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2010年12月13日 (月)

雲上人に教わったおかげで

 昨日の足立自然にふれあう会の北本自然観察公園探鳥会で、懐かしい人に会いました。かつて日本野鳥の会東京支部の幹事をされていたK野さんです。私が高校生で室内例会や探鳥会に行くと、ひときわ大きな声でベランメエ調の話が聞こえ、誰かと思うとK野さんでした。おそらくK野さんは、インターネット環境にないと思いますので、言いたいことを書いておきます。
 当時(1960年代)、私も含め高校生や大学生のバードウォッチャー仲間が何人かいました。当然のことながら初心者です。私たちから見ると、野鳥の名前を一瞬にして言い当てる幹事さんたちはスーパーマンに見え、雲上人と言っていました。
 この高校生や大学生の若者たちに、大きな声でハッパをかけるのはK野さんです。いわば、体育会系バードウォッチャーといった感じでした。たとえば、「野鳥の会だったら、これが区別できないでどうするんだ」と叱られ「○○と××の識別ポイントはどこだ」と突然言われるのですから、幹事の顔ぶれのなかにK野さんがいると緊張したものです。
 ダイシャクシギとホウロクシギ、あるいはオグロシギとオオソリハシシギの違いを言い当てるために、K野さんのプロミナーを覗かせてもらいました。当時、望遠鏡を持っているのは幹事さんていどです。ですから、頭を下げて覗かせてもらったり、重い望遠鏡を持ってあげることとで優先的(持っているのだから最初に覗ける)に見たものです。
 もちろん、野鳥の区別の仕方、見方を教えてもらったわけですから、春日部のほうに足を向けて寝られません。
 今、このように厳しい指導者がいるでしょうか。日本野鳥の会は、会員を増やすという目的がある以上、会員はお客という対応です。うるさい、厳しい幹事の探鳥会では、参加者が来なくなるかもしれません。野鳥をいかに多く見つけてあげて、楽しい雰囲気の探鳥会にするために工夫をしているというのが実情ではないでしょうか。まして、バードウォッチングツアーを主催する旅行会社にいたっては、お客様は神様ですから厳しい指導など望むべくもありません。
 しかし、今の自分がこうして野鳥業界で飯を食え、バードウォッチングを楽しめるのは、初心者のときにK野さんはじめ諸先輩にいろいろきびしく教えてもらったことが生きているのだと思います。
 昨日の探鳥会ではK野さんは、木から昆虫の名前まで教えてくれました。そのネタと話題の豊富さは、往年の雲上人そのものでした。そう、当時の幹事は鳥だけでなく自然全般も詳しい人たちでした。それでこそ尊敬され、きびしいことを言われてもがんばったことを思い出しました。

Kitamotokouen2

  鳥ばかりではない観察会のようす。

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