浜口哲一さんを偲んで
今までいろいろなお別れ会がありましたが、シンポジウムというのは初めてです。
先の土曜日は、今年の5月にお亡くなりなった浜口哲一さんを偲ぶシンポジウム「生きもの地図を未来へ~浜口哲一さんの足跡と、これからの道」に行きました。横浜・桜木町駅の近くのホールは500人は入るかという大きなホールでしたが、ほぼ満席。知人も多く、挨拶し損ねた方もたくさんおりました。写真は、満席の会場の風景です。
プログラムは、浜口さんの自然観察のノウハウ。自然への思いがそれぞれの講演者から語られ、単に浜口さんの追悼ではなく、これからの自然保護への取り組みまで思いを馳せる内容でした。
浜口さんとは、デアゴスティーニの『週刊・野鳥の世界』の共同監修者になってくれないかと声をかけられ打ち合わせをしたのが、ちょうど去年の今頃。「2年間の長い仕事になるけど、がんばろう」とお互いに励まし合ったのが、ついこの間のように思えます。
逆に私のほうはからは、財団法人日本野鳥の会の新制度の移行のともない新評議員を浜口さんにお願いすることを決めたところでした。これからの鳥業界を牽引役となるべき貴重な人材を失った代償は大きなものがあります。
このシンポジウムを拝見して感じたのは、浜口さんはオリジナルの人だと思いました。自然観察会での観察のポイントはもとより、わかりやすくするための小道具、パンフの表現方法、報告のグラフ表現など、多くを彼がオリジナルで考えたのです。多くの観察会の指導者は、マニュアルを参考にして指導を行いますが、浜口さんはそのマニュアルを作る立場であり、オリジナリティあふれる工夫で指導されていました。それには、自然を理解し知り尽くした上にセンスがないとできないことだと思います。
同時に、浜口さんはフィールドワークとデスクワークのバランスがとても良い方だと思いました。自然が好きで観察会や調査はの時は生き生きしていても、机の上でまとめるのが不得意と言う人はたくさんいます。おおむね自然好きはそうです。しかし、浜口さんはまとめもしっかりされていて著書はもとより、報告書、論文を多数残されています。これは、なかなかできません。私もデータが、貯まったままになっています。今思えば、浜口さんの生きている内に、このバランスを保つコツを教えてもらうのでした。
生きている内に言えば、珍鳥を求めて何100人も集まるバードウォッチングの現状、いやこの惨状をどう考え、今後どうしたら良いのか浜口さんの教えを請うことができなかったことが悔やまれます。
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