しか録れませんでした。これがその貴重な15秒のウトウの声です。
「rhinoceros_auklet.mp3」をダウンロード
ところが、去年は置いた録音機にすべてにたくさん入っていて、いったい一昨年の苦労はいったい何だったんだろうと思うほどです。おとずれた時期が2週間ほど早かった違いがあります。そのせいでしょうか。
天売島の野鳥は、ウトウばかりではありません。島の草原はノゴマだらけ、周遊道路の一部は誰が名付けたかノゴマ銀座と呼ばれました。同じ草原にいるコヨシキリのさえずりの中にはアマツバメの鳴き声が入っていました。
森の中にもノゴマがいて、草原より複雑なさえずりでした。また、いたるところでコムクドリが繁殖。雛の声がにぎやかでした。すっかり日が落ち暗くなった森でじっとしていると、頭の上をヤマシギが鳴きながら飛んでいきました。怖くて歯を食いしばって、森の中で辛抱したかいがありました。
しかし、天売島は遠いですね。そう簡単には行けない場所だけに思いが募ります。この時期になると、ふっと街の騒音のなかにウトウの羽音が聞こえます。
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