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2012年1月29日 (日)

ヤマドリの母衣打ちが聞こえない

 野鳥図鑑のCDの制作に関わって、もう一つ問題がありました。それは、ヤマドリの母衣打ちが聞こえないというのです。ヤマドリの母衣打ちは、雄が身体に翼を打ち付けて出す音です。そのためたいへん低い音で、0~200Hzくらいの音です。スペクトルで表示すると下記のようです。左右が4秒、天地が10,000Hzです。

Copperpheasanthoro

 日本の野鳥が出す音のなかでもっとも低い音域だと思います。ですから、マイクや録音機、あるいはアナログ録音(カセットテープ)などでの録音は難しい音でした。それだけに、デジタル時代の図鑑ですからぜひとも入れたい音となります。
  ところが、写真を提供しているM木さんから聞こえないとうメールをいただきました。また、担当編集者の方にも聞こえていないことが解りました。どうも、コンピュータに付属しているスピーカーでは、この低音を再生することができないのです。
 初めて、ヤマドリの録音をしたときは、ステレオマイクとDAT録音機を日光の山の中で回しているときでした。私は、補聴器の実験で同時にモニターしていたのです。この時、補聴器にヤマドリの母衣打ちが聞こえました。初めて録音できたと思い、家に帰ってテレビのスピーカーから試しに流すと聞こえません。次につないだコンピュータのスピーカーからも聞こえませんでした。そのため、マイクの性能でダメだったかと思ったのです。しかし、しばらくして試しに大きなスピーカーから流してみました。すると、聞こえたのです。ヤマドリの母衣打ちを再生するためには、スピーカーの性能や再生環境が、それなりでないとダメなことがわかりました。今回も同じような問題にみまわれたことになります。
 そのため、今回は母衣打ちだけではなく雄の鳴き声の部分も入れて編集し、何も聞こえないということにならないよう工夫してみました。

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コメント

いつも楽しく読ませて頂いています。私も十数年前に、ブラインドの隣でする、ホロウチを録音して帰宅後、確認したところ録音されてないと思われる経験をした事があります。その事から、ホロウチに興味がわき調べて、ホロウチは繁殖時期だけでない事も分かったり、蒲谷さんの、ヤマドリの声の中の、後半の鋭い音が、警戒音で或る事を確かめるのに数年を要した事も楽しい思い出です。

通りすがり様
 いつもありがとうございます。
 ブラインドの隣で母衣打ちとはうらやましい体験ですね。それだけ近くでやられたら、きっと耳ではなく身体で感じたのではないでしょうか。私も近くでやれたことがありますが、腹に響くようでした。シマフクロウの声と同じように、身体で感じる音だと思いました。
 秋に母衣打ちを聞いたことがあります。どうも、私に対する威嚇のようでした。

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