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2011年7月

2011年7月31日 (日)

ヒメアマツバメの声をゲット

 やっと待ちに待った日曜日がやってきました。懸案のヒメアマツバメは、お茶の水にコロニーがあるのですが、平日はもちろん土曜日までまわりで工事をやっていました。そのため、工事が休みになる日曜日を待っていたのです。
  到着すると、やはり工事は休み。ただ、車と人通りは平日の夕方とあまりかわりありません。しかし、車人とも途切れることがあるのでこの間で鳴いてくれれば、大丈夫そうです。ところが、鳥の数はこの前よりか少なめ。前回は5,60羽、今日は2,30羽という感じです。雛が巣立って分散してしまったのでしょうか。そういえば、六義園でもここ1週間、ヒメアマツバメの姿をよく見るようになりました。
 暗くなれば増えるかもしれないと、待つこと2時間。午後7時近くになると、数は増えないものの鳴き声が良く聞こえてきました。YAMAHAのW24で録音。低音ノイズの軽減、ノイスリダクションをかけています。

「house_swift110731_1816.mp3」をダウンロード

 ヒメアマツバメは、6,000Hzに中心があるとても高い音で鳴いていました。そのため、4,000Hz以下の音を軽減すると街の騒音が消えて、けっこう聞くことにできる音できました。まずは、懸案のヒメアマツバメの声をゲットできました。
   困ったのは、上ばかり向いていたので頸椎症が酷くなり、ことのほか首から肩が痛いことです。

2011年7月30日 (土)

今年はカブトムシが多い-六義園

「このところ良くお出でになりますが、珍しい鳥でも出ているのですか」と六義園の窓口の女性に聞かれました。そういえば、このところ雨さえ降っていなければ午前中は六義園に行っています。
 ひとつに天気が悪いので遠出ができないことがあります。それに、そろそろ遠出をする季節は終盤となり行くところがないのです。でも、緑のなかで野鳥と接していたいので、つい六義園に行っています。
 今年、六義園ではカブトムシに多く出会っています。樹液の出る木には、多い時で6匹ほどのカブトムシが付いていました。今日は、頭が落ちていました。例年ならば、せいぜい死体を1つか2つ見つけるくらいなのですが。

Kabutomushi

 カブトムシを見ると子供の頃、夏休みになると早起きをして雑木林にカブトムシを捕りに行ったことを思い出します。もちろん、夏休みの宿題の作文は、カブトムシのことでした。ですから、小学生時代の友人からは私は昆虫少年に見えたようで、まさか鳥人間になると思ってもみなかったと言われたことがあります。
 都心の六義園で、まだまだカブトムシいる森があるということは捨てたものではありません。こういう発見があるからこそ当分、六義園通いはやめられません。

2011年7月28日 (木)

野鳥録音講座のお知らせ-日本野鳥の会にて

 現在、日本野鳥の会の雑誌『野鳥』で「野鳥の声を聴く楽しみ」を連載しています。より野鳥録音を理解していただくために初心者を対象にした講座を開くことになりました。講師は私。パワーポイントを用いて、わかりやすい内容にしたいと思っております。講座は、下記の要領で行います。ご都合のよろしい方、ぜひお出でいただければ幸いです。
 日時:8月27日13:00~15:30
 場所:日本野鳥の会・会議室
    東京都品川区西五反田3-9-23 丸和ビル3F
 対象:野鳥録音を始めたい方、関心のある方(日本野鳥の会の会員以外の方でも参加できます)
    ※機材をお持ちでない方にはお貸しします。
 参加費:無料
 定員:25名(先着順・事前申し込みが必要です)
 申し込み締め切り:8月22日(なお、定員になりしだい締め切ります)
 申し込み先:日本野鳥の会会員室野鳥録音講座係
       03-5436-2632(平日10:00~17:00)

P.S.今夕、六義園の上を飛ぶアブラコウモリの初めて見ました。少なくなってしまったために見つけられなかったのでしょうか。

2011年7月27日 (水)

『夏休み子供電話相談』2回目

 今日は2回目の出演です。
 前回は、国会中継のため午前8時~9時までの1時間でしたが、今日は8時30分~12時までのフルバージョン。3時間半にわたりスタジオにいるのは、疲れました。
 今日は、鳥の質問の選ぶ余裕のあるだけ来てくれたので、他の分野の先生と同じように出番がありました。前回は、キウイの質問がひとつだけというとても寂しい状況でしたので、ほっといたしました。以前の記事でも書いたように、鳥の質問は少ないです。
 今日答えたのは、野鳥はツバメ、カササギ、コマツグミなどですが、飼い鳥はニワトリ、烏骨鶏、クジャク、ヒクイドリなど多く、全体には半々くらいとなりました。野鳥は、ちょうど、あちこちでツバメの雛が孵ったり巣立つのでその質問が多いですね。
 最後の質問は「宇宙人はいるか」でした。これは、みんなで答えようということで、伊藤和明さんは科学一般から、小菅正夫さんは動物の立場からお話になり、私も一言いって、最後は天文の永田美絵さんが「宇宙人に会ったときに地球の環境がちゃんと守られていないと困りますよね」と、きれいにまとめていただきました。 
 
 
 
 番組のURLです。また、このサイトのなかで毎日1問だけ、各先生による解答を聞くことができます。
 http://www.nhk.or.jp/radiosp/kodomoq/
 次回の私の出演日は、8月4日です。

2011年7月26日 (火)

『ハチはなぜ大量死したのか』を読んで

 いろいろ話題になっていたので気にはなっていたのですが今回、文春から文庫になったのでさっそく購入、読了いたしました。

Hatihanaze_3
 ”なぜ”については、ネタバレできないので読んでいただくとして、わかりやすく生き物の生態を解説しているので、読みやすいです。ミツバチを擬人化しての表現も嫌みがありません。科学的に理解しての擬人化ゆえ、鼻につかないからでしょう。このあたりの技法は、カラスで真似したくなりました。
 ところで、アメリカでは養蜂という一大事業がありこれが工業化している事実に驚きました。養蜂が工業化したのはアーモンドのためです。そして、農薬から抗生物質漬けになったミツバチが哀れです。それに加えてダニなどの寄生虫に見舞われているのですから、いなくなりたくもなります。
 本を読んでいて、ミツバチの境遇と似たパターンが身近にもあることに気がつきました。養鶏が工業化されたことで鳥が持っていた鳥インフルエンザウィルスが高病原性化していったパターンと良く似ています。人工的な餌と抗生物質漬けの工場なような環境での飼育、そこにたまたま入ったウィルスがキャッチボールされ変異し怪物のようなウィルスが出現するのと良く似ていますす。今、多くの農畜産業が工業化、巨大化しています。このような話はミツバチだけでは留まらず、これからいくらでも出てくることでしょう。

『ハチはなぜ大量死したのか (文春文庫)』
ローワン・ジェイコブセン(著)、中里京子(翻訳)、 福岡 伸一(解説)
文庫: 413ページ
出版社: 文藝春秋社
ISBN-10: 4167651750
発売日: 2011/7/8
アマゾンのURL
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%8F%E3%83%81%E3%81%AF%E3%81%AA%E3%81%9C%E5%A4%A7%E9%87%8F%E6%AD%BB%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%AE%E3%81%8B-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%AF%E3%83%B3-%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%A4%E3%82%B3%E3%83%96%E3%82%BB%E3%83%B3/dp/4167651750/ref=sr_1_2?s=books&ie=UTF8&qid=1311669342&sr=1-2

2011年7月25日 (月)

鈴木孝夫先生宅訪問-日本野鳥の会の歴史を聞く

 昨日は、戦中戦後の日本野鳥の会を支えられた鈴木孝夫先生のお宅にうかがいました。鈴木先生のご専門は言語学、そちら方面の著作は多数、慶応大学に席を置きご研究されていました。岩波書店から全集が発行され、ウィキペディアにも記載されている方です。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E5%AD%9D%E5%A4%AB
 訪れた面々は、幹事役のバードフォトアーカイブスの塚本洋三さん、録音仲間のTさん、音楽家の生録。さん(拙ブログのリンクを見てください)、そして、故蒲谷鶴彦先生の奥様とご子息の剛彦さん。剛彦さんは現在、日本野鳥の会奥多摩支部報「多摩の鳥」に父鶴彦先生の足跡を連載中です。原稿を書くにあたり、当時の日本野鳥の会の様子を知りたいということになり、鈴木先生を訪問することになりました。
 鈴木先生のお宅は、私も通い慣れた渋谷の南平台のお近くでした。伺ったのは午後1時30分ですが、それから6時近くまでお話しをうかがいました。YAMAHAのW24で録音していたのですが、3G近いファイルができていました。
 鈴木先生と鶴彦先生はほぼ同年代、日本野鳥の会の発足当時に小学生であった2人が入会されいっしょに行動されていた鳥仲間です。それだけに日本野鳥の会の歴史の生き字引です。そして戦後、日本野鳥の会の復興にあたっては当時20代のお二方がご尽力されたことになります。今こうして日本野鳥の会があるのも、こうした先人の方々の努力のおかげです。そんな苦労話を聞きたかったのですが、とくにかく鈴木先生のお話は面白くて楽しくて、あっという間の3Gです。
 また、日本野鳥の会を会長を長く務めた中西悟堂を目の当たりに見てきただけに、悟堂の人となりも興味深いものでした。そして、多くの人が日本野鳥の会に関わり、連綿と”野鳥好き”の系譜が守られてきたことに改めて感心いたしました。いずれにしても、こうして歴史を知ることで流れを理解し未来につなげる役目を果たさなければと思う訪問でした。
 まずは、鈴木先生お疲れ様でした。私たちが帰った後、どっと疲れが出たのではないかと心配です。また、スケジュール調整からご手配、ケーキから飲み物までご用意いただいた塚本さん、ありがとうございました。皆さま、お疲れまでした。

2011年7月24日 (日)

ヒメアマツバメの録音-いけるかも

 前の日に続いて昨夕もツバメ狙い。といっても、今回はお茶の水近くのビルに巣を作っているヒメアマツバメです。以前から、近くにあるホビーズ・ワールドのY成さんからヒメアマツバメのコロニーがあることを教えてもらっていました。ただ、高いビルの屋上近くなので録音は難しいだろうと思って足は遠のいていました。このところ、ヒメアマツバメにはフラれてばかりいるのでダメ元で行ってみました。
 着いたのは午後5時。くだんのビルを見上げると、すでに50羽ほどのヒメアマツバメが飛んでいます。これだけの数のヒメアマツバメを見たのははじめてです。ビルとビルの谷間から見上げると、とても不思議な感じがしました。どこかで見たような風景に感じたのです。思い出してみると、日光の雲竜渓谷で見たアマツバメのコロニー周辺と同じ風景です。雲龍渓谷は、たいへん狭い峡谷です。切り立った断崖絶壁の間を稲荷川が流れ、その崖にアマツバメのコロニーがあります。ですから、見上げると狭い谷間からわずかに開けた空の間をアマツバメが飛び交うのです。自然の峡谷と人工的なビルの谷間の違いはありますが、風景的にはそっくりなのです。
 アマツバメとヒメアマツバメは、もちろん生息環境が違いますし環境選択の幅が異なります。しかし、ヒメアマツバメは、都市のなかで本来の生息環境の要素を見つけ出して適応していると言えるでしょう。
 ところで肝心の録音ですが、土曜日の夕方ならば静かだろうと思って行ったのです。しかし、となりではビルの解体、その隣ではビルの建築も行っています。午後6時になれば、工事も終了するだろうと待っていたのですが、6時になっても工事が終わるようすはまったくありません。なんとも仕事熱心なことです。
 この工事の騒音のなかでも、ヒメアマツバメの声は聞こえます。音源を見ると、スペクトルのなかにヒメアマツバメの声紋も見て取れます。工事さえなければ行けそうです。雲竜渓谷でも渓流の流れが聞こえるなかで録音して図鑑に使える程度の音を録ることができました。ここでも可能でしょう。今度は、工事が全休の日曜日にチャレンジしてみようと思います。ヒメアマツバメの録音に光明が見えてきました。

2011年7月23日 (土)

ツバメのネグラ入りに挑戦-多摩川

 昨夕は、多摩川の中流域にあるツバメのねぐらを見に行きました。あわよくば、鳴き合うツバメの声を録りたいと思いました。昨日は涼しいことと、天気予報では風も弱そうなので出かけました。しかし、多摩川の土手の上を歩くとジリジリと肌を焦がすように暑く、風はツバメが入るであろうヨシ原をざわざわと揺らしていました。
  録音ができなくともねぐら入りを観察しようと、待つこと数時間。太陽が西に広がる雲も隠れると美しい夕焼けとなりました。広い河原ですから、空が大きく広がっていてとても気持ちの良い夕暮れとなりました。
 コウモリが飛びはじめました。そして、ネグラに向かう鳥たちが、川に沿って飛んでいきます。カワウ、アオサギ、しらさぎ類など。そして、対岸の高圧鉄塔にムクドリの群れが集まり舞い飛んでいます。その数、数千羽。しかし、ツバメはまだやってきません。
 あたりがかなり暗くなった午後7時を過ぎると、ヨシ原の上を飛ぶツバメの数が急に多くなっているのに気がつきました。ツバメたちは、ヨシ原すれすれの高さを飛んで、つぎつぎにヨシの葉にとまり、そして消えていきます。あっという間のネグラ入りです。鳴き合ってはいるのですが遠いのと風が強いことで声は、かすかに聞こえるだけです。録音できたのは、これだけ。PCM-D1で録音、ボリューム調整、ノイズの軽減、ノイズリダクションをかなり強くかけています。

「barn_swallowroot11072201.mp3」をダウンロード

 以前、渡良瀬遊水地で見たツバメのネグラ入りは、空一面をツバメの群れが覆い、渦を巻いていました。これは、私が今まで鳥を見た中でもっとも多く数の鳥を見た経験となりました。しかし、高空なこと、広いヨシ原の向こうでのこと、そしてあまり鳴いていないようで録音はできませんでした。今回もうまく録音はできず。ツバメがいない間にタイマー録音をしかけるなど、別の作戦を考えないとだめなようです。

2011年7月20日 (水)

『朝の小鳥』8月分収録-ヨシ原の歌声

 今日の午後は、浜松町にある文化放送にて『朝の小鳥』の8月分のスタジオ収録でした。8月のテーマは「ヨシ原の歌声」です。渡良瀬遊水地のカッコウ、利根川のオオヨシキリ、コジュリン、セッカです。
 実は、『朝の小鳥』のセッカは思い出深い鳥です。私が野鳥に目覚めた中学生の頃、東京都板橋区の荒川の近くに住んでいました。川が近いため、家の上をよくセッカが鳴きながら飛んでいたのですが、名前がわかりません。当時は野鳥の声の入ったレコードを手に入れるまでに至っておらず、声から野鳥の名前を知る手立てはありません。いつも鳴いている鳥の名前がわからず、どうしたらわかるのか苦慮しておりました。
 そんな頃、ちょうど夏休みラジオ体操のために早起きをしました。ラジオ体操が始まる前にたまたま文化放送にチューニングされていたラジオから聞こえてきたのが、収録構成・蒲谷兄弟による『朝の小鳥』でした。そのときに流れた鳥の声は、いつも聞いている謎の鳥の声です。そして、ナレーションで「セッカ」という名前が読み上げられました。家の上を鳴きながら飛んでいく鳥がセッカという名前であることがわかった瞬間です。まるで夏休みの宿題を終えたほどうれしかったのを覚えています。
 あらためて当時、持っていた図鑑を見るとセッカの鳴き声は「ヒッヒッヒッ」と鳴くとあります。たしかにそのように聞こえるのですが「ヒッヒッヒッ」は下卑た笑い声として読み取れません。このとき、野鳥の声は活字ではわからないと実感しました。
 同年代のバードウォッチャーのなかには毎日、目覚ましをかけオープンリールの録音機に録音していた強者もいました。それだけ、生の鳥の声が聞く機会がなく、この番組は貴重だったのです。
 子供の頃の私のようにこの番組を聞き、わからなかった鳥の名前がわかってくれる人がどこかにいるかと思うと制作していて楽しくなります。
 さて、来月の放送予定です。
 8月7日 カッコウ
  14日 オオヨシキリ
  21日 コジュリン
  28日  セッカ
 なお、明日のNHKラジオ『夏休み子供科学電話相談』は、国会中継のため午前8時から9時までの1時間となりました。放送時間は短くなりましたが、始まりが早いのでちょっとたいへんです。

2011年7月19日 (火)

コウモリがいない

 今年は今日現在、まだアブラコウモリを見ていません。例年ならば今頃、夕日を見ながらビールを飲んでいると数匹が六義園の森の上を飛んでいるのを見られます。昼間のツバメから夜のコウモリへ交代して行くさまを見ながら飲むビールは最高です。
 アブラコウモリは、5月頃から出現してくれます。そして、7月ならば数も多くなり確実に飛んでいるはずです。ところが、今年はまだ1匹も見ていないのです。
 以前、コウモリの専門家に「アブラコウモリは、5月までどこにいるのか」聞いたことがあります。3月には暖かくなって冬眠から醒めて姿が見られるはずなのに、私の初認記録はだいたい5月だったからです。専門家の方は「そんなはずはない。東京だったらだいたい3月下旬から飛んでいる、気がつかないだけでは」と言われました。
 そこで、ハタと気がついたのは私が夕方、ベランダでビールを飲み始めるのは、暖かくなった5月下旬頃からだったのです。ですから、今までのアブラコウモリの初認記録は、コウモリの初認日でなくて、ベランダでビール飲みの初認だったということになります。なんとも、お恥ずかしい話です。
 それにしても、なんで今年はアブラコウモリの姿が見えないのでしょう。毎日、ベランダでビールを飲んでいるのかかかわらずです。

2011年7月17日 (日)

今年も子供科学電話相談の季節

 夏が来れば思い出す。NHKのラジオ番組、子供科学電話相談の季節がまいりました。まずは、去年の質問の中からピックアップされた『NHK子ども科学電話相談なるほど解決!地球のふしぎ65』が出版されました。私も鳥の部分で解答しています。小学生から大人まで楽しめる内容になっています。よろしければ、ぜひお買い求めください。
タイトル:『NHK子ども科学電話相談なるほど解決!地球のふしぎ65』
編:NHKラジオセンター「子ども科学電話相談」制作班
定価:998円 (本体950円)
判型:B6判
ページ数:128ページ
ISBN978-4-14-011303-5
 詳しくは下記URLで。
  https://www.nhk-book.co.jp/shop/main.jsp?trxID=C5010101&webCode=00113032011

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  また、今年の出演日が決まりましたのでお知らせいたします。
 私は、7月21日、27日。8月4日に出演予定です。なお、もう一人の鳥の解答者であるシェアリング・アース協会理事の中村忠昌さんの出演日は、7月23日、25日、8月23日です。合わせお聞きいただければと思います。放送時間は、平日は午前8時33分から11時50分、7月23日土曜日は午前9時5分から10時55分、7月30日土曜日は午前9時5分から11時50分となっています。
 ただ、今年は震災関連で国会中継が入る可能性が高いために、放送時間が変わったり中止になることもあると思います。あらかじめご了承ください。詳しくは、下記URLでご覧いただければ幸いです。
http://www.nhk.or.jp/radiosp/kodomoq/

2011年7月16日 (土)

イワヒバリを求めて-千畳敷

 以前から懸案なのがイワヒバリです。冬には何度も見ているのですが、繁殖期のイワヒバリを見たりさえずりを録音したことがありません。ここ数年は、栃木県那須岳に通っているのですが会えずじまいです。そのため、イワヒバリの音源が必要な時はイワヒバリ研究の第一人者中村雅彦先生から借りています。毎度、先生の手を煩わせるのは恐縮なので、なんとか今年はものにしたいと思っていました。
 今年、録音地として候補に挙げたのは、立山、乗鞍、千畳敷です。いずれも、バスやロープウエイで手軽に行ける高山帯です。山男の義弟によると、どこも人が多い、登山者は朝早いから夜明け前から人が歩いている、お花畑があるところはコース以外歩けないから鳥がいても近づけない、だからイワヒバリの録音は難しいだろうとのこと。そこで、しぼったのが千畳敷です。千畳敷にはホテルが一軒あるだけです。部屋は16室。ロープウエイの始発は午前8時、それまで最悪でも数10人の人間が朝歩いているかも知れませんが、広い千畳敷ですから人を避けられそうです。また、探索コースがあるうえに比較的なだらか道です。ということで、ホテルに予約を入れると希望日は満室、空いているのは14日だけでした。
 いっきに標高2,600m。どんなに涼しいかと思ったら、暑いのです。日向は、猛烈な暑さと日差しで、身体がどんどんひからびていくがわかるほどです。ただ、朝夕は涼しいです。夜明け前は、寒いくらいで厚手のパジャマ、羽毛のインナー、レインコートと持って行ったもの全部を着込みました。
 おかげさまで、高山帯の自然を堪能することができました。広がる高山植物のお花畑、道端に咲いたクロユリ、いちめんに咲いたシナノキンバイの黄色い花、そしてルリビタキやビンズイのさえずりが絶えず聞こえ、ときおりカヤクグリが飛び交います。空はあくまでも青く、高山にしてはほぼ無風、録音には最高の季節に来て、最適の条件となりました。しかし、なんと肝心のイワヒバリはいないのです。朝夕はとても静かですから、かなり遠くで鳴いても聞こえるはずです。大きめの鳥ですから、飛べば見えるはずです。
 ホテルの支配人に聞いたら「いつもホテルのまわりで遊んでいる」、自然ガイドの人がいたので、これもおたずねしたら「いつも、このあたりにいるけど今日は見ていない」とのこと。
 持って行ったPCM-D50を長時間録音、YAMAHA W24とC24、OLYMPUS LS7でタイマー録音と広い千畳敷に4台を仕掛けました。現在、このデータの精査中ですが、今のところイワヒバリらしい声は入っていません。ただし、ルリビタキ、ビンズイ、カヤクグリは、良い雰囲気で録音することができました。
 今年も、イワヒバリにはフラれました。当分、中村先生のお世話になりそうです。

Senjyoujiki

2011年7月13日 (水)

カラスの幼鳥初認とZOOMの新機種

 今日、久しぶりに六義園に行きました。K藤さんとばったりお会いして、園内を探索。暑い中、野鳥たちの幼鳥が森のなかを飛び交っていました。そして、いないいないと思っていたハシブトガラスの幼鳥もいました。かなり大きくなった個体で、巣立ち雛特有の甘えた声で鳴くことはありません。どうも、周辺での巣立ちはなく、離れたところからやってきた感じです。いずれにしても六義園周辺の顔見知りのカラスは、今年は1羽も巣立たせていません。
 Tさんからは、ZOOMの新型が海外で発表されたとの情報をいただきました。H2nです。
 http://www.samsontech.com/products/productpage.cfm?prodID=2080
 内蔵マイクは5個。2つのパターンのステレオマイクが中心です。ステータスは、24bit/96kHzまで。32GのSDカードまで装着可能。単3電池2個で20時間以上。編集ソフトにSteinberg’s WaveLab LE 7が付属など、かなり機能満載。黒いフォルムと録音ボリュームの調整がホイールなのが良いですね。
 基本的には長時間録音が可能です。タイマー録音機能があるかどうかは読み取れませんでした。そして、価格はなんと200ドルを切っています。H2で、録音機の価格破壊をしてくれたZOOMの第二弾といった感じです。

2011年7月12日 (火)

ふすま絵に描かれた鳥-林泉寺

 去年の5月、埼玉県越谷市にある林泉寺さんから「本堂の天井に描かれた鳥が何であるか鑑定して欲しい」と依頼されました。その報告を「天井絵に描かれた鳥たち」として記事にしました。
 去年の暮れ「今度はふすま絵が出てきたので、これも鑑定して欲しい」と頼まれていました。ところが、暮れから正月、そして大震災と気ぜわしい日が続き、行きそびれておりました。今日、やっとおたずねすることができました。
 ほぼ1年ぶりの林泉寺、緑の絨毯となった水田に囲まれ、真夏の青空と白い雲を背景に静かにたたずんでいます。なんだか、夏休みに故郷に帰った感じでお邪魔いたしました。
 ふすま絵は、全部で10枚近くあるのですが、何が描かれているのかわかるのはわずかに3枚。どうも掃除をされたために絵の具が取れてしまったようです。タッチや木の材質は天井絵と同じですから、おそらく同時代、江戸時代初期のものでしょう。天井絵もかなりすすけていますが、掃除はできなかったために残ったことになります。ふすま絵のほうは、なんとももったいないことをしたものです。
 とこで2枚は唐獅子、鳥のほうは白いキジのようなスタイルからハッカンではないかと思いました。写真をアップしておきます。

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2011年7月11日 (月)

亜高山帯の野鳥を楽しむ-金精峠

 週末は、日光野鳥研究会の観察会で奥日光の奥、金精峠に行きました。毎年、定番の探鳥地となりました。それだけに、参加人数も多く新人さんの参加もある人気の場所です。
 前日に梅雨明けをした日光市内は日光とは思えない暑さ。しかし、さすがに標高2,000mを超えた金精峠周辺は涼しさに包まれていました。青い空に白い雲、山の夏です。しかし、すでに黒い雲が白根山からわき上がり、専属の気象予報士のT中さんによれば早ければ午前10時、遅くとも昼には雷雨とのこと、皆の足が自然と速くなります。
 苔むした森のなかを歩いて行くと、コマドリ、ルリビタキ、メボソムシクイと言った亜高山帯に住む野鳥たちのさえずりがたえません。時折、ウソ、クロジも聞こえました。また、オオルリ、ミソサザイと言った標高が低めの鳥たちのさえずりも多いのが金精の魅力です。本来ならば1000m以下にいるこれらの鳥は、もう鳴き止んでいはずです。それがここでは、まださかんにさえずっています。
 ミソサザイを中心としたコーラスをアップします。バックではルリビタキ、コマドリ、メボソムシクイが鳴いています。少しでも、亜高山帯の森の涼しさをお伝えできればと思います。YAMAHAのW24で録音、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「Wren110710_1110.mp3」をダウンロード

 T中さんの予報通り、11時半頃にぽつぽつと雨が降り出しました。そして、岐路のいろは坂を下る午後1時頃には大雨。つかの間の夏山のバードウォッチングでした。

2011年7月 8日 (金)

セミの季節-早くなった初認日

 今日、昼寝をしているときにミンミンゼミが鳴いたとカミさんに教えてもらいました。
 また、夕焼けを見ながらベランダでビールを飲んでいると、ヒグラシの声が聞こえてきました。本日が、六義園におけるミンミンゼミとヒグラシの今年の初認日となります。
 セミの季節は、梅雨明けとともに始まります。今日は、関西から東海地方の梅雨明けが宣言されましたので関東地方も秒読みと言ったところでしょう。
 ところで、六義園におけるセミの初認日を過去のデータと比べてみると、ずいぶん早くなっている傾向があります。たとえば、1980年代のヒグラシの初認日はだいたい7月下旬です。遅い年は、8月に入ってからという記録もあります。また、ミンミンゼミはだいたい8月上旬で早くても7月19日(1985年)、遅い記録は8月9日(1986年)というのもありました。セミの初認日を見る限り、おおよそ半月は季節の進行が早くなっていると見て取れます。
 皆さまのところでは、いかがでしょうか。

2011年7月 7日 (木)

ヒメアマツバメ録音失敗

 季節がどんどん移っていくの感じる頃です。録り残しを少しでもなくそうと、昨日はヒメアマツバメ狙いで私鉄沿線へ。過去にもヒメアマツバメの声を録ろうと東海道線沿線へ行きましたが、駅前で5階建てビルの最上階に巣がありました。そのため、周辺の音もうるさい上に距離があり断念したことがあります。今回は線路の高架下ですから真下に行ければ、距離は10mたらず。録れるかもしれないと淡い期待を持って行きました。
 行ってみると駅の改札口を出て10数m、コンコースの真ん前でした。巣の下は糞だらけですから、使用中です。『糞に注意』のコーンが置いてあるので、そこにYAMAHAのW24を置いておきました。ラッシュを過ぎた時間ですから電車の本数も人通りも少ない時間帯です。しかし、周囲は道路で車は良く通ります。また、目の不自由な方に改札口に位置を知らせる「ポーン」という音が絶えず聞こえます。ただ、アマツバメ系の声はかなり高いので、騒音のなかでも分離することができるかもしれないと淡い期待を持って待機です。
 改札口の横にベンチがあったので、そこに座って待つこと2時間。ヒメアマツバメが来てくれたのは1回だけでした。まだ、抱卵中で巣の出入りが少ないのでしょうか。
 家に帰ってから音源をチェックしたところ、高い音が数回入っていましたが『野鳥大鑑』に収録されているヒメアマツバメの声紋と一致しませんでした。
 今回は、あえなく失敗です。

2011年7月 5日 (火)

水谷さんの本-『 野鳥フィールドスケッチ』

  鳥友・水谷高英さんが本を出されたので紹介いたします。

Fieldsketch_2

『野鳥フィールドスケッチ』です。雑誌Birderの連載を一冊にまとめたものです。前著『野鳥フィールドノート―スケッチで楽しむバードウォッチング』が好評で、第二弾となります。
 水谷さんは、一度見たら頭にすべて入り、そのイメージを描くことができるという特技をお持ちです。一瞬のチャンスしかない鳥、動きを捉えなくてはならない鳥を描くために生まれてきたような方です。その特技の真骨頂ともいえるスケッチ集です。
 それもただのスケッチ集ではありません。野鳥は、生息環境=フィールドと密接な関係があります。ある意味、野鳥は自然のなかでいるところが決まっています。そして、動きも。ですから、ベテランは細かい模様を見るのではなく、発見した状況で鳥の名前がわかってしまうのです。この本は、そんな見方をさせてくれる図鑑となっているのです。いわば、姿形からの識別図鑑ではなく風景のなかにいるだけで名前がわかってしまう図鑑です。
 初心者はバードウォッチングの見所について学ぶことができて、ベテランも新たな発見のある内容になっていると思います。
 ぜひ、ご一読を。
 タイトル:野鳥フィールドスケッチ
 著者:水谷 高英
 価格:2,310 円
 単行本:157ページ
 出版社:文一総合出版
 ISBN-10: 4829911328
 ISBN-13: 978-4829911327
 アマゾンのURLです。
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2011年7月 3日 (日)

総会出席-日本野鳥の会

 昨日今日は、川崎にて日本野鳥の会連携団体全国総会でした。全国から約40支部の関係者が集合し、勉強のための講演、報告、議論をするという充実の2日間、久しぶりに長時間座っていましたので腰が痛いです。
 一番目の話題は、鳥インフルエンザ。まずは、基本的な知識を鳥取大学の山口剛士先生の講義を受けました。けっこう勉強していたつもりですが、目からウロコでした。高病原性鳥インフルエンザの流行と東アジアの養鶏事情がリンクしていることもよくわかりました。また、現場からの報告として、鹿児島県のM口さんからは出水のツル類の話がありました。M口さんは淡々と報告されましたが、年末年始返上、休日なしで広大な干拓地、厳寒のなかのパトロールをされたわけで、そのご苦労はたいへんなものがあったろうと想像いたしました。
 二番目の話題は、3.11東日本大震災。被害に合われた地元支部からの報告は、とても生々しいものでした。現在、会員では2名の方が死亡、行方不明なのです。また、一歩間違えば今日ここで報告することはなかっただろうというT丸さんらがいるのです。また、復興ためのイベントの支援を柳生博会長中心にすでに行っており、それを報告された白川のM森さんは感極まって言葉を詰まらせておりました。全国組織ならではの支援体制がとれる日本野鳥の会の強みです。
 三番目が、海上風力発電です。反原発の動きの中で再生可能エネルギーとして浮上していきますが、鳥への影響は以前から指摘されています。今回は、イギリスでの取材の報告をK南さんが行いました。すでに一部の支部に調査依頼や打診があり、情報交換をすることができました。
 ところで、私が職員のときは評議員会と同時に支部代表も集まり、同様のことを行っていました。私自身、このような場に出るのはおよそ18年ぶりです。もちろん、顔ぶれはほとんど変わりました。しかし、雰囲気は変わってないなあという印象です。さらに、議論の場で出てくる苦言は、18年前と変わらないものがありました。このあたりが、日本野鳥の会の良いところでもあり課題でもあるなあというのが感想です。

Wbsjsokai

 ちなみに髪型が似ていますが、私ではありません。

2011年7月 2日 (土)

デジスコ通信に投稿-野鳥をモノ扱いするな!

 野鳥への思いを言葉にしようと思うとたいへん難しいのです。自分自身の思いを表現しようと思うと苦労しました。そのきっかけとなったのは、ある野鳥カメラマンの野鳥への態度です。そんないきさつをデジスコドットコムのメールマガジン『デジスコ通信』に寄稿しました。下記URLで、読むことができます。
 http://www.digisco.com/mm/dt_55/toku1.htm
 多くの方が読まれるメールマガジンなので、言葉はできるかぎりやさしくわかりやすく書いています。また、私が指摘した本人が読んでいるかもしれないのですから、表現は穏やかにしています。しかし私の気持ちは、野鳥をモノ扱いする野鳥カメラマンやバードウォッチャー、そして研究者は、野鳥とつきあうのをとっとと止めて欲しいと思います。

2011年7月 1日 (金)

今年も遅い-ハシブトガラスの幼鳥

 今日は、月2回の六義園のセンサス調査日、K久保さんと途中から六義園の元職員だったA藤さんが合流しました。六義園の森のなかは、スズメだらけです。先週までは、池の上にはツバメ、森のなかはシジュウカラ、芝生にはムクドリと巣立った幼鳥たちの群れがたくさんいたのですが、今はスズメの季節となりました。
 ところで、今年もまだハシブトガラスの幼鳥が出てきません。以前は、早ければ5月下旬、おおむね6月上旬には初認されています。遅いと思っていた去年は7月4日。今年も遅い記録を更新しそうです。
 6月19日に行った栃木県日光の中禅寺湖のほとりでは、ハシブトガラスの幼鳥が飛びまわっていました。ですから、ほかでは順調にいっているところもあるのです。
 ところで、六義園のハシブトガラスの巣落としを5月中旬に行っています。ですから、六義園産の幼鳥はもちろん出てくるわけはないのですが、周辺から巣立った幼鳥が六義園に入ってきます。カラスも、スズメ、ムクドリ、ツバメと同じように六義園の森が、学校となります。それが、こないのです。
 六義園のハシブトガラスの巣は、18個ほど(試作巣を含む)あったのですが、巣落としてみると卵が1巣、雛が2巣でした。私が抱卵を確認していたにも関わらず、落としてみると産座があり空なのです。ですから、巣落としの効果はそれほどありません。
 去年も同様の傾向で、幼鳥の出現が遅れました。ひとつに4月下旬から5月上旬の寒さが影響しているのかもしれません。また、今年の巣のなかにハクビシンの糞が2巣から見つかっています。新たな天敵の出現によって、影響を受けているのでしょうか。
 2年続けての不作、東京のハシブトガラスに何か起きているのでしょうか。

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