三宅島の大録音会-1975年
先日の柚木修さんを忍ぶ会には、新旧のバードウォッチング業界の方々が集まられたので、いろいろなネタが拾えました。
いちばん興味深かったのは、S津さんから「蒲谷鶴彦先生と文化放送主催の録音の会が三宅島で開催され、学生アルバイトとして参加した。その時の写真がある」とのこと。さっそく送っていただきました。撮影日は1975年5月11日、撮影場所は三宅島の錆ヶ浜です。蒲谷先生は前列の中央右、双眼鏡を下げ腕章を付けています。
蒲谷先生から、そのような会があったということは伺っておりました。私は勝手に10人程度の規模のツアーで、カセットデンスケが普及してからのことと思っていました。しかし、写真を見るとざっと72人が写っています。かなり大規模なツアーであったことがわかります。写っている録音機はオープンリールです。カセットタイプのポータブルな録音機は、まだ普及していなかったようです。この時代、すでに生録ブームが始まっていたことがわかります。
写真を見るといろいろなことが見えてきます。まず、若い人が多いですね。当時、野外録音が多くの若者の心をとらえていたのです。女性も多く、重い録音を持って苦労されたのはないでしょうか。双眼鏡をぶら下げているのは、見える限りでは蒲谷先生の他は2名しかいません。この内、1名は学生のアルバイト。服装もアウトドア風の方は少ないですね。当時ならばヤッケが定番です。これから、多くの参加者が野鳥というより野外録音に興味を持った方々であったと推測できます。ちなみに、日本野鳥の会の会員数は現在40,000人に対し当時は2,000名程度、バードウォッチングの趣味は超マイナーな世界であった時代です。
当時は、大噴火(2000年)以前の三宅島です。まだ、神明池の周辺の原生林があり、イタチの導入もされていない原生に近い自然が残っていた時代の三宅島です。S津さんの当日のフィールドノートには、大路池でオオミズナギドリを記録しています。当時は、オオミズナギドリのコロニーが三宅島にあったのです。参加された皆さん、きっと素晴らしい録音が録れたことと思います。
S津さん、貴重な情報をありがとうございます。これも亡くなった柚木さんのお導き、彼にも感謝です。
« タイの洪水の野鳥への影響 | トップページ | ちょっと珍しい出会い-トモエガモ♀ »
「イベント」カテゴリの記事
- 六義園で自然観察会-日光野鳥研究会(2023.03.04)
- シマアオジを守ろうキャンペーン-日本野鳥の会(2021.03.25)
- 彫刻家 ・ 村田勝四郎と日本野鳥の会-展示会(2020.02.09)
- カワセミのシルバーブローチ(2019.12.25)
- 週末は、日本野鳥の会連携団体全国総会(2019.11.11)
コメント