« 2012年5月 | トップページ | 2012年7月 »

2012年6月

2012年6月30日 (土)

ヒヨドリのさえずり-六義園

 以前、ベテランのバードウォッチャーに「ヒヨドリには夏の声と冬の声がある」と言ったら「それは知らなかった」と驚いていました。正確には「さえずりと地鳴きがある」というべきだったのかもしれませんが、たしかに冬に聞く声と今、鳴いている声は異なります。この違いのポイントのひとつは”同じ節の繰り返し”です。たとえば、こういう声です。録音場所は文京区六義園、日時は2012年6月23日、PCM-D1で録音、ボリューム調整、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「Brown-earedBulbu-song12062300.mp3」をダウンロード

 この録音は、3分20秒あります。録音する前から鳴いていましたので、少なくとも5分以上、この鳴き方をしていましたことになります。はじめ遠くで聞いたときは、同じ節を繰り返しているのでホオジロかと思ったほど。六義園でのホオジロの記録は、1回しかありませんので疑問に思い近くに寄って確認したらヒヨドリでした。
 以前、記事にした「美声のヒヨドリ」は、同じように節を繰り返し、そのなかの一節が長く複雑な鳴き方をするタイプです。こうして一生懸命にさえずるヒヨドリの声は、冬の騒がしいというイメージとは違った趣があります。ヒヨドリが声が聞こえて、なんだヒヨドリかと思ってしまうと、この夏の声を聞き逃してしまいます。それは、あまりにももったいないと思います。

2012年6月29日 (金)

訃報・地井武男さん

 このところ有名な芸能人の訃報が相次いでいます。今日は、地井武男さんでした。地井さんは名前のとおり地味な役柄が多かったのですが、味のある役者としてドラマで活躍され、最近では『ちい散歩』(朝日テレビ系)でブレークしました。
 地井さんが、大の鳥好きだとご存知でしたでしょうか。私は、『ちい散歩』で挿入されているカワセミのスケッチを見て、この人はひょっとすると鳥が好きではないかと思っていました。素朴なイラストなのに、カワセミの雰囲気をよくとらえられていたからです。
 じつは、文化放送の『朝の小鳥』のディレクターのS木さんは、地井さんの番組も担当しています。そのため、地井さんが私に会いたいと言うことで、一度引き合わせてくれたことがあります。芸人の方は、テレビの姿と実際にお会いする姿とはギャップがあるものですが、地井さんはそのまま。いつもテレビで見ている笑顔で迎えてくれました。
 そして、野鳥の話になるととまりません。なんでも昔はずんぶん野鳥を飼っていたそうです。しかし、今ではテラスでお酒を飲みながら鳥の声を聞くのが最大の楽しみと、細い目をさらに細くして鳥の魅力を楽しげに語ってくれました。私がカラスのことを詳しいと知っていたのでカラスの質問がつづきました。また、オオルリやキビタキなど、さえずりのきれいな鳥の習性についても、ご自身の経験からいろいろな知見を披露され、ベテラン・バードウォッチャー顔負けの観察眼の持ち主だという印象を受けました。
 乗せられた私も負けじと話をしましたので、2人で大いに盛り上がってしまいました。そばで聞いていた文化放送のスタッフの一人が「このまま番組になるね」と感心したほどです。このとき録音をしておくべきだったと、今思えば惜しいことをいたしました。
 地井さんと日本野鳥の会柳生博会長とは役者仲間です。ですから、いつか地井さんと柳生会長の夢の競演をと考えていただけにとても残念です。
 地井武男さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。

2012年6月28日 (木)

耳のプロテクターと新しいリンク

 目の不自由な森佑太さんは、盲人用の録音機で野鳥録音を楽しんでいます。この間、六義園で会ったとき、ヘッドフォーンを2つ持っていました。不思議に思って「なんで2つもヘッドフォーンを持っているの?」とたずねたところ、一つは耳のプロテクター(耳保護器)とのことでした。目が見えない分、耳がとても敏感なために、たとえば子供が近くで泣き出すと絶えられないからだそうです。そのためにいつもプロテクターを持ち歩いているのだそうです。
 考えてみれば、視覚の世界に生きている私たちは明るすぎればサングラスをします。強い光を当てられれば目を閉じれば良いです。しかし、耳にはまぶたがありません。大きな音のエネルギーをそのまま受け止めなくてはならないことになります。耳が敏感になっているだけに、これはきつい!そのためプロテクターが必要となる理由がわかります。
 私自身、録音をするようになって音に敏感になりました。とくに、街のなかは騒音に満ちあふれています。量販店の音の洪水には絶えられません。足音をカツカツさせて歩く女性は、どんなに美人だろうが振り向きません。フィールドでは、車の音はもとより航空機が騒音をまき散らして飛んでいるのに録音をして初めて気がつきました。録音をすることで、音をまともに身体に受ける目の不自由な方々のご苦労の片鱗を感じられるようになりました。人はいろいろな環境を破壊して生きている生き物だと思います。音による環境の破壊も大きいですね。
 ところで、森さんがWebサイトを開設いたしました。彼が録音した野鳥の声もアップされています。本日、リンク集に加えましたので、どうぞお立ち寄りください。
 こうして、目が不自由でもコンピュータとインターネットを通じて情報を発信することができる時代になったのだと実感いたしました。
 

2012年6月27日 (水)

「ラリックの鳥の世界展」-箱根ラリック美術館

 昨日、箱根に行ったのはもうひとつ目的がありました。それは、仙石原にある箱根ラリック美術館で行われている「ラリックの鳥の世界展」を見ることでした。ルネ・ラリックは、19世紀のフランス人のガラスやジュエリーなどの工芸品を数多く残している芸術家です。緑に囲まれた大きな美術館に展示されている作品は、首飾りからドアまでさまざま。それだけに鳥をモチーフにした作品がたくさんあります。
 今回の企画展は、ラリックの鳥の作品とイラストレイターの斉藤壽さんの絵、バードカービング作家の水上清一さんのカービングをいっしょに展示するという試みです。じつは、水上さんから譲っていただいた我が家のハシブトガラスが特別出演しています。
 ラリックの作品は、古いのにとても新しく感じる不思議な作風です。ですから、斉藤さんの細密画や水上さんのリアルなカービングと並んでも違和感を抱くことはありません。箱根にお出での機会がありましたら、ぜひお立ち寄りください。いつもはオンキョーのスピーカーの上にどんと置いているだけの我が家のハシブトガラスが、神々しく飾られています。

 なお企画展の概要は下記のとおり。
 期間:2012年4月28日(土)〜9月30日(日)
 開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
 休館日:年中無休
 入館料:大人1500円、大学生・高校生・シニア1300円、中・小学生800円
 箱根ラリック美術館のURL:http://www.lalique-museum.com/
 ラリックの鳥の世界展のURL:http://www.lalique-museum.com/museum/event/detail.html?id=20

2012年6月26日 (火)

ソウシチョウのさえずり-金時山

 この間の日曜日に箱根の金時山に登ったカミさんが「ソウシチョウが良く鳴いていた。」と言い、YAMAHA C24できれいに録音してきました。私のコレクションのソウシチョウは、2006年10~11月に六義園で録音したさえずりです。これと今回、カミさんが録音してきたさえずりを比べて見ると、カミさんの録音のほうが元気があり音量と声の張りがまったく違います。繁殖期と越冬期の違いなのでしょう。
 ということで、本日は少し早起きをして金時山に行ってきました。カミさんの案内で登山道を昇り始めるとソウシチョウとガビチョウの声が絶えず聞こえます。しかし、車の音や別荘地での草刈りの音もけっこう聞こえます。そのため、少しでも上に行き山影で鳴いているソウシチョウを探しました。鳥を見ながら小1時間ほど登ると、矢倉沢峠に着きました。ここから上は、ハコネザサの草原となり樹木がなくなります。この草原でのソウシチョウとウグイスの密度は極めて高く、にぎやかに鳴いていました。YAMAHA W24で録音、ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、軽くノイズリダクションをかけています。

「Red-billedMesia120626.mp3」をダウンロード

 ウグイスとソウシチョウの合唱というのは、初めて聞き録音しました。別の音源では、これにホトトギスやヒヨドリ、ヤブサメにホオジロが加わります。さらに、ガビチョウのさえずりも良く入っています。今やこれが日本の初夏の音になってしまったことになります。この音になってしまった地域はどこまで広がっているのでしょうか。いずれにしても、この音には強く違和感を抱きます。
 それに引き替え、ソウシチョウもガビチョウのさえずりのない日光の野鳥たちのコーラスがとても貴重に思えてきました。 

2012年6月24日 (日)

傷病鳥獣の保護施設を見る

 昨日は野生動物救護の会主催の講演会で、神奈川県自然環境保全センターに行きました。ここまでくると丹沢や大山が目の前という位置関係です。その素晴らしい環境のなかにセンターがありました。ここでは、おもに傷病鳥獣の保護を行っています。自宅からは遠方なので早めに行動したおかげで、かなり早く着いてしまいました。せっかくですので、施設を見学させていただきました。
 ここは、私が知る限りもっとも規模の大きな傷病鳥獣の保護施設だと思いました。大きなケージがいくつもあって、トビやオオタカ、アオサギなど大型の鳥が入っていますが、余裕のある広さです。「これでも飛びまわると尾羽がすり切れてしまう」とY井さんが嘆いていましたが、他の施設に比べればかなりに大きなケージです。
 季節がら、巣立ち直後に落ちた雛、なかには誘拐されて来たスズメやツバメの雛がたくさんいました。これに加え、先日の台風で落ちたゴイサギの雛が数10羽持ち込まれ、てんてこ舞いの忙しさです。
 ここで感心したのは、給餌や掃除などの作業は多くのボランティアによって支えられていることです。当然のことながら定年を迎えた方がいらっしゃるのですが、若い人もそれ以上にいることにも感心いたしました。
  野生動物救護の会の活動内容のURLをご覧いただけるとイメージが伝わると思います。
  http://kanagawa-choju.sakura.ne.jp/aisatu/hellow.html
 Y井さんの話では、持ち込まれた傷病鳥獣のかなりの割合は死んでしまうとのこと。さらには、放すことできず一生センターで飼い続けなければならないものも多いそうです。それだけに、生きて自然復帰させたときの喜びはひとしおでしょう。野生の命に向かい合う活動に関わった若者たちも、きっと多くのことを学んでいると思います。
 それだけに、講演の後にボランティアの方々とコーヒーを飲みながらのカラス談義は、とても楽しいひとときでした。とにかく、カラスを悪者としてとらえていない彼らの質問は快いものでした。
 ところで、講演会は満席で盛況。私の話にも熱が入り、予定の1時間半をかなりオーバーしてしまいました。質問も多く、予定時間ギリギリまでお付き合いさせていただきました。参加された皆さま、ご静聴ありがとうございました。

2012年6月22日 (金)

間違い看板-大瀧山

 雨の日ですので、ネタの堀起こしです。
 3年前の今頃、群馬県黒瀧山を訪れました。途中、以前の大雨で車は通行止めとなっていました。急な坂道をクロツグミの声に励まされて登った頂上付近にあった看板です。

Mamiroji_5

 かなりボロボロなので最初は気がつかなかったのですが、よく見ると・・・。文章では「名前の由来は、雄の白い眉斑からきている」と書いているのだから、気がつけよなと言いたいところです。3年前にこの状態なのですから、今ではもう解らないかもしれません。

2012年6月21日 (木)

週末は講演会-「カラスから学ぶ」

  以前、千葉県市川市のカラスの調査でお世話になったY井さんは、神奈川県で活動している野生動物救護の会の方でした。そのY井さんから、カラスをテーマにした講演の依頼があり、今週末うかがうことになっています。もし、お近くの方でカラスのご興味のある方、ぜひご参集いただければ幸いです。

「カラスから学ぶ」
日時:6月23日(土)14:00~16:00( 受付開始 13:45~)
場所:神奈川県自然環境保全センター レクチャールーム
参加費:救護の会会員・無料、非会員・200円

 詳しくは下記URLをご参考にしてください。
 http://kanagawa-choju.sakura.ne.jp/borantia/borantia01.html
  神奈川県自然環境保全センターの地図です。
http://maps.weblio.jp/content/%E7%A5%9E%E5%A5%88%E5%B7%9D%E7%9C%8C%E8%87%AA%E7%84%B6%E7%92%B0%E5%A2%83%E4%BF%9D%E5%85%A8%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%BC

2012年6月19日 (火)

定点で録音-霧降高原

 先週末の日光行きのときに、YAMAHA W24でバイノーラル+タイマー録音をいたしました。場所は、私が顧問をしている日光野鳥研究会のサイトで「日光、最高のコーラス」と題し紹介した霧降高原です。一昨年(2010年)にもほぼ同じ6月20日にタイマー録音の試み、「タイマー録音・作戦成功」と題し記事にしています。ここは、私のお気に入りの場所ですので、ほぼ毎年、録音をしています。
 ここでの音源を比較すると、コーラスを構成する野鳥たちの種類が少しずつ変わっていることが解ります。10年前は、コマドリが良く鳴き、ウグイスがうるさいくらい鳴いていました。そして、一作年はコマドリがいなくなりコルリとなりウグイスが減りました。今年の音源を聞いてみると、コマドリもコルリもいなくなり、ミソサザイがさかんにさえずっていました。ウグイスは、いることはいるのですが昔ほど多くはありません。
  録音は、Primo EM4201とYAMAHA W24の組み合わせ。ボリュームを少し上げた程度で、ほとんど加工していません。できたら、イヤーフォーンやヘッドフォーンで聞いてください。

「kirifuribashi120618.mp3」をダウンロード

 フクロウ、ホトトギス、アカハラ、キビタキは、録音を聞く限り、ほとんど変わりません。変化している鳥に共通しているのは、林床の藪を好む鳥たちです。見た目、ミヤコザサの群落は健在です。急斜面なのでシカの食害にあうこともなく、ササが残っているのだと思います。しかし、私たちにはわからない微妙な環境の変化あるのかもしれません。

2012年6月18日 (月)

ズミ満開-奥日光

 週末は、日光野鳥研究会の自然観察会でした。奥日光の光徳牧場や戦場ヶ原を歩きました。新緑真っ盛りで、森の中を歩くと緑色に身体が染まりそうです。そのなか、キビタキのさえずりやアカゲラの姿、さらにカラスアゲハとミヤマカラスアゲハの乱舞、エゾハルゼミの大合唱を参加者一同、堪能いたしました。
 今の奥日光は、ズミの花が満開です。今までこの季節に何度か訪れていますが、早いか遅いかで、なかなかこれだけの満開には恵まれませんでした。今回は、ドンピシャリのタイミングで、ピンクから白へ変化する花に覆われた戦場ヶ原は、まるで桃源郷のようでした。

Zumi120617

 これだけ花付きが良いので、今年はズミの実の成りも良いことでしょう。秋にやってくる冬鳥たちもきっとよろこぶだろうと今から期待しています。

2012年6月16日 (土)

キジバトのおなら

 私が日本鳥類保護連盟にいた頃、先日亡くなられた盲目の野鳥録音家・福沢範一郎さんからカセット・テープが送られてきたことがあります。記憶で書くと「キジバトがおならのような音を出すが、これは鳴き声なのか、それとも他の音なのか」という質問だったと思います。ところが山階鳥類研究所にいた職員も含めて誰も、キジバトがそんな声、あるいは音を出すことを知りませんでした。私もぜひ聞いてみたいと思ったのですが、なかなか聞く機会はありませんでした。そして、私自身が録音を初めて、福沢さんが録られたキジバトのおならを録ってみたいと思ったものです。
 その後、キジバトが「ブウ」あるいは「プン」と聞こえる声で鳴くのを何度が聞く機会がありました。しかし、1声で終わりですから鳴いてから録音機を回しても間に合いません。録音することはできませんでした。たまたま、「デデ、ポーポー」と鳴いているのを録っているときに、鳴いてくれたことはあります。しかし、声は小さくて音になりませんでした。
 今回、山形でチゴハヤブサの声を録ろうと、録音機を回していると目の前をキジバトが「ブー」と言いながら飛んでいきました。そんなこともあるものなのですね。まさに運としか言いようがありません。ほんの数メートル前でしたので、大きな音で録音されていました。YAMAHA W24で録音、ボリュームを上げて低音ノイズを軽減しています。

「TurtleDove-pun120614_1616.mp3」をダウンロード

 どうですか。おならの音のようなに聞こえませんか。
 これは音ではなく、声であることは間違いないと思います。また、繁殖期によく聞かれる。雄が雌のところに飛んでいったときに鳴く。あるいは巣のまわりで聞くことが多いなど、繁殖に関わる声のようです。

2012年6月15日 (金)

トラフズクの雛-山形

 山形のY川さんから「トラフズクが鳴いている。チゴハヤブサが鳴き始めた。トラフズクの雛が巣立ち、今度は雛が・・・」と、そそられる情報を立て続けにいただきました。これは行くしかないと昨日今日と行って参りました。
 Y川さんの適切なご案内のおかげで、トラフズクの雛とチゴハヤブサの声を録ることができました。とくにトラフズクは一晩中、この声で鳴いていることがわかりました。よく聞くと、何羽かが鳴き合っているのがわかると思います。実際は4羽の雛がいるとのこと。PCM-D1で録音、ボリュームはそのまま、低音ノイズの軽減をしているだけです。

「Long-earedOwl-chick12061402.mp3」をダウンロード

  Y川さんの話では、トラフズクもチゴハヤブサも増加傾向にあるとのこと。うれしいかぎりです。そして、なんとその理由はカラスのおかげだと言うのです。トラフズクもチゴハヤブサも繁殖は、カラスの古巣を使います。ですから、カラスがいないと巣を作ることができないのです。
 周囲に水田があり神社やお寺の樹木という環境ですから、いるのはおもにハシボソガラスです。さらに、ハシブトガラスの巣立ち雛もいましたので、どちらも貢献していることになります。
 そして、こんなに北なのにオナガがいました。オナガは、チゴハヤブサの周辺で巣作りをしてます。チゴハヤブサが、カラスを追い払ってくれるのをたよっているとのこと。これは、東京近郊のツミとオナガの関係と同じです。
 こうして生き物たちの関係を見ると、なんとも絶妙。喰う喰われる以外にもいろいろな関係があることがわかります。
 鳴き声が録れただけでなく、見聞も広めることができました。Y川さん、重ねてお礼申し上げます。

2012年6月14日 (木)

美声のヒヨドリ-六義園

 六義園は工事中のため正門が閉鎖されています。そのため、染井門から入園します。そのとき最初に迎えてくれるのが、染井門から山陰橋付近をなわばりにしているヒヨドリです。ヒヨドリの声というと、うるさいやにぎやかというマイナスイメージです。しかし、このヒヨドリは大きく張りのある声で複雑な節をランダムに繰り返します。とてもきれいな声なのです。PCM-D1で録音、ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションを軽くかけています。

「Brown-earedBulbul12060200.mp3」をダウンロード

 いかがでしょうか。かなりの頻度で、この声の持ち主に出会います。きっと、どこかに巣を作っていると思います。ヒヨドリは、スズメやシジュウカラに比べて雛の出現は遅めです。7月の暑い盛りとなります。ですから、今は抱卵中くらい。巣のなかで雌が聞き惚れているのでしょうか。

2012年6月13日 (水)

『朝の小鳥』7月分収録-軽井沢の鳥

 今日は文化放送の『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。梅雨寒が続くなかで、7月放送分の暑い夏の雰囲気を作らなくてはなりませんでした。7月のテーマは「軽井沢の鳥」です。30年前の学生時代にはよく軽井沢に通いました。というのは、中軽井沢に大学の寮があり、1泊素泊まり100円で泊まれたからです。ですから、私が山の鳥を学んだのは、この軽井沢なのです。いわば、思い出の軽井沢の鳥です。
 日光通いをするようになって、しばらく軽井沢とはご無沙汰となりました。しかし、数年前にセミナーの講師として3年間毎年7月、軽井沢に行く機会に恵まれました。早朝探鳥会の指導の後はフリーという美味しい話で、たっぷりと録音ができました。その一部の音源を使っての番組です。軽井沢のさわやか風を感じる番組になっていると思います。
 ところで、以前の記事で文化放送の『朝の小鳥』のあと、NHKラジオの『季節のいのち』が聞けるように時間がずれたお話しをしました。実は、7月の『季節のいのち』では、私の音源が使用される予定です。出演者の安西英明さんより、NHKのライブラリにはスズメ、シジュウカラ、ハシブトガラス、カルガモの雛の声がないので提供して欲しいとの依頼があり、先日納品しています。収録は、まだ先のことなのでボツの可能性もありますが、7月はぜひとも『朝の小鳥』から『季節のいのち』と日曜日の朝、野鳥たちの声でお楽しみいただければと思います。
 『朝の小鳥』7月の放送内容は下記の通りです
  1日 キビタキ
  8日  イカル
  15日  キセキレイ
  22日  コガラ
  29日  カッコウ

2012年6月12日 (火)

祝・六義園産ハシブトガラス誕生

 六義園では過去13年間、ハシブトガラスは1羽も巣立っていません。というのは、来園者の方が襲われて以来、巣落としが行われてきたからです。巣落としは、六義園に出入りの園芸業者に委託されて行っていました。巣落としは、早ければ作り直しをしてしまうし遅ければ巣立ってしまうので、タイミングが難しいものです。私の経験では、5月10~20日の間が、理想的だと思います。少なくとも、20日以前に幼鳥を見たことがありませんので、遅いということはありません。
 ところが、去年から東京都が実施するようになり駆除業者の方が、巣落としをしています。私と連絡を取ってくれれば、教えて上げるのですが、どうも遠慮をしているようです。そのため見落としがあり、昨日六義園で巣立ち雛の声を聞きました。今日は、その声を録音してきました。少なくとも2羽が巣立っていました。最初ののんびりとした声が雛の声です。終わりの方の濁った声は、親鳥が私を見つけての威嚇の声です。PCM-D1で録音、間を詰めたり低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「Crow-chick12061202.mp3」をダウンロード

 六義園では、過去13年間で、ハシブトガラスの巣が多い年で24個、少ないと15個です。今年は、8個で隣の六義園公園を入れても9個です。それでも、近い巣は数10mしか離れていないのですから、小鳥なみの密度で巣があることになります。現状では、巣に雛がいることが確認できているのは、この巣立った巣のみ。他は、巣のなかに動く気配がない、周辺にはカラスがいない、威嚇はないのです。高密度がかならず、高繁殖率には繋がらないことになります。
 それにしても、13年ぶりの六義園産ハシブトガラスの誕生、おめでとうございます。

2012年6月 9日 (土)

日本ワイルドライフアート協会展2012

 とうとう関東地方も梅雨入りをしてしまいました。「野鳥録音の最高の季節は、ゴールデンウィークから梅雨入りまで」と、かねてから言っております。その最高の季節も終わりです。去年のように、早く梅雨が始まってしまうととても損をした感じになります。雨が降らないと困るお仕事もたくさんあることでしょう。今年は例年並みなのですから、がまんします。後は、雨と晴れがはっきりしたメリハリのある梅雨だとうれしいですね。
 ところで、今日は雨なので市ヶ谷で開催されている日本ワイルドライフアート協会の展示会に行ってきました。雨のなか、けっこうたくさんの来訪者があって盛会でした。そのなかで、今日は斉藤寿さんにお会いしました。斉藤さんは、ホンダの車のイラストから野鳥のイラストまで幅広く活躍されているプロのイラストレイターです。優しいタッチの野鳥のイラストは、いろいろなところに使われていますので、きっとどこかで出会っているはずです。
 昔、斉藤さんの絵を監修する仕事をしたことがありますが、顔を合わせたのは初めてです。絵のタッチからお若い方だと思っていたら、私よりはるかにご年配。それにも関わらず、昔の仕事では絵の間違いを生意気に指摘しまっていたのですから汗顔のいたりです。斉藤さんが笑顔で、挨拶してくれたので心の中でほっと胸をなで下ろしました。
 展示会は、いろいろなタッチでいろいろな生き物が表現されています。個性と感性を楽しむ展示会です。しかし、協会の人は名前と顔だけでなく、絵のタッチも覚えなくてはならないのでたいへんです。

Wildlifeart201206

日本の野生画の世界-日本ワイルドライフアート協会展
会期:2012年6月5日(火)~12日(火)
      10日(日)は休館
       6日~11日 11:00~18:00
      12日 11:00~15:00
会場:山脇ギャラリー
     〒102-0074 東京都千代田区九段南4-8-21
     TEL 03-3264-4027
     ○JR総武線、東京メトロ南北線、有楽町線、都営新宿線
    市ヶ谷駅より徒歩1分
詳しくは、ワイルドライフアート協会のUTLで、ご確認ください。
 http://www.jawlas.jp/exhibition/index.html

2012年6月 8日 (金)

ハクビシンの仕業?

 このところ気持ちが良いので六義園によく行きます。今はサツキが満開。池に映って、花の量が倍に見えます。ところで今日、歩いていて気がついたことがあります。森の中にイチョウの新芽が集中して生えているところが何ヶ所かありました。枯れ葉が積もって茶色の中に新芽の緑が鮮やかです。そのギャップが、不思議な風景となっています。

Ityou1

 もちろん、イチョウの木の下にはギンナンが落ちて、いっせいに芽吹いているところもあります。たとえば、ここに上げた写真は、いちばん近いイチョウの木でも20mは離れています。ですから、1本や2本ならばわかりますが、このように集中してギンナンが落ちてくるとは思えないです。
 ひとつ考えられるのは、ヒトの仕業です。ギンナンの皮は臭いし手が荒れます。ですから、埋めておいて皮を腐らし、後で実だけ回収しようとしたのかもしれません。しかし、それにしては順路からかなり入ったところです。さらには、築山の斜面なのです。普通、埋めるために穴を掘るならば平らなところではないでしょうか。そう考えるとヒト説も疑問です。
 以前、ハシブトガラスの巣からハクビシンの糞が見つかった話をしました。黒い糞にまみれたギンナンがいっぱい入っていました。どうも、ハクビシンはギンナンが大好きなようです。ということは、このようなイチョウの発芽は、ハクビシンの糞からとは考えられないでしょうか。
  このところ、ハクビシンの糞も足跡も見つけていません。ですから、ハクビシンはいなくなったと思っていたのです。もしこれがハクビシンの仕業ならば、冬には六義園の森のあちこちに糞をしたハクビシンがいて、その痕跡が今になって見つかったことになります。

2012年6月 6日 (水)

ザ・ビックイヤーはビック・ボーイズになった

 今日の午後は、日本野鳥の会にて『野鳥』誌の打ち合わせでした。野鳥録音にちなんだ企画を考えてくれるとのことで、いろいろアイディアを出しました。9/10月号で、うまく行くと企画を生かすことができると思います。お楽しみに。
 ところで、バードプラザに以前『「ザ・ビックイヤー」が映画化』というタイトルでネタにした映画のチラシがおいてありました。
 表面です。

Bigyear1

 裏面です。

Bigyear2

 日本版のタイトルは『ビック・ボーイズ』。バードウォッチングに夢中になる大人は少年のようだということなのでしょうか。良い意味に取りました。
  封切りは、6月30日。今のところ確実な封切館は2館だけ。これは、早めに行っておいた方がいいかも。
 公式サイトのURL。これだけなのという感じでなのですが・・・。
  http://video.foxjapan.com/shiawasenotori/

2012年6月 5日 (火)

「福沢範一郎さんのお別れ会」

 今日は、慶應義塾大学のホールで「福沢範一郎さんのお別れ会」でした。福沢さんは福沢諭吉のひ孫、盲目の野鳥録音家です。蒲谷鶴彦先生は「一番弟子は福沢さんだ」と言っておりました。それだけに、日本の野鳥録音の創生期を支えたお一人です。
 今日は、塾長はもとより日本野鳥の会の柳生博会長がお出でになるなど盛大でありながら、とても質素な会でした。宗教色はなく献花だけ、それだけに奥様はじめ関係者の方々の心温まる言葉ひとつ一つが心に残りました。
 配布された資料のなかにエッセイ集の小冊子が入っていました。ハンノキをもじって「範の記」は、洒脱に富んだ福沢さんらしいタイトルです。このなかの「妙なロボット」という話がありました。デンスケと三脚に取り付けたパラボラ、マイクコードにイヤーホーン。リュックには、予備のマイク、テープ、簡単な修理道具、雨具は録音機用のものを含めて3着入っていたとのこと。おかげで、サウンドセンサー付きの妙なロボットみたいだという話です。福沢さんの初期の録音機はゼンマイ式のものですから、かなり重かったはずです。これだけの装備を持ち、白い杖をついて軽井沢や戸隠の山道を歩いていたのですから凄いものです。
 今やメモリー録音機の時代です。福沢さんの時代に比べれば、目の不自由な方も野鳥録音をぞんぶんに楽しめる時代となりました。音の世界に生きている方たちが録った音は、健常者の音とはひと味もふた味も違ったものになるはずです。今後、どのように野鳥録音の発展していくのか、とても楽しみです。
 きっと今頃は、天国で蒲谷鶴彦先生と福沢範一郎さんが巡り会って、昔話に花を咲かせていることでしょう。

2012年6月 4日 (月)

噛みつかれた録音機-芝川第一調整池

 昨日今日と夕方に芝川第一調整池に行ってきました。昨日はタイマー録音機の設置、今日は回収です。夕方の芝川は人がほとんどいなくて、とても静かです。アシ原を渡る風がとても気持ちよくて、さわやかでした。この風が、オオヨシキリのさえずりを調整池全体に響き渡らせているように感じます。
 まだ、録音した音源を全部チェックしていませんが、とにかくオオヨシキリの大合唱です。午前3時からの設定で、もう鳴いています。この暗い頃は、ウシガエルも良く鳴いているのでとてもにぎやかです。ホオジロとの掛け合い部分もあって、こんなに近くで警戒心の強いホオジロのさえずりが録れたことはありません。これもタイマー録音のおかげです。
  ところで、2台のうち1台がひっくり返っていました。そして、泥が付いています。泥の跡は鋭角な三角形をしていて爪跡です。

Tumeato

 さらに、ウインドスクリーンのスポンジにも泥が付き、よく見ると穴が空いています。中程の裂け目です。下の方のくびれば、ケースに入れておいた跡です。

Kamiato

 どうやら、ケモノが脚で転がし噛みついたようです。以前、蕪栗沼で無くなったのは、ケモノに持って行かれた可能性がありました。そうならないようタイマー録音の先輩のT中さんからアドバイスにしたがって、ヒモを付けてアシに根本に縛り付けておきました。おかげで録音機を失わないですみました。なお、録音は問題なく行われていましたが、裏返しになっていたので左右が逆に録音されているはずです。
 草むらのなかでイヌはこないということで、爪の大きさから犯人はタヌキではないかと思っています。

2012年6月 2日 (土)

オオミズアオの思い出-六義園

 昨日の六義園のセンサス調査で、オオミズアオの翅が散っているのを見つけました。毎年、今頃オオミズアオが出現するのですが、このように死体ばかりです。
 今日、六義園に入ると清掃のお仕事をしている方が「これを見て」とオオミズアオがいるのを教えてくれました。羽化したばかりなのでしょうか、動きもせず地面に近い小枝にとまっていました。翅はほとんど痛んでいません。とてもきれいな雌です。

Oomizuao

 オオミズアオの思い出はいろいろあります。中学時代に林間学校で霧ヶ峰に行ったとき、宿泊所に昆虫の標本が飾ってあって、そのなかにオオミズアオがありました。世の中には、こんなきれいな生き物がいるのかと、とても感動したことを覚えています。
 ところで、オオミズアオはガなのですから夜行性です。昼間、見つけるとこのようにじっとしているのがふつうです。まず、飛んでいる姿は見せてくれいないでしょう。
 ところで25年ほど前、フクロウが鳴いているので確認して欲しいと夜の六義園に入れてもらったことがあります。フクロウは、渡りの途中に立ち寄ったアオバズクでした。そのとき、夜の六義園の印象も忘れられません。当然のことながら外灯がないのですから森の中は真っ暗です。しかし、救急車や山手線の電車の音など、音は都会のど真ん中の雰囲気です。このギャップが、不思議な空間を醸し出していました。
 そして、歩いていると真っ暗な森のなかを”白いもの”が、背の高さくらいのところを漂って行くのを見つけました。ふわふわとした飛び方は、まるで行き場を失った魂のようです。職員の方からは、六義園はいろいろ怖いところがあると、さんざん脅されていました。ですから、これが噂の人魂かと思い鳥肌がたちました。ご推察のとおり、これはオオミズアオでした。
 今日、初めて腹のほうからオオミズアオを見ました。ずいぶんメタボな体つきです。標本では、このボリュームは失われてしまいます。重い胴体のため、特有のふわふわした飛び方になってしまうのかもしれませんね。

« 2012年5月 | トップページ | 2012年7月 »