念願のタマシギ
昨日今日と兵庫県にタマシギを録りに行ってきました。例によって、ヒクイナ研究家のW辺さんのご案内です。
タマシギは録音の難しい鳥です。まず、関東平野では激減し、限定された場所の鳥となりました。ですから、私はタマシギと3回遭遇しているのですが、録音はもちろん声を聞いたことはありません。とにかく少ない鳥になってしまいました。また、水田のような開けた環境では音は良く通ります。そのため、道路が巡っているところでは車の音をさけようがありません。また、タマシギが鳴き始める5月はオオヨシキリが渡ってきてしまうし、カエルが鳴き始め、とてもにぎやかななかで録音しなくてはなりません。
ところがW辺さんの話では、兵庫では4月に鳴いているとというのです。要するに、水田に水が入るとやってきて雌がなわばりを持ち雄を呼ぶのです。4月ならば、オオヨシキリはまだ来ないしカエルも鳴かないだろうと、お願いしておりました。
しかし、今年は3~4月の寒さのせいか、水田に水が入ったのは5月中旬。それに合わせてタマシギが水田にやってきたのは1週間前だったのです。カエルは鳴いているかもしれないし、オオヨシキリもにぎやかに違いありません。それでも、まだ聞いたことのないタマシギの声を聞きたいと、うかがったしだいです。
毎度、難題のお願いにW辺さんも慣れて、見つけておいていただいたタマシギのいる水田は道路から離れていて、とても静かです。また、周辺にアシ原がないのでオオヨシキリもいません。農道に車を止め、真っ赤な夕日が雲の間に消えていくのを待ちます。早いと午後5時に鳴くというのですが鳴きません。「鳴くかな」「せっかく来てくれたのに鳴かなかったらどうしよう」「鳴いてくれ」と気がつくと手を合わせて祈っているW辺さんです。
薄暗くなった7時20分、かすかに「ポウ、ポウ」というタマシギの声が聞こえました。これをきっかけに、鳴き続けてくれました。だんだん声が大きくなり力が入っていくのもわかります。それと鳴く前に「ウッ、ウッ、ウッ」という前奏があることを知りました。
この季節、カエルの声は避けようがありません。しかし、カエルの声のおかげで水田の風景を感じることができます。PCM-D1で録音、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。
「Painted-snipe120530.mp3」をダウンロード
しかし、この手の単純で深みのある声は耳に付きます。帰り道、他でもタマシギが鳴いていないか探しながら水田を巡ったのですが、何度もタマシギの声が聞こえました。いずれも空耳でした。これは、帰りの新幹線のなかでも鳴いていました。
W辺さん、お世話になりました。お礼申し上げます。
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