タカのいない鷹匠
先日、埼玉県川口市の芝川第一調整池で録音していると突然、笛の音が聞こえました。
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笛の音のする方を見ると一人のオヤジが笛を吹きながら歩いています。よく見ると、笛を吹きながら何かを回しています。回しているものはヒモで、その先に何か付いています。このオヤジは、アシ原周辺を一巡すると止めてあった車に乗って帰っていきました。
この笛とヒモに付いた物を回す行動は、鷹狩りのデモストレーションで見たことがあります。タカを訓練するために、笛の音を聞かせダミーの獲物(ヒモのさきに付いた物)にアタックさせます。これを繰り返すことで、笛の音に反応して獲物を襲うようにするのでしょう。同じようなことで訓練しているのを大久保農耕地でも見たことがありますから、間違いないでしょう。
ここからは、推測です。このオヤジはどうやらタカを逃がしてしまったようです。逃がしたタカを探して、笛を吹きダミーの獲物を見せていたのでしょう。残念なことに、芝川ではタカとの再会はできなかったようです。そう思って聞くと、心なしか笛の音がむなしく聞こえます。
以前、六義園で鷹狩りによく使われるモモアカノスリを見つけたことがあります。どうやら、鷹狩りの訓練でタカを逃がしてしまうことが良くあるようです。モモアカノスリでも1羽3,40万円で取引されていますから、真剣に探していたことでしょう。
私は、日本の文化、伝統である鷹狩りにはたいへん興味があります。しかし、以前鷹狩りのデモストレーションを見たことありますが、鷹匠と称する人の自己顕示のなにものでもありませんでした。それ以前に、数の少ない野生動物を趣味のために個人の所有物とすることには反対です。ですから、このオヤジに対しては同情はいたしません。しかし、人に飼われていたタカが自然の中で生きて行けるのか、タカには同情します。
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