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2013年1月27日 (日)

カラスの羽箒

  女視展では、いろいろな方とお会いできました。その一人、羽箒の研究家のS坂さんとは、去年の日本鳥学会以来です。相変わらず羽箒をはじめ日本の文化史のなかに登場する鳥の情報を精力的に収集されています。
 以前「鳥づくしの野点」で羽箒を作るためにハシブトガラスの羽毛を六義園で拾ったことを記事にしました。なんと、その拾った羽毛で作った羽箒をお土産にいただいてしまいました。羽箒師の4代目杉本鳳堂さんに作っていただいた本物です。おそらく次列風切羽と思われる羽毛3枚が重ねられ、柄の部分は竹の皮がしっかりと巻かれています。これが、とても美しいのです。
 まず形がきれいです。羽箒を作るときには、形を整えるためにハサミで切りそろえるようなことはしないとのこと、同じ部分の羽毛でなくてはこうもきれいに揃わないでしょう。たくさんの羽毛の中から形の合ったものを探し出すのは、さぞたいへんなことだったでしょう。なお、下の方をそろえるためにはむしっているそうです。むしったら、羽軸が傷ついていまいそうですが、それは職人技できれいに整えられています。
 とにかく、この長さと幅のバランスがとても良いのです。良い形をしています。

Habouki130127

 そして、色がとてもきれいなのです。写真だとわかりませんが、光具合で緑色に見えたり紫色に見えたりする構造色の魅力満開です。S坂さんが羽箒の魅力に取り付かれた理由が、わかった感じがします。
 羽箒は実際に茶道で使われてこそ、本領を発揮します。それだけに、消耗品となり歴史のなかで失われてしまいます。ですからとても資料が少ないのです。私も江戸の鳥の資料を集めていますが、羽箒が網にかかったことはありません。だからこそ、今やらないと歴史の闇のなかに消えてしまうことでしょう。S坂さんの活動が、ひとつの光明となっています。
 それにしても、六義園のハシブトガラスの羽毛が、こんな見事な工芸品に生まれ変わるなんてうれしい限りです。いずれ、六義園の茶室で使って見たいですね。
 S坂さん、貴重な品をいただき、ありがとうございました。

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