『Bird Research Vol. 7』の紹介
NPO法人バードリサーチの論文集『Bird Research Vol. 7』が届きました。収録されている短報の『青森県仏沼湿原におけるリュウキュウヨシゴイの声の報告』にコメントを述べました。
興味深い論文ばかりで、さすが鳥学研究の最先端を行くバードリサーチならではの内容です。面白かったのは、三上修さんらのスズメの雛数が農村、住宅地、商業地でかなり異なるという報告です。農村が多く商業地では少ないというのです。違いがあるの驚きですが、その差はかなりあります。いったいなぜなのか、これからの課題もある報告で、彼らの研究に目が離せません。現在の都会の公園では、スズメの親鳥が連れている雛は1、2羽です。昔、住んでいた周りが田んぼの環境では5、6羽でした。過去の数字も解ると面白いと思いますが、私もろくに記録をとっていません。身近な鳥のだとバカにしないでちゃんと記録を取っていれば、お役に立てたのにと悔やまれます。
知人の渡辺美郎さんと平野敏明さんのヒクイナも面白いです。彼らは、神戸市周辺で繁殖期のみならず越冬期も70羽以上のヒクイナの生息を確認しています。まず、関東地方では珍しいヒクイナがこんなにいるのかという驚きです。そして、当地ではヒクイナは夏鳥ではなく留鳥であるという新知見です。ヒクイナのような隠遁性の強い鳥の生態は、よく調べてみなとわからないし発見もたくさんあることになります。このような図鑑の記述を書き換えなくてはならない報告というのは、わくわくさせられます。
冒頭のリュウキュウヨシゴイは、大陸ではロシアでも記録されています。ですから、アシ原の豊富な環境であればこれからも発見される可能性が高い鳥です。そのためには、ぜひとも声に注目していただければと思います。
このほかにもいろいろあります。収録論文のタイトル、ならび要約は下記URLで。一部、論文は閲覧できます。また、入手も可能です。
http://www.bird-research.jp/1_kenkyu/journal_vol07.html
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