AdobeのAudition3.0を講習
今日の午後は、日本野鳥の会の事務所にてAdobeの音楽編集ソフトAudition3.0の使い方をT岡さんとK山さんに伝授。T岡さんはシマフクロウ作戦の担当者です。今まで採集した音源をどのように編集加工したらよいのか、教えて欲しいとの希望からの講習です。
Auditionは、前身であるシェアウエアのCoolEdit2000時代から使っていますので、使いなれています。このように特定のソフトや機材を紹介するといろいろ邪推されて困るのですが、Adobeからはなんのアプローチもありません。少なくとも、ネットで調べたカタログ情報からAudition3.0は、数多くの音楽編集ソフトのなかで周波数スペクトル表示ができるソフトとしては安値です。
まず、ご両人には拙ブログにもアップしている雨のなかのハシブトガラとシャッター音の嵐のなかのカラフトムシクイのbeforeとafterを聞いてもらいました。これだけのことが、このソフトでできると、まずは理解していただきました。
つぎに、実際にシマフクロウ作戦で録音したシマフクロウの声を加工して、聞きやすくする実習をしました。もともとの音源はたいへん静なところで鳴いているので、やりやすいものでした。シマフクロウの声はたいへん低く100~500Hzです。それだけに、ノイズに隠れてしまいがちですが、静かなところなのでノイズとの分離も簡単にできました。また、シマフクロウの波形は塊なので、囲んでそこだけボリュームをアップすることも簡単にできます。
作業としては、シマフクロウの声を囲みボリュームあげ、ピークが-6dbになるように調整。つぎに、シマフクロウの音域より下のノイズを軽減します。これで、コンピュータが必要な音といらないノイズとの判断が明確にできるように音にコントラストを付けたことになります。ここまでがノイズリダクションをするため準備です。このような作業をしないで、ノイズリダクションをかけると「ゴーッ」という音も強調され「ゴボゴボ」という不自然が音がかぶることになります。そして、Hiss Reductionをかけて全体のノイズをさらに軽減、最後に最初と最後にフェードイン、フェードアウトをかけて完成です。これだけ加工しても、シマフクロウの声を聞き慣れたT岡さんが不自然に聞こえなければ合格です。なお、音源は40秒ほどでしたので、この作業は5分ほどで終わりました。
驚いたのは、使用した音源はシマフクロウが鳴いているところから500m離れたところで録音したものであることでした。さらに、1200m離れたところで録音した音源も聞かせてもらいましたが、これも聞こえ周波数スペクトル表示をするとかすかに見ることもできます。そんな離れた声が、聞こえ録音できるのです。
その音源がどのようになるのか、『野鳥』誌8月号に掲載予定です。どうぞ、お確かめください。
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