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2011年6月 8日 (水)

兵庫のクロジの不思議

 今日は、M輪さんのご案内でシロチドリを録りに行く予定が雨のため中止。そのため、兵庫県で収録した音源の整理を行いました。現地で録音していて不思議に思ったことは、いないはずのクロジがたいへん多かったことです。今日、改めて音源を整理しているとその密度の高さにも驚かされます。あちこちで録音した音源に入っているのです。
 クロジの日本で確実な生息地として最初に報告されたのは、栃木県日光の金精峠です。その話は日光野鳥研究会のWebサイトに寄稿しています。下記URL、第4回クロジをご覧ください。

http://www.nwbc.jp/torizukan/index.html

 クロジは、日本とその周辺にしか生息していないたいへん分布の狭い鳥です。その分布もさらに局地的であるため、昔は日光ていどしか報告がなかったことになります。また、日本国内の分布は図鑑によれば「繁殖地は本州中部以北」となっています。兵庫県は、分布域ではありません。いないはずなのです。ところが、兵庫県にいたのです。おそらく兵庫県から鳥取県に続く山地が分布の西の端になるのでしょう。今まで言われていた分布域とは、かなり違うのです。
 もうひとつ不思議なのは、日光でクロジが繁殖しているところは標高がたいへん高いのです。だいたい2,000m前後の亜高山帯の森で、コメツガなどの針葉樹で下草が生い茂った暗い環境となっています。ところが、ここ兵庫では標高は1,000m以下、樹木は広葉樹で地面にササはあるもののかなり明るい林です。南へ行けば、垂直分布は高くなるのが普通です。ところが逆に低くなっています。
 そして、密度がとても高いのです。密度が高いために、さえずりも複雑で最初はクロジとわからなかったほどです。日光で録音したものは「フィー、チチチ」という単純な同じ節をゆっくりと繰り返していました。優しい音色です。まずは、日光のクロジの声です。D10-ProⅡ+AT825Nで録音。編集加工しています。

「GreyBunting-nikou.mp3」をダウンロード

 ところ兵庫のクロジは、音色は似ているものの節は複雑です。「フィー、チチチ」にもう一節加わって「フィー、チチチ、チュル」などと鳴いていました。そして、声量も大きく聞こえました。では、複雑な兵庫のクロジです。PCM-D50で録音。編集加工しています。

「GreyBunting-hyogo.mp3」をダウンロード

 野鳥というのは図鑑どおりではないということを改めて思い知らされました。

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コメント

クロジの不思議、そうなんだと兵庫でいままでクロジの声を聞いていて気がつきませんでした。兵庫や日光以外でさえずるクロジはどうなのでしょうね。

黒田治男様
 お膝元におじゃましておりました。
 関西と関東では、かなり鳥の声に違いがあることを感じます。また、生息環境も微妙に違います。
 どちらもご覧になっている黒田さんは、貴重な存在ですよ。

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