アカショウビンは雌もさえずる
今日、NPO法人・行徳野鳥観察舎友の会のS藤さんから「アカショウビンは雌もさえずる」という情報をいただきました。以下、S藤さんのご了解を得て、ご紹介いたします。
なんでも保護飼育していたアカショウビンが良くさえずっていたそうです。ところが今回、このアカショウビンを井の頭文化園に移しDNA判定したところ、雌であることがわかったというのです。S藤さん自身も「移動時の捕獲の際に、恥骨の幅を指で確認したところ広く感じました。」とのこと。雌は産卵のため恥骨の幅が広く雄は狭いそうです。触って雌雄が分かるとは、プロは凄いものです。いずれにしても、アカショウビンは雌もさえずる可能性がとても高いことがわかりました。
私自身、アカショウビンの声を聞いたのはわずか3回。録音はそのうちの1回にすぎません。この時は、千載一遇のチャンスのアカショウビンの声ですから、録音機を鳴いている方に向けてそっと置き後ずさりして離れてじっとしていました。ですから姿は見ていません。また、見えたとしても雌雄の姿による判断はできないのですから、同じことですね。
ところで、雌もさえずる鳥は意外と多く記録のあるものを列記すると、コジュケイ(御厨正治・1965)、イワヒバリ(中村登流、中村雅彦・1995)、コマドリ(川村多実二・1947)、アカヒゲ(中村登流、中村雅彦・1995)、コルリ(高野伸二・1967)、イソヒヨドリ(太田春男・1947、長柄他喜男・1947)、マミジロ(藤林和男・1976)、キビタキ(大石健次郎・1965)、オオルリ(中西悟堂・1964、御廚正治・1965、新妻博・1965、大石健次郎・1965)、サンコウチョウ(川村多実二・1947)、イスカ(水野武雄・1955)、イカル(中村登流、中村雅彦・1995)、コウライウグイス(黒田長禮・1958)となります。蒲谷鶴彦先生は、オオルリの雌のさえずりを録音したことがあります。私もマミジロの雌が雄のようにさえずっているのを見たり、オオルリの雌がささやくようにさえずるのを録音したことがあります。
これらの記録の多くは雌雄がはっきりと区別できる種類です。ウグイス類やホトトギス類では、雌雄の区別は簡単にはわかりません。本当にさえずっているのは雄ばかりなのでしょうか。では、雌雄の区別ができるシジュウカラはどうでしょう。あるいはホオジロ類、さえずっているの本当に雄ばかりなのでしょうか。今回のアカショウビンの話を聞いて、さえずるのは雄という先入観を持たず確認してみるべきだと思いました。
S藤さん、貴重な情報。ありがとうございました。
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