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2012年10月

2012年10月31日 (水)

読めないFAXから解けた-蒲谷鶴彦先生の学生時代

 先週、文化放送のS木さんから「蒲谷さんと連絡を取りたいという方からFAXが来ていけれど、読めないので困っている」との連絡をいただいた。「私ならお役に立てるかもしれないから、とりあえず転送して」とお願い。しかし、届いたFAXは機械のせいか手書きのせいか、かすれて読めません。かろうじて「蒲谷鶴彦君」とか「オナガ」などの鳥の名前が読み取れます。蒲谷鶴彦先生のことを書かれているようなのですが、”君”呼ばわりする関係とは、どんな方なのか疑問でした。ただ、連絡先のN田さんのお名前と電話、神戸市の住所は読めましたので、私の自己紹介とどんなご用件なのか再度ご連絡いただきたいとFAXいたしました。
 すると、すぐにFAXで返事がまいりました。こんどは、ワープロ打ちなので読めます。なんでも、蒲谷先生とは早稲田実業時代の学友、趣味でエッセイを書いており、そのテーマに蒲谷さんの思い出を書きたい、ついてはまだ『朝の小鳥』が放送されているのか確認したかったとのこと。文化放送は関東一円のみ、関西では受信できません。そのための確認でした。そして、ご迷惑をかけてしまって申し訳ないとお詫びの言葉でむすばれています。
 じつは、蒲谷先生からはあまり学生時代のことを聞いていません。軍事教練ばかりしていた、動員されて中嶋飛行機に行った、とにかく戦争のどさくさで勉強どころではなかったという話を聞いたのを覚えています。後で知ったのですが、この時代のことは奥様もご子息の剛彦さんでさえ、よく知らなかったのです。剛彦さん曰く”父の空白時代”だそうです。N田さんのおかげで、この空白が埋まるかもしれないのです。
 ご学友となれば先生の少年時代のこと、どんな子供だったのか知っているはずです。なんだか、先生の秘密を探るようでドキドキしながら、N田さんに電話をしてしまいました。
 N田さんのお話しでは、先生とは早実時代の学友で机が隣同士だったとのこと、”君”よばわりするのもうなずけます。そして、秋川や多摩川にいっしょに行き、鳥を教えてもらった思い出があると話されていました。早実はガリ勉が多かったけれど、蒲谷君は勉強をしないで鳥ばかり見ていたとおっしゃっていました。また、やさしい人だったとも言っておりました。
 先生は、中学時代に日本鳥学会に入っています。当時一世を風靡した『少年倶楽部』か『野鳥』を買おうか迷ったすえ『野鳥』を買った少年だったのですから、すでにいっぱいしのバードウォッチャーに成長していたことになります。
 戦時中のこと、N田さんは予科練に行ったために、先生とは疎遠になってしまったそうです。戦後、一度だけ新宿のお宅にうかがってスタジオを見せてもらい録音を聞かせてもらったなど、話は尽きませんでした。N田さんは、親の仕事の関係で東京を離れてしまったために、その後も会う機会はなく、そのままになってしまったと寂しいそうに話しておりました。80歳を超え昔のことは忘れてしまったことが多いが「蒲谷くんとのことは、なぜかいろいろ覚えている」と言われたことがとても印象的でした。
 N田さんと話していると、まるで蒲谷少年とN田さんが多摩川の河原で野鳥を追いかけている様子が目に浮かぶようでした。なんだか、ほっこりと心温まり、とても幸せな気分になりました。

2012年10月29日 (月)

全日本バードカービング・コンクール終了

 8日間に渡る日本バードカービング展2012が終了いたしました。最終日は、樋口広芳先生の講演、表彰式とスケジュールがメジロ押し。雨模様の天気にかかわらず、会場には次から次に人が入り大盛況でした。
 我孫子のバードフェステバルから独立して展示会を行うに当たっては、かなり議論を重ねてきました。いちばんの心配は、来訪者が来ないのではないかというもの。おかげさまで、これは杞憂に終わりました。
 去年の我孫子では、会場が狭いために数点の作品が落下し破損しました。今回は、広い通路でそのような事故もなく無事に終了いたしました。スタッフ一同、安堵の胸をなで下ろしています。いずれにしても会長始め、スタッフの皆さん、ボランティアの皆さん、お疲れ様でした。おそらく、スタッフが撮影できない撤収風景です。

Birdcarving121029

  今回、会場での作品の撮影が禁止になりました。これは、以前から私が主張していることで、美術館のルールということで実現しました。これに対するクレームがありました。また、出品者も自分の写真を撮ってもらうことがうれしいという気持ちがあるので、両方からあります。ただ、見ていると技術を盗もうという感じで写真を撮っている人がいるので、著作権のことを考えると私は反対してきたのです。写真を撮らないことで、じっくりと作品を見て鑑賞してもらえるほうが展示会としての趣旨に添うものだと思います。
 作品について審査員の立場から追加の意見を書いておきます。上級で落選している作品の多くは”きれいすぎる”ためだったのではないでしょうか。彫りも塗りも丁寧に作ってあるのですが、どこか不自然なのです。この場合、おおむねきれいすぎるのです。鳥は、大きな鳥小屋で飼っていても尾羽や翼がすり切れたり汚れています。自然のなかで飛びまわっている野鳥は、これとは違った汚れと乱れがあります。たとえば、尾羽がたたまれていたとしても、全部同じ間隔に並ぶことはなく少し乱れています。自然の中の野鳥とバードカービングの作品を比べて違和感があるのは、多くはこの汚れと乱れが上手く表現されていないからではと思います。
 上位入賞者がこのあたりの処理がうまいのは、おそらく自然の中での野鳥を見て、その感じをうまく表現しているためだと思います。ご自身の作品と実際と自然のなかの野鳥の様子をまずは比べて見ることが、次への作品上達の方法ではないでしょうか。

2012年10月26日 (金)

デジスコ通信に投稿-葛西の野鳥カメラマン

 以前、記事にした「カメラマンに怒られる-葛西臨海公園」は、ブログやFacebookのコメントの他、メールをいただくなど、思わぬ反響に驚いています。また、夏休み子供科学電話相談仲間のN村さんが、ブログ「葛西臨海公園・鳥類園Ⅱ」に記事を書き、こちらも反響が多く、続編まで書いています。下記URLです。
  http://choruien2.exblog.jp/19066075
  http://choruien2.exblog.jp/19088233/

 本日発行のデジスコドットコムのメールマガジン、デジスコ通信に関連コラムを投稿いたしましたので、ご覧いただければと思います。下記URLで、ご覧いただけます。
 http://www.digisco.com/mm/dt_66/toku1.htm

  バードウォッチングや野鳥撮影のマナーは大きな問題だと思います。それと同時に野鳥に接していて楽しめない人の問題があると思っています。楽しめない結果、そのイライラの矛先が他の人に向けられることになりトラブルになるのではないかと推測しています。野鳥と接することで心の安らぎを得られないということは、野鳥を単なるモノとしてしてしか見ていないからではないでしょうか。少なくとも、野鳥ってなんて素晴らしい生き物なのだろうと感動をしていれば、モノとは思わないはずなのですが。

2012年10月25日 (木)

タッチカービングを試す

 今日は上野の東京都美術館で開催中のバードカービング展にて、タッチカービングを試してもらいました。
 タッチカービングは、日本バードカービング協会会長の内山春雄さんが推奨し各地で実際に使用しています。バードカービングコンクールに応募してくる作品は、とても繊細で触ることはできません。そのため、目の不自由な方に触ってもらえるように木彫りの鳥から型を取り樹脂で固め色を塗ったものを用意し、会場で触れてもらっています。細かい所まで彫られているところは、作品と変わりありません。たとえば、ハシボソガラスの脚はウロコまで作り込まれていますので、鳥が恐竜から進化して来たという話もできます。今日は、野鳥録音に熱心なMさんに触ってもらい感想を聞きたいと思ってのご案内です。
 タッチカービングは鳥の大きさを知ってもらうために、まずメジロ、スズメ、ハクセキレイ、キジバト、ハシボソガラスが用意されています。内山さんの解説で、メジロから順番に大きさを知ってもらい、尾や翼などそれぞれの名称と役割を説明してもらいました。また、今日は特別に翼を広げた木製のハクセキレイとセッカを触ってもらい、飛んでいる鳥の姿と翼の役割も理解してもらいました。さらに、尾や翼の細いコアジサシ、嘴の太いイカルなど、身体の特徴と食べ物や住んでいるところの違いを触りながら解説してもらい、鳥たちの形と生活まで解説。実際に嘴に触っての解説ですから、とてもわかりやすいものでした。
Touchcarving
 なお、それぞれのカービングにはタッチペンで音を聞くことができるようになっています。すでに鳥の声を知っているMさんにとって、今日やっと姿と声がいっしょになったことになります。
 Mさんの感想は「スズメやメジロなどは思ったより小さかった」です。鳥の声からイメージしていた大きさとのギャップがありました。小鳥の声だけを聞いていると、声の大きさから音の出所は大きく思えてしまうことになります。初心者が、シジュウカラの声を聞いて姿を探してもなかなか見つからない、やっと見つけたらとても小さかったということがあります。もっと大きな鳥だと思って探していたために見つけられなかったのです。鳥を知っている者にとっては当たり前のことが、初心者にとっては戸惑うところでもあります。目の不自由な人も同じように感じていることを知りました。今後、指導の仕方に工夫が必要だと思いました。
 毎度、目の不自由な方と鳥を見聞きすると新しい発見があります。今日も、いくつかの課題をいただきました。
 今日、始めて立体の鳥の触ったことでMさんの頭の中に鳥のイメージが、しっかりとできたことでしょう。これからは、こういう大きさで形をした生き物が鳴いているのだとイメージできるわけですから、野鳥への思いもいちだんと深まることと思います。

2012年10月23日 (火)

審査雑感-バードカービングコンクール

 日曜日は、上野の東京都美術館で開催されている第12回バードカービング展でのコンクール審査でした。今までほぼ毎年、審査をしてきましたが、今年ほど苦労したことはありません。というのは、上級とさらにマスターというベテランの方が制作した部門の作品ばかりが担当です。そして今年から東京都知事賞、文部科学大臣賞、環境大臣賞も合わせての選定をしなくてはなりませんでした。審査は、日本バードカービング協会会長の内山春雄さん、多摩美術大学教授の秋山孝さん、秋山さんは日本におけるバードカービングの創生期の功労者です。そして、私の3人がチームとなって行いました。審査は、午前10時から始まったものの昼食30分を挟んで終わったのは、午後2時30分、喉も腰も痛くなりました。おかげで昨日は、一日ぼーっとしていました。
 この審査は、公明正大に行うために審査は入場者のいる会場で行われます。審査員の会話はすべて聞くことができるという極めて透明性に富んだ審査方法なのです。たとえば、審査員の弟子の作品を入選させるために誘導すれば、ばれてしまうのです。そのため、そばで出品者の方が耳をそばだてて聞いていることがあり、ぞんざいなことは言えませんし丁寧な審査が要求されます。昼近くになると会場がとても混んできて、審査をしている私たちを押しのけて作品を見ようとする人もいて苦労をします。
 バードカービングの技術の向上は年々めざましいものがありますが、今年はいちだんと素晴らしい作品が多く審査員同士の議論も熱が入ります。内山さんはカービングの制作、秋山さんは芸術性、私が鳥の科学的な部分のチェックです。それぞれ、違った立場と視点の違いが、とても面白くとても勉強になりました。ただ、良い作品には3人とも同じように票を入れいるので議論にならず、ただ「良いね」と感心するばかり。疲れたけれど、とても楽しい審査でした。
 どうぞ、会場で入賞をあらわすリボンと作品の優劣が合っているかお確かめいただければと思います。

2012年10月19日 (金)

バードカービングコンクールが行われます

 私が理事をしている日本バードカービング協会が主催するバードカービングコンクールが今週末から開催されます。
 毎年、千葉県我孫子市で開催されるバードフェステバルの一つとして行われていたコンクールですが、今年から東京都美術館で独自のイベントと実施されます。そのため、出品者の意気込みも例年以上、素晴らしい作品が集まっています。私も審査員として参加します。
 バードフェステバルは、わずか2日間ですが、今回は1週間開催されていますので、ぜひお立ち寄りください。

Birdcarvingpostcard2012

第15回全日本バードカービング・コンクール
会期:2012年10月21日(日)~28日(日)
会場:東京都美術館(東京・上野)地下3階ギャラリーA

同時に、鳥学講演会も行われます。どうぞ、合わせてご参加いただければ幸いです。
開催日:10月27日(土)・28日(日)
会場 :東京都美術館(東京・上野)
タイトルと講師
1 バードカービングの可能性 内山春雄氏(日本バードカービング協会会長)
2 デコイと音声の利用によるアホウドリ新コロニーの形成 長谷川博氏(東邦大学理学部教授)
3 鳥の渡りと地球環境の保全 樋口広芳氏(東京大学名誉教授・慶応義塾大学特任教授)
 事前の申し込みが必要です。開催日時、入場料等を確認の上、早めにお申し込み願います。詳しくは、下記のURLでご確認ください。
 http://homepage2.nifty.com/jbca/

2012年10月18日 (木)

そういえばゴイサギが・・・

 昨日は増えた話ですが、今日は減っている鳥のネタです。
 先日、福岡の録音仲間のT中さんからいただいたメールの中に気になることが書いてありました。最近、鳥仲間の一人が「ゴイサギがまったくいなくなったと言っています。たしかに私の自宅付近の川でもここ2~3年前から姿を見なくなりました。」そして「福岡県では広範囲に減少傾向があるようで、写真をやっている友人から『T中さん、今のうちにゴイサギは録音しといたほうがいいよ』と言われるほどです。」とのこと。九州地方では、ゴイサギの減少が著しいようです。
 六義園では、ゴイサギがかつていた茂みがきれいに剪定されてしまいましたので、今では見ることはまずありません。私のフィールドの六義園では指標になりません。
 2年前に行った吉川のサギ類のコロニーでは、ゴイサギもいました。芝川第一調整池では、タイマー録音のなかに声が入っていましたし、8月にツバメのネグラ入りを見に行ったときは、日が沈むと同時に数羽が鳴きながら飛んでいました。ですから、関東地方では福岡のようにまったくいないということはありません。
 ただ、葛西臨海公園や大久保農耕地など、ゴイサギがいそうなところで、このところ出会った記憶がありません。ゴイサギは、主に夜行性なのですが、昼間に飛んでいたり水辺に佇んでいるのを見ることは珍しいことではありません。それが、見られなくなっていると言うことは、減っていることなのでしょうか。また、栃木県日光では大谷川周辺で、夏から秋の夜に虫の声を録っていると、よくゴイサギが鳴きながら飛んで行ったものですが、少なくとも今年は聞いていません。
  やはりゴイサギは、減っているのでしょうか。以前、コサギがいなくなったということが仲間内で話題になったことがあります。当たり前の鳥が減ったと実感するのには、相当減ってからです。私は、かつてはたくさんいたアカモズ、チゴモズ、ヒクイナ、タマシギで苦汁をなめています。いなくなったと気がついたときにはすでに遅く、録音できないということになります。
 ゴイサギの減少が、広がらないことを祈ります。

2012年10月17日 (水)

ヤマガラ爆発

 六義園のヤマガラの記録は、センサス調査を始めた1984年の記録は1例のみ。1986-1987年と1988-1989年は1羽が越冬し、1990-1991年の冬季は2羽を記録。この2羽が繁殖をしました。その後は、1992年は冬季のみ。1993年は、繁殖期に記録されましたが繁殖の確認はできませんでした。ところが、2000年以降の記録はほとんどなく繁殖期に見られることはありませんでした。ヤマガラは普通に見られる鳥ですが、このように六義園では少ない鳥です。そのヤマガラが、9月上旬に4羽が来て1羽がツミに食べられたものの、そのまま居着いています。今では、数は増えて10羽近くはいると思います。
 この現象は、六義園だけではなく都内の公園各地で見られます。この間の葛西臨海公園でも2ヶ所で数羽のヤマガラに出会いました。、ヤマガラで検索するとブログ、ツイッターでたくさんヒットします。日本鳥学会では関西の会員の方から同じだと情報をいただきました。そして、さらにヤマガラの分布域の中国や韓国でも同じような情報があると聞いています。まさに、ヤマガラが爆発しています。
 おそらく、このような現象は過去にもあったと思います。たとえば、2006年の秋に六義園で始めてソウシチョウが記録されました。その時は、数羽が2ヶ月ほど滞在しました。このとき、ネット検索すると都内の公園で同じように見られていました。また、栃木県宇都宮郊外に住む仲間からは、六義園とほぼ同じ頃に庭に来たと報告を受けて驚きました。ソウシチョウが関東地方にいっせいに沸いて出た感じでした。この現象は、このシーズンだけで終了し、継続して見られることはありませんでした。
 今日、六義園でヤマガラを観察しているとさかんにスダジイの実を脚で押さえ嘴でコンコン叩いては食べていました。スダジイの堅い実でも割ることのできるヤマガラの力に感心させられます。さらに、スダジイの実をくわえては木の根元に隠していました。貯食をしているのです。ということは、このまま六義園で冬を越すつもりなのでしょうか。爆発したヤマガラ、今後どのような展開になるのか楽しみです。

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2012年10月16日 (火)

日本鳥学会100周年記念展に行ってきました

  今日は、上野の国立科学博物館へ日本鳥学会100周年記念『鳥類の多様性』展を見に行きました。開催そうそう行ったK久保さんのご案内です。知っている人に会うだろうと思っていたら六義園の鳥仲間のS根さんに会いました。
 ところで、科学博物館にはじめて行ったのは、中学生の頃だったと思います。たしか、植物学者の本田正次先生の講演と映画の夕べだったと思います。当時としては、重々しい造りの建物に博物館に来たという実感がわいたのを覚えています。中に入ると石造りのらせん階段が珍しく、そこに吊されたフーコーの振り子が、いかにも科学博物館らしかったですね。これらは、今も健在です。
 鳥類の多様性展は、大きな部屋ひとつの企画展示です。目玉のカンムリツクシガモの剥製が入り口にありました。いったいどんな声で鳴いていたのか、思いを馳せました。この展示は、日本の鳥学の歴史と”今”がわかるようになています。新しい分類と近似種のDNAの違いは、これからのバードウォッチングに必要な知識ですのでバードウォッチャーならば見ておくべきでしょう。いずれにしても、限られたスペースにこれだけの大きな課題を展示するのは、かなりご苦労されたことと思います。
 常設展示も一回りして来ました。昔に比べれば、ジオラマが多くてよりリアルな疑似体験ができるように工夫されています。ただ、基本は剥製展示、それもかなりコンディションの悪いものも多いが気になりました。自然系の博物館=剥製展示というのは。いたしかたないのでしょうか。
 再度、基本情報をあげておきます。
日本鳥学会100周年記念・鳥類の多様性〜日本の鳥類研究の歴史と成果〜
期日:2012年10月6日(土)〜12月9日(日)
※休館日は、毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
場所:国立科学博物館
東京都台東区上野公園7-20 Tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)
料金:通常の入館料でご覧になれます。
(大人・大学生600円、高校生(高等専門学校生含む)以下 無料)
主催:国立科学博物館、
後援:日本鳥学会・(公財)山階鳥類研究所
URL: http://www.kahaku.go.jp/event/2012/10bird/info.html

2012年10月15日 (月)

シマフクロウの声認識ソフト-完成

 日本野鳥の会では、北海道のシマフクロウのために土地を買い上げて環境の整備などを行っています。詳しくは下記URL。
 http://www.wbsj.org/nature/kisyou/kb/
  この事業の一環として、YAMAHAから録音機を提供していただきシマフクロウの声をとらえることで生息の確認をしてきました。しかし、この調査の問題は3時間分のデータを確認するのにおよそ1時間がかかります。10台以上を調査対象地に置いてタイマー録音し効率的に録音しているとは言え、膨大なデータの処理には苦慮してきました。
 本日、集めた音声データからシマフクロウの鳴き声だけを抽出する解析ソフトが富士通の協力でできたと報告を受けました。
 富士通と共同で朝日新聞に個別取材を受け、13日の朝刊に掲載されています。
 朝日新聞ネット版(ただし、全文は有料記事)
 http://www.asahi.com/20121013/pages/business.html
 富士通のリリース
 http://pr.fujitsu.com/jp/news/2012/10/15-1.html
 これまでは、人の手で1時間かかっていたものが、このソフトを使えば、たったの2分、しかも正確に調べられるようになったとのことです。
 これで、シマフクロウの生息の確認がより容易になり、保護が1歩も2歩も進むことになるでしょう。あの腹に響くシマフクロウの声が、各地で聞かれるようになると良いですね。
 また、この技術を他の鳥にも応用すれば、いろいろな鳥の生息状況を把握し具体的な保護対策をとることができるようになるわけです。音に関わる者にとって音から野鳥のためになる対策がとられ、その結果、素晴らしい録音ができる自然が守られることになるわけですからうれしい限りです。

2012年10月14日 (日)

カメラマンに怒られる-葛西臨海公園

 今日は、あしだち自然にふれあう会の探鳥会で葛西臨海公園へ。2、3日前の天気予報では、秋晴れのなかバードウォッチングを楽しめるはずだったのですが曇り。それも寒い上に昼頃から雨がぱらつき、かなり厳しいコンディションになってきました。それでも、鳥のほうは多くて、38種類を見ることができました。それにしても、カワウやウミネコのなどの数の多さは葛西ならではのものです。これにカモ類が加わると鳥に満ちあふれている感じになるのですから、楽しいエリアです。
 ところで、ちょっとしたトラブルがありました。リーダーの女性が先頭を歩いていると戻ってきました。そこにいたカメラマンのオジさんに「集団で来るな」と怒られたというのです。道は、一般の人も通る探索路です。こちらは35名ほど、もちろんおしゃべりはしています。ですが、みんなの公園ですし、嫌な顔をされるのはまだしも、来るなと怒るのはスジ違いでしょう。ですから、そのまま通過しました。
 このオジさんは、大きな望遠レンズ付きのカメラに三脚、椅子に座って構えていました。何を撮っているのかわかりませんが、この場所からは動くつもりのない体勢です。ですから、ここを通るグループがいたら、たえず文句を言うのでしょうか。子供連れがにぎやかに来ても怒るのでしょうか。1日ここに座って人が来るたびにイライラしていることになります。
 葛西のような人通りの多い公園で写真を撮るこの方にとっては、ストレスとなっていることでしょう。野鳥と接することで癒やさるはずの作業が、逆にストレスを生む結果となっているのかと思うと同情してしまいます。というか、そのような心持ちでシャッターを押しても良い写真が撮れるものなのでしょうか。
 次回のデジスコ・ドットコムのコラムネタで、考察してみたいと思います。

2012年10月13日 (土)

ファーストインプレ-DSC-HX30V

 今まで使用していたデジカメは、SONYのDSC-HX9Vです。接写から300mm相当の望遠まで撮影できるので、使いやすく便利しておりました。あまり使う機会はありませんでしたが、ハイビジョン撮影ができてその画像がとてもきれいでした。これで不満はなかったのですが、後継機は望遠が500mm相当となり買い換えました。DSC-HX30Vです。
 昨日は芝川第一調整池で、今日は六義園で試してみました。昨日も今日も風が強く、録音日和とは言えず、ウォッチング・モードに切り替えての写真撮影です。
 操作は、ほとんど同じなので使いやすさは変わりません。起動、ピント合わせ、画像の保存などのレスポンスは一様に早くなっています。500mmになったことで、飛んでいる鳥を液晶画面に捕らえてピントが合うまで待って、シャッターを押すというのが、とても難しくなりました。それでも、飛んでいるチュウヒを捕らえることができ、そこそこのピンが得られます。手ぶれ防止が、かなり強力に効いている感じがします。
 写真は芝川のチュウヒ、望遠は500mm相当、手持ちで撮影です。拡大すると、ぶれているのがわかります。

Marshharrierbydschx30v

 とまっている鳥については、500mmを手持ちで撮れるのはかなり便利です。写真は六義園のコサギ、同じく500mm相当、手持ちで撮影しています。EV補正を-1に設定してます。

Littleegretbyhx30v

 動いている鳥を追いかけて撮るとどうなるのか。500mmという狭い視野でも、カモならば追うことができました。六義園のカルガモです。手持ちで撮影、それを4/1ほどをトリミングして、ブレ具合を見てみました。かっちりと来ています。

Spotbilledduckbydschx30v

  最後に、広角での撮影。25mm相当です。逆光気味のあまりコンディションの良くない状況でどのように撮れるのか、試してみた写真です。

Togetu_2

 接写の機会がなかったので、次回試してみます。今のところ、私が使うような取材の記録のデジカメとしては、かなり有効な機種だと言えます。

2012年10月11日 (木)

水野馨さんの写真に写った掛図

 『満州鳥類原色大図鑑』の水野馨さんの写真については、いろいろな方から情報をいただきました。山階鳥類研究所の平岡孝さんからは、中央の猛禽類の剥製は「ヒゲワシではなく、ハチクマに見えます」というご指摘をいただきました。ヒゲワシは、はるかに大きいそうで、顔は確かにハチクマですね。訂正いたします。
 また、園部浩一郎さんからは、壁に貼ってある掛図は私が書いた大正13年に日本鳥学会から発行された『狩猟鳥獣掛図』ではなく「カレンダーの右側が『主要毛皮獣類掛図』(〔満州国〕産業部林野局編)、その右側が『主要狩猟鳥類掛図』(産業部林野局編)です」というご指摘をいただきました。
 園部さんは、日本野鳥の会の元職員で『野鳥』誌の編集長、総務部長などを歴任されました。私の在職中には、お世話になった方です。現在は、フリーでバードウォッチング三昧かと思ったら、去年分厚い『小林重三 作品・掲載書目録』を送ってました。いつの間にか、往年の野鳥画家・小林重三の研究者になり極めていらっしゃいました。厚さがわかるように撮ってみました。

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  園部さんが掛図についてこだわったのは、この絵が小林重三によるものだからです。当時の図鑑などの書籍は、数は少ないものの山階鳥類研究所の書庫や古書店で見ることができます。ところが、掛図類が市場に出ることはまずありません。現在のようにパワーポイントのない時代、人を集めて講演するときの重要なツールが掛図でした。学校でも講習会でも使われていました。しかし、掛図は破れてしまえば捨てられる消耗品です。今では、見ることはもちろん入手することは困難です。私も『狩猟鳥獣掛図』を所蔵していますが、現存が確認されているのは数点にすぎません。
  ところで、園部さんによると掛図の『主要毛皮獣類掛図』の存在を知ったのは林野庁OBの方の所蔵していた原画の裏に「実業部林務司編」と鉛筆でうすくメモ書きがあったからだそうです。実業部林務司は満州の組織であるために、満州のために作られたことは想像できましたが、現物の確認はできませんでした。なんと、この掛図が存在した証拠となるのが、この水野さんの写真だけなのです。
 もちろん制作年も不明です。園部さんによると、産業部林野局が存在したのは1937~1942年の間、水野さんの写真が撮られたのが昭和14年(1939年)のため「発行年は1937~1939年の間に絞られてきたことになりました。」と、喜び言葉も添えられていました。
 さらに園部さんからは、ハチクマの後方右側にある3枚の掛図は、初版の『狩猟鳥類掛図』(農商務省農務局編・1924年・全5枚)ではなく改訂版の『狩猟鳥類掛図』(農林省山林局編・1935年・全5枚)であり、このうちの(左から)其五、其四、其三だとのこと。資料の少ないはずの掛図の初版と改訂版をこの写真から識別するとは、なんとも凄い眼力です。
 その根拠を園部さんの言葉をそのまま、「初版と改訂版は、ほとんどの野鳥のシルエットは同じに描かれているので、遠目に見ると区別はつきませんが、絵のタッチが異なります(絵の技術が上がった)。ただ、水野さんの写真からは、絵のタッチまでは分かりません。区別できるのは、一部描かれている種とレイアウトが異なる点です。例えば、其三:初版ではタゲリの部分に改訂版ではオグロシギ、初版ではケリの部分に改訂版ではアカアシシギ、其四:初版ではルリカケス、クロツグミ♂♀、マミジロ♂♀、アカハラ♂♀、イソヒヨドリ♂♀、ホシガラス、トラツグミの部分に、改訂版ではテッケイ、コジュケイが描かれています。水野さんの写真では、其四の右下にテッケイ、コジュケイがあり、其三の上部に(あまり明瞭ではありませんが)アカアシシギ、オグロシギがあります。」とのことでした。
 おそらく、ここまで来ると話に付いてこられる方は少ないと思いますが、極めた方の眼力と洞察力は凄いものがあります。それに、しっかりと楽しんでいるとしか思えません。脱帽です。それにしても、たった1枚の写真からここまで展開するとは、思いもよりませんでした。
 いずれにしても、水野馨さんのご長男のおかげです。重ねてお礼申し上げます。また、園部さん、貴重なご意見をありがとうございました。

2012年10月10日 (水)

『朝の小鳥』11月放送分スタジオ収録

 今日は、文化放送にて『朝の小鳥』11月放送分のスタジオ収録でした。11月は、とくにテーマを決めず11月に録音した11月らしい音で構成いたしました。いわば「11月の野鳥の声」です。本日も、S木ディレクターのスムーズな進行とI川アナのなめらかで優しい声のナレーションで無事終了。毎度のことながら、プロの仕事には感心させられます。
 今回、話になったのはヒレンジャクの声です。録音したときは2、30羽の群れでしたので、シナリオには「ヒレンジャクの群れが鳴き合っています」と書きました。ところが、音だけ聞くと2、3羽が鳴き合っている程度にしか聞こえないのです。まして、ヒレンジャクの声は寂しげなので、よけいに群れらしく聞こえません。
 実は、先月も同じようなことありました。タゲリの群れです。このときは72羽の群れだったのですが、やはり2、3羽程度が鳴き合っているようにしか聞こえません。シナリオには「タゲリの群れが・・・」となっていたので、本番中「50羽くらいの群れだった」と私が言ったら、思わずS木さんがスタジオのS川さんに「50羽もいるんだって・・・」と言ってしまい、マイクに入ってしまいました。後で皆で大笑いをしてしまったのですが、それほど実際の場面と音のギャップがあるときはあります。
 私は、現場での印象を大切にして、シナリオを書いています。ところが、音だけを聞くと雰囲気が違ってしまうことがあるのです。理由はいくつかありますが、まずひとつはタゲリのように鳴かない鳥です。これは、何羽いようとも鳴いているのが2羽ならば、その音しか録音できないのですから仕方ありません。もうひとつは、今日のヒレンジャクのように小さな声で鳴く鳥です。マイクに入ってくるのは、近くで鳴いている鳥の声だけとなり、どんなに大きな群れでもそばの鳥の声しか拾えないからです。
 これからは、スタジオで聞いていただいた印象も受けて、シナリオを微調整することで、実際と音のギャップを少しでも埋めようということになりました。
 72羽いたタゲリは10月21日放送です。合わせて、お聞きいただければと思います。
2012年11月放送予定
 11月4日  ヤマガラ(高尾山)
 11月11日 モズぐぜり(大久保農耕地)
 11月18日 オオバン(芝川第一調節池)
 11月25日 ヒレンジャク(奥日光戦場ヶ原)

2012年10月 8日 (月)

お宝画像-『満州鳥類原色大図鑑』の水野馨さん

 幻の図鑑『満州鳥類原色大図鑑』の著者の水野馨さんについては、意外にも身近にご親族の方がいて思わぬ貴重な情報を知ることができました。この件については、何度か拙ブログで記事にしてきました。

   今日は上機嫌-『満州鳥類原色大図鑑』を入手
  世の中、意外と狭い-満州鳥類原色大図鑑の水野馨さん

 今回、水野さんのご長男(90歳)に記事のコピーをお送りしたところ、1枚の写真を送っていただきました。なんと、水野さんの満州時代のお写真です。

Mizunokaoru

 初めて見る水野さんのお姿です。画像検索しても1枚の写真も出てきませんし、日本鳥学会誌『鳥』や日本野鳥の会『野鳥』にも、お写真は掲載されていないと思います。ご了解をえて本邦初公開いたします。
 写真は、研究室のような雰囲気の部屋に鳥の絵、書籍、そして鳥の剥製がいっしょに写っています。水野さんは白衣を着ており、おそらく大型のサギ(サンカノゴイでしょうか)の嘴の長さをモノサシで計測しています。あれだけの偉業をなされた方ですので、もっと筋骨たくましいお姿かと想像しておりましたが、学校の先生らしいインテリだったとお見受けいたしました。
 この写真から、いろいろなことがわかりました。まず、中央の大きな猛禽類の剥製は、ヒゲワシの若鳥だと思います。日本にはいない種類です。また、その手前のキジも首に白い輪が見えますのでコウライキジ、大陸産のキジです。ですので、やはり満州でのお写真の可能性大です。
 壁に掛かっている絵は、大正13年に日本鳥学会から発行された『狩猟鳥獣掛図』です。渡満のときにお持ちになったのでしょうか。それとも取り寄せたものでしょうか。いずれにしても、年代的に合います。
 さらに年代を絞りたいと画面を見たところ、壁の左にカレンダーが貼ってあるのを見つけました。このカレンダーは、アラビヤ数字でありながら縦書き、左から見るという今ではない配列です。そのため、はじめはなにかの周期律表かと思って見逃しましたが、よく見るとカレンダーです。
 カレンダーは、11月で1日が水曜日から始まっています。水野さんが満州にいらした期間は、大正14年から昭和20年です。この間、1日が水曜日で始まる11月の年を探しました。該当する年は3回あり、昭和8年、昭和14年、昭和19年となります。壁にある掛図は大正13年発行ですので、年代の決め手にはなりません。ただ『満州鳥類原色大図鑑』の発行は昭和15年ですから、もし昭和19年であればこの本が机の上に飾ってあってもよいと思います。当時、写真を撮るというのはちょっとしたイベントです。そこに大著が写っていないということは、昭和19年ではないでしょう。ということで、昭和8年か昭和14年ということになると思います。
 当時の情勢を考えると、大陸に渡り8年たらずでこれだけの資料を整えるのはたいへんだったのではないでしょうか。そうすると昭和14年が残り、ちょうど図鑑の制作に向けて資料を整理しているところではないでしょうか。
 という問いかけの手紙を、ご長男に差し上げたところ「奉天(現在の瀋陽)に赴任してからの年ですから奉天高等女学校の自室です。昭和14年です。仕事に追われてやや細っているように写っています」とのことでした。お手紙といっしょに水野さんのもう1冊の著書『満州鳥類分布目録』(昭和9年/1934年・発行)も送っていただきました。重ね重ねのお宝を頂戴し、なんとも恐縮です。重ねてお礼申し上げます。
 今回は、幸いにしてご家族の方とご連絡がとれ、情報を得ることができました。水野さん以外にも、歴史の中に埋もれている研究者がたくさんおります。先人たちのご苦労の結果、今こうして野鳥を楽しんでいる身としては、少しでもお役に立てればと思っての考証です。しかし、こうして調べるのがまた楽しくて、諸先輩にはさらなるご迷惑なことかもしれません。

2012年10月 7日 (日)

日本鳥学会100周年記念『鳥類の多様性』開催

 昨日より、日本鳥学会100周年記念イベント「鳥類の多様性~日本の鳥類研究の歴史と成果~」が開催されています。
 大珍品のカンムリツクシガモやミヤコショウビンの標本、絶滅鳥ドードーの本物の骨、レプリカの剥製などが展示されているはずです。その他、目録の改訂で注目される分類や生態、保全に関する展示もあるようです。展示会で、鳥の勉強をしておけばバードウォッチングの楽しみもより深まるというもの、ぜひお出かけください。
 会場では、私の提供したアカコッコとイイジマムシクイの音源も流されているはずです。探して、聞いてみてください。

Torigakai100th

日本鳥学会100周年記念・鳥類の多様性〜日本の鳥類研究の歴史と成果〜
期日:2012年10月6日(土)〜12月9日(日)
※休館日は、毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は火曜日)
場所:国立科学博物館
東京都台東区上野公園7-20 Tel. 03-5777-8600(ハローダイヤル)
料金:通常の入館料でご覧になれます。
(大人・大学生600円、高校生(高等専門学校生含む)以下 無料)
主催:国立科学博物館、
後援:日本鳥学会・(公財)山階鳥類研究所
URL: http://www.kahaku.go.jp/event/2012/10bird/info.html

2012年10月 6日 (土)

2年ぶりの三番瀬-目の不自由なMさんと

 三番瀬には、毎年数回は行っています。ところが3.11震災以来、立ち入り禁止となり行きそびれていました。この季節、野鳥の声を録りたいと頑張っている目の不自由なMさんが、行ってみたいとのこと。ちょうど、2年ぶりの三番瀬です。久しぶりに行ったら、名称が船橋市海浜公園から”ふなばし三番瀬海浜公園”に変更になり、バスは30分に1本あったものが1時間に1本程度になっていました。
 どうせ行くならばと、イラストレイターの月之座さん、日本野鳥の会で目の不自由な方々にバードウォッチングの普及を企画しているH田さん、そしてカラス仲間で10年来のつきあいをしていたK藤さん、K藤さんは2年目に会ったときは目が悪くなったと言っていたのですが、今日は白杖をついての姿で登場。ちょっとショックでしたが、盲学校でバードウォッチングの普及を図りたいと前向きの姿勢には感心しました。それに、Mさんのお父さんを加えてのバードウォッチングです。
 10時に着くと干潟は出ていません。三番瀬が地盤沈下をして、最近は干潟が出ないと聞いていただけに不安です。そのため、波の音を聞いたり、アシ原で鳴くエンマコオロギの声を録ったりして待ちます。鳥たちも、なかなか引かない干潟にがまんができなくなって飛んできました。まず、ミユビシギの100羽ほどの群れが私たちのいる前の波打ち際にやってきました。鳴き合う声が聞こえます。さっそく、森さんがマイクと録音機をセットします。
  そして、まだ干潟が引いていないのに、近くの海面にミヤコドリが50羽ほどが飛んできました。なんと、ここがいちばん最初に干潟が出たところでした。干潟が顔を出すと、ダイゼン、ハマシギ、メダイチドリ、オオソリハシシギ、オバシギ、ソリハシシギ、トウネン、そしてウミネコ、オオセグロカモメ、アジサシがやってきました。狭い干潟に皆が集まっているので、とてもにぎやかです。ちょうどここが、Mさんがマイクを置いた前だったのです。

Morikunset

 Mさんは、今日の成果をさっそくWebサイトにアップしています。下記のURLでお聞きいただければと思います。メニューの自然の音、そして今日の日付のところでお聞きください。
  http://mori1134.sakura.ne.jp/
 台風の後でやや波の音が大きいもののミヤコドリ、ダイゼン、ウミネコ、オオソリハシシギの水浴びの音が録れています。たった1回でしたが汽笛も良いですね。1時間ほど録音していたはずなので、そこから5分間に編集されています。目が不自由でも、これだけ録れて、ここまでコンピュータで編集できるのですね。視覚障害者の方々のなかに、録音の楽しみを広げられる可能性が見えた今日の三番瀬でした。

2012年10月 4日 (木)

日光の懐かしい音-立ち売りの駅弁屋

 今や駅弁は、駅の売店で買うのが当たり前になってしまいました。昔は、列車が着くと首からぶら下げた箱に弁当を山積みにした弁当屋さんが売りに来たのものです。このような弁当屋を”立ち売り”と言うのだそうです。
 鉄オタのサイトを見ると現在、立ち売りの弁当屋が残っているのはわずか。そして、関東地方ではわずか1ヶ所、日光市にある東武鉄道下今市駅だけとか。PCM-D50で録音。靴音などをカットしたほか、フェードイン、フェードアウト以外は加工していません。

「bentouya110403_02.mp3」をダウンロード

 下今市駅は、日光線に乗り換えるたびに通る駅のため、いつもこの売り声を聞いています。ですから、どこにでもいるものだと思っていました。まさか、絶滅に瀕しているとは思いも寄りませんでした。
 私が日光に通い始めた20年前から、同じお爺さんです。以前は、特急のスペーシアのなかに首を入れて声を張り上げるなど、積極的に売っていました。このところ、せっかく買おうと思ってもいないこともあります。また、駅のベンチに弁当を置いて売っていたりしますから、座り売りになっていることもあります。この間は、列車の窓から見ていたら駅のベンチに座り込み肩で息をしていました。声の張りも以前に比べれば落ちているのはしかたありませんが、いつまでも元気に弁当を売って欲しいと思います。
 ちなみに、1,000円の「日光まるごと味の弁当」(アザレア弁当)は、美味しいです。材料は、すべて日光のものを使っているこだわりの弁当です。以前は、包み紙に今市市の鳥のカワセミが印刷されていましたが、今市市が日光市に合併されたせいか、いつの間にかいなくなったのは寂しいです。

2012年10月 3日 (水)

日光の懐かしい音-ウグイス笛

 子供の頃(昭和30年代)、箱根に行ったときにウグイス笛を売っていました。たしか芦ノ湖の畔だったと思いますが、ウグイス笛の音は昭和の観光地の音のひとつではないでしょうか。ですから、日光通いを始めて東照宮の前でウグイス笛の音を聞いたときは、とても懐かしく思ったものです。
 もちろん本物のウグイスのさえずりにかなうわけもありませんし、似て非なる音であることは言うまでもありません。しかし、観光客の雑踏のなかで響き渡るウグイス笛の音は観光地に来たという実感がわいてくると言ったら大げさでしょうか。
 日光では、東照宮の前の大鳥居あたりで1人の老人が売っています。私が初めて見た10数年前は、駅弁売りのように歩き回って売っていました。子供連れが来れば、なんとなく近づいて、ウグイス笛を吹いてはアピールしていたものです。しばらく姿を見なくなり、寂しいなあと思っていました。先週末に久しぶりに行ったら椅子に座って売っていました。音も心なしか昔に比べて力が無くなったような気がします。PCM-D1で録音。フェードイン、フェードアウト以外の編集加工はしていません。

「uguisubue12092900.mp3」をダウンロード

 ウグイスの「ホー」は鳴けても「ホケキョ」が難しいですね。これを真似できるのは鳥ではモズ、人間では江戸家家の方だけかもしれません。あとですれ違った笛を買った子供は「ピー」しか、鳴らせませんでした。

2012年10月 1日 (月)

迷彩のキーボード

 おそらく、私がいちばん使っている商売道具はキーボードでしょう。そのため、お気に入りのタイプを使い続けています。FILCOというメーカーのFKB108シリーズです。キータッチが重すぎず軽すぎず、なおかつ押しているという手応えが心良いので手放せません。そのため、ここ6年で3台(枚)、使いつぶしています。だいたい、文字キーのA、Oのマークが消えて、リターンキー、S、M、K、そしてピリオード、コンマの順でかすれてきます。そうすると、次にコードが断線してしまい買い替えてきました。今回は、コードが切れて中の配線が見えてきました。これは、ダメだと思って検索するとなんと迷彩模様のタイプがあることがわかり、速攻で買いました。

Keybord1

 迷彩模様は、ウッドランドパターン。渋めの色合いで、良い感じです。キータッチは、今までのものより軽い感じで、長時間の作業でも疲れにくそうです。これで、また仕事をしなくては・・・・

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