遙かなるサロベツ
去年の今頃は、北海道のサロベツにいました。天売島から北上しての旅の続きです。
サロベツも一昨年に引き続いての再訪でした。シマアオジの透き通ったさえずりの録音が目的です。私が20代の頃、1970年代はシマアオジは珍しい鳥でありませんでした。調査で訪れた道東の風蓮湖では、数10mおきにシマアオジとノゴマが出現し、オホーツク海の青い海と黄色いシマアオジ、ハマナスの赤とノゴマの赤い喉の色と、北海道の初夏の彩りの豊さに感動したものでした。当時訪れたサロマ湖畔や濤沸湖、道西では石狩川河口やウトナイ湖畔でも見ています。当時の北海道では、シマアオジは普通種という印象でした。
それが今では、確実に見られるところはサロベツ程度となりました。それ以外にも居そうですが、皆秘密のベールに覆われています。どうしてこんなに減ってしまったのか。中国でお祭りがあり、そこで食べられたという説がありますが、ロシアに行ったH田さんの話ではアムールでは普通に居るとのこと。なぜ、日本だけ減ってしまったのか不思議です。
他に確実な生息地が知られていないだけにサロベツでは、シマアオジ狙いの野鳥カメラマンが集中しています。私が行ったときも、夜明け前から数名のオジさんたちがうろうろしていました。それに、近所に住んでいる顔なじみのプロのカメラマンにもばったり会いました。さらに、バードウォッチング・ツアーの団体も来て、こんな辺境の地なのに戦場ヶ原や軽井沢にでもいるような感じになりました。
ここサロベツは、木道があって観光客の目もあるので、追いかけ回すということはしづらい環境です。しかし、人目のない場所であれば、何をするかわからない野鳥カメラマンが多いだけに情報は覆い隠されて当然です。こうしてみんなで写真を撮って、シマアオジの写真が残っても声は残らない可能性があります。それだけに、シマアオジのさえずりは録音しておきたい声でした。去年は、天候に恵まれず良い音が録れませんでした。一昨年は、風が強かったものの吹き間に鳴いている声だけを集めて、そこそこの録音とすることができました。録音機は、PCM-D1。低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。
「yellowbreasted_bunting08061208.mp3」をダウンロード
シマアオジの生息数が回復して「昔はわざわざサロベツまで行かなくては録音できなかった」と、昔話ができるようになると良いのですが。
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