山階芳麿賞と70周年シンポジウム
先日、日本鳥学会でお会いした山階鳥類研究所の岡奈理子さんの促され、本日は有楽町の朝日ホールで開催された『第17回山階芳麿賞贈呈式・受賞記念講演』と『山階鳥類研究所財団設立70周年記念シンポジウム』に行ってきました。これは、山階鳥類研究所の主催による一連のイベントです。また、総裁の秋篠宮様がご挨拶や賞の授与をされるなど、権威のある雰囲気のイベントでした。秋篠宮様は最後までご参加され、話の内容にうなずくなど熱心に話をお聞きになっておりました。
山階賞は、長年イヌワシの保護の携わってきた日本イヌワシ研究会が受賞しました。過去の受賞者を見ると皆個人、それも鳥学に寄与された研究者の方ばかりです。今回のように団体、それもイヌワシの保護に関わり社会的な活動をして、なおかつ現在進行形の活動に対して授与されるのは異例です。このほうが、受賞の意味と効果は大きなものがあると思いました。
日本イヌワシ研究会代表の小澤俊樹さんによる講演は、わかりやすいばかりではなく熱意の伝わってくる素晴らしいスピーチでした。また、イヌワシは人が山を手入れすることで生息することができる人依存の鳥であることを知りました。現在のように、林業や山仕事が衰退し山が荒廃すると減ってしまうと言うのです。ということは、原生林に覆われていたであろう縄文・弥生時代では絶滅危惧種だったのだろうかと思いました。
シンポジウムは「鳥の魅力を追う人びと」というテーマで、4名のパネラーの方のお話でした。お一人おひとりの話は、たいへん勉強になりました。まだまだ、鳥について知らないことがたくさんあるものです。
ただ、これが山階鳥類研究所のこれからに繋がるのかと言うと?でした。世界、そして日本の鳥類学の実情をどう捕らえているのか、あるいは鳥業界のなかで研究所の位置づけはどうなのか、それに基づいて今何をやるべきなのかという流れが見えませんでした。また、研究所の発表者の方はもっと研究所の実績や活動を発表された方が良いように思いましたし、外部の方は研究所の使命、あるいは鳥学研究で今、何をすべきかというところに論点を置かれた方が、70周年らしい内容になったのではないでしょうか。
いずれにしても日本の鳥学の一角をなす山階鳥類研究所の動向は、これからの日本の鳥学に大きく左右するだけに、さらなる発展を祈らざるを得ません。
まずは、スタッフの皆さま、お疲れ様でした。また、ご招待たいだきました岡さん、ありがとうございました。
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