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2013年1月

2013年1月31日 (木)

デジスコ通信に投稿-女性進出に期待

 今日の六義園では、シジュウカラがやっと群れを解き、番で行動をするようになりました。そろそろ初鳴きが聞かれることでしょう。ところで、1時間たらずの探索でしたがご夫婦と1人のご婦人のバードウォッチャーとすれ違いました。サンプル数は少ないけど、女性の割合が高い傾向にありました。今日ばかりではなく、女性の多い傾向は最近鳥を見ていて感じることです。そんな、話をデジスコドッドコムのメールマガジンのコラムに書いてみました。下記のURLで読むことができます。
  http://www.digisco.com/mm/dt_68/toku1.htm
 投稿の後に、気がついたことがあります。それは、今日お会いしたご夫婦でバードウォッチングをしている方のように、定年後の趣味としてバードウォッチングを選び2人で楽しんでいる方が多くなったと思います。観察会も、夫婦で参加する方が多くなりました。考えてみれば、以前記事にした目の不自由な福沢さんいつもお二人できていたのが、印象に残っているくらいですから昔の探鳥会では珍しい風景だったのです。一度のバードウォッチャーが倍に増えるのですから、これも良い傾向です。これで、本が売れれば私の老後は安泰です。
 女性が増えて、さらにリーダー格も女性が担うようになってこそ、我がバードウォッチング業界は安泰だと思います。

2013年1月30日 (水)

一年間録音!?-『Bird Research Vol. 8』の紹介

 NPO法人バードリサーチの論文集『Bird Research Vol. 8』が、今日届きました。友人知人の発表が多いので、丁寧に読ませていただきました。原著論文5編、短報6報、その他2編、合計13件の内、録音や鳴き声に関する論文が5編もありました。メモリ録音機の普及が、鳥学の研究に寄与していることを如実に物語っています。

Birdresearchvol8

 この中には、先秋の日本鳥学会のポスター発表を行った関伸一さんの離れ島で1年間録音して鳥相の解明を行った報告が収録されています。タイトルは「自動撮影カメラとタイマー付録音機で記録されたトカラ列島の無人島群における鳥類相」です。これは、トカラ列島の臥蛇島、上ノ根島、横当島の3つの無人島で行ったものです。この結果、それぞれの島で、新たに記録された鳥が多数ありました。なかでも、アカヒゲとアカコッコの新しい生息地を確認することができ、アカコッコの南限も広がったことになります。
 論文には、機材名が書かれていました。録音機はオリンパスのVoiceTreck DS-750、マイクはオーディオテクニカのAT-9904、これに本体の単3電池2本に加え、外付けで単1電池2本をつなげてのセット構成です。金額にして、1セット2万円くらいでしょう。
 タイマーは、午前5時~8時、午前7時~8時、午後8時~21時の設定で週1回の録音です。いくつかの失敗はあったものの、このセットで1年間録音が可能と言うことになります。それにしても、1年間となるとかなりでデータ量になり、これを聞き取るのですからさぞご苦労されたことと思います。それにしても、機材を雨ざらしで1年間、放置しての録音とは思い切ったことをしたものです。
 先日、関さんからこの音源の一部をいただき、聞かせてもらいました。夜明け前にオオミズナギドリがにぎやかに鳴き合いながら飛び立ち、その喧噪が静かになるとアカヒゲがさえずり始める瞬間をとらえたものです。目をつぶって聞くと、真っ暗な暗い森から朝日が差して来て木々の葉から朝露が光る雰囲気が音として聞こえて来るような感じがしました。
 研究のための録音とは言え、野鳥録音の可能性が広がる音源でした。膨大なデータ量のチェックもこのような録音を聞くのですから、楽しみながらわくわくして、チェックされたことと思います。ある意味、羨ましい作業となっていたのではないでしょうか。
 なお、このほかの録音と鳴き声に関連したものは、雲野明さんの「プレイバック法をもちいたクマゲラの生態調査」、植田睦之さんの「沢音は鳥の局所的な分布に影響を与えている?」、植田睦之さん、平野敏明さん、黒沢令子さんの「長時間の録音データから鳥のさえずり状況を知るための聞き取り時間帯の検討」、植田睦之さん、黒沢令子さん、斎藤馨さんの「森林音のライブ配信から聞き取った森林性鳥類のさえずり頻度のデータ」が収録されています。
 以下のURLで、要約をみることができます。また、購入も可能です。
  http://www.bird-research.jp/1_kenkyu/journal_vol08.html

2013年1月27日 (日)

カラスの羽箒

  女視展では、いろいろな方とお会いできました。その一人、羽箒の研究家のS坂さんとは、去年の日本鳥学会以来です。相変わらず羽箒をはじめ日本の文化史のなかに登場する鳥の情報を精力的に収集されています。
 以前「鳥づくしの野点」で羽箒を作るためにハシブトガラスの羽毛を六義園で拾ったことを記事にしました。なんと、その拾った羽毛で作った羽箒をお土産にいただいてしまいました。羽箒師の4代目杉本鳳堂さんに作っていただいた本物です。おそらく次列風切羽と思われる羽毛3枚が重ねられ、柄の部分は竹の皮がしっかりと巻かれています。これが、とても美しいのです。
 まず形がきれいです。羽箒を作るときには、形を整えるためにハサミで切りそろえるようなことはしないとのこと、同じ部分の羽毛でなくてはこうもきれいに揃わないでしょう。たくさんの羽毛の中から形の合ったものを探し出すのは、さぞたいへんなことだったでしょう。なお、下の方をそろえるためにはむしっているそうです。むしったら、羽軸が傷ついていまいそうですが、それは職人技できれいに整えられています。
 とにかく、この長さと幅のバランスがとても良いのです。良い形をしています。

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 そして、色がとてもきれいなのです。写真だとわかりませんが、光具合で緑色に見えたり紫色に見えたりする構造色の魅力満開です。S坂さんが羽箒の魅力に取り付かれた理由が、わかった感じがします。
 羽箒は実際に茶道で使われてこそ、本領を発揮します。それだけに、消耗品となり歴史のなかで失われてしまいます。ですからとても資料が少ないのです。私も江戸の鳥の資料を集めていますが、羽箒が網にかかったことはありません。だからこそ、今やらないと歴史の闇のなかに消えてしまうことでしょう。S坂さんの活動が、ひとつの光明となっています。
 それにしても、六義園のハシブトガラスの羽毛が、こんな見事な工芸品に生まれ変わるなんてうれしい限りです。いずれ、六義園の茶室で使って見たいですね。
 S坂さん、貴重な品をいただき、ありがとうございました。

2013年1月26日 (土)

雪を食べるハシブトガラス-六義園

 今日の六義園では、私の講演会を聞いていただいたことのあるIさんと出会い、一巡いたしました。六義園は、まだ先日の雪の後遺症で半分ほどの順路が立ち入り禁止、それでも少しずつ入れるところが増えてきました。職員の方々の努力のたまものです。
 後遺症と言えば、まだところどころに雪が残っています。雪の有無で日あたりの加減が解って面白いです。中之島も南側は解けて雪はありませんが、北側の紀ノ川側はところどころ雪が残っています。面白かったのは、この雪をハシブトガラスがさかんに食べていました。

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 ハシブトガラスたちは、かなり熱心に食べていました。雪の面積は狭いので、数羽しかついばむことができません。そのため、割り込もうとする者がいるとケンカになるほどです。入れ替わり立ち替わり食べているので、特定の個体だけが雪に執着しているのではなく、多くのハシブトガラスが雪を食べたいようです。
 なかには喉袋が膨らんでいる者もいました。雪を他へ運んでゆっくりと食べようとしているのか、あるいは貯食しようとしていたのかもしれません。
 以前、この付近で霜柱を食べるハシブトガラスを見たことがあります。霜柱の場合、ミネラルが含まれている可能性があるので執着する理由がなんとなくわかります。しかし、雪はただ冷たいだけだと思うのですが好きですね。それとも、頭の良いハシブトガラスのこと、滅多に見ることのない雪に好奇心をそそられて食べているのでしょうか。

2013年1月25日 (金)

女視展-日本ワイルドライフアート協会女性有志展

 本日は、有楽町駅前の交通会館で開催されている「女視展」へ。
 カミさんが入っている日本ワイルドライフアート協会の女性有志によるグループ展におじゃまいたしました。カミさん他8名の方の作品が展示されています。
 会場には、細密画から日本画、水彩画、バードカービング、陶器と、さまざまな手法の作品が並んでいます。それだけに、自然を見つめるまなざしもいろいろ。皆さんの個性を楽しみながら、それぞれの作家の方たちが感じ取った自然を同時体験することで自然の魅力を共有できます。残りの会期はわずかですので、もしお近くまでお立ち寄りのさいは、ご覧いただければと思います。

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 会期は明日(2月26日)まで、最終日のため午後5時終了です。
 会場:交通会館1階 パールルーム
 JR山手線他、有楽町駅徒歩1分です。

2013年1月24日 (木)

シジュウカラの初鳴きが聞こえない-六義園

 仕事の合間を見つけ、午後に六義園へ行きました。最近、常連になられたK藤さんとお会いしたので、いっしょに一回りしようと思ったのですが、先日の雪による枝折れの危険から裏の方は立ち入り禁止。池のまわりだけの探索となりました。
 午後にもかかわらず鳥との出会いは多く、一通りの顔ぶれが出現。このなかにはルリビタキの雌2羽がいます。それぞれ出会った距離は比較的近いのですが、時間的には別個体と判断しました。面白いと思ったのは、どちらも立ち入り禁止になっている順路と広場にいたことです。いずれも人が入れない場所で、飛び跳ねるように移動をしながらさかんに食べ物を探していました。私たちが通行止めのところで見ていると、どんどん近づいて来てくれます。六義園に人の立ち入らないエリアが多くなったおかげで、鳥たちはのんびりとしているようです。
 ところで、今年はすでに1月下旬となりましたが、六義園ではまだシジュウカラのさえずりが聞こえません。皆さまのフィールドでは、いかがでしょうか。
 去年の初鳴きは1月8日、平均的な初鳴きは1月中旬です。今年は、すでに10日も遅れていることになります。もっとも遅い記録は、02月13日(1983年)ですから、これから先になるかもしれません。この1983年は、雪が多くて寒い年でした。今年も、この寒さが続く限り記録を更新するかもしれません。
 今年は、ヤマガラが居着いています。シジュウカラとヤマガラ、どちらが先にさえずり始めるのか楽しみです。

2013年1月23日 (水)

アルジェリアの被害者はバードウォッチャー

 アルジェリアで起きたイスラム武装勢力による人質事件で死亡が確認された日本人の一人、伊藤文博さん(59)がバードウォッチャーであると報道されています。Facebookで、日本野鳥の会のT岡さんからの情報です。
 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130122/t10014981601000.html
 はるかアフリカの事件として遠い存在であった事件が、同年代のバードウォッチャーが巻き込まれたことで急に身近なものになりました。異国の地で、不幸に会われたことはたいへん痛ましい出来事、言葉がありません。
 報道によれば「愛鳥会」となっていますが、宮城県南三陸町の愛鳥会といえば、故・田中完一さんが1953年に創立させた「志津川愛鳥会」ということになります。田中さんは、日本野鳥の会の宮城県での活動の礎となった方で、地元の友人知人が指導を乞い、宮城県はもとより日本の自然保護の場で活躍されている方々が多数おります。亡くなられた伊藤さんは、30年前の文集に原稿を寄せたとありますから、少なくとも田中さんの教えを直接受けたことになります。
 私はかつて「鳥と兵隊」という小文を書いています。
  http://homepage2.nifty.com/t-michikusa/bird&soldier.htm
 太平洋戦争当時、海外旅行がままならない中、外国へ行けるのは出兵した兵隊で、そのなかにはバードウォッチャーがいてバードウォッチングを楽しんでいたという報告です。今や世界中でバードウォッチングを楽しめますが、サハラ砂漠という辺境の地へのバードウォッチング・ツアーは無いでしょう。伊藤さんが志津川愛鳥会に寄せた文章には、アルジェリアやマレーシアなどで見た鳥のことを「このときほど鳥を見る楽しみに感謝したことはない。日本ではたまにしかお目にかかれない鳥も見たし、また、当然、日本では見られない鳥も見た。外国製の図鑑が鉛筆やボールペンの書き込みで、少しずつ賑やかになっていく」と、お書きになっています。このあたりの心情は戦中、海外派兵されたバードウォッチャーと変わりありません。伊藤さんは、企業戦士とも言える厳しい環境と政情のなかでのお仕事、野鳥との出会いが支えになっていたことと思います。
 ちなみに、田中完一さんの剥製や資料などのコレクションは、山階鳥類研究所に寄贈される予定でしたが、3.11の津波により消失してしまいました。バードウォッチング界においては、2重の不幸ということになります。
 重ねて伊藤文博さんのご冥福を心からお祈りいたします。 

2013年1月20日 (日)

オナガシジミの卵-日光野鳥研究会

 週末は、日光でした。東京地方が大雪だったので、どんなに凄い雪かと思ったら例年並の積雪、それなりに寒い日光でした。
 今回の日光行きは、私が顧問をしている日光野鳥研究会の新年会でした。会員のW辺さんがオーナーのペンショントロールの森で、ひたすら食べて飲んでおしゃべりをする会です。この会の活動は、もう10数年を越えています。この会は、鳥ばかりではなく植物からチョウ、天候まで、自然について興味と知識を持った方たちが集まっています。私のように鳥しか知らない人間は、自然について浅学不明の輩であることを思い知らされること、たびたびです。
 今日は、二日酔いと寝不足の中、大谷川の河原で生き物を探しました。ベニマシコの群れが飛び交い、カヤクグリがささやいています。そんな中、チョウに詳しいE村さんが、サワグルミの芽に付いたオナガシジミの卵を見つけました。どうしてこんな小さな卵がこの芽に付いているのがわかるのか、超能力ならぬ蝶能力です。写真では、白くて全体にボツボツした突起があり、中央が凹んで見えるのがオナガシジミの卵、2つ並んでします。
  Onagasijimi1_2

  そして、小さな卵を皆で集まって観察です。「どこ?」「見えない」「見つけた!」と大いに盛り上がります。

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 自然を見る目さえあれば、こうして生き物の息吹を発見できることを今日、改めて学びました。私にとって、この会は生の自然を前に自然を学ぶことができる貴重な場です。また知識ばかりでなく、こうした仲間が私を支えてくれています。おかげで、自信を持って活動を展開することができます。また、新たな1年が始まり今年も仲間とどんな自然を体験できるのかと、思うとわくわくしてきます。

2013年1月19日 (土)

ご案内-行徳野鳥観察舎冬の公開講座

 恒例になりました行徳野鳥観察舎での講演会のスケジュールが決まり、アップされましたのでご案内いたします。

行徳野鳥観察舎冬の公開講座
日時:2月2日(土) 午前10時~12時
演題:「野鳥の声と録音-最新事情」
講師:松田道生
場所:観察舎1階視聴覚室
定員30名・当日受付・参加無料
 今シーズンは各地で小鳥たちがにぎやかです。鳥の鳴き声についての知識を深め、野鳥観察をもっと楽しんでみましょう。近年、充実してきた録音機器や調査に関しての最新の話題も取り上げます。内容は初心者の方を対象としていますので、優しくわかりやすく解説いたします。また、そのほかにも講座がありますので、合わせてご参集いただければ幸いです。
 詳しくは、行徳野鳥観察舎のブログで
 http://suzugamo.seesaa.net/article/313893885.html

2013年1月18日 (金)

情報化の中で・・・

 東京が大雪の月曜日、麻布十番にて仕事でした。あのあたりは坂が多いので、土地柄高級車が坂を登れないで「キュルキュル」行っているのを横目で見ながら会場のホテルまで行きました。
 仕事は、私がどのようにして資料や情報を入手しているのか、知りたいというのです。某図書館の委託を受けたシンクタンクによるインタビューです。私以外にも2名います。皆さん、雪のなか遅れての登場でした。
 私のデータ収集の多くは、ネットが主。19世紀の論文から最新の単行本まで、さらには最新の珍鳥情報まで、コンピュータの前に座って入手しています。自然好きの私が東京を離れられないのは、神保町の古本屋街があるからで、今欲しいと思った資料が手に入れられるから。また、どうしても必要な資料は山階鳥類研究所や日本野鳥の会に行かなくてはならず、一般の図書館では対応できない。というような、お話をしました。
 もう一方のジャズシンガーで天文ファンの女性は、ネットはもちろん図書館も利用するという、今回のインタビューには理想的なお立場でした。面白かったのは、もう一人の和算にかかわる仕事されている先生でした。年は、私より10歳ほど上です。ところが、携帯電話を持っておらず、連絡がとれないとのこと。それどころか、ネット環境にもないので今回のスケジュールも手紙のやりとりで決めたそうです。では、電話はというと夜10時以降、それも10回以上鳴らさなくては出ないとのこと。あとで理由を伺ったら、数回で切ってしまう電話は重要ではないという判断だそうです。電話機は留守電機能もFAXもなく、今だ黒いダイヤル式の電話だそうです。
 「ここまで来ると主義ですね」と言ったら「今までの流れでそうなっただけ」。流れと言えば、テレビも地デジになって写らなくなったので見なくなったとのこと。ここまで来ると、どうやって生きているのか、私のほうから聞いてしまいました。
 和算に関することは情報源も資料も限られいるため、それほど必要がないということもあるのでしょうが、それにしても徹底しています。やはり人生観、主義主張がなくては、このようなライフスタイルはとれません。それでも、生きて行けるし仕事ができるのであれば、羨ましいという思いにかられます。

2013年1月17日 (木)

今日の六義園-雪の被害

 今日は六義園のセンサス調査でした。15日の予定が、スケジュールや天候のおかげでかなり遅れてしまいました。六義園の鳥仲間のK久保さんが同行してくれました。

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 実は、月曜日の東京地方を襲った大雪の関係で、六義園は池のまわりの順路しか歩くことができません。裏も覗かせもらったのですが、あちこちで木の枝が折れて順路に落ちています。また、見上げると折れた枝が枝にひっかかったまま、あるいは折れきれないでぶら下がっている太い幹がたくさんあります。万が一、頭の上に落ちてきたら危険な状態なのですからしかたありません。
 それにしても、私は1983年以来30年間、六義園に通っていますが、こんな惨状は見たことがありません。調査を始めた頃は雪が多く、積雪の中での調査を行いました。それでも、今回のような枝折れは記憶がありません。
 この程度の積雪は、今までも経験した深さなのに、なぜこんなに折れたのでしょうか。今回の大雪は、葉から雪が落ちる前にどんどん積もって折れてしまったことが想像できます。それだけ、短時間に大量の雪が降ったことになります。
 また、折れた樹種はクスとスダジイがほとんどです。葉の落ちたエノキやケヤキは、ほとんど被害がありません。大事なシダレザクラやマツは大丈夫でした。こうしてみると、冬も大きな葉があることが、積雪にとても不利なことがわかります。クスノキは漢字で書けば楠、南の木ですから雪には弱いのですね。そういえば、日光の山の中ではクスやスダジイは、まず見ることはありません。日光では冬でも葉があるのは、スギやモミの仲間など、葉が小さく雪がつきにくい構造の樹形をした樹種です。
 今回の大雪で、雪と樹木の関係、植物の生存戦略のひとつを垣間見ることができました。
 

2013年1月16日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-ノイズは不明のまま

 今日も文化放送でした。本日は、『朝の小鳥』の2月放送分のスタジオ収録です。
 60周年目の年を迎え、スタッフ一同、力が入ります。
 2月は少しは春めいて来ますので、ネタの苦しい時期から脱出できる季節となりました。とくにテーマは設けず、2月らしい声で構成してみました。まずは、宮城県蕪栗沼のアシ原のオオジュリン、まだ後ろではマガンの群れが鳴いています。千葉県茜浜の波打ち際で鳴くハクセキレイ、栃木県日光の里山でさえずるシジュウカラ、まだ暗い中での録音で後ろではときおりニワトリの声が聞こえます。このニワトリの声が入ることで夜明け前の暗さを感じると音となり、今日いちばん評判が良かった音です。そして、キガシラシトドを録りに行ったときに録音した千葉県松戸市のヒバリのさえずりです。優しく鳴くオオジュリンから、さかんにさえずり続けるヒバリまで、だんだんにぎやかになっていく流れを作ってみました。
 ところで、先月問題になった謎のノイズ。技術さんに見てもらったところ、原因は不明。I川アナの声はアナログ、これがデジタル変換されるときにノイズが乗っているのかも、とのことです。しかし、よくわかりません。I川アナは「私はやはりアナログ人間でデジタルと相性が悪い」とおっしゃいますが、鳥もアナログで鳴いているのにそんなノイズが乗ったことはありません。
 とりあえずは、大きめの声を出していただき、少しでもノイズを軽減することで回避するしかないとのことでした。私には、解りませんでしたがディレクターのS木さんは、今日8本録ったうちの2本で聞こえたとのこと。いずれにしても、皆さん職人ワザの世界です。

2月放送内容です。
 2月3日 オオジュリン
    10日 ハクセキレイ
    17日  シジュウカラ
    24日  ヒバリ

2013年1月15日 (火)

『朝の小鳥』60周年

 今年、文化放送の『朝の小鳥』は、1953年の放送開始以来60年を迎えました。本日は、その記者発表が行われ、私も質問に答えました。
 実は、去年の暮れに広報担当の方からメールをいただくまで、まったく忘れていました。ディレクターのS木さんとも今日話したのですが、蒲谷鶴彦先生と50周年を記念してCDを作ったりしたのが、ついこの間のよう。あれから10年たったとはとても思えなかったのです。
 私がこの番組を担当して6年半、344回となりました。60年のうちのたかが1割ばかりの期間に関わっただけで記者会見に臨むのは気が引けます。まして、蒲谷先生は毎日放送していた時代もあって14,500回番組を担当していたのですから、私の344回はわずか2%足らず、足元にもおよびません。文化放送が開局以来続く長寿番組、おそらく民放では最長かもしれません。そのような番組に関われるとは、なんとも光栄なことであるとともに誇りでもあります。私としては、鳥の魅力を音から知ってもらい、鳥に興味を持ってもらえる機会となる番組ですから、文化放送にはいつまでも続けていただければと願っております。
 私は、今まで何度か記者会見を体験してます。環境省や都庁の記者クラブでの会見です。これらの記者会見での質問はぶっきらぼうで、緊張させられます。しかし、今日のような和気あいあいとした雰囲気は始めてでした。また、スポーツ紙の記者の方々がいるのも始めて。考えて見れば、芸能文化担当の記者さんですから、楽しい話題つくりということになるでしょう。
 それでも、蒲谷先生の偉業についての話になり、受け継ぐことは何かなど、質問が続きました。雰囲気の割には、ちゃんと当を得たまじめな質問が続きました。面白かったのは、東京新聞の記者から私が「毎日、どのような生活をしているのですか」と聞かれたことです。このような仕事をしていると、山に籠もりっきりのようなイメージがあったのようです。あとで、東京新聞で連載されている「探鳥」の堀内洋助さんにはフィールドで時々会うという話になり、記者自身「彼の生活もわからないのです」とのこと。鳥に関わって仕事をしているイメージ、いったい皆さんの頭のなかには、どんな姿が描かれたのでしょう。
 どれだけ記事になるのかわかりませんが、記事がお目にとまりましたらご高覧いただければ幸いです。
  今のところ、検索すると日刊スポーツあたりが載りそうです。
 http://www.nikkansports.com/entertainment/news/f-et-tp0-20130115-1072291.html

2013年1月13日 (日)

洋上風力発電のシンポジウム

 本日は、立教大学で「野鳥と洋上風力発電-野鳥保護と自然エネルギーの共存を目指して-」のシンポジウムでした。
  会場は、大学内でも2番目に大きなホールで、たしかここで期末試験をやった記憶があります。その頃は300人くらいが私の授業を受講していたはずですから、今日の入りもそのくらいの感じで盛会でした。写真は、あいさつをする柳生博会長です。

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 原発があんな状態になってしまったのですから、とっととあきらめて別の手を考えるべきなのですが、振り子が戻っていってしまいそうで嫌ですね。そして、反原発を唱えれば、当然再生可能なエネルギーということになり、そのひとつの風力発電が台頭してきます。風力発電も景観の悪化や騒音という問題があり、音の問題を解決する方法として風車を洋上へ持って行こうという流れがあります。しかし、海は海で海鳥たちがいるのですから、日本野鳥の会としては黙っているいるわけにはいきません。というわけで、シンポジウムの開催です。
 今日のシンポジウムでは、洋上風力発電の実情から環境評価調査の方法まで幅広い問題を取り上げました。洋上風力発電の先進国のイギリスとデンマークからも、研究者を招いてのプログラムでした。それだけに、中身も濃く洋上風力発電そのものから海鳥の生態まで知ることができました。とにかく風力発電の問題も、そう簡単には語れないことがわかりました。
 電力会社からお金をもらっていると日本野鳥の会を批判するような連中は、このようなシンポジウムに参加し勉強して欲しいと思います。ネットのウワサだけを根拠に誹謗中傷することは簡単ですが、なんら解決策を見いだせません。今日、発表された関係者の方々はそれぞれの現場で、この問題に取り組み、解決策を見いだそうと努力されていました。その姿を見るだけでも、学ぶべきものがあると思います。

2013年1月12日 (土)

Birder誌2月号-野鳥図鑑活用術/鳥の分類が変わる

 今月号のBirder誌が本日、届きました。特集は「野鳥図鑑活用術/鳥の分類が変わる」です。
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 去年の9月をもって日本産鳥類の分類が変わりました。私のように古いバードウォッチャーにとっては戸惑うことばかりですが、これも時代の流れです。乗れるか乗れないかは、老後の楽しみ方が違って来るというもの。私と同じように戸惑っているバードウォッチャーのためにと考えていただいた企画なのでしょうか。いずれにしても、とてもありがたい特集となっています。
 なお、図鑑についてのエピソード「野鳥のプロたちが使う図鑑」のコーナーでは、私も起稿しています。どうぞ、ご高覧いただければ幸いです。
 アマゾンのURLです。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B00AT1E8SA/ref=as_li_qf_sp_asin_il_tl?ie=UTF8&tag=b0c53-22&linkCode=as2&camp=247&creative=1211&creativeASIN=B00AT1E8SA

2013年1月11日 (金)

野鳥による生物多様性に富んだ森づくり検討委員会

 今日は池袋駅のホームで、ばったりと立教大学の上田恵介教授にお会いいたしました。思わずオジさん同士で、ハイタッチしてしまいました。実は昨日の午後、日本野鳥の会にて上田先生を委員長とした「野鳥による生物多様性に富んだ森づくり検討委員会」が開催され、長時間にわたる会議、さらに食事会とごいっしょしたばかりだったのです。
 この委員会は、野鳥が種子散布に大きく関わっているのだから森づくりには野鳥と食べ物の関係を詳しく調べ、そこから多様性に富んだ森を作る運動につなげて行けないかという企画です。日本野鳥の会の佐藤仁志理事長の肝いりで役員をあげての事業です。
 私自身、六義園や日光で森を見ていると野鳥が森を作り、森が野鳥を育てていることは実感できます。しかし、なかなか事例を挙げて因果関係までしっかりと把握できません。ひとつに、野鳥は知っていても野鳥の食べている樹木の名前や生態が解らないからです。
 今回の委員会では、鳥の専門家は上田先生と佐藤理事長、そして私だけ(事務局で安西英明さん)で、それ以外の先生は樹木や植物専門なのです。ですから、鳥以外の知識と見方が取り入れられています。
 面白かったのは、鳥は食べてからどのくらいの時間で排泄するかと言う問題です。答えは2、3時間、その間ずうっと飛んでいるわけではないので距離的にはさほど遠くまで散布することはできないことになります。それが植物が鳥に期待している距離になっているのかといった話です。ある意味、植物側から見た野鳥の存在をいろいろな視点から見ることで、鳥と植物の関係が切っても切れない関係にあることがより鮮明に理解できました。
 まずは、どの鳥が何を食べているのかをどうやって調べ情報を収集して行くかが課題となりました。今はネット時代ですから、それをうまく活用して資料を収集することができるのではないかと思っています。このあたりは、いずれ皆さまにご協力をお願いすることになると思います。
 それにしても、上田先生とはこの前は電車の中、一昨日は『野鳥』誌のSさんに出会うなど、偶然の出会いが多いですね。この調子で、野外でも野鳥に会えると良いのですが・・・

2013年1月 9日 (水)

タカサゴモズの声を聞きに-東京港野鳥公園

 今日は暖かそうで風もないので、東京港野鳥公園へ。行きの電車のなかで、日本野鳥の会の『野鳥』誌を編集しているSさんとばったり会いました。彼女はこれから仕事、こちらは遊びに行くようで申し訳ない感じです。
 東京港野鳥公園来訪の目的は、タカサゴモズの声を聞きたいと思ったのです。ですから、こちらもいちおう仕事なのです。
 この公園は羽田空港が近いので正月は飛行機の発着が多いだろうと、正月休みをずらしました。ところが、今まで溜まっていた物流がいっせいに動き出した感じで、コンテナを運ぶ大型トラックの量が多く騒音がすごくて、録音は断念いたしました。
 公園に入ると、ヒヨドリとツグミの群れが飛びかっています。とにかく、鳥が多い感じで、にぎやかです。そのため猛禽類も多く、少なくとも3羽のノスリを見ることができました。
 タカサゴモズのポイントに行くとカメラマンが3人ほど、他の場所にも同じくらいですからブームは去った感じです。しばらく見ていると、タカサゴモズは50mくらいまでやって来てくれます。そこで鳴いてくれれば間違いなく聞こえそう、録音はギリギリといった感じの距離です。小1時間ほど見て動きの傾向はわかりましたが、残念ながら1声も鳴いてくれませんでした。
 あとで、レンジャーの方にうかがったら、あまり鳴かないとのこと。彼女が聞いたのは夕方で、モズの声とは明らかに違ったとのこと。そして、狂ったようにけたたましい声だったそうです。
 私は香港と台湾で、タカサゴモズには遭遇しています。しかし、声を聞いた記憶はありません。動画投稿サイトに、タカサゴモズの映像はけっこうあるのですが、音声が付いているのはわずかです。やはり、あまり鳴かないようですし、鳴いても確かにモズとは違った声、鳴き方をしています。飛び去ってしまう前に、ぜひとも生の声を聞いてみたいですね。今度は、トラックが少ない休日に行って、夕方まで粘ってみようと思います。

2013年1月 8日 (火)

双眼鏡のフラッグシップモデルをブランド評価

 今日は六義園で、雑誌Birderの取材でした。双眼鏡メーカーのフラッグシップモデルが出揃ったので評価するという企画です。ただ、どのメーカーか解ってしまうと先入観が入ってしまうので、ブラインドで審査して欲しいと言うのです。双眼鏡を目隠しして評価はできませんからいったいどうするのかと思って行ったら、三脚に付けられた双眼鏡が黒い布の覆われて4台並んでいました。これで目玉模様の付いたアイマスクを付けたら”バードウォッチャー格付けチェック”されるようで、なんだか不安です。実は、アイマスクも用意されていたのですが、さすがにそこまではということで却下されていました。しかし「本当にフラッグシップモデルだけなのか」とスタッフに聞いてみると、皆さんが「そうです」と浜田雅功みたいな笑顔で答えるのですから、なおさら不安になります。
 ところで、評価は私だけでなくホビーズワールドのS賀さんと2人で行いました。S賀さんは商売柄、多くの双眼鏡に接しています。それだけに目が肥えている方ですから、評価は厳しいそうです。2人が関わることで、仮に悪い評価をしても私一人がメーカーの恨みをかうことはなさそう、安心して辛口のコメントができて夜道も歩けます。
 六義園のほとんど人の来ない場所でやっているのですが、黒い覆いがしてある不審なモノが並んでいて怪しいオジさんたちが5人もいるのですから、六義園の鳥仲間も遠くから不安げに見て近寄ってきません。私がいるのを見てやっと来てくれました。こうしているうちに、どんどん日の光が赤みを帯びてきます。光が変わっては評価が公平になりませんから、もう一度はじめから見比べて確認しました。
 さすが各社のフラッグシップモデルだけあって、夕方の光の中でもくっきりシャープに見えます。甲乙付けがたく評価に困りました。結局、悪いところを探すことになってしまい、申し訳ない気持ちです。バードウォッチングのための双眼鏡は、手に持ったバランス、ケースやストラップ、そして暑さ寒さのなかでの耐久性など総合的なもの。今回は、見え味だけですから勘弁してくださいね。
 記事の掲載はBirderの3月号、双眼鏡の特集です。どうぞ、お楽しみに。

2013年1月 7日 (月)

紹介するのを忘れていた雑誌『てんとう虫』

 年末年始にかけて、デジタル・モノの故障が相次いでいます。なぜか例年、この時期に故障します。まずは、iPadのガラスにヒビが入ってしまいました。これは、ケースの蓋が外れてぶつけてしまったので仕方ないです。次は、デスクトップコンピュータのハードディスクにエラーが出るようになりました。ハードディスクの診断ソフトで見ると問題はないのですが、やはり気持ち悪いので新しくしようと思います。CDライターのTASCAM RW4Uは書き込みができなくなり、原因解明中。ということで、今日の午後は秋葉原へiPadの修理のついでに、いろいろ偵察に行ってきました。
 秋葉原に行くとつい寄ってしまうのが、トモカ電気です。スポンジ・ジャマーの予備を買おうと顔を出すと「この間、雑誌に載っていましたね」と、机の上から『てんとう虫』11月号を取り出してくれました。机の上にあるということは、読んでいただいているようでうれしい限りです。

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 ちなみに『てんとう虫』は、UCカードの会員誌です。タイトルだけを替えたセゾンカードの会員誌『express』も同じ内容で、配布されています。
 どちらもかなりの発行部数のようで、文化放送のディレクターのS木さから六義園の鳥仲間のK久保さんやK村さん、さらに今年いただいた年賀状でも何人から”見た”とメッセージをいただいております。まさか、トモカ電気でも言われると思いませんでした。
 『てんとう虫』は毎号、読者の興味を引く特集がくまれています。去年の11月号の特集がバードウォッチングだったのです。ご紹介が、遅くなってすみません。
 企画の相談があったのは9月、残暑厳しい頃です。私がバードウォッチングとはなにか数時間にわたりレクチャーし、それを編集者の方が煮詰めました。結果、荒俣宏さんの巻頭言、国松俊英さんの万葉集に登場する鳥の話、そして私はバードウォッチングの歴史、身近な鳥の図鑑、江戸家猫八さんとPouさんと対談をしています。はじめは、歴史の原稿のみのつもりでいましたが、いつの間にか対談まで出演する羽目になってしまい、あたふたしていまいました。でも、デジスコ界のアイドルPouさんと久しぶりにお会いできたし猫八さんとも話ができて、楽しい仕事となりました。
 下記サイトで、バックナンバーを入手可能です。
 http://www2.uccard.co.jp/tentou/backnumber.html

2013年1月 5日 (土)

洋上風力発電の問題-シンポジウムのご案内

 日本野鳥の会では、「野鳥と洋上風力発電-野鳥保護と自然エネルギーの共存を目指して」と題し、シンポジウムを開催いたします。
 3.11以前より、日本野鳥の会は風力発電の問題性について指摘してきました。そのため、原子力発電に賛成なのではないかという憶測がネット上で書かれています。この憶測は、原発事故以来も続いています。これには電力会社が法人会員であることが根拠のようですが、法人会費の金額を聞けばそんなことはありえないことはすぐにわかります。そのあたりの拙ブログで「日本野鳥の会の原発に対する考え方」として記事にしています。
 日本野鳥の会が原発についての意見表明した後、日本原子力発電株式会社が法人会員を退会しました。このようなことは、話題になりません。ろくに調べもしないで思い込みと憶測だけで、日本野鳥の会を中傷する裏には悪意を感じます。取材をしたり両者の意見を聞くなどの裏付けをしないジャーナリズムが欠如したネット情報なのですが、それを信じる人がいるのが困りものです。
 いずれにしても、これから風力発電が普及していくことでしょう。それも陸上では反対が多いために海上に持って行こうという傾向があります。今回のシンポジウムでは、この問題について海外からのゲストによる講演や国内の専門家による報告を聞きます。そして、国内において洋上風力発電を進めるにあたって環境影響評価への考え方を提案し、野鳥への影響をなるべく出さない洋上風力発電のあり方について議論します。どうぞ、ご参加ください。

シンポジウム・野鳥と洋上風力発電 ~野鳥保護と自然エネルギーの共存を目指して~
日時:2013年1月13日(日) 開場9:30 / 開演10:00 ~18:00
場所:立教大学9号館大教室 (東京都豊島区西池袋3-34-1)
※入場料無料 自由参加(会場規模600人) 同時通訳あり
主催:(公財)日本野鳥の会
共催:立教大学
助成:地球環境基金
後援:環境省、(公財)世界自然保護基金ジャパン、(公財)日本自然保護協会、
(公財)自然エネルギー財団

 詳しいプログラムなどは、下記URL出ご覧ください。
 http://www.wbsj.org/event/2012/fuuryoku130113.html

2013年1月 3日 (木)

芝川で初録音-クイナのさえずり

 去年の大晦日、芝川第一調整池にタイマー録音を仕掛け本日、回収に行ってきました。元旦の午前5時30分からの設定ですので、これが初録音となります。
 録れたら良いなと思っていたのは、湿原に響き渡るオオハクチョウの声です。オオハクチョウやコハクチョウのいるところは、他のカモ類が群れでいてにぎやかです。あるいは、マガンの声が絶えずしていてハクチョウ類だけの声を録るというのは至難の業です。しかし、芝川第一調整池ではカモ類が少ない上に、音が周囲の土手に声が響き、よい感じに録れるのではないかと期待いたしました。
 タイマー録音は8時30分までの3時間を設定していますので、いろいろな鳥の声が入っていました。しかし、残念ながらハクチョウの声は聞こえません。12月31日はオオハクチョウは3羽、今日は幼鳥が1羽見えただけですので、元旦にはもう鳴き合うだけの数がいなかったことでしょう。
 ところで、録れていた中にクイナのこの声がありました。YAMAHA W24で録音、ボリュームの調整、低音ノイズの軽減、軽くノイズリダクションをかけています。

「WaterRail130101.mp3」をダウンロード

 この声は、蒲谷鶴彦先生が録音し『野鳥大鑑』に収録されている声で、さえずりとされています。この音源の後ろではオオセッカがさえずり、初夏の雰囲気です。
 クイナは、いろいろな声を出しますが、この声は録ったことがありませんでした。真冬に、この鳴き方をするのも初めて知りました。よく聞くと遠くで、もう1羽鳴いています。クイナのさえずりは他の日、他のポイントでも何度か録音されていますから、クイナの密度はかなり高そうです。
 アシ原のなかにいるクイナ類は、姿を見せてくれないので少ない鳥と思っていました。しかし、こうして録音するとずいぶん印象が変わります。

2013年1月 2日 (水)

六義園で初鳥見-ノスリ

 明けましておめでとうございます。今年もsyrinxブログ編をよろしくお願いいたします。気がついたら、去年のうちにカウンターが30万を越えていました。なお、これはアクセス数で訪問者ではありませんが、うれしい限りです。いずれにしても、平均すると1年間に延べ10万以上の記事が読まれていることになり、去年は1日500を越える日も多くなりました。マイナーな鳥業界、そのなかでもさらにマイナーな野鳥録音ネタが中心にしては、ありがたいことです。このアクセス数は、そのまま皆さまの支援でもあり、とても励みになります。今年も、より面白いネタを発信していきたいと思いますので、引き続きご贔屓いただければ幸いです。
 さて、今日から六義園が開園しています。本日は、初鳥見初調査となりました。K藤さんが、正月にも関わらず同行してくれました。調査開始と同時に、いきなりシジュウカラの群れに囲まれました。これ以降も鳥との出会いは多く、とても忙しい調査となりました。傾向としては、小鳥類が多くなり、とくにキジバトが増えています。
 今日は、家にいるときからハシブトガラスのアラートコールがにぎやかでした。そして、カモ類は池の隅にいます。六義園全体がそこはかとなく緊張感に包まれています。どうやら猛禽類がいる雰囲気です。調査中、いちだんとハシブトガラスのアラートコールが強くなり濁った声になったとたん、森の上を白いタカが飛んでいきました。オオタカかと思ったのですが、ノスリでした。それもかなり白いタイプで、雲一つない正月の青空をバックに飛ぶと透き通ったようにきれいに見えます。正月早々タカに出会えるとは、こいつは春から縁起が良やと言ったところです。
 私が初心者の1960年代、冬の明治神宮探鳥会では必ずノスリ1羽が神宮の森の上を帆翔していました。当時は当たり前に思っていましたが、都会でのノスリとの出会いは珍しいものです。ノスリは、ネズミや小鳥食です。それも、開けた草原で獲物が出てくるのをじっと待って捕らえるという狩りの仕方をするネズミ依存の猛禽類だと思います。ですから、広い田んぼで杭にとまっている姿での出会いが多いことになります。山地で帆翔している姿を見ますが、開墾地やササ原の多いところが多いですね。ですから、オオタカのように森の中の木々の間を小鳥を追いかけて捕るというのは得意ではないでしょう。明治神宮は、北部に広い芝生、隣に木のまばらな代々木公園がありますからネズミを捕ることが可能なのでしょう。
 私が六義園でノスリに会ったのは久しぶりですが、常連のバードウォッチャーの方々はいぜんから見ています。朝からハシブトガラスがうるさかったことを見ても長時間、六義園に滞在していたようです。どうも、六義園がノスリの狩り場として利用されているようなのです。六義園にも芝生がありますが、ノスリにとって広いとは思えません。それに、ネズミの穴が空いているのは見たことがありません。いるとは思いますが、ノスリがハシブトガラスの攻撃をかいくぐってまで、狩りをする環境とは思えないのです。いったい都会でのノスリ、獲物は何なのでしょうか。

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