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2011年8月26日 (金)

オオコノハズクの剥製を見る-山階鳥類研究所

 久しぶりに訪れた山階鳥類研究所は、セミ時雨に包まれていました。
Yamasina

  「いつでも良い」というS藤さんのお言葉に甘えて、ぽっかりとスケジュールの空いた本日、伺いました。目的は、オオコノハズクの課題の解決です。以前、拙ブログで記事にいたしましのたで、下記のURLをご覧ください。
http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2011/03/post-6902.html
http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2011/03/post-d519.html
http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2011/04/post-fc01.html
http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2011/04/post-a980.html
 ざっと、課題についてお話しすると、本土のオオコノハズクは木魚鳴き、三宅島では子犬鳴きという違いがあることがわかりました。以前より亜種のリュウキュウオオコノハズクは、笑い声鳴きであることがわかっています。そして、伊豆七島(八丈島)産のオオコノハズクはかつて別亜種だったことがわかりました。そして、この亜種は現状では亜種リュウキュウオオコノハズクとなっています。今ある情報では、本土、沖縄、三宅島では鳴き声が違っているのですから、何らかの違いがあるのではないか思います。
 本土と沖縄の亜種の形態の違いは、本土の亜種には足指に毛があり、亜種リュウキュウオオコノハズクはないと違いがあります。では、伊豆七島産のオオコノハズクに足指に毛があるのだろうかという疑問がわいてきました。この部分の解決のために、ぜひ剥製を見て確認したいということでの山階鳥類研究所の来訪です。
 約束の時間にうかがうと、すでにオオコノハズクの剥製を出していただいて、すぐに検証に取りかかれました。ラテックスの手袋にマスクをしての剥製の取り扱い、ちょっと緊張いたしました。
 ところで、オオコノハズクは色も大きさも個体差が大きく、まるで違う種類のフクロウが一つに引き出しに紛れ込んでいるのではないかと思うほどです。そのなかで、大きさや色による三つの産地に違いの傾向が見て取れました。たとえば、本土産は小型で灰色ないし黒っぽい、そして足指にはしっかりと毛がありました(写真図鑑のなかには、本土産でありながら足指の毛のないものがいます。これはなぜなのかの課題は残ります)。沖縄産は赤茶、ないしオレンジ色がかった茶で大きく、足指には毛がありません。肝心の伊豆七島(八丈島)産は、大さも色もまちまちでした。これは冬に捕獲されたもの中には、本土から漂行したものが混在しているためでしょう。そのため、繁殖期に捕獲されたものだけを見ると、色は本土と沖縄の中間くらいで、赤身のある茶色の個体が多い傾向にありました。そして、肝心の足指の毛ですが”ある”のです。本土産ほどではないのですが、あることはあるのです。形態を見る限り、伊豆七島のものは本土と沖縄の間という印象がありました。
 剥製が鳴いてくれれば、かなりの部分が解決できるのですが、そうも行きません。これから私は鳴き声のデータの収集を少しでもできればと思っています。そして、S藤さんらが取り組んでいるDNAの解析により、亜種かそれとも種間の違いなのか、検証されていくことと思います。また、老後の楽しみができました。
 S藤さんはじめ、所員の方々にお世話になりました。ありがとうございました。また、昼食も楽しかったです。

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