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2012年9月19日 (水)

海洋鳥は洋上で鳴くのか

 日本鳥学会ネタを続けます。
 久しぶりに山階鳥類研究所の岡奈理子さんと話す機会がありました。岡さんは、私のいた日本鳥類保護連盟が研究所にあった頃からの職員。当然のことながら、当時は毎日顔を合わせていたのですが、ここ数十年は学会でお会いするくらいになってしまいました。
 岡さんは研究所の職員として、はじめて博士号を習得された方ではないでしょうか。そして、いまやミズナギドリ類の研究者として世界的に知られる存在です。年は、私とたいして変わらないのですが、昔と変わらない不思議な方です。
 先日の学会では、遭遇できたのでお話しをうかがいたいと思ったら、若いイケメンの研究者に横取りされてしまいました。そして、最終日にやっと彼女が私を見つけてくれて、話ができました。私が聞きたかったのは「洋上でミズナギドリ類などの海洋鳥は、鳴いているか」です。海洋鳥の声の録音は、だいたい繁殖地のコロニーに戻ってきたときの声です。夜に戻ってくるものが多いので姿が見えず、鳴くことで雌雄がコミュケーションを取るためです。ウトウは「ウーッ」とか「ブーッ」低い声、オオミズナギドリは低い「ブーウ」雌は高い「ピーィ、ピーィ」、ケイマフリやウミスズメは「ピッ」系、そうかと思うとカンムリウミスズメは「ビビビ」、この前記事にしたオーストンウミツバメやコシジロウミツバメは、また特有の声です。ただいずれも、コロニーかコロニー周辺での記録です。
 たとえば、北海道フェリーが健在だった頃、水平線の彼方までハシボソミズナギドリが飛んでいるのを見たことがありますが、フェリーの上から声は聞こえませんでした。また、フルマカモメが海面を埋め尽くすほど下りているのを見たことがありますが、ときおり「ビャア」と言う声がかすかに聞こえる程度、鳥の数に対してとても静かでした。ですから、波の音がうるさいなかで飛び交う海洋鳥は、洋上では声によるコミュニケーションはあきらめているではないかと思っていました。それを、確認したくて岡さんへの質問でした。
 答えは「良く鳴く」です。彼女の研究対象のハシボソミズナギドリは、良く鳴いていたそうです。また、彼女が聞く機会がある限り、良く鳴きあっていたとのこと。海洋鳥は、音によるコミュニケーションを取っていることになります。
 たしかに、波間に入ってしまえば、相手の姿が見えなくなる鳥たちですから、鳴き合ってお互いの存在を確認する必要があるのでしょう。天敵に襲われる危険はないにしても、食べ物を見つけ合う情報交換は必要なのですから、鳴かなくてはならないことになります。
 そこで、課題ができました。海の上でよく聞こえる音は、どんな音が有利なのでしょうか。隙間を通り抜ける高い音か、それとも遠くまで届く低い音か。あるいは、水面に反響しやすい音の音域というのがあるのでしょうか。海の上で鳴き合うミズナギドリなどの海洋鳥をぜひとも聞いてみたいものです。

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