キレンジャクとヒレンジャク-声による区別
先々週の日曜日、日光野鳥研究会の戦場ヶ原自然観察会で、キレンジャクの群れに会いました。Tさんはじめ仲間から「レンジャク類の声がする」と言われましたが、私には聞こえません。たくさん鳴いているというところでかろうじて、かすかに聞こえます。キレンジャクもヒレンジャクもかなり高い声で鳴くので、もう老耳になった私には聞きづらい声となっています。
カラマツの木のてっぺんに10数羽のキレンジャクがとまっていましたので、PCM-D1のマイクを向け、ダメモトで録音。意外なことに、けっこう鳴いていて初めてのキレンジャクの声をゲットすることができました。
ところで、私は『野鳥大鑑鳴き声420』に、キレンジャクとヒレンジャクの声による区別は難しいと書いています。あまり出会いのない鳥なので、経験が少なく断定的なことは言えず、気になっていました。
今回、この戦場ヶ原のキレンジャクと以前、録音したヒレンジャクと比較してみました。すると、けっこう違いがあるのです。
まず、ヒレンジャクの音源です。PCM-D1で録音したものを加工編集しています。
「japanese_waxwing070331.mp3」をダウンロード
その声紋です。天地が24,000Hz、左右が2.5秒です。
そして、キレンジャクの音源です。同じくPCM-D1で録音し加工編集しています。
「bohemian_waxwing10112800e.mp3」をダウンロード
その声紋です。同じく天地が24,000Hz、左右が2.5秒です。
音は、mp3に変換することで、かなり変質していますので、ご了承ください。しかし、声紋を見れば一目瞭然、ヒレンジャクのほうは5,000Hzに、ほぼまっすぐな基音があり、その上に倍音が3つ見えます。一方、キレンジャクのほうは5,000~7,000Hzの間に幅広く基音があります。この基音を良く見ると0.05秒の間隔で5,000~7,000Hzの間で”へ”の字型にパターンがあるのがわかります。震えるように聞こえる声は、この音の上がり下がりにあります。また、倍音は薄く1段しかみえません。
ところが、聞いてみると声紋のパターンほど違いを聞き分けられません。キレンジャクの0.05秒間の上がり下がりの震え声は、テンポが早くそれほど実感できないためでしょう。音域がほんとんど同じのヒレンジャクの1本調子のと変わらなく聞こえてしまううのではないでしょうか。
よく聞けば、ヒレンジャクのほうが倍音があるのでふくらみのある声に聞こえ、キレンジャクのほうは震える感じが強く、音が高いので甲高く聞こえるという違いがあるはずなのですが、いかがでしょう。この声が両レンジャクの典型的な声だとはいえませんが、他の部分を比較しても同じような印象がありました。今度、野外でレンジャク類に出会ったら声による区別が可能かどうか検証してみてください。
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