« 2012年11月 | トップページ | 2013年1月 »

2012年12月

2012年12月31日 (月)

鳥見納め-芝川第一調整池

 やっぱり芝川に行ってきました。この間に比べれば、風もなく暖かい芝川です。しかし、先シーズンの年末年始はフリースを着ていられないほど暖かかったのですから、やはり今年は寒いです。
 ハクチョウ類は、数が減っていました。相変わらず、チュウヒの国内型幼鳥が調整池狭しと飛び交っていました。ときどき、もう1羽とバトルを繰り広げるなど、飽きることはありません。前回、いなかったミコアイサの群れが入っていました。ここでは、初めてです。
 実は、池の水位がずいぶん下がっているのです。そのため、アオサギやダイサギにとっては、魚が捕りやすいようで増えています。しかし、カイツブリ、オオバン、そしてカモ類などは少なく、とくに潜水して獲物を捕るタイプは減っています。ですから、ミコアイサが定着するかどうか、怪しいところです。
 今日はまたいちだんと小鳥が多かったですね。面白いと思ったのは、アカゲラの雌がアシ原にいたことです。はじめはアシにとまって虫を捕っていように見え、ずいぶん珍しい行動だと思いました。よく見ると、太めの草の茎でした。それにしても、細い枝にとまっての食事は、珍しいと思いました。

Greatspottedwoodpecker121231

 今年の録り納めは、ベニマシコです。暮れの慌ただしい中、優しげな声がやすらぎとなれば幸いです。PCM-D1で録音、低音の軽減、ボリュームのアップ、ノイズリダクションをかけています。

「Long-tailedRosefinch121231.mp3」をダウンロード

  では、皆さま。また来年も、たくさんの野鳥たちと素晴らしい出会いがありますよう、お祈りいたしております。

2012年12月29日 (土)

日本野鳥の会理事会-サシバの里谷津田米

 話はまた前後しますが、一昨日は日本野鳥の会の理事会でした。開催に当たって先日、お亡くなりになった小林豊事務局長へ哀悼の意を表しての黙祷をいたしました。審議のなかでも、小林さんの話はたびたび出て彼の存在の大きさを感じました。柳生博会長からは、カンムリウミスズメのコンサートで彼を語ったこと、出席した東北ブロック会議や各支部でも話題となり「地方でも人気があった」と、しみじみと話されました。ナレーションのプロの柳生会長が語るのですから、思わず目頭が熱くなりました。
 ところで、遠藤孝一理事からお土産をいただきました。”サシバの里谷津田米”です。

Sasibamai

 遠藤さんが行っている「NPO法人オオタカ保護基金」の活動のひとつです。このお米は、サシバの生息地である栃木県市貝町の里山を守るための活動です。サシバのいる里山に隣接する谷津田には、サシバの食べ物となるカエルなどの生き物が多く、美味しいお米ができます。無農薬無肥料というこだわりで、作られたお米をサシバの里谷津田米というブランドを付けて販売しているのです。
 このような動きは最近、各地で行われるようになりました。たぶん、湘南タゲリ米が最初でしょうか。埼玉県大久保農耕地でシロハラクイナが繁殖していた田んぼのクイナ米を日本野鳥の会埼玉県支部へ講演にうかがった時にいただいたこともありました。このほか、新潟県佐渡島の”トキひかり”、兵庫県豊岡市の”コウノトリの郷米”はご存知かもしれません。このような、生き物にちなんだブランド米は各地にあり、メダカなどを入れれば20件は越えているでしょう。
 私が、日本野鳥の会に在職していた20年前に鹿児島県出水のツル類渡来地のお米をツル米として売り出せないか、企画したことがあります。ツルの来る田んぼで作られたお米ならば野鳥の好きな会員の方々が購入してくれるだろう。農家の営業に少しでも協力して、共同でツルの生息地の保護をする流れを作りたいと思っての企画です。私のいた部署の仕事で担当者が奮闘いたしましたが結局、実現しませんでした。当時は、まだ野鳥の保護と鳥から被害を受けている農家とは相容れないものがあったからかもしれません。それが、今では生き物ブランド米の活動が各地で行われるようになり隔世の感があります。
 野鳥も農作物も同じように自然の恵みを受けているという当たり前のことがやっと理解されるようになり、本来の自然保護活動ができるようになったと言えるでしょう。
 遠藤さん、サシバの飛ぶ里山を思い浮かべながら食べたお米の味は、ひと味違いましたよ。ごちそう様でした。 

2012年12月28日 (金)

鳥見納めか-ワシタカハヤブサ識別図鑑

 明日も明後日も雨予報。もしかしたら今年最後の晴れかもしれないと思い、今日は外に出ました。芝川第一調整池です。今年の「初鳥見」が、芝川第一調整池でしたから、芝川ではじめ芝川で締めることになりました。
 ただ、晴れの予報がどん曇りのまま。風がないのが多少の救いでしたが、相変わらずの寒さの中のバードウォッチングです。調整池は全面結氷、氷は後述のオオハクチョウが歩いても割れないほどの厚さでした。
 寒さのわりに鳥影が多く探すまでもなく、たえず鳥が飛び交っています。去年、3羽だったオオハクチョウは12羽に増えています。ただし、どこからも見ても遠いところにいる上に眠っているため識別は不可能。コハクチョウが混じっているかもしれません。
 お目当てのチュウヒも2羽。そのうちの1羽は、頭から肩にかけてクリーム色がとてもきれいな国内型若鳥でした。この若鳥は、ハシブトガラス2羽に執拗に追われ、反撃するもさらにやられ、芝川から出て行ってしまいました。心配したものの、しばらくするともどってきて頭の上を飛んでくれたのはラッキーでした。
 チュウヒはバリエーションの多さ、そして良く似た近似種がいることもあって、識別にはいつも悩まされます。今回、”チュウヒの国内型若鳥”と明確に言えるのは、先日有楽町の三省堂で購入した真木広造さんの『ワシタカ・ハヤブサ識別図鑑』(平凡社)のおかげです。なにしろ、チュウヒだけで21点の写真が載っています。ですから、何かしら同じか近いパターンを見つけることができると思います。チュウヒの近似種では、ヨーロッパチュウヒ6点、ハイイロチュウヒ14点、ウスハイイロチュウヒ7点、マダラチュウヒ13点の写真が載っています。チュウヒ類だけで61点もの写真が載っているのです。これで必要な特徴さえ見えれば、かなり自信を持って識別することができるのではないでしょうか。この図鑑も、相変わらず真木さん一人で撮影した写真だけで構成されていることも凄いですね。
 この図鑑のおかげで、これからいろいろ発見があり報告が多くなるのではないでしょうか。
 
Wasitakazukan

タイトル:ワシタカ・ハヤブサ識別図鑑
著者:真木広造
出版社:  平凡社
ISBN-10: 4582542468
ISBN-13: 978-4582542462
発売日:(2012/12/21)
装丁:A5版変形(20.2 x 12.8cm)、216ページ
価格:2,310円
アマゾンのURL
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%AF%E3%82%B7%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%A4%E3%83%96%E3%82%B5%E8%AD%98%E5%88%A5%E5%9B%B3%E9%91%91-%E7%9C%9F%E6%9C%A8-%E5%BA%83%E9%80%A0/dp/4582542468/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1356697818&sr=8-1

2012年12月26日 (水)

伊豆大島のキョン

 話は前後しますが、この間の伊豆大島で驚いたことがあります。それは、小型のほ乳類が多いこと、それも移入種です。まず、ホテルの庭にいたキョンの写真です。

Kyon121220

 キョンは、山道を車で走っているときにも出会いました。キョンは小型のシカの仲間。中国や台湾が原産地で、日本では動物園などから逃げ出したものが野生化しているそうです。房総半島で動物園から逃げ出したキョンが増えて問題になっているのをTVの報道番組でみたことがありますが、ここ大島でも近年はびこっているのです。
 キョンは、すり寄ってくるようなことはありませんが、植え込みのツツジを食べたり道を横切ったり、ホテルの窓のすぐ外にいたりして人の生活のすぐそばにいる感じでした。
 つぎに多いのがタイワンリス。こちらの方は、高校時代に伊豆大島に訪れたときには定着していましたから移入種として大先輩です。姿を見ることもありましたが、声がよく聞こえました。また、車に轢かれた死体もあって、こちらも個体数が多そうです。
 自動車道路や探索路を歩いていると、森の中からゴソゴソ、ガサガサ、ドスドスといういろいろな音が聞こえてきます。鳥とは違って重く大きな音です。森は密生しているので中が見えません。もし、これらの音がキョンかタイワンリスだとすると、かなり密度で生息してことが想像できます。
 地面を歩いて植生を荒らすキョン、木々を走り回るタイワンリス、いずれにしても伊豆大島の生態系に大きな影響を与えていることは間違いありません。

2012年12月25日 (火)

マナー看板-葛西臨海公園

 一昨日の葛西臨海公園で、気がついたことがあります。それは「お願い」と書かれた看板があちこちに掲げられていることです。A3版くらいの大きさで、「鳥への餌付けや音声での誘引はしないで下さい、撮影のための木の枝や花・石などの持ち込みはおやめ下さい」と赤でプリントされたもの、葛西臨海公園サービスセンターによる看板です。

Kasaikanban121223

 私が行ったのは鳥類園のみでしたので、公園の観覧車などある西側については不明です。しかし、鳥類園に関しては、野鳥を見るポイントやアプローチの入り口にはそつなく掲げられていました。そのため、バードウォッチングに訪れ方や野鳥の写真を撮ろうとする方には必ず目にとまるものと思います。
 この看板が掲げられるようになったのは、さきにブログ「葛西臨海公園・鳥類園Ⅱ」に取り上げられた野鳥カメラマン対策の展開の一つでしょう。対策として注意喚起を呼びかける看板を置くというのは、まずは順当な発想だと思います。
 問題は、このような看板を見てくだんの野鳥カメラマンの方々はどう思っているでしょう。餌付けに関しては、悪いと思っていなかった人たちです。どちらかと言うと、皆に良い写真を撮らせやっていると思っていたのです。今まで自分たちのやって来たことが悪いことだったのかと、反省し理解してもらえるでしょうか。
 このような看板によってどれだけマナーが守られたのか、効果判定が難しいところです。効果の判断がしにくいだけに今後どのような対策を打つのか、次の一手があるのか期待しています。葛西の対策から、各地の公園で問題になっている野鳥カメラマンの所行を少しでも減らして、少しでも良い方向に持って行ければと思います。
 いずれにしても、このような看板で呼びかけなくてはならない現状に、この日の葛西の天候以上に寒々しさを感じました。

2012年12月24日 (月)

アシ原の謎の声-葛西臨海公園

 昨日は、晴れの予報を信じて葛西臨海公園へ。ところが、薄曇りの天気は朝から変わらず、薄ら寒い一日でした。しかし、鳥の方は多くノスリやハヤブサが飛び交い、大きな望遠レンズを抱えた野鳥カメラマンの姿も多い葛西でした。
 目的は、ホシハジロの雌の声です。「葛西臨海公園・鳥類園Ⅱ」によると、ホシハジロの群れが入っているとのこと、これを狙ってみました。この間の日本鳥学会で聞いた小木曽チエさんのポスター発表は、興味深いものがありました。小木曽さんによると、カモ類の鳴管で種類の識別ができるというのです。鳴管は堅いためミイラ化したような死体でも残り、種類の見当が付けられるとのことでした。また、雌には鳴管がないとも教えてもらいました。確かに、ディスプレイの時に「ピィ」など出すの雄、ホシハジロの場合「キュウィン」あるいは「クゥワォン」と鳴きます。では、雌はなんと鳴くのか、確認したことがありませんでしたので、この耳で確認しつつ録音できればと思って出かけました。
 ウオッチングセンターの前にある上の池に、ホシハジロの100羽を越える群れが入っていました。しかし、ほとんど寝ていて、ときどきディスプレイをしそうになる数羽がいるのですが寒さのせいか、なかなかしてくれません。とりあえず、PCM-D1を群れに向けて回しておきましたが、思うような音は録れませんでした。
 ところで、この長時間録音中に、聞き慣れない声が聞こえてきました。「ピュウ」という感じに聞こえ、これを間をあけて何度も繰り返す声です。PCM-D1で録音。低音ノイズをかなり軽減、ボリュームのアップ、ノイズリダクションをかけています。

「unknown12122305ee.mp3」をダウンロード

 声はアシ原のなか、低いところから聞こえてきます。近くにいる鳥は、ホシハジロ、キンクロハジロ、コガモ、オオバン、カイツブリ、そしてオオジュリンくらいです。この中に、このような声を出しそうな鳥はいません。アシのなかですから、いちばん可能性のあるのはクイナ、あるいはクイナ系の鳥です。ただ、クイナがこのような声を出すのを聞いたことがありませんので、不明です。
 この間、行徳野鳥観察舎でも謎の声が聞こえたと問い合わせがありました。この声は、ブログ「行徳野鳥観察舎日誌」にアップされています。聞いたときは同じかもと思ったのですが、違いました。
 いずれにしても、冬のアシ原からはいろいろな声が聞こえてきます。

2012年12月21日 (金)

伊豆大島でもウソ

 義弟から、伊豆大島でキンメダイ尽くしの料理を食べ露天風呂の温泉に入るというプランに誘われました。もちろん、二つ返事でカミさん共々同行。1泊してきました。
 伊豆大島には、高校時代のキャンプ、日本野鳥の会退職後に日本野鳥の会の紹介でバードウォッチングのアドバイスに訪れた程度です。ですから、じっくりとバードウォッチングをするための来訪は、今回が初めてです。
 行く前にいろいろ調べたら、伊豆大島の野鳥に関する情報の少なさには驚かされました。バードウォッチャーは、誰も行っていないのではと思うほどです。しかし、行ってみるとメジロとヒヨドリの密度の高さにまず驚かされます。そのため車で道を走っていると、たえず鳥影が過ぎります。小鳥が多ければ猛禽類も多く、ノスリ、ハイタカ、ミサゴ、ハヤブサ、そしてトビを見ました。このほか、出会いの多い印象順に、シロハラ、ウソ、キジ、ジョウビタキ、ルリビタキ、ウグイス、アオジ、カワラヒワ、イソヒヨドリと言ったところ。このほか、仕掛けたタイマー録音にはヤマガラが入っていました。カラス類は、ハシブトガラスが多く1羽だけハシボソガラスを見ました。
 今シーズンの秋から冬には、都内各地でウソが見られました。私のフィールドの六義園でも姿を見せてくれて楽しみませてくれました。ここ大島でも、ウソはとても多く感じました。道を過ぎっただけても腰が白いのでわかります。ホテルの庭でも、ときおり声が聞こえて録音もできました。アップした音源は、PCM-D1で録音、ボリュームの調整、低音の軽減、ノイズリダクションをかけています。

「Bullfinch-in-Oosim121220.mp3」をダウンロード

 伊豆大島では、ウソがふだんの冬にどれだけいるのかわかりませんが、少なくとも夏はいないはず。海を渡っていくウソのイメージが、思い浮かびませんでした。

2012年12月19日 (水)

『カラスの教科書』-カラスが楽しくなる本

 私がカラスに関わり始めた1999年頃、カラスについて科学的に研究されている方は、松原始さんくらいでした。そのため、カラスシンポジウムでは京都大学にいた松原さんにわざわざ上京していただいて、お話ししていただいた経緯があります。いわばカラス研究の老舗のお立場である松原さんを差し置いて、新参者の私のほうが先に本を書いてしまってずうっと申し訳ないと思っておりました。その松原さんが、やっと本を出されたので紹介いたします。お茶の水の丸善の棚にあるのを見つけ購入いたしました。
 とくにかく厚い本です。厚さがわかるように撮ってみました。

Karasunokyoukasyo

 これだけのボリュームのなかに、カラスの基礎から応用問題、誰でも思う疑問まで、かなりの多くのことが解説されています。といって、学術書ではありません。けして難しい本ではありません。むしろ楽しい本です。だからと言って科学的に怪しいということはありません。パラパラとめくっていただければ、楽しいそうなイラストが目に付きます。このイラストどおり、とてもわかりやすく楽しい本となっています。
 拙著、拙論文も引用していただいて、むしろ恐縮しながら読ませていただきましたが、私の知らないカラスのことも書かれていました。まだまだ、カラスも奥が深いです。いずれにしても、カラス好きにはたまらない本、カラス嫌いな人は少し好きになるかも、野鳥好きには野生鳥類の認識を新たにする本となるでしょう。ぜひ、ご一読を。

タイトル:カラスの教科書
著者:松原始
単行本: 399ページ
出版社: 雷鳥社 (2012/12)
ISBN-10: 4844136348
ISBN-13: 978-4844136347
発売日: 2012/12
装丁:四六版、399ページ
価格:1,680円
アマゾンのURL。
http://www.amazon.co.jp/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A7%91%E6%9B%B8-%E6%9D%BE%E5%8E%9F-%E5%A7%8B/dp/4844136348/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1355905849&sr=8-1

2012年12月16日 (日)

舎人公園-足立区野鳥モニター研修会

 本日は足立区環境保全課による野鳥モニター研修会の講師として、舎人公園でバードウォッチング、そのあと鳥の調査についての話をしてまいりました。暮れのお忙しい中、また選挙の当日に関わらず30名を越える方々がお集まりいただき、ありがとうございました。
 舎人公園では、まずはハシブトガラスとハシボソガラスがうまい具合に出てくれて、両者の違いをじっくりとお話しすることができました。また、たえずツグミが上空を飛び交いヒヨドリの声が絶えず、マヒワの群れに遭遇するなど楽しいひとときでした。それにしても、昨日まで寒さはいったいどこに行ってしまったのでしょう。
Tonaripark

 講演では、私の関わった調査を例にあげて調査の勘どころを解説いたしました。その後、足立区内で41地域で20年間行ってきた調査のまとめの中間報告がありました。これはとても興味深い内容で、これだけでも1日じっくりと報告していただきたいくらいです。
  ひとつだけ紹介しておきますと、足立区ではハシブトガラスとハシボソガラスが減っているのです。ハシブトガラスは東京都が対策を講じた2003年から顕著に減少しています。調査地域あたりの個体数の平均を示したグラフから読み取ると100羽から40羽に減っています。東京都が発表しているのはねぐらいりの数で、センサスデータで減少をとらえた記録は初めて見ました。
 また、同時にハシボソガラスも減っています。オーダーは数10羽のレベルですが、ほぼ同じ傾向が見られました。ハシボソガラスは、東京都の行っている捕獲檻に入ることはないと思います。少なくとも私が捕獲状況を見た限りでは、ハシボソガラスが入っているのを見たことがありません。仮に入るとしてもわずかでしょう。ですから、捕獲による影響は考えられないのです。それなのに、ハシボソガラスも減っている原因は何なのでしょうか。ヒバリの減少も顕著ですから、空き地が減ってハシボソガラスの生息地そのものが減少しているからでしょうか。それとも、ゴミ対策の効果がハシボソガラスまで作用しているのでしょうか。もしそうならば、ハシブトガラスの減少は捕獲圧よりかゴミ管理圧の効果が効いているということになります。
 東京都の捕獲事業では、年齢はおろかハシブトガラスとハシボソガラスを区別していません。もし、このあたりをきっちとデータを録っておいてくれれば、カラス対策の効果判定できて、さらなる対策を講じられるのですが、なんとももったないことです。
 足立区という広い地域で20年間、センサス調査を行うと見えてくるものは、たくさんあるのだと思いました。

2012年12月14日 (金)

デジスコ通信に投稿-”さん”付けが気になって

 昔、日本野鳥の会の職員だったとき、電話であった質問に「庭でキジバトが巣を作っている。雨が降ってきたのが傘を差してやらないで良いか?」と言うのがありました。よくとれば、とても心優しい方なのでしょう。しかし、おかしいと思いますよね。
 最近、私のまわりの友人知人のなかに、鳥に”さん”付けする方がだんだん増殖してきました。どうも、”さん”付けの行き着く先が、鳥に傘を差して上げなくてはと発想するようにならないのか、心配になり考察してみました。
 ”さん”付けは、気にならない方は気にならないでしょうし、言っている方も多いでしょう。ただ、気になり始めるとてもとても気になります。とうことで、デジスコ通信に投稿いたしました。題して「”鳥さん”って、やはり気になる」です。友人知人の皆さん、批判じみた論調になってしまいましたことをお許しください。
 下記のURLで、ご覧いただけます。
  http://www.digisco.com/mm/dt_67/toku1.htm
 皆さんも、この現象についてお考えいただければ幸いです。

2012年12月13日 (木)

映画『ビックボーイズ』の着メロ-Surfin' Bird

 ずっと気になっていたことがあります。それは映画『ビックボーイズ』の主人公の一人ジャック・ブラックの携帯電話の着メロです。とても軽快なリズムで、良い感じなのです。古めの曲の感じはあり、映画で聞いたような記憶がありましたので、私のCDコレクションの中の『アメリカングラフィティ』など1960~1970年代の曲を探しましたが見つかりません。映画を見たばかりの頃、ネットで「ビックボーイズ 着信音」などと、ググっても何も出て来ませんでした。
 思い出して今回ググってみると、同じように気にしている人がいてYahooの知恵袋にありました。曲名は”Surfin' Bird”、やはり鳥に関係した曲でした。
 Surfin' Birdの演奏はThe Trashmen、1963年にリリースされた今や懐メロです。当時としては、かなりぶっ飛んだ曲だったでしょうね。映画で聞いたと思ったのは『フルメタルジャケット』の挿入歌でした。この映画は、私の戦争映画ベスト10に入り何度も見ています。もし、前半がなく戦闘シーンだけならば、ベスト5に入れても良い映画です。全体にシリアスな映画なのですが、数少ないユーモラスなシーンで流れる曲がこのSurfin' Birdでした。
 まずは、YouTubeのThe Trashmenのオリジナル。
  http://www.youtube.com/watch?v=fruHQhNe-UM
 昔、ローリングストーン以前は舞台に上がる人はネクタイにスーツだったのです。曲と衣装があっていないのは、当時を物語っています。
 いろいろなバージョンがあり、なかにはスティーブン・キングが歌っているのもありました。なかでも、このセサミストリートのビックバードの動画は凹んだときに見ると元気がでそうです。
  http://www.youtube.com/watch?v=jZmhBi-1gec
 曲を聞くと、ただ「バーバー」言っているだけに聞こえますが、歌詞は「Bird, bird, bird, b-bird's the word」とBirdと言い続けています。バーダーなのですから、着メロは鳥の声にするところを鳥にちなんだ曲、それもただBirdと言い続けるSurfin' Birdにしたところは心憎い演出です。ビックイヤーの挑戦するジャック・ブラックに、ぴったりの選曲です。
 ということで、私の携帯電話も古今亭志ん生の出ばやしの”一丁上がり”からSurfin' Birdに替えました。

2012年12月12日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-不思議なノイズ

 今日は文化放送のスタジオ収録でした。『朝の小鳥』の来年1月放送分です。さえずっている鳥は少なく、もっとも企画に苦しむ季節です。ディレクターのS木さんの希望で、とりあえず新年はツルということでマナヅル、そして冬からさえずり始める鳥たちを選びました。
 ところで、今日の収録でアクシデントというか不思議なことが起きました。アナウンサーのI川さんが「おはようございます。朝の小鳥の時間がまいりました。」という頭のナレーションのところで、ノイズが入るのです。小さな音で、気がつかなければ気にならない音です。しかし、S木さんが気がついて「おかしい、やだー」と言われたので、私も気になって聞くと「クウ」とか「キュウ」と聞こえます。子犬の声のような生き物を感じさせるノイズです。
 頭の部分ですから、まだ私の音源もテーマ曲も回っていません。ですから、音源からのノイズではありません。I川さんはプロですからリップノイズやペーパーノイズをたてるわけはありません。ノイズが出ることがわかってから、身体を動かさず息もしないでナレーションを読んでみましたが聞こえます。ですから、衣擦れでも鼻息でもありません。それに同じ所で同じ衣擦れ、鼻息がするのも考えられません。
 次が、機械的な問題です。同じところに入るのですから、機械の起動によるノイズの可能性があります。そのため、ナレーションを読むタイミングを遅らせて録ってみましたが、やはり言葉のところで入ります。何回かやってみましたが、聞こえます。不思議です。
 I川さんが「何か背負ってきてしまったかしら」というと、S木さんが「昔の四谷のスタジオならばいろいろ出そうだけど、まだここでは出ないでしょう」とだんだん声が低くなってきました。「それでは、私がノイズが何と言っているか検証してみましょう」ということで聞こえやすくしたのがこの音です。わずか0.2秒です。周囲のナレーションを取って音量を上げています。

「noise121212.mp3」をダウンロード

 やはり「クウ」と聞こえます。音は、500Hzに中心があって3500Hzまで倍音が広がっています。いずれにしても、変な声ではなく可愛い声に聞こえます。放送現場では、ときどきあります。NHKのスタジオ収録でも以前、とうとう解らなかったノイズが聞こえたことがあります。いずれにしても後で、機械の専門家に見てもらうことになりましたが、それにしても何のノイズなのでしょう。
 ところで、来年の1月放送内容です。
 1月6日 マナヅル
    13日 カワセミ
    20日  キクイタダキ
    27日  フクロウ   

2012年12月11日 (火)

小沢昭一さんのこと

 小沢昭一さんがお亡くなりになりました。私は大のファンで、TBSラジオの「小沢昭一の小沢昭一的こころ」は毎日のように聞いていました。TVのない下宿時代は、確か午後6時前後の放送で、5時に職場を飛び出せば聞くことができるタイミングでした。ですから下宿に駆け戻って聞いたものです。その後、そうもいかなくなりこの番組のために小型のラジオを買って南平台の坂を下りながら聞いたものです。
 セミナーのような会にも参加して、物売りや大道芸についての話を聞きにいったこともあります。10数人の会合でしたので、すぐ横でお話をうかがえたのは、とてもラッキーでした。
 鳥的には、ヤマガラのおみくじ引きのことを調べられておりました。今はなき新潮社の雑誌『シンラ』の連載のなかで、最後と言われている豊川稲荷のヤマガラのおみくじ引きについて詳しく報告されていました。おそらく、日光東照宮のほうが最後で、こちらも詳細な記録が残っていることを日光野鳥研究会のE村さんが発見されました。機会があったら小沢さんにもご紹介したいと思っているうちに、お亡くなりになってしまったのは残念です。
 録音的には、放浪芸の音の記録『日本の放浪芸』LP7枚セットが偉業ですね。当時(発売は1971年ですが取材は1960年代)のことですから、オープンリールのデンスケにマイクを持っての録音。どんどん失われて音に追われていくような取材であったと思います。野鳥録音に似たところもあったでしょうし、さらに違ったご苦労もあったでしょう。
 小沢さんが語っていたなかに「遊郭に友だちを連れて行って、それぞれに合った相方をあてがい、一段落してコタツに入り渋茶をするる、これが私にとっていちばん幸せの瞬間です」といった主旨の話がありました。この精神は、私は受け継いでいるつもりです。もちろん女性を紹介するのではありません。仲間を自然のなかに連れて行き、好きな野鳥たちに会わせ皆の喜ぶ顔を見ながら腰を下ろして持ってきたコーヒーを飲む、私にとっても至福のひとときです。
 小沢昭一さんのご冥福をお祈りいたします。合掌のこころだあ。

2012年12月10日 (月)

あられの中のレンジャク

 先週末は日光でした。日曜日は日光野鳥研究会にて、私の講演会です。講演会前日の土曜日は、早めに行って戦場ヶ原に行きました。着いたとたん横殴りの雪が降り始めました。厚い羽毛服を着ているのですが、身体に当たる音がバチバチとします。よく見ると雪ではなく氷の塊で”あられ”でした。以前、カラスの取材で行った冬の金沢で波状的に降るあられに見舞われたことがあります。冬の日本海側ではよくあることのようですが、関東では初めての体験です。
 風景も降りしきりあられのために霞んで見えます。

Sennjyougahara121208_3

 そんな中、戦場ヶ原にいるのはバードウォッチャーだけでした。皆さん、お目当てはレンジャク類です。国道沿いのカラマツの木に50羽ほどがとまっていました。ほとんどが、キレンジャク、ヒレンジャクが5,6羽の混じっています。
 レンジャクたちもあれらの中、木にとまったまま動きません。国道沿いのすぐそばの木のため、とても近くにいます。1羽1羽、どちらのレンジャクが確認することができるほどです。また、鳴き合う声も良く聞こえます。レンジャクの声はとても高く5,500~7,500Hzほどあります。ですから、老耳になった私には聞きづらい音域です。しかし、近いためにあられの打ち付ける音のまにまに、ときどき聞こえてきます。
 ただ、いちだんとあられが酷くなってきたため、録音はもちろん写真も撮ることのできません。ひたすら、あられのなかで耐えるレンジャクたちを見続けました。
 それにしても、今までいちばん寒い戦場ヶ原を体験いたしました。

2012年12月 7日 (金)

GRADOのヘッドフォーン

  海外ドラマにはまっています。以前、記事にしたように『CSI・マイアミ』のホレイショ・ケインと同じサングラスを入手して悦に入ったりしています。
 この間まで、テレビ東京系で放送していた『コバート・アフェア/CIA諜報員アニー』もよく見ていました。ヒロインの魅力もさることながら、まわりの登場人物が魅力的でした。とくに、盲目でありながら後方支援を行うオギー・アンダーソンが良いですね。めちゃ女性にもてる設定もさることながら、白杖のかわりにレザーでさぐる杖を持っていたり、コンピュータのキーボードには点字で表示される装置が付いていたり、小道具が面白いです。そして、彼がいつも首に提げているヘッドフォーンが気になりました。
 小型で木製、その木の色がとてもシックでかっこう良いのです。何回目かに協力してくれた少年に、このヘッドフォーンをプレゼントするシーンがありました。そのとき「君のほしがっていたリファレンス・ヘッドフォーン」と言っていました。”リファレンス・ヘッドフォーン”でググってみると、アマゾンに載っていたGRADOのヘッドフォーン、RS1(現行機種はこれにiが付いています)がまさに、この機種であることがわかりました。ただし、定価は10万円。こだわりのヘッドフォーンだったのです。
Grado

 今回、幸いにしてネットオークションで安く入手することができました。まず、木製部分があるので重いかと思いましたが、今まで使っていたSONYのMDR-CD900STより20g軽く、頭にしっくりと装着できます。ただ、コードが太いために動きづらい時があります。リファレンスヘッドフォーンは、スタジオでの音源をチェックするための機材です。そのため、音に脚色が無く原音を再現することに機能が置かれているはずです。いくつか自分の録音した音源を聞いてみたところ、録音時に聞こえた鳥の声を同じように再現されます。すでに老耳になっている私の耳をすこしでも機材でカバーできれば、安い買い物です。
 首に提げれば、気分はオギーです。これで、少しはもてるようになればさらに安い買い物をしたことになります。

2012年12月 6日 (木)

iPad用アプリ『Smart Birding 〜野鳥映像アーカイブス〜』のご紹介

 このところ、スマートフォンをはじめiPadなどのアプリ企画の相談をいくつも受けました。全部、動いたらこれはたいへんになると思っていたら、ほとんど進行することなくほっとしておりました。そのなかで、実現したiPod用アプリが完成しアップされたと連絡を受けましたので、ご案内いたします。私は、監修作業を行いました。
 Enwitの『Smart Birding 〜野鳥映像アーカイブス〜』です。すべて、鈴木良二さんが撮影された動画で構成されています。1種類について複数のシチュエーションの動画が収録されていますので、動く図鑑としてのまず使えます。大きめの画面のiPadですから複数と人と楽しむことができますので、観察会での解説にも有効なツールとして利用できると思います。現状では山野、水辺の2編各30種合計60種がラインナップ。今後、これは追加され120種を越える動く図鑑になる予定です。なお、お試し画像として、オオルリ、オオタカ、キジ、セグロセキレイ、ハクセキレイの5種がアップされていますのでiPadをお持ちの方、ぜひお確かめください。
 価格は下記のとおり。
 1.Vol.1山野の鳥 シーズン1¥1,000
 2.Vol.2 水辺の鳥 シーズン1¥1,000
 詳しくは、EnwitのWebサイトのURL.
 http://www.enwit.co.jp/SmartBirding/J/index.html
 アップルストアのURLより、無線LAN経由、または PCのiTunesにダウンロード後iPadへ転送して使用します。
 https://itunes.apple.com/jp/app/id527047879?mt=8

2012年12月 3日 (月)

モズのハヤニエ

 昨夜のNHKテレビ『ダーウィンが来た』のテーマはモズでした。じつは、この番組で私の録音した音源が使われています。お気づきにならなかった方、再放送で探して見てください。
  再放送:NHK総合 12月7日(金) 午後4時05分~4時34分「武蔵野の里山 小さな狩人モズ」
 http://www.nhk.or.jp/darwin/broadcasting/review.html
 ところで近年、モズのハヤニエを見ていません。これは私だけでしょうか。日光はもとより、大久保農耕地や芝川第一調整池、葛西臨海公園など、モズのいるところへ声を録りにずいぶん通っていますが、ハヤニエを見たことがありせん。
 私がバードウォッチングを始めた頃のフィールドは、東京都板橋区の荒川の河川敷でした。モズがいて、探すまでもなくハヤニエを見つけていました。大学は千葉県習志野市にありましたが、このキャンパスでも見つけています。なかには小魚が串刺しになっているのを見て、いったいどうやって捕まえたのか不思議に思ったものです。番組では仕掛け臭いですが、浅瀬で捕まえているシーンがあり謎が解けました。
 私がカメラを買ったのは、1970年頃、望遠レンズが買えずマイクロレンズ付きを最初に買いました。それ以来、ハヤニエを見つけ写真に撮ったのは、わずかに1回。六義園で職員の方が見つけてくれたマルハナバチと思われるハヤニエでした。単純に比較すると1965~1970年までの5年間ではいくつも、それ以来40年間で1個ということことになります。
 少なくともモズはいますので、モズがハヤニエをやらなくなった印象があります。生息密度が低くなり縄張りの目印が必要なくなったなどの理由が考えられますが、検証の方法がありません。いずれにしても、不思議に思っています。
 以前、いっしょに仕事をした自然番組のTVカメラマンが「番組で使うためにハヤニエを探したが、どうしても見つからなかった。そのため、昆虫を捕まえて来てハヤニエを作って撮影した。みんなで、モズの気持ちになって作った」と語っていました。これも1970年代の話で、もう時効でしょう。ただ、このハヤニエの映像が資料映像に入り、ハヤニエのたびに使われるかも思うと、ちょっと怖いですね。

« 2012年11月 | トップページ | 2013年1月 »