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2011年2月

2011年2月28日 (月)

春のきざし-ハシブトガラス

  昨夜は、日光から帰ってきたので外食となりました。
 その帰り、信号を待っていると足下に針金ハンガーが落ちているのに気がつきました。それがこの写真です。

Hangaer
 この信号の近くのゴミ集積場は、10数m離れています。捨てられたハンガーが、そこから転がってきたとは思えない距離です。ハシブトガラスが、巣材として運んできたものを落とした可能性があります。ハシブトガラスは、巣材に針金ハンガーを良く使用します。針金ハンガーは丈夫で長持ち、カラスの活動の範囲内にある手頃な巣材なのでしょう。
 東京のハシブトガラスの巣材運びが見られるのは、普通3月中旬です。さかんに行われてるのは4月に入ってからです。ちなみに、駒込でハシブトガラスの巣材運びがもっとも早く見られたのは、3月5日(2000年)です。もし、このハンガーがハシブトガラスの落とし物ならば、もっとも早い記録となります。
 ハシブトガラスの春のきざしでしょうか。

2011年2月27日 (日)

春のきざし-奥日光

 昨日から今日は、日光野鳥研究会の自然観察会のために日光入り。昨日、今日とも戦場ヶ原周辺でバードウォッチングです。
 昨日は、午後だけでしたが光徳周辺を歩きました。じっくりと見えたのは、ウソ、シメとキレンジャク程度でした。しかし、いずれも美しさに感動。積もった雪の照り返しを受けて、あたかも下からレフ板を当てているかのようにきれいに見えたのです。
 今日は、日光野鳥研究会のメンバーとスノーシューで湯滝→泉門池→湯滝コース。雪のない時は歩くことのできない森のなかを歩き、生き物を探すことができるこのシーズンならではの楽しみです。
 湯滝の駐車場に着いたとたん迎えてくれたのは、ゴジュウカラのさえずり。積雪は1m以上あるのですが、日光の野鳥たちも春を感じていました。出会ったコガラやキクイタダキも追いかけ合いが見られるなど、いつもと違った行動でこれも春の兆候なのでしょう。
  目的地の泉門池には、いつもいるマガモとヒドリガモ、オカヨシガモ、ヨシガモ、オオバンがいて賑わっていました。写真は今日の泉門池です。春を感じさせる日差しのなか、カモたちが憩っています。

Isumikadoike

 また、帰りにはお目当てのアオシギが見られました。いつもは流れの日陰にいることが多い鳥です。しかし、今日は日の当たるところに出て細かい模様がよく見えました。
  しかし、今日の奥日光は暑かったですね。私としては、防寒第一級の装備で望んでしまったため、暑くてたまりませんでした。フリースを脱ぎセーターを脱いでも暑く、アウターの羽毛服まで脱いだら荷物になってしまうのですからがまんして着ていました。日差しも強く、日焼け止めクリームを塗っても日にも焼けてしまい面の皮が厚くなった感じです。
 本来ならば、厳しい真冬の奥日光ですが、今日はその実感がわいて来ないというのが正直感想、このまま春になってしまうでしょうか。

2011年2月25日 (金)

春のきざし-六義園

 春一番が吹き荒れそうなので、今日は手近なところで六義園へ。
 森の中を歩くと、シジュウカラがやたらと飛び交い、さえずりも聞こえてきます。なわばり争いが、さかんに行われるようになりました。
 春一番の風に乗ってハシブトガラスたちは、やけにハイになっています。2羽が、ダンスでもするように飛んでいきます。私は、これもディスプレイフライトだと思っています。
 巡回中の職員の方が「ウグイスがさえずっていた」と情報。「まだ、心許ない声だった」とのこと。ウグイスの初鳴きは、だいたい3月上旬ですから、やや早めとなります。
 ウグイスがさえずっていたというところで私も聞こうと待っていたら、ルリビタキのさえずりが聞こえてきました。小さな声ですぐにやんでしまったのですが、間違いありません。
 では、アオジのさえずりは、まだかと歩いて行くと出会ったアオジが木の上のほうに逃げていきます。今まで低い藪のなかに飛んで逃げていたのですが、上に逃げるようになりました。これは繁殖地での行動で、春になると見られます。
 今までも森のなかにいたツグミやシメが芝生に出てくるようになりました。これも、春の動きです。
 野鳥たちの気持ちはもう春ですね。
 もうひとつ。入り口の事務所で「カラスの捕獲檻にタカが入ったけれど何でしょう?」とのおたずね。写真があるというので見せてもらいました。以前にもオオタカが入り、記事にしたことがありました。また、若いオオタカでも捕まったのか思って写真をよく見ると、なんとノスリでした。私自身、ノスリをしっかりと六義園では見たことがありません。農耕地や草原など開けた環境でネズミを捕らえるノスリは六義園では記録が少ないのです。上空を通過することはあっても、下りるとは思えません。オオタカのときと違って、檻のなかでカラスは食べられていなかったとのことですから、餌の脂身に誘われたのでしょうか。いずれにしても、すぐに捕らえて逃がしたそうです。これも春の椿事です。

2011年2月24日 (木)

東大前の古本屋

  本日は年貢を納めに本郷税務署へ。
 ここまで来たのだからと、東大前の古本屋街を久しぶりに歩いてみました。
 昔は、東大農学部前から本郷三丁目まで古書店が軒を連ね、路地を入るとまた本屋という感じでした。古書店の密度と数で言えば、神保町に次ぐ多さだったと思います。
 今日、歩いて見ると確か古書店だったと思う場所がコンビニや飲食店、あるいはシャッターが下りたままであったり、「貸店舗」の張り紙があるなど寂しい限りです。自然科学系では、井上書店がいまだに健在ですが、考古堂や木内書店などはずいぶん前になくなりました。
 学生時代、考古堂のウィンドウに黒田長禮の『雁と鴨』(1939)が並んでいて4万円の値段が付いていました。私の初任給が4万円でしたから、今で言えば10万円以上の価格が付いていたのです。木内書店では同じく『鳥類原色大図説』(1933~1934)が、11万円の値が付いていたのを今でも覚えています。「いつか金持ちになって買ってやるぞ」と言うのが、私の勤労の原動力になっていたのかもしれません。
 今日は、また東大前の古本屋と神保町との違いを感じました。神保町のお店の多くは入り口が大きく入るのが簡単です。なかには、この寒い時期にもかかわらずドアが開いています。また、通路に本が積まれていることはほとんどなく、本棚に並んでいるタイトルを苦労することなく見ることができます。
 しかし、東大前の古本屋の多くは客が来ることを前提にしていなのではと思いました。要するに、通路まで本が積まれ本棚を見ることができません。なかには、入り口に机や本が積まれていて、客が入るのを拒んでいるお店もあります。
 もう、インターネットとカタログ販売にシフトをして、お店での販売をする気はないようです。神保町の鳥海書房の店員さんが「カタログやネットのリストには載せきれないので、お店に来て欲しい。そうすれば、目的の本が無くても別の本が見つかるもしれない」と言っていたのとは、逆の流れになっています。
 東大前では、軒を連ねた古本屋を一軒一軒のぞきながら掘り出し物を見つけるという楽しみが無くなってしまったことになります。

2011年2月23日 (水)

『野鳥』誌に猫八さんとの対談掲載

  去年暮れの記事で紹介した江戸家猫八さんとの対談の記事が『野鳥』誌に載っています。

Yacho1102_4
 購読されている方、ぜひお読みいただければと思います。予告URLは、下記です。
 http://www.birdfan.net/fun/matsuda_song/index.html
 この記事で、たいへん苦労したことがあります。
 対談記事の左下にあるQRコード、あるいはコンピュータでサイトにアクセスすると、猫八師匠のウグイスの鳴き真似を聞くことができるようになっています。コンピュータの場合は、下記URLです。
 http://www.birdfan.net/fun/matsuda_song/01uguisu/
 この音源を作るのが思いの外、たいへんでした。
 対談のときに、師匠が披露していただいたウグイスの鳴き真似をまず取り出そうとしました。ところが、これがなかなか難しいです。というのは「ホーホケキョ」と鳴いて、師匠が「と、このくらいですよね」と言っているのですが「と」が「ケキョ」の残響にかかっているのです。場所は、日本野鳥の会の会議室ですからそれほど広いスペースではありません。この会議室で残響が消えないうちに、もう師匠がしゃべりはじめているのです。ですからウグイスの声をそのまま全部、取り出そうとすると師匠の「と」の声が入ってしまうのです。そして、この「と」を取ると「ケキョ」が途中で途切れた感じになってしまうのです。それだけ師匠の指笛による音量には凄いものがあるわけです。
 声紋表示にしてよく見ると「ケキョ」と「と」では、音域が違います。そのため、「と」の部分を少しずつボリュームを下げては聞いて「と」が消えて不自然ではないところを探し出して、なんとか加工を完了いたしました。
 対談は楽しくて1時間があっという間でしたが、鳴き真似の音の加工には同じくらいの時間がかかりました。

2011年2月21日 (月)

神保町で浮世絵

 昨日からアメリカのバードウォッチャー、M夫妻が東京に滞在しています。M夫妻とは10年前に千島カムチャツカ・ツアーで同行して以来のおつきあいです。今回、アメリカの旅行会社主催するバードウォッチング・ツアーに参加しての日本再訪、ツアー後のフリータイムを利用してお会いしました。昨日は、皇居のお堀にいるミコアイサを見せようと和田倉門あたりのお堀に行ったのですが、ミコアイサにはふられてしまいました。いっしょにいたキンクロハジロも少なく、ちょっとがっかり。東京を見たいということでしたので、その後は浅草から水上バスで隅田川を下りました。
 今日は奥さんが「浮世絵が欲しい」ということで、神田神保町の古本屋街を歩きました。いつもカタログを送ってくれる三田アートは月曜日が休みのためパス、浮世絵専門店の大屋書房、東洲斎、山田書店を見て歩きました。
 奥さんが大屋書房で選んだのは広重の扇画、隅田川の雪景色です。隅田川の流れは濃紺、そこに白い雪が舞っています。なかなか渋い絵を選ぶものだと感心いたしました。かなりお高い絵でしたが、奥さんは大満足でした。検索したらネット上に同じ絵がありました。実際は、時代ががかってもっと重厚な感じでした。http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/da/eb53e911653c2bdecd17a419488a56c2.jpg
 私が、東洲斎で気になったのも同じく広重、隅田川の雪の風景『東都名所隅田川全図雪中景』です。3枚綴りの東都名所シリーズの一つです。状態があまり良くないので、手頃の値段となっています。状態の悪さは、より年代を感じさせてくれるものと割り切って買ってしまいました。
 絵の構図は、向島あたりの上空から浅草方面を見たもので、右下手前が木母寺、左奥上が金龍山となっています。隅田川の流れのなかには中州がいくつもあって自然河川そのものの風景が広がっています。これが、江戸の自然の風景なのです。
 絵の中では都鳥と言われてたユリカモメが舞い、屋根船に乗って江戸っ子が雪見酒を楽しんでいるでしょう。また、池波正太郎の『剣客商売』の主人公・秋山小衛兵の家は、左下あたりになるでしょうか。右下に描かれている水路は、おはるが巧みに船を操って通ったところだろうかなど、見れば見るほどいろいろ想像をかき立てられる絵なのです。
 ガラス越しですが、撮った写真をあげておきます。

Ukiyoe1

 なお、Webサイト上にもっと状態のよい絵がアップされていました。下記URLでご覧ください。

http://www.exblog.jp/blog_logo.asp?slt=1&imgsrc=200811/12/34/b0133334_10331053.jpg

 久しぶりに神保町で浮世絵を見て歩きましたが、いずれも店舗も健在なのにまず安心いたしました。時代が変わっても変わらないモノを見つけると、なぜか最近はほっとします。

2011年2月20日 (日)

眉のないエナガ-シマエナガか

 六義園の鳥仲間が、おもしろい写真を撮ってきました。それぞれのブログに貼っていますので見てください。
Trink'sさんは2月18日
  http://trunk6.blog2.fc2.com/
minomushiさんは 12枚目から
  http://minomushi0.exblog.jp/i0/
 エナガは、エナガなのですが眉がないのです。どう見ても北海道産の亜種シマエナガに見えます。人間は眉がないとかなり不気味ですが、エナガはこんなにも可愛くなります。 本州でもシマエナガの記録の噂は聞きますが、記録として残っているのは宮城県、新潟県などで複数例、そして関東地方では栃木県今市の記録が1926年3月にあります。いずれも昔の記録なので捕獲記録、誤認はありえません。
 それにしても、これはシマエナガなのでしょうか。亜種エナガの部分白化なのでしょうか。図鑑によれば、眉斑の有無が決定的な違いで、全体に測定値は大きめですが、身体のそれぞれの部位の測定値はオーバーラップしています。仮に捕獲して測定しても判断は難しいモノがあります。最終的にはDNA鑑定しかないと思います。
 北海道で撮影されたシマエナガの写真を見ると、眉はないものの他の黒いところはコントラストがはっきりしています。一概には言えませんが、今回撮影されたものは全体に淡いので、やはり部分白化と考えた方が無難かもしれません。その目で、過去の本州の記録も確認してみたいものです。
 エナガがいてもエナガだとわかれば、群れの1羽1羽を丁寧に見ることはありません。エナガには、近似種類がいないからです。そのため、眉無しエナガを見逃しているかもしれません。実は、私も同じ所に行っていて、エナガを録音しているのですが、この眉無しエナガは見損ねています。
  私としては、キガシラシトドやオジロビタキよりも、こちらのエナガのほうが興味深いネタですね。

2011年2月19日 (土)

オジロビタキ録音成功

 今日の夕方、郊外の河原を再訪いたしました。この前、平日に行ったら工事の騒音で録音できたかったところです。明日の午後は日本野鳥の会で会議、来週末は日光と、この先の週末は予定が詰まっています。そのため、工事が行われていない週末で行けるのは今日ぐらいしかありません。晴れの天気予報は外れて曇り、寒い夕方ですがしかたありません。
 駅に午後4時に着いて河原に向かって歩いて行くと、大きな三脚を持った人と10人ほどすれ違いました。しめしめです。天気が外れての曇りの夕方、写真目的の人はもうお帰りです。
 それでもキガシラシトド・ポイントには、まだ人だかりができています。そして、オジロビタキ・ポイントに着くと、ちょうど3人ほどのバードウォッチャーが帰るところ、残った1人もオジロビタキが出てこないということでいなくなりました。T仲さんの情報通りとなりました。これで、貸し切りです。
 あとはオジロビタキが出てきて鳴いてくれればと祈るばかり。夕方の河原は風が吹くと寒い寒い、じっとしていると芯から冷えていきます。しばらくすると、願いどおりオジロビタキが出現、鳴いています。この空き地を巡回しているようで、この後1時間ほどの間に3回ほど出現してくれました。そして、じっとしていると、すぐそばまでやって来て鳴いてくれました。それが、この声です。PCM-D1で録音、ノイズの軽減、ノイズリダクションなどの加工をしています。対岸のグランドで野球をする少年たちの声を少し残して、河原の雰囲気を出してみました。

「Red-breastedFlycatcher110219.mp3」をダウンロード

 連続する声は、ヨーロッパのCDに入っている地鳴きに該当します。単独の鋭い声は、警戒や威嚇のようで、私の近くに来たときやジョウビタキとケンカするときに出していました。
 T仲さん、どうもありがとうございました。 

2011年2月17日 (木)

今月号のBirder誌はムシクイ特集

 3月号のBirder誌は「ムシクイ類パーフェクトバイブル」と銘打ってムシクイ類特集です。なんともBirder誌らしいマニアックな特集です。
Birdermag_3

 ムシクイ類は姿形がよく似ているので、いわば識別の腕の見せ所、難しいのが楽しい種類です。姿が似ているぶん、声はそれぞれ特徴があります。そのため、声がわかるようになっています。音源は、私も提供いたしました。ただ、声を聞くためにはU-Speakが必要です。
 また、巻頭グラビアは中村利和さんの「干潟の朝」です。素晴らしい写真が、楽しめます。このところ、三番瀬に行くと中村さんに必ず会いました。いつも夜明け前から来ていて、その間に仕入れた情報を教えていただきました。昼前には「上がります」と言って、引き上げてしまいます。それだけに、朝早くから来て撮影した朝日のなかの水鳥たちが見事にとらえられています。
 詳しくは、下記URLで。
 http://birderplus.seesaa.net/
  なお、Birder誌は、富士山マガジンサービスで電子書籍版を買うことができます。こちらでは“ちら見”ができます。
  http://www.fujisan.co.jp/magazine/2066

 さらに、来月号は「鳥の声ナビ」ということで、声と録音の特集です。録音と音の編集のパートで取材を受けました。お楽しみに・・・

2011年2月16日 (水)

河原で珍鳥-餌付けの問題

 昨日は郊外の河原へ。ご存じのように珍鳥が出現し、野鳥関連ブログをにぎわせている場所です。珍鳥にさほど興味のない私にも、だいぶ前から情報が入っていました。あちこちから情報が入ってくるのですから、さぞ混んでいるだろうと腰を上げることはありませんでした。
 しかしこの間、行徳野鳥観察舎友の会の講演会に来ていただいたT仲さんから、オジロビタキのほうはよく鳴いている、バードウォッチャーはキガシラシトドに集まっているからオジロビタキの方はすいていて録音できるかもしれないという情報。雪の河原でのバードウォッチングも楽しそうなので出かけました。
 土手に上がって見ると、数人のバードウォッチャーや野鳥カメラマンがいます。これはキガシラシトド狙いの人たちでした。100人くらい、いるかもしれないと覚悟して行ったのですが、雪のせいか、ブームは去ったのか、ずいぶん空いています。オジロビタキのほうもわずか2人でした。
 すいていたものの、オジロビタキの目の前でユンボが2台稼働する工事が行われており、録音は断念。T仲さんから連絡があったのは日曜日でしたから、休日で工事は行われていなかったのです。
 ただ、ここで問題なのはどちらも餌付けされていることでした。珍鳥が好きな人が珍鳥を見たがるのは、それはそれでかまわないと思います。ただし、人に迷惑をかけなければです。嗜好は、さまざま好きずきですからとやかくは言いません。しかし、餌付けをして鳥に迷惑をかけるのは、ぜったいにやめるべきです。なお、野鳥への餌付けの問題については、リンクを張っている「野原から」でもSさんが問題提起をしています。
 今回感じたのは、珍鳥に餌付けをすれば他の小鳥も同時に餌に依存してしまうことです。オジロビタキのところではジョウビタキが完全に餌付き、人が来ると餌をもらえるかと思って近づいてくるほどです。また、このジョウビタキは、オジロビタキを追い払います。同じ環境で、同じような食べ物を得る種類ですから、競合は当たり前のこと。そこにいたオヤジは、このジョウビタキを「しっ、しっ」と追い払うのです。他の珍鳥ポイントで同じようにジョウビタキに石を投げた人がいたと伝え聞いています。モノを投げたら一言いってやろうと思いましたが、そこまでありませんでした。それにしても、この人は鳥が本当に好きなのだろうかと疑問に思いました。
 餌付けをすれば同じ環境を好む鳥も来て、競合すれば追われるのは当たり前のこと。このことがわからず餌を撒いてしまうとは、あまりにも鳥について知識がないことにあきれます。そして、来てしまった他の鳥を追い払う心理は、さらに私には理解できません。
 録音はできませんでしたが、バードウォッチングの問題点の現場を見ることができました

2011年2月15日 (火)

雪による枝折れの音-六義園

 六義園側のマンションに引っ越してくる前に、六義園側のマンションに住んでいる知人から「雪の日、六義園の樹木が折れる音が凄い。バキバキと聞こえる」と言っていました。ところが、こちら側に引っ越してから雪が降ることが減ってしまって、枝折れの音を聞く機会がありませんでした。
 昨夜の東京地方は、予想外の大雪。枝折れの音が録れるチャンス到来と、ベランダにYAMAHAのW24をセッティングしました。外の温度は3度、バッテリーと機材は大丈夫だろうかと思いつつ、寝てしまいました。
 朝起きると、どんなふうに録音されているかさっそく聞いてみました。3時間あまりの音源の波形を表示させて見ると、とろどころに大きな音があります。音の多くは、ベランダの手すりに当たる水の音でした。また、なれない雪で寝られないのかハシブトガラスが鳴きながら飛んでいく声がよく入っています。そして、0時前後についに「バキッ、ドサドサ」という枝が折れて落ちていく音が入っていました。それも20秒あとにまた折れています。アップした音がその部分です。迫力があります。

「edaore110214_2303.mp3」をダウンロード

 その後も、枝が折れてあちこちで音がしているのが入っていました。深夜を過ぎて、枝に積もり積もった雪の重さに絶えず、枝が折れていったのでしょう。六義園に聞いたら、枝折れの多くはネズミモチやクスノキだそうで、冬でも葉の茂った木が被害にあっていました。
 家の前の枝折れもクスノキで、少し見通しが良くなりました。

2011年2月14日 (月)

厳冬期は減少期-六義園の調査から

 毎月1日と15日に行っている六義園の調査は、明日の天気が不安なので今日行いました。今朝は、今シーズンいちばんの寒さでした。調査はゆっくりと歩かなくてはならないので、いくら歩いても身体が温かくなりません。もともと悪筆なのですが、かじかんだ手で書いた調査用紙の文字はいつもよりひどくなり、後で読めるか心配です。
 鳥のほうは、厳冬期の減少期に入って少なくなりました。とくに、地面で食べ物を取るアオジやクロジは、1月に比べて減っています。ただ、シロハラは逆に増えた印象があります。枯れ葉をはねのけ下から食べ物を見つけるシロハラは生きていけても、地面のうらつっらを歩きながら食べ物を探すホオジロ系の鳥たちは、雪の気配を感じて移動していってしまったのしょうか。
 小鳥よりもっと減少が著しいのは、カモ類です。多い時は、4、50羽いたカルガモも数羽となりました。今まで、カモ類は一冬安定して数が変わらなかったのですが、今年はいつもと傾向が違います。原因として考えられるオオタカの出現は、以前からありました。それが、今年はより多く出現しているということでしょうか。わずか月2回の調査ではオオタカのような鳥は記録されず、因果関係を把握するのは難しいのが悩みです。
 現在、雪は大降り。ホワイトバレンタインディとなりました。いずれにしても今日、調査を行ったのは正解でした。
 K藤さん、K久保さん。本日は寒い中、調査にご協力いただきありがとうございました

2011年2月13日 (日)

時が解決してくれるもの

 今日は、足立自然にふれあう会の自然観察会で東京港野鳥公園へ。図らずも、一昨日の記事とつながってしまいました。東京港野鳥公園は、野鳥録音をするようになって足が遠のいてしまった施設です。イベントや取材でもない限り、行くことがなくなってしまいました。なんとっても、羽田空港が近いために飛行機の騒音がいかんともしがたいためです。そのため、今日はウォッチングに精を出し、久しぶりに東京港野鳥公園の鳥たちを楽しんできました。おそらくオオタカは3羽、ノスリ1羽、もしかしたらハイタカ1羽。以前、葛西臨海公園でも猛禽類が多いという記事を書きました。先週、講演に行った行徳野鳥観察舎でもハイタカがいるといっていましたので、海辺の公園はどこも猛禽類が多い傾向が続いています。猛禽類が多いと言うことは、それだけ生き物が多く自然が豊かな証拠です。「タカが多くて小鳥が少ない」というのは罰当たりなことです。
 考えてみれば、埋め立て地ができて砂漠のような環境から約45年、猛禽類がたくさんいる自然が蘇ったことになります。さらに公園が開園したのは20余年前、私が日本野鳥の会に在職当時のことでした。私も開園式に参加しましたが、当時の公園の植生は、スカスカで盛大な式典のわりに自然がとてもみすぼらしかったことを覚えています。それが今では、場所によっては混みすぎるくらい密生しています。間引きをしないと、共倒れになって植生が荒れてしまうのではないかと心配なほどです。自然の回復には、時間がとても大切なことがわかりました。それも、 土地ができて50年、積極的に人が関わって20年という規模で十分に回復できることがわかりました。
 一昨日のモノクロ写真とほぼ同じエリアの今日の風景、汐入の池です。40年で、これだけ風景が変わりました。

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2011年2月11日 (金)

建国記念の日の思い出-汐入の池とアカアシシギ

  今日は建国記念の日、この日を迎えると建国記念の日が休日になった最初の日を思い出します。確認したら1967年が、最初の国民の休日となった年でした。ですから私は学生で、日本鳥類保護連盟の会報の発送アルバイトなどで山階鳥類研究所に出入りをしていた時のことです。当時、日本鳥類保護連盟の指導部長だった高野伸二さんに、NHKのニュース取材で東京都大井の先にできた埋め立て地に同行して欲しいと頼まれました。埋め立て地にできた水たまりにカモの群れが入っているので、種類の確認をあげてくれないか言う依頼でした。
 モノレールの駅で言えば、現在の天王洲アイル駅(当時は駅はない)あたりから流通センター駅の間の海側にある広大な埋め立て地です。この埋め立て地に入るためには、大井競馬場駅の近くにある唯一の橋が入り口でした。できたばかりの埋め立て地ですから土塊だけ、まだ草も生えていませんでした。まるで砂漠のようなような環境です。そこをNHKの黒塗りのプレジデントが砂埃を立てて走って行くのですから不思議な風景でした。
 水たまりは、埋め立て地のかなり先のほうにありました。なぜか、そこだけ水がたまっていて周りは小高い土山に囲まれていました。水たまりには、スズガモの群れが入っていて、ディレクターとカメラマンが土山に身を潜めてレンズを向けて撮影していました。私は、水たまりの隅に、シギが1羽いるのを見つけました。この季節、春一番に渡ってくるシギと言えばツルシギですから、私はてっきりツルシギだと思いました。帰ってから高野さんに「ツルシギがいたよ」と報告したのを覚えています。しばらくして、高野さんから「あれはアカアシシギだったよ」と言われ愕然としました。当時は、ツルシギよりアカアシシギのほうがはるかに珍しかったのです。私は、ツルシギは数100羽の群れを見ていましたが、アカアシシギはまだ見たことがなかったのです。その珍鳥のアカアシシギを見誤るなんて悔しいこと。なんとかアカアシシギはアカアシシギとして見たいと、再度埋め立て地に行きました。今度は徒歩です。大井競馬場駅からダンプカーが行き交い埃だけの道を延々と歩いて、水たまりにたどりやっと着きました。土山をそっと上ってみると、幸いなことにアカアシシギはまだいました。飛び立って移動するとき、翼の次列風切羽の白い部分が見えましたので間違いありません。
  その後、この水たまりが汐入の池と呼ばれ、多くの水鳥たちが訪れ当時のバードウォッチャーを楽しませてくれたことになります。そして、現在の東京港野鳥公園の一隅を占めているのはご存じの通り。
 毎年、この日を迎えると埃だらけの埋め立て地にオアシスのようにあった水たまりにたたずんだアカアシシギを思い出します。
 当時、カメラを持っていなかったので写真は残っていません。下の写真は、1970年初頭の頃の汐入の池。白いのは、カモメ類の群れです。Sioirinoike

2011年2月10日 (木)

早春の舞岡公園

 はじめの探鳥地というのは、わくわくするものです。今日は、横浜市戸塚にある舞岡公園に初めて行きました。去年、アリスイが鳴いていると言うことで行くつもりでいましたが機会を逸してしまいました。昨日、義弟から「良いところだった」とお墨付きをもらい、さっそく今日行ってきました。
 丘陵地の間に田んぼやアシ原、そして池があるのは、去年初めて行った埼玉県の北本自然観察公園に環境がよく似ています。しかし、家から1時間半、北へ行くか南へ行くかでずいぶん植物相は異なるものです。
 静かな里山の風景のなかを歩くと、ウメの花の香りが漂ってきます。鳥のほうは、雑木林の中からコジュケイの声が聞こえたり、草むらからアオジ、目の前の木にエナガの群れが来たりして、探すまでもなく出会います。時おり遠くを航空機が飛ぶ以外は静か、鳥も近いので、もっと鳥が鳴き始めれば良い録音ができそうです。
 ここでも一角にカメラマンのオジさんが10数人ほどいました。ヤマシギ狙いの集団とのこと。しばらくするとヤマシギが姿を現し、シャッターの音が響きます。私自身、ヤマシギをこんなにじっくりと見た経験はありません。カメラマンが集まるのも無理もないでしょう。しかし、保護色たっぷりのヤマシギをどうしても見つけられない人や「この鳥は何?」と写真を撮ったあとにまわりに人に聞いているオジさんがいて「野鳥の写真を撮る前に勉強することがあるだろ!バードウォッチングの鍛錬をしろ!ヤマシギに失礼だろ」と思いました。
 北本自然観察公園との違いのひとつにタイワンリスの多さがあります。葉の落ちた枯れ木には、至る所にタイワンリスの巣がありました。林の中から一瞬、何の声?と思うとタイワンリスの声でした。録音できたのは、こんな声。3匹ほどが鳴き合っているのがわかると思います。

「risu11021001.mp3」をダウンロード

Risu

 耳にタイワンリスの声が染みこんでいないので、聞き慣れない声としてたえず身体が反応してしまうのには困りました。

2011年2月 9日 (水)

ちょっと幻のレコード『台湾有里山森林鉄道』

 蒲谷鶴彦先生のお宅にうかがったときに、先生が制作されたずらっとレコードが並んでいました。そんな鳥のレコードの中に、『台湾有里山森林鉄道』(日本コロンビア)がありました。先生は、野鳥の声ばかりではなく鉄道のレコードも出していたのです。先生が鳥のレコードを出せば『野鳥』誌に宣伝が載りますから、だいたい把握はしておりました。しかし、鉄道のレコードを出されているのは知りませんでした。それ以来、このレコードをなんとか欲しいと思っていましたが、今回ネットオークションにアップされているのを発見、落とすことでき念願が叶いました。これがジャケットの写真です。

Arisan_3
 このレコードの○Cは、69.9となっていますので、1969年9月発行。流れとしては、まだLPの初期、ステレオになって間もない頃です。このレコードも、ステレオとうたっていなのでモノラルのようです。また、「第3分道の小鳥と列車」というタイトルがあり、野鳥の声も収録されていることがわかりました。いずれにしても、鉄道ファンにとっては貴重な記録になっていることでしょう。それだけに、ネットオークションとしては高めの落札値でした。
 ただ、残念なのは家にはもうレコードプレイヤーがありません。野鳥のレコードのコレクションはだいぶ増えましたが、残念ながら聞くことができません。いまのところ、先生のお書きになった解説と写真を楽しんでいます。

2011年2月 8日 (火)

データのバックアップ

 今日、秋葉原に行ってバックアップソフトを購入しました。
 システムのバックアップと復元ができるHD革命 BackUp Ver.10です。以前、Ver.9を使っていたのですが、Window7に対応していないので新規に購入しました。
 メモリー録音機を使用するようになって、バックアップには神経を使うようになりました。以前のようにDATであればオリジナル・テープは残っていますので、ハードディスクが壊れても最悪、苦労して録音した音源を失うことはありません。ところが、メモリー録音機の場合、ハードディスクが壊れてしまえばいっぺんにデータを失ってしまいます。それにハードディスクは、コンピュータの部品のなかでもっともデリケート、消耗品です。音源データを失ったことはありませんが、過去に写真やらメールのデータを何度も失い、苦汁をなめています。
 蒲谷鶴彦先生はオープンリールテープがオリジナルでしたが、重要な音源はDATに落とし銀行の貸金庫に預けていました。その後、私とTさんでオープンリールテープをCD-Rに3年がかりでバックアップをとりました。その後、息子さんとお孫さんでハードディスクにさらにバックアップをとり、データを分散させています。これで、蒲谷コレクションが失われることは無くなりました。かようバックアップは重要ですし、手間と時間がかかる作業です。
 私の方はと言うと、現状では3重のバックを録っています。メインのコンピュータで2重、外付けのハードディスクにさらにバックアップをとっています。おかげでメインコンピュータは6T、外付けは3T、合計9Tの財産となりました。今後、理想として4重目のバックアップをどこかよそに保存して置きたいと思います。
  またデータもさることながら、長年使い慣れたシステムもバックアップが必要です。ワープロソフト一太郎の辞書は、私の財産です。アプリケーションもオリジナルからなんどもバッチを当てたり、バージョンアップしているのですから、これを最初から行うのは不可能です。HD革命BackUpは、前コンピュータが壊れたときに復元できて助かったことがあります。いずれにしても、このソフトが役立つことのないことを祈ります。

2011年2月 7日 (月)

講演会終了-次はソフト

 昨日は、行徳野鳥観察舎友の会の講演会でした。暖かく良い天気で室内でのお話にはもったいない日にかかわらず、ほぼ満席。皆さん、熱心に聞いていただきました。適切な質問もあって、話がいのある講演会となりました。
 同じ場所で2年前に野鳥録音について話をしたときは、録音機は小型軽量安価ということでZOOM-H2を紹介しました。今回は小型軽量安価に加え、バッテリーの持ち、大容量、タイマー録音できるということでYAMAHA-W24をおすすめしました。録音機については、このあたりで野鳥録音の環境は十分に整ったといえるでしょう。
 この前の講演で「録音機を買って録音をしたけれど、そのままです」という方が複数名おりました。次の問題は、音楽編集ソフトということになります。
 今回の講演では、ソフトでここまできるということで、このブログでも記事にした雨の中のカラフトムシクイのさえずりをクリアした実例を流しました。加工編集後の音源を流したところ「おお」といいうどよめきにも似た反応があり、してやったりと言ったところ。しかし今後、どの音楽編集ソフトを紹介していくかが課題となりました。
 多くのソフトは、波形編集で音がどこにあるか、どのくらい大きな音かを見て編集をします。これは室内などの楽器演奏で、ノイズの極めて少ない環境で録音した音源の加工は十分できます。波形編集はCPUの負担も軽いし、表示も時間がかかりません。録音機を買うと、おまけで付いて来る音楽編集ソフトは皆波形編集のみ、録音対象が楽器演奏であればこれで十分というコンセプトなのでしょう。また、波形編集ならばフリーソフトでもあります。
 しかし、野外で録音した音源はノイズがたくさんあります。鳥も低い所から高い所まで音域が広くあり、どの周波数に目的の音がどういう状態であるかは声紋(スペクトル)編集でないとわかりません。私は、波形と声紋表示が簡単に切り替えられるAdobe Audition Ver.3.0.1を愛用しています。このソフトは30,000円台のものです。ただ、声紋表示にすると表示に時間がかかりますし、ノイズがでることもあります。マルチトラックから編集モードに切り替えるとハングアップすることもあります。現状では、DA53NをUSBでつなぐと認識してくれません。と、いろいろ問題はありますが、現状ではもっとも安い声紋表示ができるとソフトです。なお、私はAuditionに加え、iZotope RX 2 Advancedでノイズの軽減を行っています。
 録音機は、2万円台で買えても、編集ソフトが3万円以上かかるというのは、コストのバランスが悪くて、多くの方が手を出せないという状況になっていると思います。この調子でメモリー録音が普及していけば、それに応じて編集ソフトの需要も増え、安価で高性能のものが出てくるのは間違いないと思いますのでそれまでの辛抱。良いソフトが出るまで、とりあえず録音しておくということでしょう。

2011年2月 5日 (土)

魚が空から降ってきた-六義園の怪

 今日、六義園に言ったら六義園サービスセンターのN山所長からおもしろい話をうかがいました。なんでも、事務所の前に魚が「ビタッ」と落ちて来たそうです。そして、「魚に触ったら暖かかった」とのことでした。いったい、どうしたことでしょう。犯人は、鳥でしょうかという話です。
 写真を見せていただくと、確かに事務所の前に魚が落ちているシーンとそのアップがあって、1匹は完全な形をしていましたがもう1匹は2つに分断されていました。完全な方の写真です。N山さんの了解を得てアップいたします。

Fish1

 可能性のあるのは、カワウかハシブトガラスです。ハシブトガラスが、2匹分の魚をくわえて、あるいは喉袋に入れて落としてしまったということはちょっと考えにくいと思います。そんなには運べないでしょう。
 そうすると、カワウが鵜飼いのように丸ごと魚を飲み込んで上空を通過中になんらかの理由で、はき出してしまったのでしょうか。六義園の池にはだいたい1羽、多くて2羽のカワウがいます。また、六義園の上空を飛んでいくカワウをよく見ます。ハシブトガラスほどは多くはありませんが、いることはいますので可能性は高いと思います。
 では、いったどうして吐き出したのでしょう。ハシブトガラスが飛んでいるカワウにちょっかいを出しているのを見たことはありません。カワウが食べ過ぎ、あるいは六義園に時折いるオオタカに驚いてといったところでしょうか。
 ところで、この魚の種類がわかりません。魚に詳しいA部さんに伺ったところ、ボラの幼魚だろうとのこと。ということは、東京湾から飛んできたのでしょうか。それとも、六義園に比較的近い荒川の岩淵あたりにもボラが遡上しているのでしょうか。六義園の上を飛ぶ、カワウがどこから来るのかヒントになりそうです。

2011年2月 4日 (金)

デジスコ通信に投稿-珍鳥ってなんなのさ

 毎度、デジスコドッドコムのメールマガジン「デジスコ通信」に投稿いたしました。題して「珍鳥ってなんなのさ」です。下記URLで読めます。
http://www.digisco.com/mm/dt_52/toku1.htm
 珍鳥は学術用語ではありませんので、定義されていません。そのため、人によって珍鳥と珍鳥度合いが異なります。
 高校時代からの鳥仲間にしばらくぶりに会ったら「まだ、珍鳥を卒業できなくて・・・」と頭をかいていたことがあります。珍鳥というのは卒業するらしいのです。というのは、当時(1960年代)の若いバードウォッチャーたちは、珍鳥は若者が追いかけるもの。年取ったら珍鳥など追いかけないで、ゆっくりのバードウォッチングを楽しむものだと思っていました。ですから、珍鳥には若くて快活なイメージさえありました。それが立派な大人になって、まだ珍鳥を追いかけているというのは、いつまでも腰の落ち着かない人生を送っているような引け目があっての頭をかきです。
 趣味の世界で珍しいものを尊ぶのは、どこの世界でも同じです。ただ、珍鳥がどれだけ珍鳥なのか、なぜ珍鳥なのか、もう勉強すればもっと感動できるはずです。ところが、最近の珍鳥のありがたさは集まった人数、200人もいたのだから大珍鳥に違いないという感覚になってしまいました。

2011年2月 3日 (木)

ソフトのおかげで-『朝の小鳥』のスタジオ収録

 昨日は、文化放送の『朝の小鳥』のスタジオ収録。その後、日本野鳥の会で野鳥録音の連載の打ち合わせ、そして飲み会と流れてしまいました。
 3月の『朝の小鳥』は、早春の小鳥のさえずりです。カワガラス、複雑で長いメジロ、カシラダカ、そしてムクドリと、この季節ならではの小鳥たちのさえずりです。いずれも、録音ができたのは数えるほどしかありません。この季節に山野を丁寧に歩かないと聞くことのできない声です。
 それだけに、録音状態もあまりよくありません。しかし、去年入手したiZotope RX 2 Advanced のおかげで、クリアに加工することができました。とくに、流れの中で鳴くカワガラスと市街地の騒音の中のムクドリの声は、このソフトのおかげで生き返らせることができました。音楽編集ソフトの機能にあるノイズリダクションはノイズを除去してくれるありがたいものです。しかし、余韻のような音量の低い部分もノイズと判断して消してしまいます。そのため、音が堅くなり不自然な感じになります。このソフトは、その余韻が残っているのです。実のところ、そっと自分一人で使っていたいソフトです。しかし、情報を共有して、より多くの方々が野鳥録音を楽しんでいただければと思い記事にしました。
 今まで、放送では使えないと思っていた音源が、こうしてコンピュータとソフトのおかげで蘇らせることができることがあります。おかげで、どんな音源でも消去することできず、どんどん貯まっていくの悩みです。
 なお、3月の放送内容は下記のとおりです。
 3月 6日 カワガラス
     13日  メジロ
   20日  カシラダカ
   27日  ムクドリ

2011年2月 1日 (火)

気になるニュース

 知人からの問い合わせで、気になるニュースがあるのを知りました。
 英文です。
 http://www.theepochtimes.com/n2/content/view/46647/
  日本語です。
 http://gigazine.net/news/20101130_alaskan_birds_beak_deformities/
  アメリカのアラスカからワシントン州にかけて、嘴がおかしな小鳥が見つかっているというものです。写真を見ると、嘴が交差してまるでイスカのようになってしまっています。アメリカコガラでは成鳥で約6.5%、カラス類では17%が発症していると言うのですからかなりの高率です。
 1980年代に同じくアメリカの五大湖周辺でウの仲間で、同じような嘴がイスカのようになった異常が報告されNHK特集かクローズアップ現代で流れた映像を記憶しています。このときは、ダイオキシンやPCBがその原因とされていたと思います。今回も、同じように化学物質が疑われています。
 私は、ハシブトガラスで同じような嘴を見ています。場所は上野公園でした。2000年頃だと思います。食べ物を取りにくいために人に近く餌をもらっていました。また、カラス仲間のHさんも都内の公園で見たと報告をくれたことを思い出しました。東京のハシブトガラスは、私たちと同じものを食べいるだけにとても心配したのですが、人を襲うカラスは悪者といった報道のなかに埋もれてしまいました。
 それにしても、このニュースは去年の11月30日に流れています。それなのに日本ではあまり報道されていませんね。少なくとも私は知りませんでした。なにか理由があるのでしょうか。これも気になります。

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