日本鳥学会に参加
昨日から東京大学で、日本鳥学会が始まっています。今日から、研究発表やポスター発表といったメインイベントの開始となりましたので、参加いたしました。学会は、例年になく参加者が多く、発表会場は立ち見もでるほど。また、ポスター会場はあまりの熱気で、私はピンポイントで見ていくしかありませんでした。おかげで、今日だけでもブログネタを1週間分くらい仕入れることができた感じです。
まずは、録音関係から。今年も鳴き声に関する研究発表が増えて来ました。ポスターには声紋が表示されていたり、使用機材にICレコーダーが記載されているものが何枚もありました。その中で、いちばん興味深かったのは関伸一さんのトカラ列島の無人島(複数)にICレコーダーを1年間設置して鳥類を調べたという報告です。
関さんは、以前の学会でアカヒゲの亜種のDNAを解析し、亜種に分かれていった時期と氷河期が一致するという発表をされ、私はたいへん感銘を受けた方です。
ところで私自身、タイマー録音で1週間の放置、仲間では30日間の放置でデータを収集したという報告を受けています。しかし、1年間できるとは、はじめは信じられませんでした。
関さんによると、無人島のため渡るのがたいへんなので1年間放置だそうです。機材は、ICレコーダーで外付けの電池ボックスを付けて長持ちさせ、タイマー録音で時間を限定して録音、さらに全体を筒状のケースに入れ木の幹にくくりつけています。そして、オーディオテクニカのピンマイクを下から出して、雨の影響を少なくするという方法で録音しています。それでも、1年間たつとノイズが多くなってしまったとのことでした。
この結果、アカショウビンとアカコッコの生息を確認できたり、逆にヤマガラのいない島があるなど、無人島ごとの鳥相の解明ができたとのことでした。この今も、島には録音機が置いてあるそうです。また、さらなる発見があることと思います。
実は、学会は発表を聞くばかりではありません。控え室でのおしゃべりが、とても勉強になるのです。たまたま同席した川上和人さんも、ある鳥の存在を確認するためにやはり無人島に録音機を置いているそうです。こちらは、3ヶ月放置。これは、冬から春に海が荒れるので上陸が不可能のためです。ちょうどこの季節が、海鳥の繁殖期なので録音機を置くことで存在を確認したいとのことでした。
川上さんの機材は、Song Meter SM2。このような機材があるのは初めて知りました。こちらは、野外の調査用に開発されたマイクと録音機です。このような機材がアメリカでは販売されているのですから、それだけ需要があるということでしょう。詳しくは、下記URLで。
http://www.batmanagement.com/Ordering/acoustic/WildlifeAcoustics/WildlifeAcoustics.html
川上さんの話では、有人島から無人島までの距離は3km。できたら、有人島にいてモニターできないかという話になりました。そこにいた研究者の同志で、電気のない無人島で電波を3km飛ばすだけの電力をどうやって確保するのかなど、いろいろ議論とアイディアが出ました。はたして、今日の議論が新発見に繋がるのか。これまた、学会の楽しみとなります。
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