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2011年1月

2011年1月31日 (月)

講演会の準備ー今度の日曜にむけて

 今度の日曜日は、行徳野鳥観察舎で「野鳥の声と録音について」の講演があります。昨日今日と、そのための準備に追われました。以前にも行徳では同じテーマで講演を行っていますから、同じ内容にならないよう素材からすべて作り直しています。
 まず、音をつくり、ソナグラムを制作、あるいは音にマッチする写真を探し構成していく作業です。とても、時間がかかります。パワーポイントの素材なのですが、一コマ作るのに1時間もかかるところもありました。
 その上、音とは、鳥の声とは何かという大きなテーマから入ってしまいましたので、その前に頭の整理が必要でした。当たり前のことのなぜ鳥は鳴くのか、なぜ高い音で鳴くのかなど、基本的なことをちゃんと説明しようとするとなかなたいへんです。また、明日もこの作業が続きます。
 その成果をお近くの方、ぜひご確認のためにお出でください。
日時:2月6日(日)午前10時~正午
場所:千葉県行徳野鳥観察舎 1階視聴覚室
 詳しくは下記URLで。
 http://genki365.net/gnki02/pub/sheet.php?id=24222

2011年1月30日 (日)

日曜日の朝はー『さわやか自然百景』

 今朝は、いつの間にか『さわやか自然百景』が、日曜日の朝7時45分に戻ってきましたので久しぶりに見ました。今日は、富山県砺波市の防風林の生き物たちが紹介されていました。
 日曜日の朝はNHKの自然番組を見るというのが、昔からの習慣でした。日光の自然観察会に行くときも、前泊した仲間とこの番組を見てから集合場所にいくのが楽しみ。それだけに土曜日に引っ越した『さわやか自然百景』は、ほとんど見ることはありませんでした。
 私がはじめてテレビを見たのは、小学校2,3年だったと思います。カイツブリの映像が流れたていたことを今でも覚えています。これは、その後放送された『自然のアルバム』の前身ともいえる番組だったようです。そして、野鳥に興味を持ち始めた中学時代には『自然のアルバム』を日曜日の朝に見るというのが習慣になっていました。たしか、7時20分から放送だったと思います。日曜日の朝、のんびりと『自然のアルバム』を見ていると、今日は休日なのだという実感がわいて来たものです。
 ただ私自身、いろいろな番組に関わることがあるので、この手の番組を見ていても昔のように安らぐことがなくなってしまったのは残念です。コアジサシが川の堰の前でダイビングしてところに「チャポン」と音が聞こえるはずはない、ミサゴを追いかけているのはハシボソガラスなのに声はハシブトガラス、ライチョウが真夏なのに春の縄張り争いの時の声で鳴いていた、高山帯に出てきたヒバリにビンズイのテロップなどなど、ついあら探しをしてしまいます。いやな性格かな。
 ところで今日は、ジョウビタキが登場したところで突然スローになりました。秒数が足りなかったためにスローにしたことはわかります。でも、なぜ鳥の名前のテロップもない登場のさせ方なのに無理矢理ジョウビタキを入れたのでしょうか。テロップを入れなかったのは、鳥の名前に自信がなかったからもしれません。このジョウビタキは、頭の黒いタイプでしたので図鑑通りの個体ではありませんでした。ですから、もしかしたら珍しい鳥かもしれないと思ったのでしょうか。そんな裏事情を想像しながら見るのも楽しい『さわやか自然百景』です。やはり、いやな性格です。

2011年1月28日 (金)

人間ドックで検査-高音域が聞こえない

 昨日は、人間ドックの日でした。今日は、まだバリウムの白い便が出るので、ちょっと鳥になった気分です。
 今日の時点では、さほど悪いところはなく「年に割には良いですね」というコメントいただいています。そのなかに聴力検査もありました。これも年相応なのですが、高音域が聞こえないのは仕事がら困ります。数年前により詳しい検査を受けましたが、けっきょく年だからしかないということになりました。
 その経緯をデジスコドットコムのメールマガジンに投稿したことがあります。下記URLで読めます。
  http://www.digisco.com/mm/dt_30/toku3.htm
 また、ほぼ同じ内容で日本鳥学会の「学会通信」にも投稿しました。下記URLです。
  http://wwwsoc.nii.ac.jp/osj/japanese/katsudo/Letter/no25/OL25.html#02
 おもしろかったのは、デジスコドットコムのメールマガジンは数千通、配布されているのにまったく反応はありませんでした。ところが、学会のほうは会員が1000人程度、サイトにアクセスした人だけが読むというシステムですから読者はもっと少ないはずです。それなのに、何通もメールをいただきました。また、ブログで取り上げてくれた方もいます。さらに、メールマガジンでも流れたようです。そして、学会の会場で会った方から直接、感想をいただきました。今までいろいろなところに様々なことを書いていますが、反応がもっとも高かった原稿ではないでしょうか。
 やはりデジスコで写真を撮っている人には、聴力の悪化はあまり関心が無いのでしょう。しかし、鳥を研究すれば鳴き声も調べざるをえません。それだけに研究者のほうが、聴力には関心が高いのはうなずけます。
 鳥仲間と歩いていると、野鳥の声が聞こえない状況がよくあります。いちばん大きな要素は、耳よりも注意力のほうが大きいですね。緊張感の保ち方が聞こえる、聞き逃すということになります。
 また、単に高音域だから聞こえないだけではないことも最近、気になっています。たとえば、コゲラの「ギーッ」が私は聞こえないことがあります。倍音は10,000Hzまでありますが、基音は1,000Hzですから、けして高い音ではありません。私の耳でも十分に聞こえる音域に音があります。この場合、1000~10,000Hzという音の幅が問題なのでしょうか。高齢者のバードウォッチャーが増える中で、今後の課題となるでしょう。

2011年1月27日 (木)

鳥インフルエンザって、野鳥が悪いのか

  野鳥に関わる者として鳥インフルエンザについて語らないわけにはいきません。
 急に鳥インフルエンザが猛威をふるっているように見えますが、実は東南アジアなどでは恒常的に発生していました。そのエリアの渡り鳥が北に帰ったとき、繁殖地で感染を広げ、日本にも渡ってくる渡り鳥が持ってきて、養鶏場などに感染を広げていると解説されています。
 このような、まるで野鳥が鳥インフルエンザの媒介者のような扱いの報道は疑問です。まず、鳥インフルエンザウィルスは、野鳥が恒常的に持っているウィルスです。とくに、カモ類は70%以上の感染率、留鳥のカラス類やスズメ類でも数10%と低いとはいえかなりの鳥が持っているものです。それなのに、野鳥の死体累々とはなりません。過去にもそんなおぞましい記録はありません。それは、鳥たちが持っている鳥インフルエンザウィルスは弱毒性だからです。
 問題なのは、鳥インフルエンザウィルスのなかの強毒性のタイプです。私は、この強毒性のウィルスがどこで作られたのかを今、問題にすべきではないかと思っています。弱毒性のウィルスが強毒性に変異するのは、感染を繰り返すことで遺伝子配列の変異によって発生します。いわば、ウィルスのキャッチボールが行われることで生じます。感染の回数が多ければ多いほど、強毒性が生まれる可能性が高いわけです。確率の問題です。
 野鳥の場合、具合が悪くなれば天敵を避けて隠れます。そこでは、感染は広まりにくいと思います。今回の出水のツル類も感染爆発が起きなかったのは、これに加え野生動物が持つ免疫力の強さでしょう。同じように、野鳥が高密度でいるマガンの伊豆沼でも起きていませんし、東京のハシブトガラスだって元気です。
 では、ウィルスのキャッチボールがどこで行われているかというと養鶏場だと思います。報道の映像でもわかるように養鶏場のニワトリの密度は、出水のツル類や東京のカラスどころではありません。それに密閉された逃げ場のない環境で、長年人に飼われ免疫力の落ちたニワトリが飼育されていることになります。
 野鳥たちが鳥インフルエンザのウィルスを持ったのは、今はじまったことだとは思えません。おそらく100万年単位で、鳥が培ってきたものだと思います。そして、歴史のなかに家畜が登場しても庭でニワトリが飼われていた時代には、まったく問題のないウィルスの存在であったのだと思います。それが、人よって養鶏場という鳥類にとって新たな環境が生まれたことで、ウィルスの変異が生じたと考えられないでしょうか。
 弱毒性のウィルスは、どの鳥も持っています。ですから、強毒性のウィルスがどこでどのように生じるか解明しない限り、養鶏場にニワトリたちを守っていくことはできないでしょう。
 そして、渡り鳥たちは、氷河期以来何100万年も渡りを繰り返してきました。ですから、それが感染を広める原因とは思えないのです。

2011年1月26日 (水)

さえずり館の自然観察会

 これを見てください。この寒い中、たくさんの方が集まっています。ざっと40人、最終的には60人ほどの方が集まってのバードウォッチングです。

Saezurikan

 これは今日、行われた丸の内にある「さえずり館」主催の自然観察会です。場所は、皇居前の和田倉門。こんなに人が集まったのは、新聞に載ったからです。マスメディアの力は健在です。
 しかし、この観察会は交通量が多く、人通りもある中で話をしなくてはなりません。とても指導の難しいロケーションとなります。また、担当のF沢さんからは「鳥が少ないので困った」というメールをいただいており、どうなることやら心配をしていました。
 しかし、蓋を開けてみると、お堀にはキンクロハジロの群れとミコアイサがいて、まずまずの滑り出し。当然のことながら初心者の方が多いので、小鳥をじっくり見るのは難しいと思い、ハシブトガラスの巣を見つけたり、動かないツグミをじっくり見せることができました。そこへ、オオタカが10羽ほどのハシブトガラスに追われ空中戦を見せてくれました。タカに皆で声援を送っていると、F沢さんが「ノスリです」と教えてくれました。確かに、よく見るとノスリです。さっそく訂正して、ノスリの特徴を確認しあいました。
 馬場先門まで歩きお堀を見るとカイツブリ、近くのビルの屋上にはセグロカモメが並んでいました。そうこうしていると、あっという間の2時間がたってしまいました。ではここらでまとめと思っていると、参加者の1人がまた猛禽を見つけてくれました。またノスリかと今度は慎重に確認するとなんとオオタカ、それもどんどん近づいてきて頭の上に来てくれました。
 まるで、釣り番組のシナリオのように最後に大物が出てくれたことになります。番組ならば、まるで作ったような流れの観察会。こんなこともあるのですね。

2011年1月25日 (火)

剛彦さんの連載開始

 日本野鳥の会奥多摩支部報『多摩の鳥』に、蒲谷鶴彦先生のご子息・剛彦さんが「鳥声録音(その1):録音事始め」として連載を開始されました。本日、支部報をお送りいただきました。
 第1回は、まだ録音機自体が珍しい時代に野鳥を録音しようとした苦労、でもちゃんとその苦労に鳥が答えてくれた最初のコノハズクの録音までの経緯が書かれています。今後、最初のレコード、文化放送朝の小鳥の放送開始と話が続く予定だそうです。これからも、野鳥録音の黎明期のお宝エピソードが紹介されることでしょう。楽しみです。
 剛彦さんによると「父は一代記を書かずに他界してしまいましたので、母が元気で話が聞けるうちに何か残そうと思い、初めてのコノハズクから書き出して見ました」とのこと。実の息子さんが、間近に見てきた野鳥録音の創始者であり、野鳥録音に一生を捧げられた鶴彦先生の人生が紹介されるわけです。連載は6回の予定で、支部報は隔月なので今年1年間続きます。
 支部報にご覧になる機会がありましたらぜひお読みください。

2011年1月24日 (月)

謎のペリット-六義園でフクロウか

  今日の午後、六義園に行きました。
 順路のまんなかに、灰色の物体が落ちているのに気がつき、よく見ると小さな骨が入っています。下の写真がそうです。

Owlpri

 獣の糞であれば胆汁などの消化液にまみれ、黒または茶色ぽい色をしているはずですが、ネズミの毛そのものの色をしています。鳥の尿にあたる白い部分が無いので、鳥起因とするならばペリットです。大きさからは、カラス大の鳥ということになります。
 ネズミを食べペリットを出すのはフクロウ類が多いですね。たとえば、コミミズクのペリットは、大人の親指ほどの太さと大きさをしていて、しっかりとした形をしています。また、トラフズクも同じような形です。ただ、日光でよく見るフクロウのペリットは、この写真のように崩れているものが多いように思えます。この道は、昨日も通っています。ですから、見落とす可能性が少ない場所ですので、このように崩れたのは、はじめからの可能性があります。
 また、コミミズクは草原性のフクロウ。トラフズクもその傾向があり、六義園の森の環境にはそぐわない鳥です。六義園で、フクロウの記録は1986年1月20日に職員の方が「カラスに攻撃されている大きな灰色のフクロウのような鳥」を見ています。ですので、フクロウの可能性がまったくないとはいえません。また、日付を見ると今日と近いですね。
 ただ、もう一つの可能性はカラスです。ハシブトガラスとハシボソガラスがねぐらに集まってきています。ただ、カラスの可能性が低い理由があります。まず、ペリットの落ちていた場所は、カラスのねぐらかは離れたところです。カラスのペリットの多くはねぐらのなかに多く、周辺には糞が大量に落ちていますが、このペリットがぽつんと落ちていてまわりには糞がありません。また、カラスのペリットの中身はネズミだけというように1種類で構成されていることはまれです。いろいろなものが混ざっているのが普通です。
 状況証拠からフクロウ7に対しカラス3ぐらいの可能性があると思うのですが、いかがでしょうか。

2011年1月23日 (日)

新しいコンピュータが来たーdigistremaLE-Spec9

  昨日から新しいコンピュータと奮闘しています。
 去年の暮れに注文しておいたコンピュータが届き、設定に2日かがりです。
 以前、使っていた機種は6年前に買ったツクモのeX.computerでした。CPUはCore 2 Duo 2.4GHz、メモリー4G、ウィンドウズXPです。野鳥録音の音源制作のためのコンピュータですから静音をうたっていたこの機種を選択いたしました。
 しかし、このところタイマー録音などで大きなファイルを扱うようになりました。2Gものデータを扱うと、さすがに鈍いうえにハングアップすることもしばしば。いちばん、困ったのはメーラーのデータコピー中にハングしていまい、多くのデータが失われてしまったことです。メールとアドレス帳に登録していなかった方の多くのアドレスが失われてしまいました。これは何とかしなくてはと思い、買い換えることにしました。
 今回選択したのは、ドスパラのdigistremaLE-Spec9。CPUはCore i7 3.06GHz、メモリー12G、ウィンドウズ7という最新、最強のスペックです。参考のためにURLを下記に。
  http://daw.dospara.co.jp/le_s9_concept.html
 DAW専用という機種で、静音、システムのリカバリーができるというのが売りです。これでめでたく32bitから64bitになりました。ついでにモニターも17インチから23インチへ。これでサクサクと仕事ができるはずです。
 毎度のことながら、コンピュータの引っ越しは大騒動です。昨日と今日の2日がかり。それでも終わりません。なんとか、メールのやりとりと仕事ができるところまで来ましたが、まだ完璧ではありません。
 XPからVistaを飛び越えて7ですから、そのため動かなくなるソフトが出てきました。こまめにバージョンアップをしておけば良かったのですが、優待があるとのはいえ動くのですから、そのままにしていました。今回、アップグレードの期限も切れて買い換えなくてはならないソフトが数本出てきました。思わぬ出費です。
 現状での壁は、Adobe Auditionが、思うように動いてくれないことです。DA53Nを認識してくれません。そのために、音を外に出すことができません。メディアプレイヤーはもとより、iZtope、DigOnSoundなどの音響ソフトではまったく問題なく認識し音が出ているのですからAuditionの問題でしょう。
  ところでdigistremaLE-Spec9は、かなり静かです。HDDは4台合計6Tの容量のものが動いているとは思えません。それにこれだけの性能だと早い。2Gのデータもあっという間に読み込み、波形からスペクトル表示もスムーズ、ストレスを感じさせません。この快感がいつまで続くのでしょう。いずれは、これも当たり前に感じるようになる時が来て、また物欲が刺激されるようなスペックが出てくるに違いありません。この連鎖は、永遠に続きます。

2011年1月21日 (金)

白線を食べるカラス

 昨日の記事で、ハシブトガラスが霜柱を食べるのはミネラルの補給ではないか書きました。この根拠は、白線をたべるカラスがいることからの推測です。白線とは、運動会のときに引く石灰によって描かれたラインです。
 六義園の隣には、文京区が管理する運動公園があります。ここにもハシブトガラスが巣を作ったことがあるので毎年、調査をさせてもらっています。また、六義園を別の角度から見て見落としがないか確認するために、たびたび入らせてもらっています。そのため職員の方とは顔見知りになり、カラスや野鳥に関する情報をいただくことがあります。そのなかに「ネグラに入る前にカラスが白線を食べる、1本の線にカラスが並んで地面を啄む様子は壮観」。また「石灰で子どもがやけどをしたので、やけどをしない石灰に変えてからカラスが集まるようになった」という話もありました。それは、ぜひ見たいと夕方に立ち入らせもらったことがあります。
 私がいるだけで、もういつもの雰囲気とは違うと言うことが伝わるのか、なかなかカラスがグランドに下りてきません。下りてもすぐに飛び立ってしまいます。日が沈んでだんだん暗くなってきました。写真を撮るのが厳しくなった頃、やっと1羽が白線の前に舞い降りて啄んでくれました。

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 写真のカラスは、ハシブトガラスです。このあと、このカラスにつられて数羽が白線を啄んでくれました。そのなかにはハシボソガラスもいて、白線を食べるのはハシブトガラスだけではないことがわかりました。ただ、1本の白線にカラスがずらっと並ぶ絵にはならず、点々とカラスが舞い降りて啄んでいました。
 けっこう、カラスはミネラルの補給に気を使っているのかもしれません

2011年1月20日 (木)

霜柱を食べるハシブトガラス

 はじめは、白いものを突いているのでドバトの死体を寄ってたかって食べているのかと思いました。しかし、良く見ると白すぎます。食べていたのは、霜柱でした。場所は、六義園の中之島。カラスは、ハシブトガラスです。

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 アスファルトの舗装が多い都会では、霜柱が珍しくなりました。しかし、六義園にはまだたくさん土が露出しています。冬の霜柱は珍しくありません。
 ハシブトガラスたちが、食べていた霜柱は六義園の池の真ん中にある中之島の岸にあるもの。池の畔の土は、湿っていて霜柱が良くできるのでしょう。
 しかし、寒い日に冷たい霜柱をよく食べるものだと思います。何でも食べるカラスとはいえ感心します。ひとつに、土の中の水分が凍った霜柱にはミネラルが含まれている可能性があります。霜柱を食べることで、ミネラルを補給しているのかもしれません。

2011年1月18日 (火)

ハシブトガラスはマヨネーズがお好き

 ハシブトガラスが、マヨネーズを好んで食べることはよく知られていることでしょうか。
 先日、六義園で撮ったハシブトガラスは大切そうにマヨネーズの容器をくわえて飛んでいきました。良く見ると容器は穴だらけ、見る限りマヨネーズは残っていないようですが、それでも離しませんでした。カラスは、マヨネーズがお好きです。
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 カラスブームの頃に、東京のカラスはマヨネーズが好きだと、テレビで取り上げられていました。そのため、このネタはすでに広く知られていることかもしれません。若い人がマヨネーズが好きで、何にでもマヨネーズをかけたりして食べる人がいます。そのような人をマヨラーと呼び、「カラスもマヨラー」と、あまり意味のない流れで報道されたこともあります。
 以前、ハシブトガラスがハゼの実を食べるのは、ハゼの実に油分があるからという記事にしたことがあります(→カラスはハゼがお好き)。ようするに、油はカロリーが高いのでエネルギーを効率的に得られる食物です。その油が含まれているものを、積極的に食べていると言うことだけのことです。
 捨てられているマヨネーズの容器にさほど中身が残っているとは思いません。家で捨てる時も絞りに絞って、もう出ない状態で捨てます。わずかにこびりついたマヨネーズがある程度。おそらく、捨てられている容器はほとんどが空のはずですが、わずかに残ったマヨネーズでもカラスにとっては、貴重な食物なのでしょう。
 また、マヨネーズの容器を見ると、突いた跡が何カ所もあります。あのビニールの容器に穴を開けようしてもなかなか空きません。ハシブトガラスの鋭いくちばしであるからこそ、穴を開けて食べることができる食べ物ということになります。
 それにしても、間違ってケチャップの容器に穴を開けないものなのでしょうか。今まで、六義園をはじめあちこちでカラスによって穴の開けられた容器を見たことがありますが、今のところケチャップはありませんね。

2011年1月17日 (月)

ウインドスクリーンの効果

 野外録音でもっとも苦労するのが、風の音です。ちょっとした風がマイクに直接当たれば「ボッ」という音になってしまいます。風は、風の音にはならないのです。そのため、スポンジ製のウインドスクリーンや布製の縫いぐるみのようなウインドジャマーでマイクを覆います。いったい、この効果はどんなものなのか、偶然検証することができました。
 YAMAHAのPOCKETRAK W24をベランダに置き、いつもやって来るスズメといっしょに撮影しようとしていました。録音機が作動していなくては不自然ですから、録音状態にしました。今日のように風が強い日でしたが、絵柄上マイクがわかるようにウインドスクリーンは付けないでおきました。ところが、六義園でよくヒヨドリが鳴いています。どうせならば、その声も録ってやろうと途中からスポンジ製のウインドスクリーンを装着。そして、録音していました。
 後で、その音源を聞くと装着したことで風の音が完全に遮断されていることがわかりました。54分あまりの録音中に風は止んでいません。その証拠に六義園のクスノキが風に葉をならしている「ザーッ」という音が録音されています。
 以下が、その波形です。最初の大きな波形が風の音です。この波形の最後が、私がウインドスクリーンを付けた時の音です。その後は、ウソのように風の音が無くなっています。そして、後ろのほうの小さな波形が、近くに来てくれたスズメの声です。

Windscreen
  この音源をブログにアップできる30秒に間を詰めた音をアップしておきます。

「windscreen110107_0928.mp3」をダウンロード

  最初の「ゴボゴボ」いう音が風がマイクに当たる音、そして、ウインドスクリーンを付ける「ガサゴソ」という音がして、その後は「ゴボゴボ」いう音が無くなり、スズメの声が入っています。低音ノイズの軽減などの加工はしていません。
 なお、ウインドスクリーンは、専用のものを無くしてしまったので、秋葉原のトモカ電気で購入したWind Tech 300Series、750円のものです。スポンジの塊が、こんなに風をしのいでくれるとは思いませんでした。
 ちなみに録音機があると、それだけでスズメは警戒してしまい、いっしょに写真を撮ることはできませんでした。二兎を追う者は一兎を得ずでした。

2011年1月16日 (日)

新年会-コノハズクの2つの声

 週末は、日光野鳥研究会の新年会でした。
 毎年、この頃に会員のW辺さんが経営するペンション・トロールの森を貸し切って行います。
 20名ほどの会員が集まりましたが、この会はなんのプログラムもありません。ひたすらおしゃべりをして、料理を味わい飲む会です。昨日は、午後3時から降り出した雪がどんどん積もってきて、あっという間に日光は銀世界となりました。降る雪を見ながら同好の士とつきない鳥や自然の話、こうした仲間がいるというのはなんと幸せなことでしょうか。
 プログラムのない会ですが、食べて飲むことに飽きた頃からスライド大会が始まります。こっくりする人で出てくる時間ですから、力の入った写真や音の披露をしなくてはなりません。面白かったのはA部さんの報告です。A部さんのおかげで私は去年、念願のコノハズクを録音することができました。それは、「30年ぶりのコノハズク」で記事にいたしました。
 その後、A部さんは自分の録った声や仲間の音源を聞くと、1000Hzで鳴くものとそれ以上の高い声で鳴くものがいることがわかったということでした。ちなみに、私の記事にアップしたコノハズクは、1000Hz周辺に基音がある低いタイプのものです。
 確かにいろいろなコノハズクに音源を聞いてみると、金属的な響きのあるもののあります。問題は、これが個体差なのか。あるいは地域差となるのか。はたまま雌の声なのかと話は広がっていきました。今となっては、数の減ってしまったコノハズクだけに音源のサンプルが少なく検証の難しい課題ですが、興味深い話でした

2011年1月14日 (金)

今日から春-シジュウカラ初囀

 月2回の六義園のセンサス調査を実施。今シーズン、いちばんの寒さです。都会バードウォッチング用、一級の防寒装備で臨んだのですが、それでも寒い。鳥はオオタカのせいか、カモ類が激減。それに対して相変わらず小鳥は多く、かじかんだ手で記録を取るのに苦労しました。
 しかし、この寒さに反して今日はシジュウカラの初囀を記録しました。1羽が気まぐれにさえずっていたのではなく、都合3羽。その内、2羽はさえずり合っていました。とくに録音できた1羽は、力強さもあり完全なさえずりでした。これが、その声です。PCM-D1で録音して低音ノイズの軽減などをしています。

「GreatTi-farstsong11011400.mp3」をダウンロード

  このところほぼ毎日、六義園に行っていたのですから今日から鳴き始めたのは間違いありません。シジュウカラは、練習らしい練習もせずさえずることができるようです。
 六義園におけるシジュウカラの初囀の早いものは、1月5日(1986、1987)、遅い記録は2月13日(1985)で、1月中旬というのは平均的な記録となります。
 このほか今日は、ハシブトガラスが求愛給餌をしているのを2回も見ました。場所は離れていましたので、別の番同士の行動です。
 梅林のウメの花は2分咲き、シジュウカラのさえずり聞いて、ハシブトガラスの求愛給餌の行動を見るかぎり今日から春でした。

2011年1月13日 (木)

カラスの空巣調査

 六義園の枯れ葉がすっかり落ちたので、今日はカラスの空巣調査をしました。
 六義園では、毎年カラスの巣落としをしています。カラスとは、すべてハシブトガラス。去年は5月27日に実施しました。ほぼ毎年、巣落としの後に巣を作り直すカラスがいます。その巣をチェックしておかないと、これから繁殖期を迎えて新たな巣を作ったのか、それとも去年の巣かわからなくなってしまいます。そのため、枯れ葉が落ちて巣を探しやすくなった冬に空巣がないか調査をしなくてはなりません。
 いつもは通らない順路や普段は立ち入ることのできない塀際の道などを中心に探しました。発見したのは、2個。これがそのうちの1個です。

Largebilledcrownest
 去年も10数個を巣落とししましたが、2番が再挑戦したことになります。しかし、今日見つけた巣のまわりで幼鳥の出現をみていません。巣作りはしたものの巣立ちまではいたらなかったことになります。
 これで去年の調査が終わり、今年の調査が始まったことになります。

2011年1月11日 (火)

今年も来るぞースギ花粉

 以前、スギ花粉症が発症する初認日をメモしていたことがあります。これも自然を知る手がかりとなると思っての記録でした。早い年ですと暮れに内、だいたい今頃1月中旬に鼻がむずむずしたり、くしゃみが止まらなくなり発症したと記録していました。
 まだスギ花粉の飛散は報道されていないのに、もう発症するのか。私は、ほんとに敏感な患者なのだと思っていました。なお、風邪のくしゃみの誤認と思われるかもしれません。しかし、花粉症の方ならばご存知だと思いますが、風邪のくしゃみと花粉症のくしゃみは違います。ハシブトガラスとハシボソガラスくらいの違いがあって識別できるものなのです。ですから、風邪のくしゃみを誤認したものではありません。
 ところがある時、気が付きました。今日など典型ですが、急激な寒さに襲われるのが1月中旬です。成人式は毎年、雪で足元の悪いなか行われていますよね。そうなのです。寒くなったために、私は厚いセーターを引っ張り出して着ていたのです。そして、そのセーターには去年の花粉が付いていての発症でした。おかげで10数年分の記録がムダになってしまいました。
 野鳥録音をしていると花粉症は、ほんとに困ります。突然、襲ってくるくしゃみは避けることができず、録音されてしまいます。横でカミさんが鼻をかめずグジュグジュになっているのを見て、録音機を止めざるを得なかったことがあります。カミさんも花粉症ですから夫婦で、くしゃみのデュエットです。
 今日の報道では「今年のスギ花粉の量は、去年の10倍」とのこと。花粉症の皆さん、覚悟してがんばりましょう。

2011年1月10日 (月)

野鳥イラストの魅力ー藪内正幸さんの番組情報

  いただいた年賀状の中からの情報です。
 野鳥イラストの巨匠、故・藪内正幸さんの息子さんの竜太さんから藪内さんの番組が放送されるとのこと。シリーズ「ふるさとから、あなたへ」という番組枠です。
 タイトル:「ヤブさんと15000の動物画」
 放映日時:1月27日(木)午前9:00~9:33
 放送局:NHK BShi
 再放送が2月5日(土)午前1:20~1:53とのことです。
 竜太さんのブログでは、10月にNHK山梨ローカルで放映されたものだそうですが、皆さんのご支援の結果、全国放送が実現したそうです。
 藪内正幸さんには、ずいぶんお世話になりました。日本鳥類保護連盟時代は、毎月連載をお願いしていたので、毎月お宅にお邪魔していたこともあります。そのときのエピソードのひとつ、いただいた原稿を電話ボックスに置き忘れたことをBirder誌に書いたこともあります。たくさんのごめんなさいのひとつです。
 藪内さんの野鳥のイラストは、可愛い鳥はより可愛く、精悍なワシはより勇ましく表現されています。ある意味フィクションです。しかし、科学的な資料に基づいたイラストはリアリティを持って、見る人に野鳥の素晴らしさや感動が伝わる仕組みになっています。ですから、藪内さんのイラストの素晴らしさは、野鳥を知っている者にとってはより理解することができて感動することができます。藪内イラストを鑑賞し、感動できる知識と経験を持っている幸せを番組から理解していただけるのではないでしょうか。
 今から放送が楽しみです

2011年1月 9日 (日)

コミミズクのおかげでー渡良瀬遊水池

 今日は、日光の鳥仲間7人と渡良瀬遊水池へ。まずは、周辺の水田でミヤマガラスの群れを観察。およそ400羽の群れが畑を耕しているトラクターのそばで群れていました。私は関東地方でミヤマガラスの群れを見たのは今日が初めてです。かつては、九州に行ったときにミヤマガラスを見つけ感激したものです。それが、身近な鳥になり隔世の感があります。
 ミヤマガラスは、ハシブトガラスやハシボソガラスと比べて個体間距離が極めて近く密群を作ることでかなり遠くからでもわかります。これ以外に、今日気が付いたのは精かんな飛び方です。とくに、2羽がディスプレイフライトで追いかけ合う飛び方はしなやかで、優雅でした。
 その後、渡良瀬遊水池でコミミズクねらいです。行ってみると、なんとギャラリーが200人はいるでしょうか。凄い人の群れです。珍鳥でもないコミミズクになんでこんなに集まるのでしょう。私たちは、人の群れに入らず、ぽつんと離れたところで待つことにしました。
 案内してくれたY成さんが、午後3時半に飛び始めると予言。ちょっと遅れたもののほぼ予言通り3時40分に、コミミズク1羽がこの集団の前に飛び出しました。まさに、皆の目の前にとまっています。そして、私たちのほうにも来てくれてました。しばらく見ていると2羽が絡んだりして、都合3羽が舞い飛びまわっていました。私でさえ、このような写真が撮れるのですから人が集まる理由がわかりました。

Shortearedowl

 私にとってコミミズクは、バードウォッチングにのめり込んだきっかけとなった思い出の鳥です。子どもの頃、東京都板橋区の荒川の近くに住んでいました。中学生のときに野鳥に興味を持ち、高校生のときにこの荒川の河川敷でコミミズクを見つけたのです。その観察記録を学校新聞に投稿し、当時の現代国語の教師、後に学芸大学の教授になったN本先生に褒められたことから文章を書くことが好きになりました。野鳥について文章を書くことを生業にするきっかけになったのは、N本先生とこのコミミズクのおかげです。今日は、コミミズクに心の中で手を合わせつつシャッターを押しました。

2011年1月 8日 (土)

カルガモの死ーテグス問題

  今日は風も無く穏やかな日でしたので、朝の散歩は六義園です。
 珍しく池に氷が張っていました。1980年代は、池がほとんど凍ってしまうようなことがよくありました。舞い降りてきてカモがすべって滑稽でした。それが、今では珍しい現象となりました。
 森のなかを歩くと相変わらず、小鳥の姿が絶えません。しかし、池のカモ類は少なめ、キンクロハジロは1羽もいなくなりました。どうしたことでしょう。気になっていると、池の片隅にカルガモの死体が浮いているのを見つけました。

Spotbilledduckbody

 時節柄、鳥インフルエンザの可能性もあり、まずは事務所に連絡しておきました。夕方、六義園に行くとカルガモの死体を回収、体にはテグスが絡んでいて、それが死因のようだとのことでした。写真を見せてもらうと、テグスばかりではなく魚の形をしたルアーも付いていました。心ない釣り人のおかげで、貴重な野生の命が失われたことになります。
 常連のバードウォッチャーの話では昨日、岸に上がろうとしてもがいているカルガモがいたそうです。同じカルガモであったら、助けられたかもしれないと皆で残念がっておりました。
 六義園で釣りをすることはあり得ませんので、どこか他の池で被害にあい飛んできたことになります。このように水辺の鳥が、テグスに絡んで死んだり脚を切断してしまう事故はたえません。私は日本鳥類保護連盟にいた(1980年)頃、多摩川でのテグス回収活動を始めました。その後、釣り業界に協力を求めるなどしました。しかし、この運動は立ち消え状態。けっこう野鳥を巡る問題としては大きなことだと思うのですが、個人としてはいかんともしがく内心、忸怩たる思いでいます。
 もし、何億円もかけて放鳥しているトキがテグスにからんで死んだら、きっとマスコミを大きく報じ業界も動くかもしれません。カルガモではたぶん無理。しかし、今のうちに対策を講じておかないといずれ大きな損失を被ることになると思います。

2011年1月 6日 (木)

鳥との距離-北本自然観察公園で

 今日は北本自然観察公園へ。ところが、草刈り作業が広範囲で行われていて、騒音が大きくがっかりでした。そして、昼近くになると風も強くなり、まったく録音でできない状態になりました。どうもこの公園と録音は相性が悪いようです。ただ、鳥は多いうえに近いのでバードウォッチングは楽しむことができました。
 北本自然観察公園で、いつも感じるのは鳥の近さです。ジョウビタキやルリビタキが近いのは、野鳥カメラマンによる給餌の影響があると思いますが、餌付けされていないであろうカワセミやキセキレイも近いのです。北本自然観察公園ばかりではなく、都内の公園でバードウォッチングをしていると、野鳥が近くなりました。
 とくに写真を撮っていると野鳥が昔に比べて近くなったことがよくわかります。1970年代ならば300mmレンズでは点のようにしか撮れなかった鳥が、今ではアップに撮ることができるのです。種類で言えばカワセミが顕著です。このほか、キジバト、ハクセキレイ、アオジ、スズメ、ハシブトガラスがとても近くなりました。
 今日の北本自然観察公園のジョウビタキです。だんだん近づいて来てくれました。

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 バードウォッチングの隠れたコツは、野鳥との間合いの取り方です。種類によってこの鳥ならば近づける、こいつは警戒心が強いから飛び立たせないように注意しようという感覚があるかないかでずいぶんバードウォッチングの効率が異なります。ベテランは警戒心の強い鳥と弱い鳥で、距離の持ち方を身体で覚えているのだと思います。図鑑や入門書には、書いていない現場で場数を踏んで覚えるカンです。このカンが最近、よく狂います。昔の感覚でいると鳥が近づいて来てくれて、びっくりすることさえあります。
 野鳥の問題といえば個体数が減った増えた、あるいは種類構成が変わったなど環境との関係が重要課題となります。野鳥の問題で人との距離が語られることは、あまりありません。鳥と人との距離の問題は人の社会の変化、人心の変化などが大きく影響していると思います。今や多くの鳥が人との関係抜きでは生きていけない状況のなかで、人と鳥との距離もそろそろ問題にしても良いのではないでしょうか。
                                             

2011年1月 5日 (水)

仕事始め-『朝の小鳥』2月分収録

 今日は、文化放送で『朝の小鳥』の2月分のスタジオ収録でした。
  2月のテーマは、東京湾の干潟の鳥たち。昨日の記事で紹介した千葉県市川市の三番瀬と行徳野鳥観察舎で録音した水鳥たちです。この第4週目に放送予定のセグロカモメは難題の鳥でした。たくさんいて良く鳴いているのになぜ?と思われるでしょう。ところが、セグロカモメはたいへん録音が難しい鳥なのです。
 まずカモメ類が集まる銚子港に録音に行ったことがあります。ところが、いろいろなカモメが鳴いていてどれがどの種類か特定できません。さらに、船と車の騒音が大きく、とてもではありませんが、番組に使えるような音は録れませんでした。セグロカモメだけがいて静かなところがないです。オオセグロカモメやウミネコは、日本で繁殖しているのでコロニーで録音できます。しかし、セグロカモメは北極圏近くまで行かなくては繁殖していません。ユリカモメは繁殖はしていませんが、不忍池のようなところへ行けばカモメはユリカモメだけという場所があるので録音できるのです。
 ところで、行徳野鳥観察舎にはセグロカモメとユリカモメしかいません。それも給餌の時間に合わせて集まって来て、セグロカモメだけ観察舎の前の水路を挟んだ堤防の上に並んで止まります。これがその写真です。

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 そこで、スタッフのS籐さんにお願いしてセグロカモメが来る前に録音機を置かせてもらいました。録音機は、PCM-D50とPMD620です。いずれも、セグロカモメが来て去るまでの2時間あまり録音しました。その間、鳴いてくれた部分をピックアップして番組に使用しました。行徳野鳥観察舎は、すぐそばを湾岸道路が通り、上空はときおり航空機が通過します。観察舎の前には人もいて話し声がたえずします。それでも近くで鳴いてくれれば、ここまできれいに録音できるという見本となりました。どうぞ、番組を聞いてお確かめください。
  なお、放送内容は下記のとおりです。
 2月6日 ミヤコドリ
     13日 ダイゼン
   20日 ミユビシギ
   27日 セグロカモメ
 また、行徳野鳥観察舎にて2月6日午前10時から野鳥の声についての講演を行う予定です。

2011年1月 4日 (火)

正月ならではの録音

 今日から仕事始めの方も、いらっしゃるでしょう。指折り数えた正月も終わりです。
 正月ならではの録音があります。
 蒲谷鶴彦先生は、正月は人通りが少なくなるだろうと普段行かないようなところへ録音に行きました。たとえば、昔の越谷御猟場にシラコバトの声を録りに行きました。ただし、失敗もあったとのこと。正月ならば車が少なくて録音できると思った上野不忍池は、水天宮の初詣の客でごった返し、録音はできなかったと悔しそうにおっしゃっておりました。
 私が暮れに行くのは、千葉県船橋市の三番瀬。12月29-31日が狙い目となります。まず、まわりの工場が休みで静かになります。グランドでの少年野球もありません。船の出入りも少なくなります。羽田に向かう飛行機の騒音は変わりありませんが、全体的には静かです。バードウォッチャーも大掃除や正月の準備をする人もいるでしょうから少なめです。風が無ければ、冬の干潟の鳥たちの録音チャンスとなります。ただし、正月は凧揚げやバトミントンをする人で賑わいますので避けます。
 しかし、今年の暮れは潮まわりが悪く干潮が午後3時~4時、それもあまり引かないようでしたので諦めました。
 そこで、六義園にYAMAHAのW24を置いてタイマー録音しました。午前6~9時に設定し、小鳥たちの声を録ろうというものです。六義園のまわりは本郷通りをはじめ、道路が巡っています。正月は、この交通量が減って静かなはずです。六義園の最終日28日に置いて2日に回収すれば、4日分録音できているはずです。
 実は、この話をするかどうか悩みましたが、正直に言います。失敗しました。2日に回収し、コンピュータにデータを移そうとするとW24が起動しません。バッテリーが上がっていたのです。置いた時は、バッテリーの目盛はフルだったのですがダメでした。バッテリーは、パナソニックの単3アルカリ乾電池(LR6XJ)です。新鮮なものではありませんでしたので、夕方から明け方まで寒さで急速に消耗してしまったのでしょうか。
 録音機の問題なのかバッテリーのせいなのか検証をしたく、2日に電池を入れ替えて置いて見ました。今度は、バッテリーを強力なパナソニックのエボルタ(LR6EJ)に替えました。12月28~29日と1月2~3日の最低気温はそう変わりはありません。恐る恐る昨日、回収して聞くとちゃんと録音されていました。ハシブトガラスの声がにぎやかですが、合間にシジュウカラやヒヨドリが鳴いています。冬の公園の早朝の雰囲気がたっぷりと録れていました。さらに、電池をそのままに3日も置いて今日回収したところ、問題なく録音されていました。今日は、ウグイスやシロハラと思われる声が良く入っていました。ウグイスは、こんな感じです。フェードインとフェードアウトのみの編集で、低音ノイズの除去は行っていません。午前7時3分頃の録音ですが、まだ車の音はそれほどうるさくないのことがおわかりいただけると思います。

「Bush-WarblerC.mp3」をダウンロード

 正月ならではの録音、これも今日まででした。

2011年1月 3日 (月)

日陰と日向のアカハラ

 六義園を歩くと小鳥の影がいちだんと多くなりました。なかでも、ツグミ系が増えました。ツグミはもとよりシロハラも多いですね。ただシロハラが4,5羽に対し、アカハラはたぶん1羽しかいません。いつもの年は、同じ数かアカハラのほうが多いときもあるのに、ちょっと傾向が変わってきました。そのたった1羽のアカハラを今日、見つけ写真を撮りました。最初に撮ったのは、この写真です。けっこう頭が黒く見えるので雄のアカハラでしょう。

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 ところが、このアカハラが日の当たるところへ行くと、頭の黒味が無くなりました。これがその写真です。

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 間違いなく同じアカハラですが、日の当たり具合でこうも頭の色が変わるのは驚きました。アカハラの頭の黒は、色素による発色ではなく構造色により黒く見えるためでしょう。
 良く頭の黒いのは亜種のオオアカハラと言われます。オオアカハラで画像検索すると、たくさんアップされています。ただし、”?”が付いていたり”らしい”と記事にあります。叶内図鑑でもオオアカハラは「と思われる」となっています。基本的には、測定値と繁殖地での判断ですから、越冬地で撮影された大きさの分からない写真での判定は難しいものがあります。「と思われる」と書いた叶内図鑑はとても良識的な判断だと思います。
 私は、カムチャツカでオオアカハラを見ています。北千島ではさえずりを聞き、録音もしています。見た感じでは、大きなアカコッコという感じでした。アカハラより大きい上に、頭は頭巾をかぶったように黒く見えました。ただし、これは繁殖期のことですので、夏羽で越冬期の冬羽とは趣が変わるかもしれません。ちなみに、声は亜種アカハラとの違いはわかりませんでした。というか、アカハラはたいへんバリエーションが多いので、その1つと言われれば、それまでと言った違いです。
 今日の写真のアカハラから、オオアカハラと言われているもののなかには、日向と日陰のアカハラの違いではと思うものもかなりありますね。

2011年1月 2日 (日)

鳥始めー三列風切羽の白いカルガモ

 今日から六義園は、開園しています。昔は、役所の仕事始めと同じスケジュールの開園でしたが、正月気分を大名庭園で楽しんでもらおうという計らいです。そのため、江戸太神楽の実演などのイベントが今日明日とあります。
 そんな中、月2回のセンサス調査を行いました。とにかく鳥が多くて、記録する間がないほど連続して次から次に出現します。もっとも多いのはヒヨドリですが、メジロ、シロハラも多かったですね。そして、最後を飾ったのはハイタカでした。一富士二鷹三茄子と縁起のよい初夢のベストスリーに数えられるタカを初調査で記録できるとは、今年一年きっと良い年になるに違いありません。
 ところで調査の後に気が付いたのですが、カルガモの群れに中に変わったカルガモがいました。これが、その写真です。

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 ご覧のように翼の羽毛がやけに白いのです。この部分は、三列風切羽で翼の付け根のほうの羽で、たたむと腰の上あたりに来る羽です。普通は、羽軸までの半分が白、あるいは縁が白です。このカルガモは、付け根のほうは褐色なのですが、羽弁の左右とも白いのです。前を泳いでいくカルガモが一般的な白さカルガモです。いかに、このカルガモの三列風切羽が白いかわかかります。ですから、とてもよく目立ちます。
 六義園のカルガモは、一冬の数はかなり安定していますが、微妙に変わっていきます。また、春になれば渡り去ります。もし、三列風切羽の白いカルガモを見つけられたらご一報いただければと思います。六義園に来るカルガモがどこから来るのか、ヒントが見つかるかもしれません。

2011年1月 1日 (土)

謹賀新年ールリビタキ冬のさえずり

 明けましておめでとうございます。
 今年もsyrinxブログ編をよろしくお願いいたします。
 今冬は、小鳥が多そうですね。六義園もジョウビタキとルリビタキを合わせると少なくとも5羽が冬を越しています。1980年代は、ジョウビタキかルリビタキのどちらか1羽しか生息していませんでした。六義園の藪が減って開けた環境が増えたことが大きく影響していると思いますが、この2種類の鳥自体、増加傾向にあるのかもしれません。
 以前、六義園で越冬していたルリビタキがさかんにさえずっていたことがあります。このような声でした。1998年12月の録音。当時は、DATでの録音でした。

「Red-flankedBluetail981226.mp3」をダウンロード
 
 このさえずっているルリビタキの姿は雌でしたので不思議に思いました。しかし、ルリビタキの雄は青くなるのに2年かかるそうで、1年生の雄がさえずってたのかもしれません。
 ただ、このさえずりは夏に日光や富士山で聞いたさえずりと微妙に違います。節が長めで単調なのです。冬のさえずりのためなのか、まだ若い雄のだからなのか、あるいは雌のさえずりだったのか、それとも繁殖地が日本ではなく大陸から渡ってきたもので大陸なまりなのか。いろいろ想像をかき立てられます。
 いずれにしてもルリビタキは、バードウォッチャーにとって幸せの青い鳥ですね。

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