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2012年9月17日 (月)

日本鳥学会-私的総括

 4日間、東京大学で開催されていました日本鳥学会が終了いたしました。たくさんの方々にお会いして、私自身はとても楽しい4日間でした。まずは、発表者の方、お疲れ様でした。また事務局の方々におかれましては、大人数の参加者がいるにも関わらず、事故もなく無事に終了され、お世話様でした。
 適当に参加して適当にさぼっていたので、いろいろ言える立場ではありませんが、気になることのいくつか。
 以前にも指摘しましたが「だから何なんだ」という意味不明の発表は、相変わらずありますね。意味のひとつは社会貢献だと思いますが、とても少ないです。また、間接的には、その研究により鳥学や生物学の発展に寄与すれば、それで良いと思います。しかし、どう考えて結びつかないテーマと結果、言い換えると研究のために鳥をこねくり回しているだけというものです。例を挙げるのははばかれますが、質問者からも「何の意味があるのか」と言われるようでは、まずいのではないでしょうか。
 今、社会貢献という意味では、震災関連、原発あるいは放射能関連の報告が必要な時でしょう。ところがわずか3.5件。0.5は、放射能の影響を示唆したオオジュリンの尾羽の異常の報告です。時世を考えれば、もっとあって良いはずだと思います。今後の経緯も含めて、多くの研究や報告が今度されることを期待します。
 私は、東京周辺で開催されるときにしか参加していないので、割り引いてお読みください。ただ、たまに参加するために学会の雰囲気の変化をより感じられます。たとえば、1999年の東京大学から2008年の立教大学あたりまでは、大学と学生、そして博物館関係者(森林総研、山階鳥類研究所を含む)といった研究を生業している人たち。日本野鳥の会など、趣味で研究をしているアマチュアの人たち。環境調査などの職業としているプロ集団と、おおざっぱに3つに分けられると思いました。そして、発表者も参加者もそれぞれ同じくらいの比率、3/1という印象がありました。
 ところが、2010年の東邦大学あたりから、ちょっとこの比率が変わってきたと思いました。大学の先生と学生の比率が多くなったと思いました。今回は、とくにコンサルのプロ集団が減って、趣味の方たちも少なくなったと思いました。おそらく、鳥類学の講座のある大学が増え、その卒業生たちが博物館に就職していると言うことだと思います。ある意味、あるべき姿なのかもしれません。コンサルの参加者が少なくなったのは、環境調査に必要なワシタカの研究が一段落したこと、公共事業が減って個人的な研究発表をする余裕が無くなったためでしょう。私としては、アマチュアによって支えられてきた学会の流れは、いつまでもあって欲しいと思います。
 先日の記事では、鳴き声に関するものが増えたと書きました。同じように増えたテーマとして、歴史的あるいは人文科学的な取り組み増えました。たとえば、産物誌から江戸時代のタンチョウの分布を推定、小川三紀コレクション、採集人折居彪二郎、茶道の羽箒に解析、アビの名前の由来などです。そして、カラスをテーマとした発表は相変わらず多いですね。私は、へそ曲がりで人のやらないことをやっている積もりで、録音、歴史、カラスに取り組んでいたのですが、結局みんなと同じことをやっているに過ぎなかったと自覚いたしました。
 適当にサボりましたが、充実した4日間でした。それにしても、年寄りにはちょっときつい4日間でした。

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