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2010年9月26日 (日)

35年ぶりのツルシギ-稲敷

 台風一過の良い天気のなか、茨城県霞ヶ浦のほとり浮島周辺の田んぼでシギやチドリを探しました。ふじしろ野鳥と楽しむ会のT本さんに、ドライバーからガイド役までおんぶにだっこのバードウォッチングです。
 目的は、オグロシギ。実は、私の音のコレクションにオグロシギがないのです。T本さんの情報では40羽が、朝いたということですので期待がふくらみます。霞ヶ浦沿いの堤防を車で走ると、水の張った水田や蓮田にシギがいました。5羽いた端正なシギは、コアオアシシギ。今まで、1羽でいるのしか見たことがない数の少ない鳥です。それが、群れでいるなんて凄い。さらに、期待がさらにふくらみます。
 ところが、いるはずの田んぼに行っても鳥がいません。ということで、次から次に延々と田んぼめぐり。それにしても、よくこれだけの広いエリアの鳥の付くところを把握しているものです。しかし、オグロシギはいません。最後にとっておきの場所と声をひそめて案内してくれた水田に行くと、中型のシギの群れが水を張った水田でさかんに食べ物を啄んでいました。双眼鏡で見ると、アオアシシギ、コアオアシシギ、そして赤い脚のシギが4羽、ツルシギです。
 ツルシギとの出会いは久しぶりです。昔は、ツルシギは東京湾の干潟にたくさんいました。しかし、今では珍鳥です。たとえば私が高校生の頃、はじめて蒲谷鶴彦先生にお会いした新浜の埋め立て地には、300羽を超えるツルシギが羽を休めていました。
 東西線行徳駅を降りて新浜御猟場に向かって歩く間は、耕作をやめた水田が湿地となり、そこにはツルシギがよくいました。その時の写真は、バードフォトアーカイブで掲載されています。下記URLで紹介されています。

http://www.bird-photo.co.jp/1_photo_2009.html#Anchor-BP-39678

 東京都側の葛西でも、100羽単位の群れは普通で、ここでの出会いがおそらく最後。1975年頃のことです。ですから、今日のツルシギとの出会いはざっと35年ぶりと言うことになります。
 どうして、ツルシギが減ってしまったのか、わかりません。中継地の東京湾の湿地の埋め立てが原因なのか、それとも繁殖地の環境の変化なのでしょう。それにしてもわずか35年で、これだけ数を減らした鳥は、そう多くはありません。
 秋の青空を写した水の中のツルシギの赤い脚に見とれていると、そろそろ空が夕方の色になってきました。番組ならば、このあたりでオグロシギの群れが飛んでくるはずです。あるいは、かろうじて1羽見られましたとコメントして、エンドロールが流れていく時間となりました。しかし、現実はそうはいきません。思い通りに行かないのが自然です。
 しかし、気持ちの良い秋の日のバードウォッチング、ツルシギとの出会いのおかげで厚みを増すことができました。T本さん、ありがとうございました。

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コメント

かつては東京湾で普通に見られたツルシギが、いつの間にか珍重になっていたのですか・・・。北海道に来てからはシギを見ることも少なくなっていたので、ツルシギの存在を忘れていましたが、そういえばもう何十年も見ていませんでした。こんなふうに消えていく野鳥がいるというのはなんとも寂しいものです。子孫たちに残すべき大切な自然がどんどん失われていくと思うとやるせないですね。

松田まゆみ様
 まゆみさんが、東京にいた頃まではツルシギは普通種でしたね。また、当時は干潟の鳥というイメージでしたが、今では田んぼの鳥になっています。
 今思うと、私たちが東京湾でシギやチドリを見ていた1970年代は、環境が激動した時代で鳥たちもイレギュラーな環境に舞い降りていたように思えます。本来の生息地とは違うところに無理矢理、来ていたのかもしれませんね。そのため、数はいたけど、その後命をつなぐことができなかったのではないでしょうか。

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