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2012年3月16日 (金)

『鳥類真写図巻』を見る

  本日は、日本橋にある三井記念美術館に行ってきました。現在開催中の『茶会への招待』展で渡辺始興の『鳥類真写図巻』が展示されていると、S坂さんが教えてくれました。この『鳥類真写図巻』は円山応挙が模写し、それが国立博物館に所蔵されているとのこと。昔、応挙の絵をカレンダーにしたものを入手、その繊細なタッチのスケッチに感動しました。抽象的な応挙の絵も、元は精密なスケッチがあって描かれているのだと感心したものでした。その応挙のスケッチには元があり、それが始興のものだというのですから驚きです。
 『鳥類真写図巻』は展示会場のもっとも奥にあり、S坂さんとまずは図巻を見ようと他の展示を飛ばして行きました。会場には、誰もおらずゆっくりと見ることができました。図巻と言われるとおり巻物で、解説によれば17mあるそうです。実際に展開されているのは目測でも14m程度あり、かなりの部分を見ることができます。
 面白いのは、ムギマキ(小燕となっている)やサンカノゴイ(五位となっている)など、今では珍しい鳥が描かれていることです。また、オナガが描かれているので、全体に東日本の鳥が描かれている可能性があると思いました。さらに、ヤマドリはどうも亜種ヤマドリのようです。本州北部に分布している亜種なので、江戸で描かれたのではないかと推測しました。ヤマドリは、紹介サイトに下のほうに載っていますので、お確かめください。腰の羽毛の縁が白いこと、尾が太いことなどから亜種ヤマドリではないかと思いました。
 かなり精密なスケッチなので、だいたい種を特定することができます。ただ、できなかったのがワシとタカです。どちらも、いくつかのワシ、いくつかのタカを合体させて、ワシとタカのイメージで描かれたような感じがします。ようするに、他のスケッチと比べて実在感がないのです。また、小さく描かれたワシとタカのラフは典型的な図柄、たとえば『北斎漫画』にありそうな絵です。ということは、始興も他の絵を模写している可能性があります。
 そう思って他の絵を見ていくと、目が描かれている本画のようなものと、目が無い死体を描いたであろう絵の2種類あることがわかりました。目が描かれているのは、虹彩の色や目つきがおかしく、実物を見ていなさそうです。とくにアカゲラは、とまり方がおかしいので、実物を見ているとは思えませんね。とS坂さんと盛り上がっていたら、係員に声が大きいと注意されてしまいました。
 もう一つの目的は、S坂さんご専門の羽箒です。13代一閑作の「鴇羽箒」が展示されているとのことでした。二人で、これを見て「えーっ」と思わず言ってしまいました。どうみても、トキの羽毛ではありません。手前の1枚は白いのですが、上の縁が黒です。さらに奥の羽は、キツネ色と焦茶色の縞模様をしてます。S坂さんは、即座にノガンだと見抜きました。確かに、持ってきた『フィールドガイド日本の野鳥』を見ると、翼に白く縁の黒い羽、腰羽などにはキツネ色と焦茶色の縞模様の羽毛があります。今では珍鳥のノガンですが、江戸時代はけっこういたようで、羽箒にはよく使われているそうです。
 ここでも、けっこう2人で盛り上がりましたがまわりにたくさん人がいたので注意されずにすみました。
 模写が入っているかもしれないとは言え、『鳥類真写図巻』は見事です。開催期間はまだ、ありますのでご興味のある方はご覧いただければと思います。お出かけのさいには、野鳥図鑑を持って行くと、さらに楽しめると思います。
 三井記念美術館のURLです。
 http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
 S坂さん、ありがとうございました。

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コメント

サントリー美術館の「東洋陶磁の美」でも、
鳥がたくさんいました。
6世紀の「青磁天鶏壷」
元時代の「青色蓮池鴛鴦文鉢」
明時代の「青花花鳥文盤」重要文化財
    「青花花鳥文水注」
    「法花花鳥文壷」重要文化財
高麗時代「青磁彫刻鴛鴦蓋香炉」
朝鮮時代「粉青鉄絵蓮池鳥魚文俵壷」
    「青花寅鵲文壷」・・etc
昔の陶磁には、鳥のモチーフが多いんだなと思いました。


 

なこ様
 ご無沙汰です。陶器も魅力的ですね。中国の鳥類図鑑を持って行かないと、名前がわからないでしょう。
 三井記念美術館の展示の主なものは茶器で、国宝級のお品が並んでいます。茶道に造詣の深いなこ様には、こちらのほうも感動されると思います。

三井記念美術館の展示、行ってみたいと思いました!

まつ様

 私もある人から、この絵の展示をやってますよと言われ、大変興味があるので必ず行きますと言っておきながら すっかり忘れていたのですが、また忘れないうちに行こうと思っています 応挙の写実絵だと言われていたものが、渡辺始興の写し絵だったとは、驚きでした
 また始興が誰かのを写しているかもと言う可能性もあるわけですね
始興も上手な絵書きですね。

kochan様
 花鳥茶屋ブログにアップされている応挙のムギマキとそっくりでした。展示では、コガモなど2点ほど応挙と始興の絵を比較で展示していますが、全体像はわかりません。kochanさんが所蔵の応挙の画集を持って行くと面白いかもしれませんね。

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