舎人公園-足立区野鳥モニター研修会
本日は足立区環境保全課による野鳥モニター研修会の講師として、舎人公園でバードウォッチング、そのあと鳥の調査についての話をしてまいりました。暮れのお忙しい中、また選挙の当日に関わらず30名を越える方々がお集まりいただき、ありがとうございました。
舎人公園では、まずはハシブトガラスとハシボソガラスがうまい具合に出てくれて、両者の違いをじっくりとお話しすることができました。また、たえずツグミが上空を飛び交いヒヨドリの声が絶えず、マヒワの群れに遭遇するなど楽しいひとときでした。それにしても、昨日まで寒さはいったいどこに行ってしまったのでしょう。
講演では、私の関わった調査を例にあげて調査の勘どころを解説いたしました。その後、足立区内で41地域で20年間行ってきた調査のまとめの中間報告がありました。これはとても興味深い内容で、これだけでも1日じっくりと報告していただきたいくらいです。
ひとつだけ紹介しておきますと、足立区ではハシブトガラスとハシボソガラスが減っているのです。ハシブトガラスは東京都が対策を講じた2003年から顕著に減少しています。調査地域あたりの個体数の平均を示したグラフから読み取ると100羽から40羽に減っています。東京都が発表しているのはねぐらいりの数で、センサスデータで減少をとらえた記録は初めて見ました。
また、同時にハシボソガラスも減っています。オーダーは数10羽のレベルですが、ほぼ同じ傾向が見られました。ハシボソガラスは、東京都の行っている捕獲檻に入ることはないと思います。少なくとも私が捕獲状況を見た限りでは、ハシボソガラスが入っているのを見たことがありません。仮に入るとしてもわずかでしょう。ですから、捕獲による影響は考えられないのです。それなのに、ハシボソガラスも減っている原因は何なのでしょうか。ヒバリの減少も顕著ですから、空き地が減ってハシボソガラスの生息地そのものが減少しているからでしょうか。それとも、ゴミ対策の効果がハシボソガラスまで作用しているのでしょうか。もしそうならば、ハシブトガラスの減少は捕獲圧よりかゴミ管理圧の効果が効いているということになります。
東京都の捕獲事業では、年齢はおろかハシブトガラスとハシボソガラスを区別していません。もし、このあたりをきっちとデータを録っておいてくれれば、カラス対策の効果判定できて、さらなる対策を講じられるのですが、なんとももったないことです。
足立区という広い地域で20年間、センサス調査を行うと見えてくるものは、たくさんあるのだと思いました。
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まつ様 昨日は楽しい観察会と講義をありがとうございました。観察会が始まる前の「目を閉じて周りの音に集中する」時間はとても新鮮でした。1分間は長いかな、と思っていましたが、終了の合図を聞いたとき「短い」と感じました。私は毎年地元の中学校で野鳥観察のお手伝いをしているのですが、使わせていただきたいと思いました。
講義では冬の間たくさんいたシジュウカラは春夏とどこへ行ってしまうのだろう、奥日光にもいない、と言うお話に特に興味を引かれました。まだ餌が採れるのに繁殖地を離れ拡散してゆくメリットはなにか?そしてどこに行ってしまうのか?私も謎解きのお手伝いが出来ればいいなあ、と思いました。たとえば去年バードリサーチの会員になりましたが、積極的に調査に協力しようと思いました。
次にモニター20年のまとめをしてくれたM本君は彼が小学校5年の時からの鳥仲間です。埼玉県生態系保護協会が主催した越谷市古利根川の1月の観察会に友達と3人で来て、彼は図鑑でしか見たことのないオオハシシギを誰よりも早く識別して見せたのです。それ以来あしだちの松之山観察会にも来てくれました。
今や鳥や調査のプロになって立派に調査内容を分析し発表をしてくれて、彼を知る会員は嬉しかったと思います。
まつ様、これからも足立区のモニターとあしだちの会をよろしくお願いいたします。
投稿: つな | 2012年12月17日 (月) 19時17分
つな様
昨日は、お疲れさまでした。今日のような天気だと、ずいぶん印象が変わったと思います。こればかりは、自然に感謝です。
モニターデータのまとめ、なかなか深いものがあります。鳥同士のデータのクロッシングから、さらに見えてくるものがあるでしょう。それに加え、鳥以外のデータと比較すれば、もっといろいろ解明できるのではないかと思います。
これからもがんばってください。またお手伝いできることがあれば、お声をかけていただければと思います。
投稿: まつ | 2012年12月17日 (月) 19時45分