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2011年12月 1日 (木)

間違ったのは私だけ?-エゾフクロウの声

 以前からずっと気になっていることがあります。「フクロウの亜種による鳴き声の違い」で書いたことです。本州のフクロウと北海道の亜種エゾフクロウの声が違うということ。本州や九州の亜種が「ホーホー、ゴロスケホホ」と鳴くの対しエゾフクロウは、前奏の「ホー」は1回、続く節も単純で「ホッホッ」程度にしか聞こえません。これに気がついたのは、大阪市立大学のMさんらです。私は北海道で聞いていたのですが、これに気がつきませんでした。女の子にしてやられたことになります。オジさんとしては、正直くやしいので他の人も間違っていないか調べて見ました。
 北海道は、たくさん野鳥の図鑑が出版されてます。野鳥も多くバードウォッチャーも多い土地柄のせいでしょう。蔵書と閲覧できた本で、フクロウの鳴き声をどう表現しているのかチェックしてみました。以下、本のタイトル、著者、出版社、発行年です。そして、「」内が、フクロウの声の表記です。
『北海道の野鳥』(北海道新聞社・2002)
「ホホ、コロッホ、ホーホー」
『北海道野鳥図鑑』(河井大輔、川崎康弘、島田明英・亜璃西社・2003)
「ホーホー(ウォーウォー)、グルックホーホー)」
『北海道の野鳥』(門間敬行、佐藤晶人・誠文堂新光社・2009)
「ホーホー、ゴロックホーホー」
 なんといずれも、もっとも特徴のある前奏は2音で書かれています。本州の図鑑と表記の大きな違いはありません。今回、Mさんらが比較に用いた音源は、帯広のものと私の温根沼のものです。北海道南部から東部となります。これだけ、書かれていると他の地域では、本州と同じように鳴いているのではないかという疑問がわいてきます。
 ただ私自身、温根沼で聞いたときは、フクロウが鳴いている、フクロウは「ホーホー、グルスクホホ」と鳴くと思って聞いたので気がつかなかったのです。先入観念とは恐ろしいものです。これらの著者も、本州の図鑑を読んで聞いていたのでしょうか。それとも、本州と同じように鳴くエゾフクロウがどこかにいるのでしょうか。
 これから多くの皆さんが注意をしてくれると思いますので、この謎が解明される日も近いことでしょう。

shirokuma様のご参考のために声紋をアップします。左右は7秒、天地は1500Hzです。亜種フクロウの周辺の細かいパターンは他の鳥の声です。

亜種フクロウ

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亜種エゾフクロウ

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コメント

北海道野鳥図鑑の河井さんは、私の高校の先輩ですから、本州の人なので、同じように先入観を持って聞いているのかもしませんね。

シバラボ様
 『北海道野鳥図鑑』はたいへんクオリティの高い図鑑だと思います。丁寧な作りとわかりやすい解説で、そつのない編集がされています。それだけに、そう鳴くエゾフクロウがいるかもしれないという不安もありました。筆者が本州の人ならば、もっと本州との違いにも言及して欲しいところでもありますね。シマエナガ、ミヤマカケスなども本州との違いがあるのか知りたいところです。亜種になっていませんが、カワラヒワ、キビタキ、センダイムシクイは明らかに違いました。

今日読んだ雑誌に河井先輩の文章があって、北海道のフクロウは様々な声を出すと書いてありました。詳細は本人に聞いてみないとわかりませんけど、連絡が取れないのです。

シバラボ様
 本州のフクロウもいろいろな声を出します。面白いのは「ホ、ホ、ホ、ホ」と少し尻上がりに鳴く声は、人の笑い声のように聞こえます。
 私が録音したエゾフクロウは、これに似た声を盛んにやっていましたね。
 現在、日本野鳥の会のシマフクロウ作戦で、録音機が20台投入されています。これには、フクロウやトラツグミ、ヤマシギなど夜行性の鳥の声がたくさん入っています。このデータからもわかると思います。

非常に興味深い内容でした。9月の記事の録音を何度も聞き較べてみたのですが、どうも私は耳が悪いのか、どうしてもエゾフクロウの前奏は「ホホ」とごく短く2音続けているように聴こえてしまいます。野外でも、そうです。あるいはこれもおっしゃるように「思い込み」であって、たとえばソナグラムなどで音源を解析されると、明らかに1音なのでしょうか?もともと私は音感が劣っているので、人の言葉もよく聞き間違えるほどなので、まったく自信がないのですが。

shirokuma様
 拙文、お目にとまり恐縮です。ご希望のように声紋をとってみました。私の音源のみ、1例ですから、これが標準とはいえないことをご理解ください。また、フクロウは低音のため、環境ノイズに埋もれてしまう声のため、たいへん声紋の取りにくい声ですので、不鮮明、不明瞭なこともあらかじめご了承ください。
 ご指摘のように、エゾフクロウの前奏もよく聴くと2音のように聞こえますが、声紋で見ると、亜種フクロウのように明瞭ではないという違いはあると思います。さらに、2節めの複雑度合いは、かなり違いが見て取れると思います。
 いずれにしても、北海道各地の音源を集めて言及しないといけないと思います。
 まずは、ご参考まで・・・

早速の御対応まことにありがとうございました。また、わざわざ声紋をアップしてくださいまして恐縮です。これを見る限りではエゾフクロウの声の方が振幅が単純な感じ・・・と見てよろしいのでしょうか。ただ、個人的な所感では、これは非常に微妙な差であり、亜種間の明らかな鳴き方の違い、というまでには至らないような気もしています(相変わらず私の耳には前奏がホゥホゥと2音に聴こえてしまいますので)。もちろん、お書きになられている通り、もっとたくさんのサンプルをとってみなくてはならないと思います。そうすることで、ある種の「傾向」をみることができれば、そこで初めて図鑑等への記述ということにつながるのではないかと思います。いずれにしても今回の御指摘は目からウロコでした。ちょっとした疑問の追求から、とても興味深いところへ転がり出たような感じで、ますます鳥や自然界が面白く感じられる記事でした。ありがとうございます。

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