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2012年3月

2012年3月31日 (土)

線量計で計ってみる

 カミさんが誕生日プレゼントにロシア製の線量計を買ってくれました。RADEXのRD1503です。さっそく、今日六義園へ持って行って計ってみました。
 まず、我が家の室内ですと、0.04~0.05μSv/hと表示されます。インターネットで調べるとだいたいこの数字ですから、まずは安心いたしました。
 では、室外となる六義園の順路で計ってみます。だいたい膝の高さです。写真のように、杭などの載せて計りました。

Geiger

 2、3ヶ所で計りましたが、0.14~0.19μSv/hとなります。地面に置くと高めに数字になりますが、そう大きくは変化しませんでした。現在の東京の屋外における線量のだいたい平均的な数字であり、これまた安心いたしました。
 雨水は池に入り最後は排水口に集まるので、その周辺を計ってみると0.20~0.24Sv/hとなり、高めの数字となりました。また、最近ササを刈り落ち葉をかたづけた場所がありますので、落ち葉のない場所で計ってみると、0.10~0.12μSv/hとやや低めとなり、結果として除染したことになったのでしょう。
 この間の千葉県銚子で、S村さんが同じような線量計を持っていて、計っているのを見せてもらいましたが、そのときの数字は0.4μSv/hと記憶しています。S村さんも「高めだなあ」と言っていました。それに比べれば、六義園は正常値の範囲に留まっていることになります。
 まだ、使い方がこなれていませんので、計り方がこれで良いのかわかりません。もし、間違っていたらごめんなさい。次は、日光で試してみます。

2012年3月30日 (金)

タカのいない鷹匠

 先日、埼玉県川口市の芝川第一調整池で録音していると突然、笛の音が聞こえました。

「falconry.mp3」をダウンロード

 笛の音のする方を見ると一人のオヤジが笛を吹きながら歩いています。よく見ると、笛を吹きながら何かを回しています。回しているものはヒモで、その先に何か付いています。このオヤジは、アシ原周辺を一巡すると止めてあった車に乗って帰っていきました。

Falcony

 この笛とヒモに付いた物を回す行動は、鷹狩りのデモストレーションで見たことがあります。タカを訓練するために、笛の音を聞かせダミーの獲物(ヒモのさきに付いた物)にアタックさせます。これを繰り返すことで、笛の音に反応して獲物を襲うようにするのでしょう。同じようなことで訓練しているのを大久保農耕地でも見たことがありますから、間違いないでしょう。
 ここからは、推測です。このオヤジはどうやらタカを逃がしてしまったようです。逃がしたタカを探して、笛を吹きダミーの獲物を見せていたのでしょう。残念なことに、芝川ではタカとの再会はできなかったようです。そう思って聞くと、心なしか笛の音がむなしく聞こえます。
 以前、六義園で鷹狩りによく使われるモモアカノスリを見つけたことがあります。どうやら、鷹狩りの訓練でタカを逃がしてしまうことが良くあるようです。モモアカノスリでも1羽3,40万円で取引されていますから、真剣に探していたことでしょう。
 私は、日本の文化、伝統である鷹狩りにはたいへん興味があります。しかし、以前鷹狩りのデモストレーションを見たことありますが、鷹匠と称する人の自己顕示のなにものでもありませんでした。それ以前に、数の少ない野生動物を趣味のために個人の所有物とすることには反対です。ですから、このオヤジに対しては同情はいたしません。しかし、人に飼われていたタカが自然の中で生きて行けるのか、タカには同情します。

2012年3月29日 (木)

禽舎での録音-オオコノハズク

 本州のオオコノハズクの声を聞きたいと思っても、なかなか聞く機会がありません。そのため、保護飼育されている個体が鳴けば聞けると思い千葉県市川市にある行徳野鳥観察舎にお願いしておりました。そろそろ季節も春めいて来ましたので、昨日タイマー録音を仕掛けさせていただき、今日回収にうかがいました。ついでに、コミミズクもどう鳴くか聞きたいと思い、コミミズクが入っている禽舎にも置かせていただきました。
 深夜0時から午前6時までの6時間を中心に、前日の午後6時から9時までなど、いくつかのパターンで設定してみました。問題は、近くで鳴くので録音ボリュームの設定をどの程度にしたら良いかわからないことです。とりあえず、いつもより3割ほど低く設定しておきました。
 昼間は、ドバトが絶えず鳴き、ウミネコが騒ぐ禽舎ですが、深夜はとても静かなことがわかりました。これで、鳴いてくれたらばっちりでしたが、オオコノハズクのさえずりらしい声は残念ながら入っていませんでした。
 こちらは、オオコノハズクとアオバズクが入っている禽舎に置いた録音機OLYMPUS LS-7に入ってた声です。ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。つぶやくような声です。オオコノハズクかアオバズクのどちらの声か、わかりませんがフクロウ類がこんな声も出すのですね。

「Scops-Owl-CLS_70108.mp3」をダウンロード

 コミミズクの方は、禽舎を覗いてみると置いた棚の上に録音機がありません。探してみると下に落ちていました。落ちるような置き方はしませんので、コミミズクに怪しい物体と見られて落とされてしまったようです。こちらには、同居しているフクロウらしい「ギャ」という声が入っていましたが、コミミズクのさえずりは入っていませんでした。
 また、季節をずらしてチャレンジしてみたいと思います。いずれにしても、スタッフの皆さんにはお世話になりました。お礼申し上げます。

2012年3月28日 (水)

低音の魅力-サンカノゴイ

 森林の小鳥は、なぜ高い声でさえずるのか。それは、高い音のほうが障害物があっても音が通るからだと思います。たとえば、電車の中でヘッドフォーンをしている人から「シャカシャカ」という高い音が聞こえてくるのは、高い音が隙間を通って聞こえるからです。森のようないろいろな物がある中では、高い音のほうが有利なことになります。ただし、高い音は遠くまで聞こえないというデメリットがあります。
 それに対し、低い音は逆に遠くまで聞こえるけれど、障害物のあるところで通りにくいということになります。
 このシーズン、アシ原でサンカノゴイが鳴いているのを聞いたことがあります。サンカノゴイのさえずりは、「ウッ、ウッ、ウッ」という前奏があって「ブフォ、ブフォ」と4、5声続けて鳴き、夜明け前などは2分間隔で鳴き続けます。この声は100~300Hzで、日本の野鳥の中ではもっとも低い声の一つです。
 最初に聞いた場所をA地点とします。帰り道、直線距離で300mほど離れた所でもサンカノゴイが鳴いていました。ここをB地点とします。さらに、300m離れたC地点に、早朝にタイマー録音を設定してYAMAHA W24を置いたところ、サンカノゴイの声が入っていました。ということで、このアシ原には少なくとも3羽のサンカノゴイがいると判断いたしました。
 C地点でW24でのタイマー録音、ボリューム調整、ノイズリダクションをかけています。午前4時45分頃の録音です。

「GreatBittern120326_0430.mp3」をダウンロード

 後日、録音しようとB地点でサンカノゴイが鳴くのを待ち、声のした方向に向かいました。声を聞いては、方向を確認して100mほど移動していきます。昼間はサンカノゴイが鳴くのは、20~40分に1回しか鳴いてくれません。1時間かけてたどり着いたのは、なんとA地点だったのです。そして、このA地点からもさらに奥のアシ原で聞こえました。ということは、サンカノゴイが鳴いている所からB地点までは400mも離れていたことになりす。A地点とB地点では、声の大きさにそれほど差を感じなかったのです。低い声が、こんな遠くまで聞こえるとは驚きです。
 日本野鳥の会が行ったシマフクロウの調査では、シマフクロウの声が1km以上離れたところで聞こえたと報告を受けています。また、アオバズクの声をたよりに近づこうと延々と歩いてもたどり着けなかった思い出やアオバトの声に近づこうとして一山越えたこともあります。かよう、低い声は遠くまで聞こえることになります。
 低い音のデメリットは、もう一つあることを思い出しました。定位が定まらないのです。どこで鳴いているかわかりにくいのです。私が、最初B地点でA地点の方向で鳴いていると分からなかったのはこのせいです。
 低い声で鳴く鳥たちは、フクロウ類を中心にけっこういます。夜行性の鳥が多いのは、他の鳥のさえずりがにぎやかなのを避けることができるからでしょう。また、サンカノゴイはじめヨシゴイなど、開けた環境にいる鳥も低い声で鳴きます。障害物がない環境に生息する鳥にとって、遠くまで聞こえる低い声で鳴くメリットを活用しているのでしょう。もちろん、いろいろ例外もありますが、鳴き声の音域と環境との関係を考えるといろいろ面白いことありそうです。

2012年3月27日 (火)

一番弟子・福沢範一郎さん-訃報

 高校時代、明治神宮探鳥会に行くと仲むつまじいご夫婦がいらっしゃいました。ご主人の方は目がご不自由で、白い杖をついています。奥様がいつも手を取り、寄り添っていました。私も将来、あのような夫婦になりたいと子供心に思ったものです。
 後で、それが福沢範一郎さんと知りました。お名前のように福沢諭吉のひ孫にあたります。野鳥録音をかなり早くはじめられたなかのお一人です。蒲谷鶴彦先生によると「一番弟子は福沢さん」だとおしゃっておりました。その福沢さんがお亡くなりになりました。
 私は、日本鳥類保護連盟の職員の時には、学校用のスライドに付ける野鳥の声でお世話になりました。また、日本野鳥の会時代には、目の不自由な方のための『さわる図鑑』でも音の提供をお願いいたしました。また、バードソンでは目の不自由な方のチームを作ってくれました。声を聞いて寄付をいただくということで、チーム名を”キクイタダキ”と命名されるなどしゃれっ気のある方でした。
 私が録音を始めたことを知り、何度か電話をいただきました。私は「コンピュータで編集をして、声紋表示をさせて編集することができるのでとても楽だ。」と話してしまいました。考えてみれば、目がご不自由な福沢さんに対してなんと間抜けなことを言ったしまったのかと後で後悔いたしました。
 しかし、目のご不自由ななか、オープンデッキを使用して編集をされていたのですから、いったいどうやって操作をしていたのでしょう。一度、ご自宅のスタジオを拝見しておくのだったとこれまた後悔しております。
 福沢範一郎さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。福沢さんに、この季節ならではのキクイタダキのさえずりを捧げます。

「Goldcrest015-970507e.mp3」をダウンロード

2012年3月26日 (月)

芝川夕景

 昨日、芝川第一調整池にタイマー録音を設置した録音機を2台置いておきました。今日の夕方、録音機の設置場所を移動するために再度、赴きました。夕方の芝川は初めてです。
 日差しは春なのに空気は冬、夕方の寒さを予想して都会での防寒第一級の装備としましたが、それでも寒いくらいでした。この季節の夕方のフィールドならば、春の宵値千金という感じなるはずなのですが、今年は早春がないのかもしれません。
 夕方の芝川は、ウォーキングやイヌの散歩をさせる人がチラホラいるだけ、バードウォッチャーや野鳥カメラマンは一人もいませんでした。それに、私が着いた4時頃には工事の音も気にならず、とても静かでした。
 チラッと飛んだ鳥が、ツバメに見えましたが、遠くて確認できませんでした。ツグミが、夏羽となり眉の白いきれいなタイプが増えてきました。夏鳥と冬鳥が、交差する季節です。
 日暮れを前にホオジロやオオジュリンといった小鳥たちが忙しそうに飛び交っています。ネグラに向かうカラスが上空を通過していきます。面白いのは、カワウのネグラは別のようで皆、南に向かって飛んでいきました。いつもと違う野鳥たちの動きが、新鮮でした。
 夕景の芝川のアシ原です。
Sibakawa120326

2012年3月25日 (日)

ツグミのさえずり-芝川第一調整池

 平日の芝川第一調整池は、周辺の工事の音がうるさいのが難点。日曜日ならば静かだろうと行ってみました。
 到着したときは「シーン」として、ヒバリの声さえ聞こえません。しばらく歩くと、オオジュリンやホオジロが行き交い、チュウヒが飛んで、いつもの芝川らしくなりました。平日昼間の工事の音を避けて早朝と夕方にタイマー録音を設定して、内緒の場所に置いてきました。
 目的を達し、のんびりとアオサギたちのケンカを見ていると、禁止されているラジコンのヘリコプターを飛ばす奴がいます。その上、風も出てきたので早々に引き上げることにしました。その帰り道、聞き慣れないさえずりが聞こえてきました。見ると、ツグミです。よく透き通ったような声と表現されますが、とてもきれいです。はじめは、かなり大きな声で鳴いていましたが、私が録音機を構えた近づいたために小声になってしまいました。
 今まで何度かツグミのさえずりを聞き録音をしましたが、なかなか思うように録れません。今日も、シジュウカラの声とかぶってしまいました。この季節限定の声だけに、チャンスはわずか。フィールドに出て、出会いの確立を高くしないと録れない声です。
 PCM-D1で録音、低音ノイズの軽減、ボリュームのアップ、間をカット、ノイズリダクションをかけています。
「DuskyThrush-subsong12032501.mp3」をダウンロード

2012年3月23日 (金)

バッテリーからの解放

 野外録音の苦労のひとつにバッテリー管理があります。蒲谷鶴彦先生の初期の時代には、別荘地の外灯から電源を頂戴したという逸話が残っています。私の時代になってもDATのD10ProⅡでは専用バッテリー、それも充電するのに数時間かかりました。ですから今、外で鳥が鳴いているから言って録音できなかったのです。明日、録音に行こうと予定を立てたら充電を開始します。ある意味、録音の意気込み、気の入れようが違っていました。書道の前に墨を摺って、心を落ち着かせるのと似ています。それでもD10ProⅡの場合、スタンバイが長いとバッテリー1本で20分くらいしか録音できませんでした。
 それが、メモリー録音機になって長時間録音が可能になりました。それも乾電池が使えるのですから、いざとなったらコンビニに飛び込んで買えば録音できます。高い電池代から解放してくれたのが充電池の登場です。とくに、放電しにくいニッケル水素電池のeneloopの登場でバッテリー管理に神経を使わないですむようになりました。
 本日、新しいeneloop proを購入してみました。黒いフォルムが、いかにも強そうです。
Enelooppro1

 
 容量は、従来のタイプより25%アップしているとのこと。1900mAhから2400mAhになっています。ただし、充電回数は1,800回から500回、5年後でもすぐ使えるが1年後に減少、値段が4本セットが1,170円が1,750円(秋葉原ヨドバシの店頭価格)と高くなりました。それでも、容量25%アップは魅力です。はたして、カタログ値どおり実感できるか、次回の録音行が楽しみです。
 ところで、バードリサーチの植田さんから「ICレコーダの耐寒試験」と題して、ブログをアップしたとのご連絡をいただきました。寒冷地での録音で、どれだけバッテリーが持つのかの実験です。もっとも寒い時でマイナス25度、30日間の長期にわたる録音をしています。このような過酷な条件にも関わらず、稼働しデータが得られたとのこと。これからの研究結果が楽しみです。詳しくは、下記URLで。
  http://bird-research.paslog.jp/article/2410593.html

2012年3月22日 (木)

響くウグイスのさえずり-芝川第一調整池

 暖かくなるという天気予報を信じて芝川第一調整池へ。ところが、空気は冷たく予報ほどではありませんでした。それでも、ヒバリがさえずり夏鳥のコチドリの声を聞くなど、野鳥たちは春となっていました。なかでも、あちこちで聞こえるウグイスのさえずりは春そのもの。PCM-D1で録音、ボリュームはそのまま、低音ノイズの軽減、間を詰めノイズリダクションをかけています。

「BushWarbleinSIBAKAWA12032202.mp3」をダウンロード

 よく聞くと、声が反響していることがわかります。実は、録音機とウグイスの間には水路があり、この空間で音が反響しているのです。ウグイスはそれを知っているのか、さかんにさえずっていました。面白いのは、もう1羽のウグイスがやってきたことです。さえずり合わないところを見ると、さえずりに誘われてきた雌と思われます。ウグイスは、越冬地で番形成がされるのでしょうか。

2012年3月21日 (水)

バイノーラル録音の実験-日光

 やっと時間と天候が合って、日光でバイノーラル録音の実験をすることができました。
 予定していた森には、雪が深く入ることができませんでした。結局、こけこっこさん宅の裏山にお邪魔しての実験です。まず、人と同じ高さにするために三脚に取り付けようとしたのですが、頭の重さと三脚ネジの取り付け方が合わず取れてしまい、三脚に取り付けることは断念しました。ということで、岩の上に置いての録音です。

Dummyheadinnikko

 マイクのPrimo EM4201をYAMAHA W24につないでタイマー録音を2日間行いました。今日は、朝から風が強くコンディションは良くありませんでしたが、昨日の朝は風もなく穏やか。ヒガラ、ホオジロがさえずり、エナガが過ぎっていく様子が録音できました。いちばん、よく入っていたのは、カケスでいろいろな声を聞かせてくれました。その一部です。カケスが左で鳴いていて、カサコソと音を立てているのがわかります。その後、ハシブトガラスが後ろで鳴きながら飛んで行きます。ボリュームはそのまま。低音を軽減して、軽くノイズリダクションをかけています。ヘッドフォーン、またはイヤーフォーンでお聞きください。どれだけステレオ感があるのか、お確かめいただければと思います。

「Jay120320.mp3」をダウンロード

 まだ、野鳥の鳴き声の少ない季節ですので、バイノーラル録音の実力を発揮できていません。これから、にぎやかな季節になったところで、また実験を行いたいと思います。

2012年3月18日 (日)

カワセミは増えたのに・・・

 今日のNHKのTV番組『ダーウィンが来た!』で、カワセミ情報を集めているとの告知がされていました。この前振りに、私が学生時代に調べた東京都のカワセミ後退曲線が紹介されました。40年以上、前の仕事となります。
 当時、日本野鳥の会の事務所にボランティアで出入りしていた私に、事務局にいたI田さんに「カワセミを調べて見ないか?」と言われました。私は、てっきりカワセミの巣を見つけ、その前にブラインドでも張って行動を調べるものだと思いました。まだ、カワセミを見たことがなかった私は、喜んでやりますと言ったのですが、実際はアンケートを採ってまとめるものでした。野外にはいっさい出ないで、机の上ばかりの作業です。しかし、思いの他、カワセミが東京からいなくなったようすをキレイに把握することができました。そのため、このデータはいろいろなところに引用されました。しかし、CGでの紹介は今日が初めてです。
 私がカワセミに会えたのは、さらに4、5年後のこと。それも、東京ではなく岡山の後楽園での出会いでした。それだけ、当時はカワセミが少なかったのです。それが、今では都内の池のある公園ならば海辺まで、カワセミを見ることができます。これは、今日の六義園のカワセミです。コンデジの望遠、約300mmです。増えた上に、近くなりました。Kingfisher120318

 『ダーウィンが来た!』は、そんなカワセミの生態をとらえたいとの企画です。ディレクターとも話したのですが、こんなに増えたカワセミなのに論文がないのが不思議です。画像検索すれば腐るほど写真は出てきますが、生活史を丁寧に追った論文、環境との関わりを解明した論文があまりないのです。バードウォッチャーや野鳥カメラマンにとっては魅力的なカワセミですが、研究者にとっては別のようです。同じ鳥好きでも、このような嗜好の違いがあるのは面白いですね。

2012年3月17日 (土)

デジスコドットコムに投稿しました-野鳥カメラマンとは

 昨日午後に六義園へ行ったら、常連の野鳥カメラマンの方が怒っていました。聞いたら「鳴き声を流し鳥の写真を撮ろうといている奴がいた、注意をしても止めなかった」とのこと。ということは、悪いことと知ってやっているのでしょう。野鳥の写真を撮って楽しむことは否定しません。しかし、野鳥の生活に関わり、脅かすような行為は絶対にすべきではありません。知識がなくやってしまうことはあるでしょう。しかし、注意されたら止めるべきです。野鳥へのマナー以前に、この方の生き方に問題があるのではないかと思います。
 ということで、『デジスコドットコム』のメールマガジンに連載原稿が掲載されました。下記URLで、読むことができます。残念なことに、野鳥カメラマンのマナーをテーマにしていくと当分ネタは続きそうです。
   http://www.digisco.com/mm/dt_61/toku1.htm

 事務連絡です。明日(3月18日)のNHK『ダーウィンが来た!』、メインテーマはカワネズミですが、予告コーナーでカワセミが紹介されます。このなかで昔、私が関わった「東京のカワセミの後退曲線」が紹介されます。

2012年3月16日 (金)

『鳥類真写図巻』を見る

  本日は、日本橋にある三井記念美術館に行ってきました。現在開催中の『茶会への招待』展で渡辺始興の『鳥類真写図巻』が展示されていると、S坂さんが教えてくれました。この『鳥類真写図巻』は円山応挙が模写し、それが国立博物館に所蔵されているとのこと。昔、応挙の絵をカレンダーにしたものを入手、その繊細なタッチのスケッチに感動しました。抽象的な応挙の絵も、元は精密なスケッチがあって描かれているのだと感心したものでした。その応挙のスケッチには元があり、それが始興のものだというのですから驚きです。
 『鳥類真写図巻』は展示会場のもっとも奥にあり、S坂さんとまずは図巻を見ようと他の展示を飛ばして行きました。会場には、誰もおらずゆっくりと見ることができました。図巻と言われるとおり巻物で、解説によれば17mあるそうです。実際に展開されているのは目測でも14m程度あり、かなりの部分を見ることができます。
 面白いのは、ムギマキ(小燕となっている)やサンカノゴイ(五位となっている)など、今では珍しい鳥が描かれていることです。また、オナガが描かれているので、全体に東日本の鳥が描かれている可能性があると思いました。さらに、ヤマドリはどうも亜種ヤマドリのようです。本州北部に分布している亜種なので、江戸で描かれたのではないかと推測しました。ヤマドリは、紹介サイトに下のほうに載っていますので、お確かめください。腰の羽毛の縁が白いこと、尾が太いことなどから亜種ヤマドリではないかと思いました。
 かなり精密なスケッチなので、だいたい種を特定することができます。ただ、できなかったのがワシとタカです。どちらも、いくつかのワシ、いくつかのタカを合体させて、ワシとタカのイメージで描かれたような感じがします。ようするに、他のスケッチと比べて実在感がないのです。また、小さく描かれたワシとタカのラフは典型的な図柄、たとえば『北斎漫画』にありそうな絵です。ということは、始興も他の絵を模写している可能性があります。
 そう思って他の絵を見ていくと、目が描かれている本画のようなものと、目が無い死体を描いたであろう絵の2種類あることがわかりました。目が描かれているのは、虹彩の色や目つきがおかしく、実物を見ていなさそうです。とくにアカゲラは、とまり方がおかしいので、実物を見ているとは思えませんね。とS坂さんと盛り上がっていたら、係員に声が大きいと注意されてしまいました。
 もう一つの目的は、S坂さんご専門の羽箒です。13代一閑作の「鴇羽箒」が展示されているとのことでした。二人で、これを見て「えーっ」と思わず言ってしまいました。どうみても、トキの羽毛ではありません。手前の1枚は白いのですが、上の縁が黒です。さらに奥の羽は、キツネ色と焦茶色の縞模様をしてます。S坂さんは、即座にノガンだと見抜きました。確かに、持ってきた『フィールドガイド日本の野鳥』を見ると、翼に白く縁の黒い羽、腰羽などにはキツネ色と焦茶色の縞模様の羽毛があります。今では珍鳥のノガンですが、江戸時代はけっこういたようで、羽箒にはよく使われているそうです。
 ここでも、けっこう2人で盛り上がりましたがまわりにたくさん人がいたので注意されずにすみました。
 模写が入っているかもしれないとは言え、『鳥類真写図巻』は見事です。開催期間はまだ、ありますのでご興味のある方はご覧いただければと思います。お出かけのさいには、野鳥図鑑を持って行くと、さらに楽しめると思います。
 三井記念美術館のURLです。
 http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
 S坂さん、ありがとうございました。

2012年3月15日 (木)

メジロの舌-六義園

 以前、図鑑を読んでいたら「メジロの舌はブラシ状をしている」と書かれていました。これで、花の蜜をなめとるというのです。ブラシ状といってもいったいどんな形状をしているのかとても気になりました。六義園で見つけたメジロの死体の口を無理矢理開けて、どんな形か見たことがあります。簡単に言うと、爪楊枝の先のような舌に獣毛のようなものが10数本ほど生えていると言った感じです。濡れていると、一束になり普通の舌のように見えます。
 では、これを実際どのように使っているのか、ウメにやって来たメジロで観察してみました。ところが、これがなかなか難しいのです。蜜をなめる時には、嘴の先がほとんど花の中に入ってしまうので、舌が見えないのです。また、花から顔を出すと舌は出ていません。100枚くらい写真を撮って、やっと花と嘴の角度が合った写真が撮れました。見る限り、舌の先の毛がひろがっているわけでないようです。1本の舌より、毛があって表面積が広い舌の方が蜜をなめ取る効率が良いと言うことでしょう。それにしても、メジロは蜜が大好きなようで、夢中でなめていました。
Whiteeyetan

樋口広芳先生の退職パーティ

 午前中は、六義園の調査でした。ハシブトガラスが、枝を折って巣材する行動が見られました。これも春のきざしです。
 昨夜は、カラスの研究でもお馴染みの樋口広芳先生の退職パーティでした。樋口先生は、東京大学大学院教授として日本の鳥学を率いて来た方です。私は日本野鳥の会在職中、会の研究センターにいらした先生にたいへんお世話になりました。
 長年、教職の立場にあっただけに教え子の方々、私のように日本野鳥の会や学会を通じて指導を乞うた方々が集まって、とても盛大なパーティでした。主催者側発表160人も参加されたということで、会場はいっぱい。熱気にあふれていました。

Higuchiparty

  樋口先生がすごいなあと思うのは論文はもちろんのこと、エッセイの文章もとてもお上手なことです。えてして学者の書く文章というのは、わかりに憎くて読むのに苦労します。ちりばめられた専門用語がひとつの壁となり、ほんとうにこの先生は解って書いているのだろうかと疑問を感じるような解説もあります。ところが、樋口先生の著書を読むと、わかりやすい上にわくわくさせられ自然や野鳥の魅力、あるいは生命の素晴らしさが伝わってくるのですから、すごいと思います。
 鳥業界の中では”樋口広芳”がビックネームだと思うのですが、バードウォッチャーの中には意外と知られていません。私が日本野鳥の会在職中、理事になられ研究センター長に就任しました。総会で全国から集まられた支部の方々の前で挨拶をされましたが、樋口先生を知らない方がけっこういました。いったい、この人は何なんだという顔をしていた人がいたのが印象的でした。要するに当時、すでに『赤い卵の謎』(思索社・1985)も『鳥たちの生態学』(朝日新聞社・1986)も出版されていたのですが、これらの本を読んでいない地方のリーダーが多かったと言うことになります。
 樋口先生は、とてつもない勉強家であり、自然を見る素晴らしい感性をお持ちです。それをやさしく解説してくれるのですから、こんなありがたいことはありません。その恩恵に浴すことがないのでは、なんとももったいないことだと思います。

2012年3月13日 (火)

今日は上機嫌-『満州鳥類原色大図鑑』を入手

 今日は、とても機嫌が良いのです。なんと『満州鳥類原色大図鑑』(水野馨・1940)を入手することができたからです。このところ、図鑑の歴史の話をする機会がありましたので、いろいろ調べていると『満州鳥類原色大図鑑』が幻の図鑑であることがわかりました。この本は、まず市場に出ることはありません。少なくとも私は古書店の棚に並んでいるのを見たことはありません。専門の古書店のカタログに載ることはありますが、とても高価です。そのため、装丁はもとより内容が不明でした。そのあこがれの本を入手できたのですから、今日は上機嫌なのです。
Mansyuzukan

 実際に手にしてみて、凄い本であることがわかりました。429種が収録され、A4変形版323ページの大著です。タイトルどおり鳥の図版は、すべてカラー。当時、オールカラーの図鑑は黒田図鑑のみ。それだけに、レイアウトや造りは6年前に出版された黒田図鑑に良く似ています。そして、戦前に出版された黒田、山階、内田の大図鑑に次ぐ規模の図鑑となります。
 著者の水野馨については、よくわかりません。1960年代の『野鳥』誌に毎月、ロシア(当時ソビエト)の鳥の分布図を載せていた方だと思うのですが、これは記憶です。
 絵は、松永南楽となっていますが、他の鳥の絵は知りません。ググると、鹿児島県の高校の校長室に彼が書いた鳥瞰図が残っているので、画家であることは間違いないようです。気になったのは、これだけの大著でありながら小林重三の絵ではないのです。私の持論、小林重三は戦前は貴族の仕事しかしなかった、平民は使えなかったことがここでも立証されました。
 それにしても、太平洋戦争が始まる前の年に、よくこれだけの本が出版されたものです。その答えは、前書きと奥付にありました。前書きに「満鉄奨学資金財団」の援助を得たとあり、奥付にも同様に書かれています。要するに満州鉄道が援助したことで、この本の出版が可能になったのです。当時の満州鉄道は、今のJRどころではない大企業です。たとえば、満鉄の病院の装備は本土より良かったと言われています。当時の最新技術の粋が集まっていた王国です。この大企業の株を山階家や黒田家は所有していました。敗戦後、満鉄株は紙切れになってしまい両家とも経済的に窮地に陥ったと言われています。なんとも、歴史の皮肉がここにもあります。
 感動したのは水野の前書き、「余は渡満以来十年の間、鳥類の蒐集研究に従事し來つた。時には討伐隊に加わりて先人未踏の地を往き降るが如き匪弾を犯し、時には山頂の寒寺に山僧と狼聲に脅え、或いは又、人跡稀なる原野に一二の苦力と起居を共にし」と書かれています。なんと、この図鑑の制作には命をかけた記録が収録されているのです。現在では、想像もできない図鑑作りが日本の野鳥史のなかにあったのです。

2012年3月12日 (月)

謎の羽-だいや川公園自然観察会

 週末は、日光でした。日光は、3月とは思えない寒さと悪天候、今年の日光の早春はなさそうです。それでも、日曜日の日光野鳥研究会の「だいや川公園自然観察会」は、曇りでときどき日が差してくれました。天気はイマイチでしたが、鳥はたくさん見られました。何しろ、開始の挨拶のときに頭の上をコハクチョウの数羽の群れが旋回してくるという珍事、コハクチョウを日光で見たのは、はじめです。北帰行の途中の群れでしょう。
 そして見つけたのが、この不思議な風景です。

Greategretwing

 はじめは、木に白いビニール袋でも絡まっているように見えました。しかし、よく見ると羽毛です。白いのでニワトリかと思ったら、ダイサギでした。この写真の反対側に黒い足が突き出ています。また、黄色い嘴も残っていました。なんともシュールな風景です。
 ようするに、木の裂け目にダイサギが1羽、挟まっているのです。この羽のあるところは目の高さくらい、約1m50cmです。見た限り、1羽分丸ごとはさまっています。
 ここには、ダイサギを捕らえることができる猛禽類としては、オオタカやハヤブサがいます。しかし、大きなダイサギを捕らえて捕らえて食べるのならば、高い所に持ち上げられないので、地面に羽毛が散ります。以前、オオタカがチュウサギを捕らえたのを見たことがありますが、地面すれすれを飛んで藪の中の地面で食べていました。ネコもだいたい地面で食べるので、1ヶ所に羽毛が散るでしょう。
 このようなことをするのは獣、この環境ならばテンが怪しいことになります。捕まえたダイサギをゆっくり料理するために木の上に運び、洞に入り込んで食べていたと推理しました。それにしても、森の中にダイサギはいないので第一犯行現場は他の場所、大谷川の河川敷で行われたことでしょう。
 参加者一同、木を取り囲んで推理と議論、こんな楽しい自然観察会はありませんね。
 今日は、ダミーヘッドを用いて録音をしようと思いました。ところが、朝から雪。いちおう山に入ったのですが、かなりの積雪で録音は断念。首実験は、次回までおあずけです。

2012年3月11日 (日)

ダミーヘッド完成

 こけこっこさんは2号機を、Tさんは初号機を完成させ、立体感ある音をさっそく聞かせてくれました。Tさんがとらえたカモが右から左に飛んでいく様子が、はっきりわかる音には思わず「おお!」と声を上げてしまいました。私も、野鳥たちのさえずりの季節を迎え、気が急いてまいりました。ということで、急ピッチでダミーヘッドを完成させてました。
 マネキンの顔は、左右の距離を作るためと割り切り、加工するのは止めました。ただ、人と同じ高さを得るためには三脚に取り付けなくてはなりませんので、底に三脚穴の受けを埋め込みました。ヘッドホーンは、中身を抜き密度を高めるために紙粘土を埋め込みました。そして、懸案だった耳をヘッドホーンに取り付けるのは、ネジで上と下を留めることで済ませました。思いの他、ヘッドホーンのプラスチックが硬くて穴を開けるのに苦労をいたしました。耳から黒いスポンジの風防が飛び出すのは見苦しいですが、やもうえません。まずは、完成写真をアップしておきます。

Dummyhead

 今度、晴れたら日光で実験です。

2012年3月10日 (土)

今年のウグイスの初鳴き-六義園

 六義園のウメは満開です。ウメは咲いたかウグイスはまだかいなと、六義園に行くたびにウグイスのさえずりを探しました。職員や売店のお兄さんの話では、1週間くらい前からさえずりっているのを聞いていると言われています。しかし、私はなかなか聞くことはできません。やっと聞くことができて録音できたのは、一昨日のこと。私の六義園におけるウグイスの初鳴きの記録は、今年は3月8日となりました。
 六義園でもっとも早い記録は、1月13日(1986年)ですが、これはとても特異な記録です。ほとんどが、3月上旬の記録です。ですから、今年は例年並みの記録ということになります。
 一昨日、録音した声は次の通りです。PCM-D1で録音、加工編集しています。

「Bush-Warbler12030801.mp3」をダウンロード

 まだ、さえずり始めのおぼつかない鳴き方です。他の方は、もう1週間前に聞いているのですから、1週間もたてばしっかりした鳴き方になっているはずですが、まだおぼつかないのです。私が何度、六義園へ行っても聞けなかったようにウグイスは鳴き始めたもののさかんに鳴くことはなく、いつまでたってもおぼつかない鳴き方なのでしょう。
 昨日今日の雨と寒さで当分、ウグイスのさえずりが本格的になるには、もうしばらくかかりそうですね。

2012年3月 9日 (金)

日本野鳥の会理事会-会長はノーギャラ

 昨日は日本野鳥の会の理事会でした。新体制になっての理事会、回数も多くなり話し合いの密度も濃くなりました。今回は、3月ということで来年度にむけての事業計画と予算についての議案がメイン。相変わらずの赤字体質は変わりません。にもかかわらず、保護の活動を止めるわけにはいかず、その負担の多くは事務局にかっかってきます。
 この間、LCの航空会社が話題になっていました。格安の航空運賃で運航するために職員が節約のためにさまざまな工夫をしているというのです。たとえば、文房具のボールペンなどは、ノベルティでもらってきたものを使っている、テーブルや椅子は不揃い、会議室でお弁当など、慎ましいアイディアがニュースになっていました。
 これは、私がいた頃の日本野鳥の会の事務局では当たり前のことでした。ボールペンは自前です。自宅で眠っているボールペンを持ってくるようにという指令がでるのです。当時ショップの陳列ケースは、粗大ゴミで捨ててあったものを拾ってきたものです。当然、給料が安いので弁当組が多く会議室で食べていました。私が退職して来年で20年になりますが、当時使用していた椅子などは、今もなお使われています。これがバブル前後、一般的には好景気と言われていた時のことです。ですから、格安航空会社が何をいまさらという気持ちになります。
 昨日も話題になったのは「ギャラの高そうな役者の柳生博が会長なので、日本野鳥の会はお金があると思われた」というエピソードがあったとのこと。言っておきますが、柳生会長はノーギャラなのです。にも拘わらず、全国の支部を回ったり企業廻りをしてくれているのですから頭がさがります。これは、声を大にして言っておくべきだと私自身が提案いたしましたので、今日のメインテーマにさせていただきます。ちなみに、私を含め非常勤の理事も交通費だけです。
 昨日は、このほかコメディアンでたけし軍団の鳩山来留夫改めヤチョウの会さんが、挨拶にきていました。学生バードソンで集められた募金、約100万円の贈呈が行われました。そして、理事会後のサプライズ。安西英明さんが勤続30年を迎えたために、顕彰式が行われました。本人も知らされていないなかでの突然の賞状と副賞の贈呈、あの学生だった安西さんが勤続30年とは感慨深いものがあります。

2012年3月 7日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-4月の渡り鳥

 今日の午後は、文化放送で『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。4月放送予定は、4月の美声の渡り鳥たちです。最初は、珍しい鳥だけで構成しようと思ったのですが、音的になっとくできなくなって予定変更。日光の渡って来たばかりのオオルリと六義園を通過していったエゾムシクイを加えて、4月に聞かれる声の美しい渡り鳥といたしました。
 珍しい鳥のほうは、キガシラシトド、カラフトムシクイ、シマゴマです。キガシラシトドとカラフトムシクイは記事にもいたしましたので番組になるとどうなるのか、お聞きいただければと思います。シマゴマは粟島のもので森の中で、シマゴマのさえずりに囲まれたときのものです。
 オオルリは、オオルリの多い日光だけに流れから離れ静かな環境で鳴いていたときのもので、とっておきの音源を使用しました。エゾムシクイは、六義園で実際に録音したものと言っておかないと信じてもらえないほど、クリアな音源です。都会の公園でも工夫しだいで、これだけの音が録れるのです。
 そういえば、去年の今頃はキガシラシトドのために松戸に5回行っています。最初は、近くにいたオジロビタキ狙いです。その後、キガシラシトドがさえずっていると教えてもらい、人のいない早朝を狙って録音に行きました。その間に3.11震災があったのですから、平和にバードウォッチングをできる喜びを噛みしめながらの録音行でした。
 4月の放送予定は下記のとおりです。
 2012年4月4日 キガシラシトド
       8日  カラフトムシクイ
           15日  シマゴマ
           22日  オオルリ
           29日  エゾムシクイ

2012年3月 6日 (火)

見れば見るほど面白いデジタル標高地形図

  3.11が近づくとともに震災の話題が多くなってきました。そんななかで、義弟が国土地理院のサイトで『東京都区部 1:25,000 デジタル標高地形図』というのがあるから見てご覧と教えてくれました。この地形図、見ればみるほど興味深い地図です。
  http://www1.gsi.go.jp/geowww/Laser_HP/image/tokyotokubu_all.jpg
 まずは、地震で心配な地盤の強弱を予想できます。ようすうるに荒川の洪積によってできた地盤の弱い地域と荒川の河岸段丘から上のいわゆる山の手、比較的地盤のしっかりした地域が一目でわかります。細かく見ると、私の家の付近で言えば駒込の東側には低地が続いていることがわかります。現在の霜降銀座、アゼリア通り、田端銀座、そして夜店通りとつながっています。ここにはかつて谷田川という川があり、不忍池に流れ込んでいたことがわかります。ここも弱そうです。
 また、江戸城はかなり海辺にあったこともわかります。上野の山から江戸城、愛宕山につづく台地が、かつての海岸線だったことになります。そして、おおむね黄色部分が、江戸時代は里山の風景が広がり、水色の部分は湿地、水田であったことになります。
 地図を見ていて気がついたのは、カラスのネグラがすべてこの黄色い部分、山の手にあることです。この地図の範囲では、上野公園がもっとも東にあるネグラになります。また、さらに東にあるネグラは千葉県の国府台となり、江戸川の河岸段丘の上になります。この間の水色の部分にも大型の緑地がいくついもあるのですが、カラスのネグラはないのです。カラスのネグラは、台地の上という条件があったのです。カラスは、地震を予見して地盤の固い地域でネグラをしているわけではないと思います。私たちは、地面を歩いているとこれだけの凹凸があることは実感できません。しかし、空を飛ぶカラスは敏感に感じているのでしょう。
 いずれにしても、この地図。購入して、カミさんの部屋に貼っています。

2012年3月 4日 (日)

運河探鳥会-あしだちの会

 今日は、あしだちの会の運河探鳥会に、おじゃまいたしました。

Unga20120304

 運河とは、千葉県流山市の東武野田線運河駅周辺のことです。私は2度目の来訪です。この前、行ったのはオオヨシキリの声を録るためで、6月のこと。一つ前の江戸川駅から、江戸川に近い方の水田や農耕地を運河駅まで歩きました。とても暑かった思い出があります。
 今回は、運河駅を起点として理窓会記念林自然公園とその周辺を歩きました。江戸川運河沿いに歩いた後は、雑木林や湿地、池が点在する里山の風景のなかでのバードウォッチングです。同じ運河でも前回とは、まったく違う環境が広がっていることに驚きました。それに、前回との違いは寒さ、とても3月とは思えない寒さです。都市のバードウォッチング装備では、一級の寒さ対策していったのですが、それでも寒くてたまりませんでした。
 鳥のほうは、いないと言われていたツグミがたくさんいました。六義園同様、今になって増えたようです。シロハラにアカハラとほかのツグミ類にも出会いました。また、カワラヒワ数10羽の群れは、どうも亜種オオカワラヒワのようでした。野鳥で春を感じたのは、シジュウカラのさえずりくらいで、まだまだ冬鳥が元気な季節を実感した探鳥会でした。
 あすだちの会は、野鳥以外にも詳しい人が多いのでフキノトウを見つけたり、マンサクの花を見つけてくれます。自然を見る目が、いろいろあれば春を見つけることができることを知りました。
 

2012年3月 2日 (金)

猫が好き♪さんのお葬式

 インターネット前夜、コンピュータ通信というものがありました。大手にNifty があり、フォーラムというコンテンツには、いろいろな仲間が集まりました。今では、個人でホームページやブログの運営、あるいはFacebookやTwitterで情報発信ができます。しかし、当時はコンピュータ通信のフォーラムでなければ情報交換できなかったです。このNiftyには野鳥を趣味とするフォーラムがあり、珍鳥から保護運動の情報交換をするFbirdがありました。
 そのシスオペの中心的な存在であった猫が好き♪さんがお亡くなりになりました。今日は彼の告別式でした。享年53歳、まだ若いです。雨のなかのお葬式、いちだんと悲しみがつのります。
 猫が好き♪さんには、私が日本野鳥の会の職員だった時、バードソンというイベントでたいへんお世話になりました。当時のネット環境は、モデムをつかってデータや文字を通信するもの。このときの通信能力は300baudの時代です。そのとき連れてきた赤ちゃんが、立派なお嬢さんになっていたのですから、時の流れを感じます。
 当時、日本野鳥の会会員は1万人程度、それにも関わらずFbirdの登録人数は数千人いたのですからすごいものです。それだけに、伊豆沼などの有名探鳥地に行くと望遠鏡にFbirdのステッカーを誇らしげに貼ったバードウォッチャーによく会ったものです。
 私自身、フォーラムに書き込んだことがありますが、理由の解らない中傷を受けたことがあります。私の発言内容に対してではなく、書き方などを非難されました。運営に関わっているシスオペの方が仲裁に入り事なきを得ました。猫が好き♪さんもシスオペですが、ケンカをしてしまうタイプでした。ただ、気に入らないから排除するではなくご自身の信念をしっかりもっての論争ですから生半可な気持ちや感情で議論に参加したら、たちまち打ちのめされます。それだけに嫌われる人には嫌われたことと思います。
 幸いにして私や日本野鳥の会についても好意的で、敬意を持って接してくれました。当時、日本野鳥の会は中傷されることが多かったのですから、私としては強い味方に見えました。ですから、バードソンで集めてくれた寄付金もさることながら、猫が好き♪さんが協力してくれるのだから、私たちのやっていることは間違いないという精神的な支えとして、とても大きな存在だったと思います。
 日本野鳥の会退職後は、お会いすることもなく疎遠になってしまいましたが、久しぶりに聞いた彼のネタが訃報だったとは、なんとも悲しいかぎりです。それにしても、Facebookで訃報を知り葬式に行った第一号となりました。また、葬式の受付でハンドルネームを書かされたのもはじめでした。これも、猫が好き♪さんらしいといえばらしいです。
 ご冥福を心からお祈り申し上げます。

2012年3月 1日 (木)

ツグミが増えたけれど-六義園

 今日は月2回行っている六義園の調査の日でしたが、すっかり忘れていました。K藤さんからメールをいただき慌てて駆けつけました。
 ウメは木によっては3分咲き。アセビの花も今にも咲きそうです。鳥の方はシジュウカラがさえずり、春らしい気配がそこかしこにありました。そして、「いない、いない」と言われているツグミがたくさんいました。一廻りをして10羽を数えました。前回の調査の2月15日は1羽だったのですから急増したことになります。この10羽は、群れではなく、ほとんどが単独での出現です。ですから、六義園でツグミがいそうな環境ではかならずいるという感じです。
 普通、六義園では11月にツグミがやってきます。渡ってきたばかりの頃は数羽から10数羽の群れです。この群れとは、木の多い森の中での出会いが多い傾向にあります。しばらくすると、単独で会うことが多くなります。それに伴い芝生など開けた環境にいるようになります。どうも、食べ物が少なくなると群れを解き、冬のなわばりを持って単独で生活をするようです。
 ですから、いきなり単独で生活しはじめるというのは今までにないパターンです。また、ここ数年の傾向として、ツグミとの距離が近いことがあります。芝生のような環境でさえ、数mまで近くにやってきていました。ところが、今日のツグミはいずれも警戒心が強く、近くまでやってくることはありません。どうも毎年、六義園で越冬しているツグミではないような印象があります。
 ツグミが増えたものの普段通りでない、何かがあるのかもしれません。

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