冬鳥は本当に減ったのか
鳥仲間が顔を合わせれば「冬鳥が少ないね」「ツグミが来ない」が挨拶がわりとなっています。確かに六義園でも少なく、ツグミはいても1羽。シメは、やっと1羽を今週見ることができました。
ただ、私の1980年代の記録を見ると六義園では、ツグミは1羽か2羽が冬を越していくのが普通でした。シメも同じです。それが、ここ10年ほどはどちらも5、6羽が越冬していくようになりました。また、ルリビタキとジョウビタキは、昔はどちらかが1羽しかいませんでした。それが、ここ数年は多ければ合計4羽も見られています。
ですから、今年のツグミなどの少なさは25年前と同じ状態です。今までも多かったことのほうが、変わったことだったのかもしれません。なにせ、繁殖地の状態が解らないなかで、原因を語ることはできません。とくに、冬鳥は夏鳥の帰巣性とは違う、越冬地への渡来ですから途中の状況も作用していることでしょう。それだけに、冬鳥の増減は少なからずあることは当然のことだと思います。
さて昨日、日本野鳥の会神奈川県支部から『神奈川県定線センサスⅠ-神奈川県における定線センサスの結果-1999~2008年10年間のまとめ』をお送りいただきました。
全県下10年間にしては46ページの薄い報告書だと思ったら、データCDが付属で付いていて膨大で精密な記録を見ることができます。たしかに印刷するより安い上に、扱いやすくて便利です。
この報告書のツグミの記録を見ただけでも、毎年増減を繰り返しているのがわかります。安定している鳥、増加した鳥、減少した鳥、増減を繰り返している鳥などさまざまです。私が六義園で調査と同じ印象もあれば異なる事例もあります。いずれにしても、数の変化が多かれ少なかれあるのがわかります。
野鳥の増減は、調査をすればするほど確定的なことは言え無くなってしまいます。想像と思い込みで増減の原因を語るバードウォッチャーに出会いますが、この日本野鳥の会神奈川県支部の調査のように10年間、鳥の数を数えてから言ってもらいたいものです。
« 『朝の小鳥』スタジオ収録の日 | トップページ | 映画のなかの録音機 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 『鳥屋の本読み』卒業(2023.01.24)
- 1960年代のAudubon Magazine-アメリカの録音事情(2022.12.30)
- 小林重三の『狩猟鳥類掛図』(2022.12.04)
- 柳沼俊之さんの野鳥カレンダー2023-ご案内(2022.11.07)
- まぼろしの図鑑刊行-ご案内(2022.09.28)
「研究」カテゴリの記事
- 伊香保の謎の鳥-鳴き声をアップ(2021.12.11)
- アオバズクの鳴き声-倍音の課題(2021.10.13)
- コガラのさえずりの課題(2020.11.20)
- 一度に2つの声を出せる-クロツグミ(2019.12.30)
- 日本野鳥の会神奈川支部の「BINOS 第26集」(2019.12.05)
コメント