オオタカの卵
写真は先日、行った江戸東京博物館の企画展・徳川御三郷で展示されていた『枝梅文蒔絵卵香合』です。
解説によると「治斉が、寛政7年(1975)9月に11代将軍家斉から拝領したもの。前年の4月下旬に将軍家の雑司ヶ谷鷹室の大鷹が産んだ卵でつくられている。底部には、枝梅の高蒔絵がほどこされており、安定するようにつくられている」とありました。オオタカの卵に蒔絵を施したお香を入れる器です。薄い卵の殻の上に、よくもこれだけ細かい細工をしたものだと感心させられます。江戸時代の職人の技の逸品です。
雑司ヶ谷には将軍の鷹狩りのための基地、鷹屋敷がありました。そこでオオタカを飼っていたことは想像できます。しかし、オオタカなどワシやタカの仲間はとても人工増殖が難しく、現在でもなかなか成功例は見あたりません。まして江戸時代に繁殖が成功という記録は私はまだ見つけていません。そして、オオタカの卵は白かったのだろうかの疑問です。
『小林図鑑』では「淡青灰色」、『清棲図鑑』でも「淡青色または淡青灰色」となっています。しかし、展示品には青味はありませんでした。オオタカの卵の大きさは、小さめのニワトリの卵と同じくらいの大きさですから大きさからの判断ができません。たとえばハシブトガラスだと細いところが極端に細くなっていて、ニワトリの卵のような丸みがないことで区別できます。しかし、図鑑に載っているオオタカの卵はニワトリの卵のような丸みがあるので、形からも判断することができません。色だけの疑問です。卵の色というのは、時が経てば抜けてしまうものなのでしょうか。また、蒔絵を施す段階で、研磨をするなどすれば色は落ちてしまう可能性があるのでしょうか。
由緒ある御物に疑問を投げかけるには、それなりの証拠が必要です。しかし、暗いなかガラス越しの観察ですので、ここまでにしておきます。
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