来年があるさ
7月も今日で終わり。野鳥録音の最盛期も終わりです。野鳥録音をしていると季節の移り変わりの早さが実感できます。あっと言う間に、一年で野鳥の声がいちばん素晴らしい初夏が終わりました。 実質的には梅雨が明けて夏至が過ぎれば、もう野鳥たちは鳴かなくなります。それでもまださえずっているのは、結婚できなかった雄か、繁殖に失敗した雄の可能性が大です。ですから、夏休みなってから休みを利用して野鳥録音をしようというのは、もう遅いのです。
これからは、標高2000mを越える高山が、もう少し待って始まるシギやチドリたちが渡ってくる干潟にシフトしなくてはなりません。いずれにしても、今年も忙しい季節はおわりました。
今年も録りはぐれた鳥たちがたくさんいます。タマシギは狙っていたところの情報が入らず録れませんでした。ヤイロチョウもチャレンジしましたが遭遇できず。このほか、イワヒバリ、ブッポウソウ、ヒメアマツバメと録れなかった鳥の種類を指折り数えると、あっと言う間に両手の指がたりなくなります。まだまだです。
思い出すのは、蒲谷鶴彦先生の言葉です。「今年録れなくても来年があるさと思うこと」と、よく言われました。蒲谷先生のお手元には、わら半紙に赤いサインペンで書かれた鳥のリストがありました。いくつかの名前は、線が引かれ消されています。録音できた鳥です。まだ、消されていない鳥のなかにはムギマキ、ムラサキサギと言った難題の鳥たちの名前が残っていました。60年近く野鳥録音をされた先生でも録音できない鳥がいるのです。そして、80才を過ぎた先生が「来年があるさ」言うのですから説得力があります。
ようするに「無理をしてはいけない。無理をしても良い録音はできないし無理をすれば野鳥に影響を与えてしまうから」というのが先生の教えです。
野鳥録音ばかりでなく、バードウォッチングも野鳥写真も「また来年があるさ」という余裕を持って取り組んでもらいたいものです。
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