アオバズクは一声鳴きするか
アオバズクのさえずりの特徴は「ホッホ、ホッホ・・・」と2声ずつ鳴くのがポイントといわれています。また、沖縄に行ったさい、亜種リュウキュウアオバズクは1声ずつ鳴くのが特徴だと教えられました。
ところが今回、訪れた新潟県粟島で録音したアオバズクは1声鳴きをしていました。実は去年、粟島に同行したE村さんも1声鳴きを録音されており、その意味を聞かれていたところです。今回、私も録音ができて改めて考えさせられました。
まず、1声鳴きをするのがポイントのオオコノハズクの鳴き声は上田秀雄さんの『野鳥の声283』によると、100~250Hzとたいへん低いのです。それに対し、今回録音したアオバズクと思われる1声鳴きは500~700Hzと比較して高めです。さらに、同時に録音した2声鳴きは600~900Hzとさらに高い声でした。ちなみに以前、沖縄県名護で録音したリュウキュウアオバズクの一声鳴きは、500~700Hzで今回、粟島で録音した声とほぼ同じです。
下掲の録音は、1声鳴きを20分した後、そこに2声鳴きの個体が来て、デュエットになったところです。録音機は、PMD620。ボリュームの調整、低音の軽減、ノイズリダクションをかけています。
「BrownBoobook-onecall.mp3」をダウンロード
音の高さからアオバズクで良いだろうと思います。また、リュウキュウアオバズクに音域がよく似ていることからもアオバズクで間違いないと思います。ただ、今までの一声鳴きがオオコノハズク、2声鳴きがアオバズクという識別ポイントだと誤認する可能性があります。
そして、1声鳴きするこの個体は、亜種リュウキュウアオバズク系なのかという疑問がわいていきます。それ以前に、亜種アオバズクは2声鳴きで、亜種リュウキュウアオバズクが1声鳴きもするので間違い無いのか、検討する必要があります。今まで聞いたり録音できた亜種アオバズクの録音は、すべて2声鳴きでした。しかし、1声鳴きをしないという検証はかなり難題です。
いずれにしても、これからアオバズクの声をお聞きになったら、このポイントにご注意いただければ幸いです。
« ツミにフラれましたが・・・ | トップページ | 六義園でアカボシゴマダラ »
「観察記録」カテゴリの記事
- 地鳴きオンパレード(2025.03.25)
- 日光/早春の囀り- オオアカゲラのドラミング(2025.03.16)
- 松田道生のブログをお探しの方へ(2025.03.03)
- ハシブトガラスの春の歌(2025.02.28)
- 鳴かないカモの声-2 オカヨシガモ(2025.02.16)
この事に関してですが、繁殖も終わり秋の移動が始まる前に一時期に数日ですが、数羽で鳴き交わしをする事があります。(当地では)そんな時に、一声鳴きを聞く事があり私としては、雌雄間でのコミニケーシヨンで、雌が一声鳴きをするのかなと考えたのですが、確認するすべがなく毎年、この鳴き交わしを聞くと良い方法がないものかと考えさせられます。何かアドバイスがありましたら、ご教授下されば幸いです。ちなみに昨年は9月13日の一晩でした。
投稿: 通りすがり | 2012年1月17日 (火) 10時46分
通りすがり様
こちらもてさぐり状態です。夜行性の鳥、とくにフクロウ類の鳴き声は観察できないので難しいですね。これから、暗いところでも写るVTRなどの機材が発達してくると解明できるのではと思っています。
投稿: まつ | 2012年1月17日 (火) 15時48分