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2011年12月 3日 (土)

図鑑の文章はなぜ美しくないのか

 一昨日は、野鳥の図鑑の打ち合わせでした。私は、付録のCD担当です。もう初校が出たのと言うのに、まったく手を付けていません。ちょっと焦っています。まずは、初校で気がついたことを言っておきました。
 この本に限ったことではではないですが、図鑑の解説文、あるいはブログの文章で気になることあります。たとえば、「貪欲な」とか「獰猛な」といった形容詞です。習性を表現する言葉ですが、こうした習性は進化の歴史のなかで勝ち得た生存戦略です。それを、人の価値観でネガティヴな表現はいかがなものかと思います。「貪欲な」は「旺盛な食欲」、「獰猛な」は「果敢な」と言い換えれば良いと思います。
 また、声の表現でもよくあるのは「濁って汚い」。こういった表現はカケスなどの声に使われます。人間には汚く聞こえても、鳥同士は魅力的な声に聞こえているかもしれません。生きていくために必要なコミュニケーションのための声をこれも人の価値観で悪く言うのは賛成できないのです。
 今回指摘した一つに「汚白色」があります。コサメビタキの胸の色などに使われます。「汚」は、文字通りきれいな言葉ではありません。このような言葉をわざわざ使う必要はあるのでしょうか。「淡い灰色」や「薄い灰色で」ではいけないのでしょうか。
 「非繁殖期」も引っかかりました。「非」という文字が入ることで、とてもアンチな雰囲気になります。単純に「越冬期」あるいは「繁殖期以外」で良いと思うのですが、いかがでしょう。同様に「非会員」という表現もときどき見受けられます。まるで会員でないと人で無いような表現です。私が日本野鳥の会の職員の時は、チェックができる限り「未入会」などと言い換えましたが、まだ使われています。
 こう言うと、私が過去に書いた図鑑には、このような表現がないかというとあります。こうした表現に気をつけるようになったのは、文化放送の『朝の小鳥』のシナリオを書くようになってからのここ5年間です。担当のディレクターのS木さんとアナウンサーのI川さんの指摘、指導のたまものです。公共の電波に乗せる言葉ですから細かいところまで神経を使っているのです。とくに耳から受ける語感を大切にされています。このお二方の指摘の鋭さに、一時はシナリオを書く自信がなくなりました。しかし、指摘はごもっとも。鳥が好きで鳥のファンを増やしたいのですから、野鳥に愛を感じるきれいな言葉を使って欲しいものです。

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コメント

初めまして。

考えさせられますね。 拙ブログでも、図鑑から引用して、「非繁殖期」と表記しますが、ごく普通だと思っていました。

R.Ptarmigan様
 こんには。来訪、ありがとうございます。ライチョウ専門なのですね。
 言葉の使い方で、野鳥に対する思いがわかるのではないかと思います。
 今後ともよろしくお願いします。

同感です。私も獰猛はひじょうに気になる表現です。なかには研究者が安易に獰猛という表現を使うことがあり、科学者としての姿勢を疑いたくなります。それと色の表現は昔からどうにかならないかなと思っていました。いろいろ苦心しているようですが、あれは初心者でなくてもわからないです。勝手に色を作っているみたいに思えるのもあります。まあ、先日出した自分の図鑑でも、変という表現がたくさんあって、気になる人もいると思いますが、あれはあえて子供にわかりやすくするために用いました。いずれにしても、自戒を込めて気をつけなければならないと感じています。

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