« 2010年6月 | トップページ | 2010年8月 »

2010年7月

2010年7月31日 (土)

来年があるさ

 7月も今日で終わり。野鳥録音の最盛期も終わりです。野鳥録音をしていると季節の移り変わりの早さが実感できます。あっと言う間に、一年で野鳥の声がいちばん素晴らしい初夏が終わりました。 実質的には梅雨が明けて夏至が過ぎれば、もう野鳥たちは鳴かなくなります。それでもまださえずっているのは、結婚できなかった雄か、繁殖に失敗した雄の可能性が大です。ですから、夏休みなってから休みを利用して野鳥録音をしようというのは、もう遅いのです。
 これからは、標高2000mを越える高山が、もう少し待って始まるシギやチドリたちが渡ってくる干潟にシフトしなくてはなりません。いずれにしても、今年も忙しい季節はおわりました。
 今年も録りはぐれた鳥たちがたくさんいます。タマシギは狙っていたところの情報が入らず録れませんでした。ヤイロチョウもチャレンジしましたが遭遇できず。このほか、イワヒバリ、ブッポウソウ、ヒメアマツバメと録れなかった鳥の種類を指折り数えると、あっと言う間に両手の指がたりなくなります。まだまだです。
 思い出すのは、蒲谷鶴彦先生の言葉です。「今年録れなくても来年があるさと思うこと」と、よく言われました。蒲谷先生のお手元には、わら半紙に赤いサインペンで書かれた鳥のリストがありました。いくつかの名前は、線が引かれ消されています。録音できた鳥です。まだ、消されていない鳥のなかにはムギマキ、ムラサキサギと言った難題の鳥たちの名前が残っていました。60年近く野鳥録音をされた先生でも録音できない鳥がいるのです。そして、80才を過ぎた先生が「来年があるさ」言うのですから説得力があります。
 ようするに「無理をしてはいけない。無理をしても良い録音はできないし無理をすれば野鳥に影響を与えてしまうから」というのが先生の教えです。
 野鳥録音ばかりでなく、バードウォッチングも野鳥写真も「また来年があるさ」という余裕を持って取り組んでもらいたいものです。

2010年7月30日 (金)

デジスコ通信に投稿しました

 デジスコドットコムが、ユーザーを中心に配信しているメールマガジン「デジスコ通信」に連載をしています。最新号に投稿しましたのお知らせいたします。
 タイトルは「下宿は四畳半から」です。下記URLで、読むことができます。お暇なときに、ご一読いただければ幸いです。
  http://www.digisco.com/mm/dt_48/toku1.htm
 ようするに人生もバードウォッチングもステップというか、基礎をしっかり押さえないと、本当の意味の上達はないよという主旨です。
 このメールマガジンは数千通は出ていると思いますし、連載は 5年も続けているのですが、今まで反応らしい反応をもらってことはありませんでした。関係者や知人に会えば、面白いとか言っていただけますが、未知の読者からの反応はあまりありません。ところが今回、自分のブログで紹介していか良いかの問い合わせがあり、びっくりいたしました。ちゃんと読んでいる方がいたのだとほっといたしました。今まで、あまり反応がないので勝手なことを書いていたわけですが、これからは少し心して書かなくてはとも思っています。
 拙文についての批判、反論、受け付けます。

2010年7月29日 (木)

カミナリの録音

 夏の風物詩といえばカミナリ。今年の7月はとてもカミナリが多かったそうですが、東京都心はそれほど多くなく、録音をする機会を逸しました。考えて見るとメモリー録音機を入手して以来、カミナリに遭遇する機会が少なくメモリー録音機で録音した良いカミナリの音はありません。ところで、このカミナリの音もかなり難題の音です。
 まず、カミナリが鳴り響くなか、金属製の録音機やマイクを空につきだして録音するのは危険です。安全なところに身を置いて、録音できるロケーション設定がまず必要です。
 そして、カミナリが近づいてくると、風も強くなります。そして、雨も降ってきます。カミナリの音だけという状況は多くありません。基本的には、鳴り始めが録音のチャンスで、落雷まっさかりの時には雨音や風音が入ります。
 次に、どんな大きな音で入ってくるのか予想が付かないことです。急激に大きな音が入ってくると音がクリップ、歪んでしまいます。と言って、カミナリの音がしてからボリューム調整をしても間に合いません。あらかじめカンで調整しておくか、一度目の音は諦めて聞くにとどめ、どのくらいのボリュームで来たか確認して二度目に賭けるという録音の仕方しかありません。
 今では、メモリー録音機が安くなったので複数台持っている方も多いでしょう。持っている録音機の録音設定を変え、並べて録音するいう手も考えられます。一台はアネッターをかけ、もう一台はアネッターをかけないなどという録り方もあるかもしれません。
 また、カミナリの録音はリミッターがどれだけ有効か確かめる良い機会でもあります。リミッターは、本番の録音のほかに録音機が同時に低いボリュームで録音しておいてくれて大きな音が入って来て音が歪むと、そこの部分だけ音を差し替えてくれる機能です。当然のことながらバックのノイズも低くなってしまうので、連続して聞くと急にバックの音が小さくなって不自然になります。それでも、編集加工をすれば使える音として有効な音が録れるのかチェックポイントです。
 ですから今度、カミナリが来たら録音機が4、5台ベランダに並べて、確かめようと手ぐすねを引いて待っているのです。
 下記の音源は、2003年の駒込のカミナリ。DATのPCM-M1とマイクのAT825Nの組み合わせで録音したものです。なお、リミッターはかけていません。

2010年7月28日 (水)

今日も「子ども科学電話相談」

 今日もNHKラジオ「子ども科学電話相談」の日でした。今日は、久しぶりに群馬昆虫の森の園長・矢島稔先生とごいっしょいたしました。この番組に関わった頃の12年前は、矢島先生と魚の杉浦宏先生の名コンビで番組が進行していました。当時、両先生はほぼ毎日出演されていたのですから凄いものです。
 本日の質問で面白かったのはセミの質問をした子どもでした。矢島先生の答えから次の疑問が湧いてしまい、つぎからつぎに質問をして来ました。考えて見れば、質問をした答えがわかれば、当然つぎの疑問が湧いてくるのが自然です。ただ、私も含め先生方は、最初の質問についてどう答えるかを考えて応対しています。ですから「もう一つ筆問があるのです」などと言われるとドキッとします。しかし、さすがベテランの矢島先生は一つひとつ丁寧に答えていました。
 私が観察会の指導などをしていて、ときどき質問の嵐をする人に会うことがあります。この鳥はどこから来るの、東南アジアから渡ってくる、どうしてこんな小さな鳥が海を越えられるの、どうして渡りをするの、どうやって渡りをするのと、なぜ渡りが始まったのと、一つの疑問がきっかけで次から次に広がっていきます。
 わかればわかるほど、わからないことが出てくるのは当然のこと、好奇心があって知識が増え深まることになります。鳥の名前がわかっただけで納得してしまうバードウォッチャーが多いなか、今日の質問の嵐をした子ども爪の垢でも煎じて飲ませたいと思います。
 ところで、次は8月5日が出演日ですが、国会中継のためにどのようになるかわかりません。いちおう予定では、午前8時~9時の1時間の放送になるかと思いますが、変更される可能性もありますのであらかじめご了承ください。

2010年7月27日 (火)

コウモリの録音

 今年は、例年と違う事例が気になります。
  ハシブトガラスの幼鳥の出現が遅く、少ないことは以前書きました。
 このほか、気になっているのはコウモリが少ないのです。
 いつもならば、梅雨時から夕方になると六義園の上を数匹が舞っています。今年は、梅雨が明けてからやっと1匹を見ました。それ以降は1回1匹を見ただけです。例年どおり毎日、夕暮れ時はベランダでビールを飲んでいるのですから間違いありません。
 コウモリは、イエコウモリだと思います。都会でも池や河川の周辺で、ごく普通にいるコウモリです。なぜ少ないのか、私にはわかりませんが気になります。
 話は、録音のことになります。最近のメモリー録音機では、96kHz/36bitという高品位で録音ができます。音楽CDだと44.1kHz/16bitですから、およそ倍の密度と言ったらわかりやすいでしょう。また、音楽CDだと高い音は22kHzまで。しかし、96kHz/36bitで録音すると、高い音は48kHzまで録音できます。これもおよそ倍です。人が聞こえる音域は20kHzと言われていますから、ある意味オーバースペック、何の意味があるのか不思議な機能です。しかし、音にこだわる人は少しでも高品位な録音をということで、96kHz/36bitの録音ができるかどうかが機種選定のポイントになっています。
 この高品位録音で、コウモリの声が録れそうですね。ただし、録音機のスペックを見ると、入り口のマイクの性能はだいたい24kHzまでの高さまでしか録音できないことになっています。高品位な録音ができる機能を生かすことのできないマイクが付いているというのもおかしなものです。
 以前、埼玉県さいたま市の大久保農耕地に行った時、日が沈むとイエコウモリの大群が土手の上に舞っているのを見たことがあります。どうも、土手に風が当たって食べ物となる昆虫が舞い上がるのを狙っているようです。向こうの風景が見えないほどの大群でした。マイク性能からいって録音はできないことはわかっていましたが、戯れにPCM-D1を96kHz/36bitに設定してコウモリの群れに向けて録音してみました。もちろん、私には何も聞こえません。
 家に帰って声紋表示をさせてみると、なんと40kHz付近にたくさん縦筋のパターンが見えます。コウモリの声です。これが下記の図です。本来はステレオですが、わかりやすいようにモノラルにしています。

Koumori

 マイク性能から無理なはずなのに不思議なことに録れていました。パターンはもっと上まで伸びていますから、おそらくコウモリの声の低い要素を捉えているようです。ただ再生しただけでは、私の耳では聞こえません。40kHz以下をカットし、それ以上の部分のボリュームを上げると「ブッブッブッブ」と音に聞こえます。
 PCM-D1では96kHz/36bitで録音することが多いので、早朝の録音や黄昏時の録音では同じようにコウモリの声のパターンが入っていることが気がつきました。メモリー録音の高品位録音の機能によってコウモリなどの声の一部を捉えることができます。お持ちの方、お試し下さい。

2010年7月26日 (月)

今日は「子ども科学電話相談」

 今日は、NHKラジオの「子ども科学電話相談」。相変わらず、盛り上がっている番組です。熱気のあるスタジオのなかで、3時間半の番組が進行していきます。
 ただ、私にとって大きな悩みがあります。この番組で、何がいちばん困るかというと野鳥に関する質問は昆虫や動物に比べると少ないことです。質問がなければ楽と思われるかもしれませんが、なんとなく肩身の狭いものです。それに、ニワトリだろうが、飼っているインコの話題だろうが答えなくてはなりません。
 なぜ、野鳥の質問が少ないのでしょう。他の先生方と話したことがありますが、昆虫や動物園の動物と違って、子どもが触れる機会が少ないからではないかというのが大方の意見です。人生経験の少ない子どもにとって、触れたことのない野鳥はなじみのない生き物なのです。目の当たりに観察する、手に触れてこそ、子供にとって存在をすることになり、遠くにありて思う野鳥は、そのまま遠い存在といえるのでしょう。
 ですから、野鳥の質問でも「ニワトリはなぜ飛べないの」とか「飼っているセキセイインコの頭が禿げたけれどどうしたらいい」という、子どもが触れたことのある鳥の質問となります。
 ところが嬉しいことに、ここ2年間の傾向ですが、野鳥に関する質問が増えてきました。たとえば本日の質問は、庭のメジロ、玄関の軒先のツバメ、車にされたカラスの糞、駅前のネグラに集まるムクドリなどがありました。いずれも、身近な鳥の話題です。野鳥を見ている子どもたちが増えてきたのでしょうか。身近な鳥だけに具体的な質問が多くて、子どもたちと話すのも楽しいものでした。この傾向が続いてくれると、少しは肩身が広くなります。
 ところで、今日の質問のなかで、先生方を感心させたものは「北極や南極では、今何時ですか?」でした。こういった素朴な子どもらしい疑問が、来ると盛り上がります。
 下記のURLで、先生方が答える声も聞くことができます。
   http://www.nhk.or.jp/radiosp/kodomoq/

2010年7月25日 (日)

米子で講演会

 このところブログ更新ができなかったのは、鳥取県米子市で行われた講演会、題して「カラスの学校」に行っていたからです。
http://db.pref.tottori.jp/pressrelease.nsf/5725f7416e09e6da492573cb001f7512/6B8B688812762F234925776600093337?OpenDocument
 講演会は23日の午後でしたが、なにせ遠方のこと。不安で前日より米子入りをしておりました。
 山陰と言えども、この夏の暑さは東京と変わりません。着いた日は、市内を散歩しただけですが大汗をかきました。しかし、カラスが少ないのです。農耕地でハシボソガラスが2羽、緑地で6羽のハシブトガラスがいただけで、市街地はゼロ。問題は農耕地や畜産業への被害とのことで、東京とはかなり趣が異なります。
 翌日の講演会は午後からでしたので、午前中は米子水鳥公園に行きました。私が、日本野鳥の会に在職中に作られた施設で話に聞いていましたが、どんなところか見ておきたかったところです。ここでの名物は冬のコハクチョウ。ですから、このシーズンは野鳥は静かなもの。近所の子どもたちが、施設が主催する夏休みのイベントにやって来て、にぎやかな歓声が上がっていました。これが、本来のこういった施設の使用の仕方なのでしょう。

Mizutorikouen

 午後からの講演会は、暑さのなかにも関わらず50人ほどの参加者が集まり、熱心に話を聞いていただきました。壇上から見ている限り、寝ている方はいなかったと思います。東京のカラスの話から転じて野生動物との関わり合いが話のメインです。聞き手は、実際に被害にあっている方たち、生活がかかっている方たちです。それだけに、言葉の一つひとつに気を使いますが、それは杞憂。皆さん、カラス対策に何かヒントはないかと熱心に聞いてくれました。
 せっかく米子まで来たので、翌日は島根県松江まで行きました。行きたかったのは小泉八雲の家などがある昔の面影が残っているエリアです。八雲が住んでいたという家は、これが日本の家屋だったのだという造りでした。3面が開け、それぞれ縁側があり、どこにいても庭を眺めることができます。とても暑い日でしたが、風が吹き抜けなんとも言えない涼しさです。どこかで風鈴が鳴っていて眠気を誘います。これが日本の夏の風情だったのですね。

Koizumiyagumo

 実は今回、鳥取県は初めて来訪。そして、私が足を踏み入れたことのない県で最後に残ったのが島根県でした。しかし、この機会に足を伸ばすことで来訪することができ、これで全国の都道府県のすべて足を踏み入れたことになります。だからといって別にどうってことないのですが、スタンプラリーをなし終えた達成感に似たものがあります。 

2010年7月21日 (水)

夏休みと言えば

 夏休みと言えば、 NHKラジオの『子ども科学電話相談』の季節です。
 今年も始まっています。
 私が番組の担当になって11年目。いつも間にかもう10年以上もやっていることなります。
 以前は、午前9時に始まって11時半には終わっていたのですが、午前8時33分から11時50分までと時間が長くなりました。出演日は6回ほどあったのですが、半分になり楽になりました。それでも、いつどんな質問が飛び込んでくるかわからない生番組だけに緊張感は半端ではありません。予習がきかないテストを3時間半に渡って受けているようなものです。おかげで、午後は疲れて昼寝をしてしまいます。
 ただ、近年はいろいろな分野の先生が出演されるようになり、バラエティに富んだ内容になっています。今年は、新たに恐竜が加わります。
 詳しくは下記のURLで。
  http://www.nhk.or.jp/radiosp/kodomoq/
 なお、私の出演日は、7月26日、7月28日、8月5日です。
 長時間の番組ですから夏休みのひととき、ゆっくりとラジオを聞きながら過ごすしていただければと思います。

2010年7月20日 (火)

夕方のツミ

 夕涼みがてら、近くの公園に行きました。
  去年の今頃、ねぐらに向かうコムクドリの群れが夕方になると立ち寄っていったので、あわよくば今年もと思っての来訪です。
 しかし、ねぐらに集まってきたのはハシブトガラスばかり。ムクドリは1羽もいませんでした。ベンチに座ってときおり吹いてくる涼風に当たっていると、ハシブトガラスのしゃがれた声、緊急事態の声です。声のするほうを見ると、1羽のハシブトガラスがタカに追われていきました。その後を数羽のカラスが追いかけていきます。手元にカメラがあったのですが、一瞬のことで「おお!」と言うだけで持つこともできませんでした。
 大きさからツミと判断。また出てくるのを待つことにしました。もう夕方なので、ねぐらに集まるカラスが100羽はいると思うのですが、アラートコールは聞こえません。オオタカが居れば、大騒ぎをするのですが小さなツミだと無視のようです。
 しかし、またツミはカラスを追いかけて出現しました。今度は、マツの木にとまってくれました。大きさはハトより大きく、胸に茶色の横縞模様があります。ツミはツミでも、今年生まれの幼鳥です。
 近くで巣立ったものが、獲物を求めてやってきたのでしょう。ツミの獲物は、スズメ大の鳥のはずですが、自分の身体の2倍以上もあるハシブトガラスに挑むところは若さゆえなのでしょうか。その後、何回かカラスにアタックをしては、逃げられていました。
 その間、近くにとまってくれたり森の上を縦横に飛んでくれたりで、今までこんなにじっくりとツミを観察したことはありませんでした。
 夕方の公園でのツミ、たまに違った時間に来ると思わぬ出会いがあるものです。

Sparrowhawk_5

2010年7月18日 (日)

ヒグラシの鳴く頃

 ヒグラシの鳴く頃になりました。日光では先週末に3日間、タイマー録音をしかけました。その最終日にヒグラシの声が入っていましたから11日が初認となります。六義園では、一昨日16日から声が聞こえるようになりました。
 ヒグラシについての誤解その1。「夏に鳴いているのは異常ではないか」とよく言われます。実はヒグラシは鳴き始めるのが早いセミです。関東地方の平地でもっとも早く鳴き、多いニイニイゼミの次となります。今年は、ニイニイゼミが鳴き始めた翌日からヒグラシも鳴き始めました。ヒグラシのもの悲しい声の印象から秋のセミだと思っている人が多いようです。
 誤解その2。「早朝、ヒグラシが鳴いていた異常ではないか」も言われます。ヒグラシは、夜明け前後にも鳴きます。ですから、早朝の録音をしているとヒグラシが良く鳴いていることに気がつきます。今年の日光の初認、タイマー録音に入っていたヒグラシは、午前4時前後に鳴いていました。ヒグラシという名前の印象から、夕方のセミと思っている人が多いようです。
 ヒグラシの声は物悲しいも、やや誤解です。そばで聞くとなかりうるさく聞こえます。たとえばこんな感じです。録音機はPCM-D1、ボリュームを下げた以外の加工はしていません。

 ゼミの声の録音はマイクを棒の先に付けてそっと近づければかなりきれいに録れます。私は、壊れたクイックルワイパーの棒の先にマイクを付けて録ります。このヒグラシは三脚につけて録りました。野鳥の声を録るのに比べたらかなり安易、楽な録音方法です。
 しかし、セミの声の録音は簡単であり、また難しい録音でもあります。
 たとえば、前掲の音源ではヒグラシのイメージが表現されていません。図鑑の音としてはわかりやすくても、番組に使えない音となります。ヒグラシの声が、夕方のほの暗い杉林の中から、むせび泣くように聞こえてくるように録るのはかなり難題です。まず、近づいたらダメです。しかし、小さなセミが出す音ですから音量は低く、離れて録れば環境ノイズが大きくなってしまいます。マイクを置いてモニターして、ちょうど良いところを探さなくてはなりません。また、沢音や流れの音がなく車の音も聞こえない静かなところ、そこでヒグラシが鳴いてくれないと録れません。ロケハンから始めて、慎重にマイクポジションを考えないと録れない音なのです。
 いちおう、そのような苦労をして録った音がこれです。DATのPCM-M1+マイクはAT825Nを使用。フェードイン、フェードアウト以外の加工をしていません。

  これでも、まだ満足のいくヒグラシの声とは言えません。ウグイスやヒヨドリが鳴いてしまっているので、夕方の雰囲気が損なわれています。ヒグラシは連続して鳴いているので、カットすると切れ目がはっきりわかってしまいます。ですから、鳥の声をカットすることはできないのです。
 セミの声がにぎやかになる反面、野鳥の声が静かになるシーズン。こうしてセミの声の録音で苦労をしておくと、野鳥の録音のときにもこのテクニックを生かすことができると思います。

2010年7月17日 (土)

多摩動物園での録音

 先日の上野動物園に引き続いて、今日は多摩動物園にて録音を試みました。梅雨明けということで、日向は猛烈な暑さ。動物たちも暑そうにしています。でも、木陰は風が吹くと爽やを感じる気持ちの良い夏の日でした。
 多摩動物園での思わぬ伏兵は、セミでも航空機でもありませんでした。うるさいのは、ガビチョウ。どこででも鳴いていて、何を録音していても入ってしまいます。途中であきらめて、このガビチョウを録音したほどです。
 それでも、コンゴウインコ、スミレインコなどのインコ類やイワシャコ、ハワイガン、インドクジャクなどが録れました。
 お恥ずかしい話をひとつ。私は、ずうっとコンゴウインコをアフリカのコンゴのインコだと思っていました。ですから、コンゴがザイールになった時にザイールインコに名前を変更しなくてはと思ったほどです。ところがあるとき、南アメリカの鳥だとわかり「金剛鸚哥」が漢字名だと知った時は、ちょっとショックでした。人間、思い込みというのは怖いものです。
 ところで、コンゴウインコの声はこんな感じ。

 これは、アマゾンのジャングルの暗い中で聞いたらかなりびびりますね。

2010年7月16日 (金)

風鈴の録音

  東京地方は一昨日から梅雨が明けていると思うほどの天気が続いています。いよいよ夏の到来です。夏の風物詩となる音はたくさんありますが、風鈴の音もそのひとつ。暑さのなか、いっときの涼しさを感じさせてくれます。
 しかし、風鈴の音の録音はとても難しいのです。まず、風鈴があるのは住宅地、それだけに人工音がたくさんあります。車はもとより、クーラーの音など、さまざまです。それならば部屋のなかで録音すれば良いと思われるかもしれませんが、団扇で扇ぐ、あるいは扇風機が風を起こしたら、その音が入ってしまいます。それに、自然の風のゆらぎを表現できるでしょうか。さらに、部屋の中では反響していまします。夏空に音が抜けてくれいないと、自然な音にはなりません。
 さらに、風鈴は風が吹かないと鳴りません。風が吹けば風の音が入りますし風が強ければ風鈴が鳴り続け、うるさい音になります。ぎりぎり風鈴を鳴らしてくれる風が吹いてくれ、「チリン」と鳴ってくれるのが理想的です。風鈴の録音を試みると、風鈴にも良い音の風鈴と悪い音の風鈴があることがわかります。ガラス製で軽やかな音が出る風鈴が涼しげです。
 今日は、カミさんの実家のお寺に墓参りでした。お寺は、谷中にあります。まわりは住宅地に囲まれています。風が吹くと、風鈴の音が2つほど聞こえました。一つは重い音で濁りさえ感じました。もう一つの風鈴は、江戸風鈴のようでとても良い音でしたので、お墓の隅にPCM-D50を置いて、そっと録音させてもらいました。
 これがその音です。スズメの声が住宅地の雰囲気を醸し出しています。ちょっと風が強かったですね。ボリュームの調整と低音のノイズの軽減をし、mp3に変換しています。

 少しは、涼しさをお伝えできれば幸いです。

2010年7月15日 (木)

上野の白化カラス

 昨日に続いて上野動物園ネタです。後から来たカミさんが「白いカラスが居た」と報告。動物園には以前から白化のハシボソガラスが飼育されているので、そのことかと思ったら野生とのこと。探すと不忍池のほとりの売店近くにいました。
 飼育されているハシボソガラスは純白ですが、こちらはハシブトガラスで頭は黒く真白ではありません。翼や腹などの羽軸が黒く、羽弁が灰色の部分があります。正確には灰色カラスです。見方によってはけっこう粋な色をしています。もし、東京のハシブトガラスが皆この色ならばかなり印象が違ってくるだろうという配色です。まずは写真をご覧ください。

Largebilled_crowwhite
 純白のカラスもよく発見されますが、バフ変カラスと言われる個体も時折見つかります。バフ色とは、あまり聞いたことのない色かもしれません。バフは、なめし革という意味で黄土色です。高野伸二さんが図鑑のなかでよく使った言葉のため、鳥の世界ではよく使われます。
 たとえば、黒田長久さんはバフ変のハシブトガラスが13年生き続けたのを東京の赤坂で記録しています。これが、今のところ公表されている野生状態におけるハシブトガラスの長生きの最長記録です。くだんの上野動物園のハシブトガラスは、黄色味はないのでバフ変との言えない配色ですが、いずれにしても黒い色素を作る遺伝子異常だと思われます。
 このハシブトガラス、異常に人に近いのです。ちょうど、売店の前のテーブルが並んだところだけに食事をしている人もいます。写真のようにすぐそばに寄ってきます。この写真も望遠レンズではなくコンデジで撮影したものです。レンズを向けてながら近づいても逃げることはなく、ポーズをとってくれているのではないかと思うほどです。
 おそらく、白いカラスと言うことで人から餌を優先的にもらえて、人を恐れなくなったのでしょう。このカラス、赤坂のバフ変カラス同様、長生きしそうです。

2010年7月14日 (水)

動物園での録音

 ここ1ヶ月は、韓国のWon Yong -Oh先生からの依頼で韓国の野鳥図鑑のための音源作りに追われていました。韓国では野鳥録音をしている人がいないようで、日本の鳥の声を使うことになったそうです。とりあえず韓国で記録されていて日本で私が録音した217種類264件の音源を送りました。日本国内でも鳥の声の違いがあるので、海を越えた韓国ではかなり違いがあると思います。この中から使えるものを使ってくださいと手紙に書きました。これで、一安心と思ったらWon先生から動物園の鳥の声が欲しいとの追加注文がきました。
 動物園での録音の経験は、数回あります。しかし、ノイズが多いのであまり積極的にやったことはありません。そこで今日、改めて上野動物園に行ってみました。
 良い天気で暑い日でしたが、だんだん風が強くなってきて録音には厳しい条件となりました。しかし、平日の動物園ですので空いていて録れるところではかなり良く録ることができました。
 ベニイロフラミンゴは良く鳴いてくれました。大きな声なので、なんとかなりました。ケープペンギンは水音がうるさくて断念、それに鳴いてくれません。インカアジサシは深みのある声で面白い鳥でした。絶滅に瀕しているカンムリシロムクは、節がはっきりしたムクドリぽいさえずりでした。ソリハシセイタカシギは、ケリとセイタカシギの間といった声で、けっこうにぎやかでした。これが、その声です。PCM-D1で録音。低音のノイズの軽減とボリューム調整をしています。

 日本では大珍鳥、ひとたび出現すれば一夜にして500人はバードウォッチャーが集まるであろうというソリハシセイタカシギですが、ここでは10数羽が狭い禽舎に押し込められ、たえずケンカをしていました。
 このように、動物園で普段聞くことができない鳥の声を録音しておけば、出会った時に聞き逃すことがなくなります。このソリハシセイタカシギの声も動物園で録音をして覚えておけば、万が一のとき、聞き逃すことはなくなるかもしれません。
 動物園での録音は、ひたすら騒音との戦いとなりました。いちばん多いのは、人声。子どもを叱る親の声はやはりさけたいものです。次に多いのが、上空を飛ぶヘリコプター。それに場内アナウンス、今日は暑かったので「温度が30度を超えたので熱中症に注意」が何度も流れていました。しかし、遠い子どもの声は良いですね。動物園らしい風景音となります。また他の動物の声も雰囲気を醸し出してくれることがわかりました。ただ、メインの音とのバランスが難しく難易度はかなり高い録音となりました。動物園での録音は、録音テクニックの練習には手頃で良い環境になると思いました。

2010年7月13日 (火)

アンチ・ヤマビルスプレー

  日光の山でのヤマビルの被害は、「ヤマビルのおかげで」の記事にしました。その後、日本野鳥の会の折りたたみ式の膝下まである長靴(商品名はバードウォッチング長靴)を履くことでしのいでいましたが、この間は太もものところにヤマビルが付いてのを発見。身体が細くなるヤマビルのこと、口をヒモで絞れる長靴でも入り込めそうで長靴による対策も万全ではない可能性があります。
 先日の自然観察会で日光の友人からアンチ・ヤマビルスプレーがあることを聞きました。この間の江戸家猫八さんのとのトークショーで、猫八さんから「粗塩を振りかければ良い」と教えてもらいましたが、まんべんなく足元に粗塩を振りかけるのは量も手間もいりそうです。そのため、アンチ・ヤマビルスプレーを探しました。
 本日、銀座の好日山荘(モザイク4F)で、アンチ・ヤマビルスプレーを発見。その名も「ヒル下がりのジョニー」。三重県の地域興しの商品のようで、手作り感あるチラシが付いています。ネーミングは地方ががんばっている感じと地方のセンスが入り交じった微妙な感じで賛否が分かれるところでしょう。広告代理店やマーケティングの専門家が参画していない商品開発、いわゆる”ゆるキャラ”系の商品と言えますね。詳しくは下記URLで。
 http://hirusagari.all-japon.biz/
 名前はともかく、効けば良いと思いますので、次回ヤマビルに会うのが楽しみです。 
 ちなみに価格は140mlで1,260円。現在、モザイクはバーゲンセール中ですが、対象商品ではありませんでした。
Hirusagari

2010年7月12日 (月)

金精峠のコマドリ

 週末は、日光でした。このところの雨で川の音がうるさい上に、いつもは流れのないところも水が流れていて録音には不向き。それでも、今シーズンもそろそろ終盤にかかっていますので、少しでも録音してやろうとがんばりました。
  日曜日は、日光野鳥研究会の自然観察会で金精峠の旧道を歩きました。今では立派な金精道路が通っていますが、かつてはこの登山道が唯一の道。菅沼の白根山の登山道入り口に車を置いて、少し戻ると旧道の入り口があります。はじめは、道路と平行しているので車の音がうるさいのですが、小1時間も歩くと山陰に入り野鳥の世界となります。
 標高は、1800m。コマドリ、ルリビタキ、メボソムシクイの領域です。森は深く、地面は苔むし、まるでアニメの「もののけ姫」に出てくるような風景の中を歩いて行きます。ただ、梅雨のまっただ中ということで、歩き始めると雨。ササ藪に覆われた道を歩くだけでも濡れてしまいます。ただ、幸い大降りにはならず、ときどき雨は止んでくれました。
 今回の目的は、コマドリです。コマドリとは、いつも声だけの出会いです。今回は、天気も良くないので、あまり歩かず皆でコマドリの姿を見ることにしました。私は、今までコマドリの声は数え切れないほど聞き録音もしていますが、姿を見たのはわずかに2回。そのうち、1回は六義園の渡り途中のものです。それだけに、時間をかけてじっくりと構え、姿を見てやろうとがんばることにしました。
 ここは、コマドリの密度が高い上に声も近くで聞こえ、姿が見えそうです。皆でじっとしていると、コマドリの声は私たちのいるところを左まわりで巡回していきます。声の移動とともに藪のなかを黒い小さな影が動いていきます。見えそうで見えないもどかしさがあります。しかし、何度か追いかけていると、倒木の上にとまってさえずっている姿が見えました。オレンジ色の美しい体、尾をピンと立てて喉を振るわせて鳴いているのまでわかります。雨の日の森、それも地面近くの倒木ですから暗い所です。しかし、コマドリにスポットライトが当たっているかのように輝いて見えました。
 この後も、姿を見るチャンスは何回かありました。この日だけで、今までの一生で見た以上のコマドリを見たことになります。
 録音は、そのコマドリのさえずりです。ちょうど、登山者が一人、クマ除けの鈴を鳴らしながら歩いて行きました。これも深い森の音の風景です。録音機は、YAMAHAのW24、ボリューム調整、低音ノイズの軽減をしています。

2010年7月 8日 (木)

ギンダラの声がほしい

 「ギンダラの声が欲しいと広告代理店から相談が来ています」と留守番電話に入っていました。私が日本野鳥の会在職中、机を並べていたH山さんからなのですが、どうしてギンダラ?、それ以前に魚は鳴かないだろう。
 鳥だとしたらギンザンマシコか、それともギンムクドリ、それにしても音の数が合わないし・・・と思って、翌日電話をすると欲しい鳥の声はギンパラでした。
 いずれにしても、私は持っていない音源です。
 なぜギンパラの声がCMに必要なのか、次の疑問です。くだんの広告代理店の担当者と方と話すと、ギンパラというパチンコがあるそうです。検索するとギンギンパラダイスの略で、15年前からある人気のパチンコ。今回は、キンパラ2のCMです。皆さん、ご存知でしたか。
 担当者には「NHKの自然番組ではなのだから、適当に『ピッ』とかいう音を作って入れれば良いのでは」とアドバイスをしましたが、どうしても本物の声を入れたいとの希望です。
 いずれにしても、音はないので蒲谷先生の音源を管理している息子さんのT彦さんに振りました。そして、ついにCMが完成したとT彦さんからのメールをいただきました。
 それがこれです。
   http://www.sanyobussan.co.jp/products/pk_ginpara2/cm/
 石川さとみさんが、出演されています。
 CMでは、さとみさんも私と同じ。野鳥を連想します。よーく聞くと、ギンパラが一声鳴いています。CM監督のこだわりといったところでしょう。

2010年7月 7日 (水)

8月の「朝の小鳥」は奥庭

 午後は文化放送「朝の小鳥」のスタジオでした。今日の収録は、8月の放送分です。
 8月のテーマは、富士山の五合目奥庭で録音した野鳥たちです。奥庭には、去年とその前と2回、訪れおり、その間録り貯めたものの中から良いものを厳選して番組にしました。

 奥庭に始めていったときの話は、デジスコドッドコムのメールマガジンに「奥庭で思ったこと」と題し寄稿していますので、下記のURLからご覧ください。
   http://www.digisco.com/mm/dt_29/toku1.htm
 去年、訪れた初日は猛烈な風でした。後で知ったのですが、この風のせいか落岩で一人亡くなったという日でした。おかげで、録音は断念しましたが、翌朝には風は収まり、日の出前の暗い森からはヨタカの声が聞こえ、日の出とともにルリビタキのコーラスがわき上がるように森の中からって響いてきました。これだけ、ルリビタキが高密度でさえずっているのを聞いたのは初めてです。
 メールマガジンに書いたように奥庭というと水場にくる野鳥を撮影するポイントとして有名ですが、録音のポイントとしてもなかなかのスポットだと思いました。道路が近いのですが、夜中から夜明け前後はほとんど通りません。奥庭荘には電気が来ていないので、自家発電をしています。そのため発電機の音がうるさいのですが、100mも登山道を下ればほとんど気になりません。この日の夜、発電機音の聞こえなくなったあたりにPCM-D50を一晩置いておきました。これには、10mほど前で鳴くヨタカが入っていました。なんとこのヨタカ、20分も鳴き続けていたのです。
 昼間の問題は、ハエ。録音をしていると、羽音が良く入ります。鳥の多いところは虫の多いのは当たり前なのですが、困ります。そこで、しょうがないので蚊取り線香を録音機の横に置いて録音をしました。けっこう、効果はありました。ご参考までに、写真はそのようすです。

Okuniwa
 なお、放送スケジュールは次のとおりです。
8月1日 ルリビタキ
     8日  ウソ
  15日  ビンズイ
  22日  カヤクグリ
  31日  メボソムシクイ
 盛夏から初秋に向かう奥庭の野鳥たちの歌声をお楽しみいただければと思います。
 

2010年7月 6日 (火)

鳥を追い払う実験

 昨日から泊まりで、某空港のバードストライク対策の調査に行ってきました。
  いつもお世話になっているHさんから、オオタカやモズの声を借りられないかの依頼です。何に使うのか聞くと、空港に集まる鳥を猛禽類の声で追い払う実験をしたいとのことでした。飛行機に鳥がぶつかるバードストライクの問題は、とても深刻です。私の立場からは「鳥の領域に人が入り込むのが悪い」と思うのですが、こと人命に関わることですから声を大にするわけは行きません。こういった対策では、すぐに捕獲が出てきます。捕獲=殺すですから、捕獲しないで追い払うことができたらベターな選択になるかと思い協力することにしました。行きがかり上、音源をお貸しするだけでなく実験にも立ち会うことになりました。
 朝5時に起きて空港に行くと、厳重な警備に驚かされました。臨時のパスに顔写真付きの身分証明書を持ち、腕章を付け、車には許可証と旗を掲げます。空港内に入るまで2ヶ所でチェックを受けました。なにせ、滑走路の周辺に入るのですから当然こと。鳥は翼があって、自由に空港に入っていることを考えれば、なんとも不自由なことです。
 空港の敷地内で鳥のいるところへ行って、オオタカなどの猛禽類の声を流す、そしてその反応を見る、というといっけん簡単な実験のようですが、これがなかなたいへんなことでした。まず、鳥が集まっているところが少ないのです。実験には、音を出す実験装置をセッティングしなくてなりません。そのため安定して鳥がいるところがあれば楽です。広い滑走路を一回りして、遊水池のようなところにツバメやカルガモが集まっているのを見つけました。まずは、ここで実験をすることにしました。
 音を野外で出だすためには、それなりの装置が必要です。いくら空港とはいってもそこいらにコンセントがあるわけではありません。そのため、Hさんのマイカーのハイブリットカーが重要な役割を果たします。この車から安定した電源を取り、CDプレイヤーを作動させます。これをBoseのスピーカーから流すという段取りです。まず、このシステムで音がどこまで届くかまず確かめました。80mは届くことを確認し、この遊水池はほぼカバーできることを前提にいよいよ実験です。
 鳥が来たらば、まず鳥との距離を測り、Hさんの合図で助手のN村さんがCDプレイヤーを回します。ここで感心したのは、Hさんの判断。ヒバリは空中に居るので空中で狩りをやるハヤブサ、ハクセキレイには地面に押さえつけて狩るオオタカと、対象の鳥によって流す声を変えるのです。その鳥にとって、脅威になる猛禽が違うかもしれないというこだわりです。
 ところが、滑走路に近いので、飛行機が来るとものすごい轟音です。こんなに目の前で飛行機が発着して行くのを見たことはありません。映画「ブリット」の最後の空港のシーンのようです。
 当然のことながらこの間、実験はできません。静まるのを待っていると鳥が居なくなってしました。また、鳥がやってくるのを待って・・・。今度は雨が降って来て・・・。ということで、なかなか思うように実験ができません。
 多くは無反応の鳥が多いですね。また、反応があってもそれが音に対するものかの判断が難しいことがわかりました。私たちの動きかもしれませんし、上を飛んだハシブトガラスの可能性もあります。たえず周囲の他の要素も見ていなくてならないのです。ただ、ハクセキレイがハヤブサの声を流したとたん、飛び立ったことがありました。これは、声に反応したのか、それともちょうど飛び立つところだったのか、判断が難しいところでした。観察例をとくにかく集めなくては、何も言えないと実感いたしました。
 考えてみれば、猛禽類の声に小鳥がどう反応するのかの報告は、ありそうでないのです。対策チームに鳥の専門家がいれば誰でも発想することなのだと思うのですが、聞いたことがありません。ひとつに効果がないだろうと思っていることがあると思います。私もそうです。でも、このような実験を地道にやって、ダメならば他の手を考えるという発想が必要だと思いました。いずれにいたしましても、明日も実験は続けられます。よい結果がでることを祈っています。写真は、実験風景、雨が降り始めてしまいました。

Airport_3

2010年7月 4日 (日)

今年初めての幼鳥

 今日は、六義園を歩いてみました。蒸し暑い日ですが、森の中に入るとひんやりします。梅雨時のしっとりとした六義園の森もなかなか趣があって良いものです。
 ところで、今日はじめてハシブトガラスの幼鳥を六義園で見ました。
 「カラスの鳴かぬ」の記事で書きましたように、今年は六義園周辺ではハシブトガラスの幼鳥を見ていないです。早ければ6月上旬、7月ともなればあちこちで巣立ったばかりの幼鳥が親鳥に食べ物をねだる声が聞こえるはずです。ところが、今年はやっと7月になって初めて見たことになります。
 中之島の岩の上で、暑そうにしている幼鳥の写真です。

Largebilled_crowchick

 暑いので口を開けているため、幼鳥の特徴である赤い口の中がよくわかります。
 この幼鳥は、親鳥とはすでに離れているようで食べ物をねだる鳴き声は出すことはありませんでした。まわりには他のカラス、親鳥や兄弟がいるようすはなく単独で行動していました。また、大きさからも巣立ってからかなり経っているようです。ということは、私が歩き回っている六義園周辺ではなく、離れた場所で生まれまわりまわって六義園にやって来たのかもしれません。
 このシーズン、都内を歩いていると秋葉原でも池袋、そして渋谷でもハシブトガラスの幼鳥の声が聞こえます。もちろん、公園などの緑地ではうるさいくらいです。ところが、今年は浮間公園で声を聞いて以来、まったくありません。今年生産される幼鳥は、少ないことは間違いなさそうです。これが、東京のカラス減少のはじまりとなると良いですが。

2010年7月 3日 (土)

今日の「自然百景」は粟島

  今日のNHK「さわやか自然百景」は、粟島でした。
 私が連休中に粟島に行っているときに、TVクルーと島のあちこちで会いました。彼らは、NHKの下請けのプロダクションだったようで、今日の番組にはいっしょに行ったM田さんご夫妻、T村さん、A部Yさん、R太郎さんが映っていました。この番組は、きれいな風景を見せるというのがコンセプトですから、人はあまり登場しません。そのなかで、風景のなかとは言え登場した皆さんは、いかにもバードウォッチャーらしいムードが漂っていたからでしょう。
 TVクルーのなかには、マイクスタンドを持った音声さんもいたのですが、かなり音には苦労したようです。私も一シーズンに出会うオオルリの数ほどに出会った感じがしましたが、オオルリは一声も録れませんでした。ですからオオルリ登場で、かすかに流れていたオオルリのさえずりは資料から持ってきた可能性がありますね。もし、ONで録れていたらもっと大きく流すことでしょう。ツグミの後ろで鳴かせたアカハラも現地で聞いたアカハラとは違う感じがしましたが、これも怪しい。
 ただ、ハヤブサの声は、かなりがんばったのではないでしょうか。ハヤブサの口の動きと声が合っていました。遠い上に海辺の波の音がうるさいなかでの録音のはずで、資料にも少ない音だけに同時に録音された可能性が高い音です。機械音が入り、かなり加工された音でしたが、苦労のほどがわかる人にはわかる音でした。
 ナレーションの間違いをひとつ「(アトリは)夏に羽が生え替わる」とありましたが、冬羽がすり切れて下の黒い羽が出てきて黒くなるはず。

2010年7月 2日 (金)

雨の中の録音-編集と加工

 去年のサロベツでは、天候に恵まれませんでした。天売島では、好天続きでしたので貯金を使い果たした感じです。それでも、せっかくサロベツまで来たのですから、あちこち見て回りました。一昨年は、行けなかった兜沼もその一つです。
 その兜沼沼では雨は本降りとなり、もう帰ろうと駐車場に行くとヤナギの木の中から聞いたことのない小鳥の声が聞こえました。当初、カラフトムシクイだと言われ録音しましたのが、後にハシブトガラのさえずりとわかりました。
 なお、一昨年はサロベツでムジセッカの声を録音し、日本で初めての繁殖期の記録としてバードリサーチの研究誌に発表しました。下記URLで読み、声を聞くことができます。
 http://www.jstage.jst.go.jp/article/birdresearch/4/0/S9/_pdf/-char/ja/
 今回もカラフトムシクイの日本初の繁殖期の記録と興奮をいたしましたが、下記の注のとおり誤認とわかり訂正いたします。
 カラフトムシクイでないことがわかりましたが、雨のなかの録音が編集加工することでどの程度、きれいになるかの例としてあげておきます。
 まずアップするのが加工前の原音です。雨のなかで鳴いている様子がわかると思います。

 それを丁寧に雨音を取って、クリーニングをするとこうなります。

 いかかでしょうか。雨の中での録音は、今まで諦めていませんでしたか?
 ここまで、きれいにできるのですから諦めることなく、まずは録音しておくことが新しい発見につながるかもしれません。 

注:アップ当時は、カラフトムシクイのさえずりということで記事にいたしましたが、花鳥茶屋のA井さんから「ハシブトガラのさえずりに聞こえる」というご指摘とともにご自身で録られた声紋もお送りいただきました。傍証するために、ハシブトガラのさえずりを探したところ上田秀雄さんの「野鳥の声283」(1998)に収録されているものと一致もいたしましたので、記事を訂正し全面的に書き換えました。A井さん、ありがとうございました。

2010年7月 1日 (木)

遙かなるサロベツ

 去年の今頃は、北海道のサロベツにいました。天売島から北上しての旅の続きです。
 サロベツも一昨年に引き続いての再訪でした。シマアオジの透き通ったさえずりの録音が目的です。私が20代の頃、1970年代はシマアオジは珍しい鳥でありませんでした。調査で訪れた道東の風蓮湖では、数10mおきにシマアオジとノゴマが出現し、オホーツク海の青い海と黄色いシマアオジ、ハマナスの赤とノゴマの赤い喉の色と、北海道の初夏の彩りの豊さに感動したものでした。当時訪れたサロマ湖畔や濤沸湖、道西では石狩川河口やウトナイ湖畔でも見ています。当時の北海道では、シマアオジは普通種という印象でした。
 それが今では、確実に見られるところはサロベツ程度となりました。それ以外にも居そうですが、皆秘密のベールに覆われています。どうしてこんなに減ってしまったのか。中国でお祭りがあり、そこで食べられたという説がありますが、ロシアに行ったH田さんの話ではアムールでは普通に居るとのこと。なぜ、日本だけ減ってしまったのか不思議です。
 他に確実な生息地が知られていないだけにサロベツでは、シマアオジ狙いの野鳥カメラマンが集中しています。私が行ったときも、夜明け前から数名のオジさんたちがうろうろしていました。それに、近所に住んでいる顔なじみのプロのカメラマンにもばったり会いました。さらに、バードウォッチング・ツアーの団体も来て、こんな辺境の地なのに戦場ヶ原や軽井沢にでもいるような感じになりました。
 ここサロベツは、木道があって観光客の目もあるので、追いかけ回すということはしづらい環境です。しかし、人目のない場所であれば、何をするかわからない野鳥カメラマンが多いだけに情報は覆い隠されて当然です。こうしてみんなで写真を撮って、シマアオジの写真が残っても声は残らない可能性があります。それだけに、シマアオジのさえずりは録音しておきたい声でした。去年は、天候に恵まれず良い音が録れませんでした。一昨年は、風が強かったものの吹き間に鳴いている声だけを集めて、そこそこの録音とすることができました。録音機は、PCM-D1。低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。


 シマアオジの生息数が回復して「昔はわざわざサロベツまで行かなくては録音できなかった」と、昔話ができるようになると良いのですが。

« 2010年6月 | トップページ | 2010年8月 »

2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

最近のトラックバック

無料ブログはココログ