« H川さん来訪-日本産鳥類文献リストの完成 | トップページ | ツグミが増えたけれど-六義園 »

2012年2月29日 (水)

スワロフスキー野鳥ステップアップ塾終了

 去年の10月から月1回講義を行ってきたスワロフスキー野鳥ステップアップ塾、最終回となりました。本日は、得意のカラスの話で最後をしめました。
 講義を終わっての質問コーナーで「ハシボソガラスが集団で1羽のハシボソガラスをいじめていた。そのようなことがあるのか?」という質問をいただきました。この会場に来る途中のことで見て来たばかりの話。1羽が数羽から執拗につつかれていたというのです。また、会場にいたスワロフスキーのT本さんも以前、同じような行動を見たと言われ、やはりハシボソガラスだったとの報告もいただきました。
 私は、ハシボソガラスを見る機会が少ない環境に住んでいますので、このような事例は見たことはありません。私が見ているハシブトガラスでは、身体をぶつけ合ってのケンカを見るのは1年に1回あるかないかです。たとえば、空中で絡み合って地面に落下して離ればなれになってケンカは終わりというのを見たことがありますが、1対1であっという間に終わりました。長時間のケンカ、さらに1羽が複数羽が攻撃するのは、ハシブトガラスでは見たことはありません。慶応大学の伊澤先生は、飼育下のハシブトガラスではケンカをして強弱がわかると2度とケンカはしなくなったと報告していました。
 ハシブトガラスの場合、勝敗が決まれば”参りました”というサインがはっきりと出し決着が付くのかもしれません。ハシボソガラスは、そのサインが明確でないために、ケンカが長引くのではと、今日は答えました。ただ、これはあくまでも推測です。
 また、ケンカの原因がわからないのでなんとも言えない部分もあります。ケンカのネタがたとえば、雌の取り合いのようなものであれば、根が深く長引きますし、食べ物ならば簡単に決着が付く(お腹の空いている方が勝つ)と思うのです。
 いずれにしても、カラスが騒いでいると見過ごすのではなく、ケンカの様子まで観察されるようになった受講者の方は、野鳥を見る目がステップアップしてくれたことになります。
 受講者の皆さま。長い間お付き合いいただき誠にありがとうございました。

« H川さん来訪-日本産鳥類文献リストの完成 | トップページ | ツグミが増えたけれど-六義園 »

イベント」カテゴリの記事

コメント

たいへん貴重なお話を5回もお聞きすることができたこと、うれしく思っております。

季節の変わり目ですので、どうぞお体を大切になさってください。

またお目にかかれる日を楽しみにしております!

ヒヨ吉様
 どうも長い間、お付き合いいただきありがとうございました。私自身、皆さんの鋭い反応を感じながらの講演となり、たいへん勉強になりました。
 また、機会がありましたらよろしくお願いいたします。

はしぶとガラスのけんかの目撃
場所は新宿御苑・子ガラスが数羽に囲まれ仰向けになり泣きわめいていした。ほっておけずつい攻撃者を追い払うと子ガラスは尻尾をむしられ哀れな姿に。すぐに生け垣の茂みに逃げ込んだが攻撃者はまだ興奮状態で騒いる。食糧がないと共食いをするのか?
他の家族のテリトリーに入り攻撃されたのか?いまだに疑問です。

三浦祝子様
 なかなか貴重な体験をされましたね。長年、カラスを見ていますが、そのようなエキサイティングなシーンに遭遇したことはありません。うらやましいです。
 共食いは生きているものを対象したのを見たことはありません。まだ、雛や卵を抱えている近所のなわばりに入り込んでしまった可能性のほうが高いと思います。ただ、カラスのこと他の複雑な事情があったのかもしれません。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: スワロフスキー野鳥ステップアップ塾終了:

« H川さん来訪-日本産鳥類文献リストの完成 | トップページ | ツグミが増えたけれど-六義園 »