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2013年3月

2013年3月31日 (日)

チョウゲンボウはコロニー性だった-山形

 そういえばチョウゲンボウは、コロニー性の鳥でした。かつては長野県中野市の十三崖が天然記念物に指定されていて有名でした。多い時は、40番が巣を作っていたとのこと。私が関わったNHK・BSの番組『野鳥百景』の取材時でも健在でしたし、今でも数番は繁殖しているそうです。
 チョウゲンボウは、東京周辺ではどちらかというと増えた印象のある鳥です。河川敷のバードウォッチングでは、必ず出会います。また、近郊の河川にかかる橋梁でも巣作りをしているのを見たことがあります。ただいずれも単独繁殖で、コロニーで繁殖しているのを私は見たことはありませんでした。
 今回の山形行きで、Y川さんが「チョウゲンボウが集団で繁殖している神社がある、今はちょうど交尾の頃で良く鳴いているから行ってみよう」とのこと。さっそく、ご案内いただきました。
 神社の境内は、数十m四方、さほど広くありません。狭いながらケヤキの巨木が数本あって、荘厳な雰囲気のある神社です。この木の洞で、チョウゲンボウが巣を作っています。面白いのは、同じ境内にムクドリも巣を作っていて、こちらも出入りが盛んでとてもにぎやかです。さらに面白いのは、地続きの民家の樹木では5月なればチゴハヤブサが巣作りをします。また、この境内でアオバズクも巣をかけるとか。繁殖のタイミングをずらし、昼と夜で棲み分けをして、猛禽類の天国になっている不思議な空間です。これらの鳥を引き寄せる不思議なパワーが、この神社にはあるのではないかと思ってしまいます。
 ところで、今年はチョウゲンボウは2番が巣を作っていました。そのため、4羽がさかんに飛び交っています。私たちのほかに野鳥カメラマンが1人いましたが、お構いなしに頭の上の枝にとまって交尾をしてくれました。
 かなり強風のなかでPCM-D1で録音しています。そのため、低音ノイズを大幅にカットし、声と声の間も詰めています。ノイズリダクションを軽くかけています。

「Kestrel13032305.mp3」をダウンロード

 ここでは、多い時で4番のチョウゲンボウが巣を作ったことがあったそうです。現在の十三崖に匹敵するコロニーだったことになります。
 2番とは言え、複数のチョウゲンボウがいっしょに繁殖をしているのを見たのは初めてです。さらに、樹洞で巣作りを見たのも初めてでした。

2013年3月29日 (金)

1日40,000人-六義園

 職員の話によると、先週土曜日の六義園の入園者数は、なんと40,000人だったそうです。今までの最多数が1日35,000人ですから、軽く突破してしまったことになります。入り口は2ヶ所あり、どちらの塀も1辺300m、この塀沿いに人の列が連なったといいます。いつか、この列がつながってしまうかもしれません。
 それにしても、六義園は300m四方しかありません。面積は、およそ9haです。また、なかほどが池と立ち入り禁止の島がありますから、人が歩けるところはせいぜい6割ほどでしょうか。ライトアップは午後9時までと開園時間は長いものの40,000人とは凄いものです。
 六義園は、花見とはいえ敷物をしいて宴会をすることはできません。ゆっくりと探索する花見です。それだけに人が滞留することなく流れて行きますので、大丈夫なのでしょう。
 たとえば東京港野鳥公園の開園当時、私は野鳥のパンフレットの制作に関わりました。そのときの納品数が50,000枚であったことを今でも覚えています。この50,000枚は1年分を予想しての枚数です。ところが、1年でたってもあまっていました。細かい数字はおぼえていませんが、六義園は1日で東京港野鳥公園の開園当時1年間の入園者に近い数字をこなしてしまったことになります。少なくとも2日で1年以上、3日で2年分という数字になると思います。
 各保護施設の入園者数は、だいたいそんなものです。博物館も変わることはありません。そんななか大阪南港野鳥園は橋元改革によりリストラされてしまいました。六義園は年間では50万人程度ですから、この半分でも入ってくれればと思ってしまいます。
 昨日、混雑をさけて行くことの無かった六義園に久しぶりに行ってきました。毎日、万単位の入園者数があるわりには、環境が荒れている印象はありません。順路が踏み固められているのがいつもと違うくらい、ゴミはまったくありません。これは、ある意味すごいことかもしれません。
 野鳥のほうは、ヒヨドリ、ツグミ、シメは変わることなくたくさんいます。どちらかというと増えた印象があります。ヤマガラは、その後も居着いていますので繁殖するかもしれません。地面で食べ物を採るアオジ、クロジ、シロハラには会えませんでした。いなくなったのか、少なくなっています。まだ、渡り去るのには早い時期ですから、暗くなってからもゾロゾロ人が歩いているのを嫌って移動したのではないでしょうか。
 写真は、モミジの若芽を見つめるヤマガラ。私には見えない虫がいるようで、さかんについばんでいました。

Variedtit130328

2013年3月27日 (水)

トラフズクのCourtship wing clap-山形

 先日のトラフズクの声は、アップしようか悩みました。というのは、実際に聞こえた声とかなり違うのです。野外では、ささやくように聞こえ耳を澄まさなくては聞こえません。その印象のまま、アップすればかなり聞きづらい音源となります。アップするためには、わかりやすく聞きやすくしなくてはならず困りました。いわば、迷彩服を「目立つように撮影しろ」と言われ、困ったカメラマンの気持ちです。
 トラフズクの小さな声を聞いた後、ご案内いただいたY川さんと話題になったのは、こんな小さな声でなわばり宣言になるのか、雌を呼べるのかという疑問です。「ホ。ホ。」はどう考えてもさえずりなのですから、その効果が無くてはなりません。
 山形のトラフズクの密度が高いとは言え、それぞれ数kmは離れています。雄同士が鳴き合ってなわばりの確認ができるとは思えません。また、雌にもどれだけ聞こえるのでしょう。だいたいお寺や神社の参道の並木ですから、境内の長いところでは100mほど。端にいたら聞こえないかもしれません。近くにやって来た雌へのアピール効果はあるかもしれませんが、離れた雌を呼ぶのは無理でしょう。
 ということで、いろいろ調べて見ました。
  Owl Pagesというフクロウ類のWebサイトに、トラフズクの声がアップされています。このURLの下の方です。
 http://www.owlpages.com/sounds.php
 スペインの方が録音しているので、おそらくスペイン産のトラフズクだと思いますが、 Courtship wing clapという音がアップされています。”求愛のために翼を叩く音”です。これを聞くと「パッチ」と聞こえます。
 さらに、”Long-eared Owl Courtship wing clap”で検索すると下記の論文がありました。
Hawley,Raymond G. 1966 Observation on the long-eared Owl. Sorby Record.Vol.2(3)95-114
 下記URLで読めます。
http://www.sorby.org.uk/pubs/downloads/Observations%20on%20the%20Long-eared%20Owl%20-%20Hawley%20-%20SR1966.pdf
 イギリスのサーフィールドにある協会の雑誌に掲載されたもので、1966年に発表されています。このほかも論文もあたりましたが、これがいちばん声についての記述が充実していました。これによると、雄はさえずりの合間に翼を叩きながら飛ぶ、翼は体の下で打ち鳴らさせる、音は大きくややこもった音の人の拍手に似ている、羽ばたきの間に行われるが非常に早く打ち鳴らすので高度が落ちることはない等々、Courtship wing clapは普通に行われ、よく聞かれるようです。
 ということで、Owl Pagesの音をたよりに今回の山形で録音した音源をチェックしてみました。すると、同じような音が録音されていましたのでお聞きください。YAMAHA W24で録音、低音ノイズの軽減、該当の音のアップ、ノイズリダクションをかけています。

「LongearedOwl-clep110322_1800e.mp3」をダウンロード

 「ホ。ホ。」と鳴いた後に「パッチ」という音が聞こえます。1、2、3回目の音の間は1.8秒と等間隔です。また、音がだんだん遠ざかっていることがわかります。以前からY川さんもこの音を聞いており、枝にぶつかる音だと思っていたとのこと、山形のトラフズクもCourtship wing clapをけっこうやっていることになります。
 ただ、フクロウ類は嘴を叩いて威嚇する行動をよくやります。この場合、音が遠く鳴っていきますので、飛びながら音を立てているCourtship wing clapの可能性は高いと思いますが、いかんせん見ていないので確認できません。
 いずれにしても、翼を打ち鳴らす音でさえずりの声が小さいことをおぎなっていることがわかりました。翼を叩く音が大きく良い音がするということは、強い翼を持っているという雄のアピールになることは想像できます。
 闇夜のなかでのトラフズクの求愛行動、やはり音が勝負の世界でした。

2013年3月25日 (月)

いちおうモミヤマフクロウの声か-山形

  なんとも歯切れの悪いタイトルで申しわけございません。
 日本のフクロウは、4亜種が生息しているとされています。北海道はエゾフクロウ、北日本は亜種としてのフクロウ、本州中部はモミヤマフクロウ、九州はキュウシュウフクロウです。しかし、キュウシュウフクロウは九州のみならず四国から広島、和歌山、静岡、そして千葉県南部と飛び飛びに分布しています。さらに、モミヤマフクロウも飛び地のように山形県に分布しているとされています。
 NPO法人 野生生物調査協会とNPO法人Envision環境保全事務所が運営している「日本のサッドデータ検索システム」によると、モミヤマフクロウは山形県で絶滅危惧ⅠB類(EN)なっています。
 http://www.jpnrdb.com/search.php?mode=map&q=02130010279
  これだけ分布が錯綜しているということは隔離されているとは思えず、亜種の存在は疑問になります。そこで、拙ブログでも取り上げた大阪市立大学のMさんらのエゾフクロウは別種、その他の亜種はないという説が説得力を持ってきます。
 今回の山形行きでは、ご案内いただいたY川さんのおかげでフクロウのさえずりを録音することができました。現状では、モミヤマフクロウということになります。しかし、果たして山形に分布しているのか、はたまた亜種として存在するのか、ということで歯切れの悪いタイトルとなってしまいました。
 YAMAHA W24でタイマー録音。ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

「ural_owl130322.mp3」をダウンロード

 さえずりからは、関東地方のフクロウと大きな違いを感じません。節と節の間は20秒あり、この間もほぼ同じです。西日本や九州地方のフクロウは、この間が短い傾向にあります。ですからモミヤマフクロウならば、短いのかもしれません。そうなると、山形は亜種フクロウということになります。ただ、サンプル一つからですからなんとも言えませんが、これからフクロウの声を聞く時に注意していただければ新たな発見に繋がるかもしれません。

2013年3月24日 (日)

石沢慈鳥と鳥類-山形県立博物館

 石沢慈鳥の聞きなしや俗説の考証などの文献は、『野鳥大鑑』執筆の折、おおいに参考にさせてもらいました。その石沢が、山形出身とは知りませんでした。日本野鳥の会山形支部のY川さんから、山形県立博物館で「石沢慈鳥と鳥類」の展示会が開催されていると聞いて、今回の山形行きのスケジュールに入れました。
 中西悟堂も山階芳麿も知らないバードウォッチャーがいるなかで、石沢慈鳥を知っている人がいるのでしょうか。そんな時代に、石沢の企画展を開催した山形県立博物館には、感謝です。
 石沢は、悟堂が日本野鳥の会を中心に活動を開始する以前の鳥業界を担った一人です。悟堂の存在が大きいだけに、それ以前の鳥業界の活動は目立ちませんが、石沢など多くの研究者が鳥業界を支え、そのおかげで日本野鳥の会の発足に至るのです。
 石沢は、林野庁の鳥獣調査室に勤務し研究をしました。この調査室は内田清之助が礎を築いたものです。その事業は林業試験場、そして現在の森林総研へと連綿と受け継がれている国政のなかの研究機関です。石沢の歩んだ道は、いわば日本の鳥類研究の王道であったのです。また、戦中戦後の動乱期にも関わらず鳥類研究を続け、現在こうして私たちが安穏とバードウォッチングを楽しめるのも、彼のような人がいたおかげだと思います。
 展示の多くは、石沢のコレクションの剥製と卵です。剥製と卵が並んでいるので、ミソサザイは体の大きさのわりに大きな卵を産んでいることがわかるなど、新鮮な発見があります。また、剥製のラベルと見るとタマシギが千葉県松戸で採集されていたなど、昔の生息地を知ることができました。
Ishizawa130223

 石沢の出身地は、山形県東村山郡長崎町(現在の中山町)です。前日、Y川さんに田んぼにコハクチョウの群れが下りていると案内してもらったところでした。広大な田んぼがひろがり、東に蔵王、西に朝日岳などの山々が望めるのどかな風景が広がっていました。ここで、石沢少年が野鳥に目覚め、自然に親しんだかと思うと感慨無量です。
 「石沢慈鳥と鳥類」展は、2013年5月12日まで。詳しくは、下記URLでお確かめください。
 http://www.yamagata-museum.jp/event/schedule/h24/ishizawa_jichou/

2013年3月23日 (土)

懸案のトラフズク-山形

『野鳥大鑑』には、420種類に収録されているので聞いたことのない鳥の声の解説も書かなくてはなりませんでした。その場合、レコードやCD、他の図鑑の記述を参考にしました。中には、資料が少なかったり記述がまちまちでイメージがつかめず執筆当時、文章を書くに苦労した鳥がいます。そのひとつが、トラフズクです。
 トラフズクは、冬にねぐらをしているのを見たことはあります。ところが、関東地方での繁殖は少なく声を聞く機会はありません。それに、鳥仲間にたずねてもトラフズクの声を聞いたという者はおらず、どんな声で鳴くのか、長年の懸案となっていました。
 去年、日本野鳥の会山形県支部のY川さんからトラフズクが鳴いているという情報をいただき、ご案内をお願いしましたが、ときすでに遅く聞いて録音できたのは雛の声だけでした。今年は早めに準備を整え、天候をにらみ昨日今日と行って参りました。
 Y川さんは、トラフズク3ヶ所、フクロウ1ヶ所のポイントを確認しておりました。それぞれを巡回して録音の作戦を練ります。機材は、YAMAHA W24を3台、OLYMPUS LS-100を1台用意して、各所で一晩録音することにしました。
 まずは、実際に見聞きしなくてはなりません。姿も見えて昼間も少し鳴いてくれたポイントで、本格的に鳴き始める日没を待ちます。ところが、隣接した作業場での機械音が止みません。まさか徹夜で作業をするとは思えませんが急遽、道路が近く車の音が気になったポイントへ移動。ここが、もっともペリットが落ちていたところで、活動が活発そうな個体です。
 到着すると、キジ雄の夕方の声が響き渡っていました。そして、待つこと30分。暗くなったところで、かすかに「ホ。ホ。ホ。」と聞こえます。”。”であるのは、間を表現しています。さっそく、手元に残して置いたPCM-D1で、録音開始です。私のほうへ飛んできてくれたので、鳥との距離はわずか10mほど。しかし、声は耳を澄まして、やっと聞こえるほどの小さい声です。同じように、近くで雌が「ポウ。ポウ。」と応えていますが、こちらも声量がありません。録音機のレベルメーターは、ほとんど動かないですから私の耳のせいではなく、トラフズクが声がほんとうに小さいのです。
 それにしても、なんと小さな声でしょう。フクロウ系の声は低く、そのため遠くまで聞こえるというのが特徴です。シマフクロウの声は、2km離れても聞こえるというのに、トラフズクは10mがやっと、50m離れたら聞こえないでしょう。この声に気が付くバードウォッチャーは、そうとうのベテランということになります。私も、Y川さんに教えてもらわなければ聞き逃すしてしまうところでした。
 10mの距離で録音したPCM-D1の音は、車の音がうるさく編集加工の限界を超えていました。普通、10mで鳥の声が録れれば、完璧な音源となります。ところが、声量がないためにノイズにまぎれてしまい、加工のしようがないです。
 ところで、それぞれ一晩中、録音機を稼働させていたので、データの量は半端ではありません。ざっと48時間、40G近くあります。検証するのは、明日1日かかりそうです。
 とりあえず、最初に録音しようとして作業の音がうるさかったポイントで、録れていたトラフズクの雄の声をアップします。ちなみに、作業は午後6時15分に終わっていました。YAMAHA W24で録音、トラフズクの声の音域をアップして、強めにノイズリダクションをかけています。
「longeared_owl110322.mp3」をダウンロード 
 Y川さん、ありがとうございました。すべてのポイントで、トラフズクは鳴いていました。おかげさまで貴重な声を録音することができました。重ねてお礼申し上げます。

2013年3月20日 (水)

ハシビロガモの雌の声-六義園

 六義園は、名物のシダレザクラが満開となりました。そのため、昼頃には入園のために長蛇の列ができていました。また、22日からライトアップの予定でしたが、今日から前倒しで開始です。先日、これからはじまる喧噪の前に六義園を歩いてみました。
 池は、キンクロハジロがいちだんと増えた上に、さかんにディスプレイを行っていました。あぶれた雄の最後のひとがんばりという感じです。親子が与える餌を求めてやって来たキンクロハジロの一団のなかに、ハシビロガモの雌が1羽入っていました。ハシビロガモは、水中の植物プランクトンを嘴で濾して食べるために、人の与える餌に寄ってくることはあまりありません。珍しいと思ってみていたら、さかんにキンクロハジロを追い払うために良く鳴いてくれました。これが、ハシビロガモの雌の声です。たぶん本邦初公開ではないでしょうか。PCM-D1で録音、鳴いているところだけピックアップし、低音ノイズを軽減、軽くノイズリダクションをかけています。

「shoveler130316.mp3」をダウンロード

 オナガガモの「ガ、ガ、ガ」、カルガモやマガモの「ガア、ガア」、コガモの「ウィップ」とも異なる丸みのある「ガア」です。カモ類の雌の声はかなり違いがあり、声からも区別できると思います。ただ、カタカナで書けば皆同じ、どう表現したらよいのかいつも悩みます。そのため、探鳥会で「今、鳴いたのは○○ガモの雌」と教えても皆さん、無関心なのは残念です。
 先秋の日本鳥学会でカモ類の雌には鳴管がないということを知りました。この「ガア」という声は、いったいどこをどう鳴らしているのでしょうか。

2013年3月17日 (日)

豊島ふくろう・みみずく資料館

 昨日は、お彼岸のお墓参りに行ってきました。お寺は、雑司ヶ谷にあるために帰りは池袋まで歩きました。この道を歩いて、いつも気になっていたことがあります。それは、南池袋小学校の校門にある『豊島ふくろう・みみずく資料館』の案内板です。ただし、開館日は土日だけ。いつもは、お墓参りは立教大学の帰りかすいている平日に行っていたので、この看板を横目で見ては通り過ぎていました。昨日は土曜日、やっと入ることができました。
 小学校1階の一部屋が展示室になっています。正直、えっというくらい狭いです。そこにフクロウ類に関する民芸品を中心に、ぎっしりと展示されています。その中には、日本野鳥の会のシマフクロウの保護を訴えるポスターも飾ってあるには驚きました。また、館長さんが親切に解説してくれます。とても楽しそうに話されるので、かなりフクロウ好きとお見受けいたしました。
 展示のなかに、歌川広重の『江戸高名会亭尽(えどこうめいかいてい づくし)』シリーズの「雑司ヶ谷の図」がありました。このシリーズは、今でいえば食べログ、あるいは江戸版ミシュランガイドと行ったところ。当時、評判の高い料理屋を紹介しています。「雑司ヶ谷の図」では、茗荷亭が描かれています。そして、店の前を歩いている子供が、薄木菟(すすきみみみずく)を持っていいるのです。絵のいちばん左を歩いている子供が担ぐように持っています。
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 薄木菟は、江戸時代に考案された江戸の郷土玩具です。ススキの穂を束ねて頭は丸く結び、膨らませて翼の部分を作ります。なんとも愛嬌のある人形です。耳は経木、目は黍がら、嘴は竹製。由来は、文化年間(1800年)頃、久米という貧しい娘が蝶の姿をした鬼子母神が夢の中でススキでミミズクを作るようにお告げがあったことから。そのため、鬼子母神の縁日、1月8日に売り出され災難よけのお守りとして親しまれていました。一時は、すたれていましたが戦後に復活。現在でも境内の売店で縁日とは関係なく販売されいます。その薄木菟が、浮世絵に描かれているとは私も知りませんでした。館長さんが、見つけたとのこと。こういうのを発見したときの喜びは、なんとも言えません。気持ちがわかります。
 資料館のおみやげとして、オリジナルの白磁下絵陶製のフクロウがあると看板にありました。これは、10cmくらいの大きさの瀬戸物でオオコノハズク、コキンメフクロウ、フクロウ、シマフクロウの4種類です。定価500円でしたので、すべて買おうと思ったら、シマフクロウが残り4個あるだけとのこと。納品されててもすぐに売り切れてしまうそうです。とりあえずシマフクロウ2体をいただきました。
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 外へ出て改めて南池袋小学校の校章を見ると、薄木菟でした。

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 また、立派なレリーフが、校舎にはめ込まれていました。

Owlrelief130316

 いずれにしても、フクロウ好きにはたまらない資料館でしょう。土日に池袋に行く、機会がありましたら、立ち寄られたらと思います。なお、「豊島ふくろう・みみずく資料館」のURLは、下記です。展示のいったんを知ることができます。
 http://www.toshima.ne.jp/~zukuspot/
 次回、行くときはおみやげのフクロウの置物を全部、買えたらと思います。

2013年3月16日 (土)

ウグイスが鳴いたので-LS-100とPCM-D1の比較

 昨日は、六義園のセンサス調査でした。K藤さん、K久保さんがお手伝いをしてくれました。キンクロハジロがさらに増えて、ヒヨドリもにぎやかです。シジュウカラとヤマガラのさえずりも聞くことができました。そして、ウグイスもさえずってくれました。いつも鳴き始めはおぼつかない節回しですが、しっかりと鳴いていました。いずれにしても、六義園は、春の音に包まれていました。
 今日も六義園に行ったら、常連さんからウグイスはもうさえずり始めて2週間経っていると教えてもらいました。どうりで、しっかりした鳴き方をしているわけです。というこことで、OLYMPUSのLS-100の試し録りをしてみました。比較は、SONYのPCM-D1です。ウグイスの鳴いている方向に向け、手で持っての録音です。グランドノイズの音量が同じになるように、録音ボリュームを調整しています。96kHz/24bitで録音し、48kHz/16bitに変換、さらにmp3に変換してアップしています。音源は同じ所です。LS-100のほうが、やや音量が低かったのでボリュームを上げ、波形でウグイスのさえずりのピークが同じ音量になるように調整しています。フェードイン、フェードアウト以外の編集はしていません。
 LS-100

「LS100Bush-Warbler130316.mp3」をダウンロード

 PCM-D1

「PCM-D1Bush-Warbler130316.mp3」をダウンロード

 ウグイスのまろやかなさえずりの雰囲気は、どちらもとらえていると思います。大きな違いは、グランドノイズとメインの音のバランスで、PCM-D1は「ゴーッ」という音が小さく聞こえ、LS-100のほうが山手線の音、近くの高校の歓声がなどが良く聞こえます。  スペクトル表示で見ると、LS-100は25,500~26,500Hzの音が薄く抜けている感じです。PCM-D1は19,400~19,600Hzに一筋音があり、器機のノイズを拾っているのでしょう。いずれも聞いても分かるものではありませんし、LS-100の音域は48kHz/16bitに変換するとカットされてしまう音域です。私は、ノイズの多い野外の録音では気になりませんが、神経質な人は気にするのかもしれません。
 いずれにしても標準となるウグイスのさえずりが、ウグイスのさえずりとして録音できることがわかりました。

2013年3月15日 (金)

デジスコ通信に投稿-識別は難しいほど面白い

 ここ2年続けて千葉県銚子を訪れています。銚子は、船や車の騒音がうるさく録音がほとんどできない探鳥地です。それでも、カモメ類を見るために冬に訪れる探鳥地の定番になってしまいました。なんといっても、カモメ類の識別が面白いからです。「カモメの識別は難しくて嫌だ」というかたがいますが、野鳥の識別は難しいから面白いのです。その楽しみを教えてくれた鳥仲間に感謝しつつ起稿しました。
 本日、配信のデジスコドットコムのメールマガジン「デジスコ通信」に掲載されています。題して「銚子で思ったこと-識別を楽しむ」です。下記のURLで、読むことができます。どうぞ、ご高覧いただければ幸いです。
  http://www.digisco.com/mm/dt_69/toku1.htm

2013年3月14日 (木)

シメのさえずりか?-明治神宮

 昨日、文化放送のスタジオの後に明治神宮に仕掛けた録音機を回収に行ってきました。昨日は朝から風が強かったので、どうせ良い音は録れないとあきらめていましたが、こんな声が入っていました。

「HawfinchS110313.mp3」をダウンロード

 これは、午前5時40分頃です。ハシブトガラスたちのねぐら立ちが一段落し、いろいろな小鳥たちが鳴き始めたなかの一つです。YAMAHA W24で録音、ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイスリダクションをかけています。
 聞く限りシメだと思います。声紋も4,500Hzから9,000Hzに渡る高い音で一致します。しかし、シメがこんなに細かく鳴くのはじめて聞きました。はじめのほうは1秒間10回鳴いています。それが、12秒続いています。いつもは、のんびりと一声ずつ鳴いている印象のあるシメですから、はじめ何の鳥かわかりませんでした。なお、ここでは30秒分しかアップできないので割愛していますが、この後も1分間ほど、シメらしい声で1声ずつ鳴いています。
 これもシメのさえずりなのでしょうか。以前、「シメのさえずり-六義園」でアップしたさえずりと思われる声は、1秒間に5,6声の頻度で2分以上続けていました。それに比べても趣の異なる鳴き方です。
 シメは地味な鳥な上に研究されている人も少なく、とらえどころがない鳥ですね。声についても謎の多い鳥といえるでしょう。

2013年3月13日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-放送エリア拡大

 本日は、文化放送にて『朝の小鳥』の4月放送分のスタジオ収録でした。4月のテーマは「湿地の鳥たち」です。まずは、4年越しで去年やっと録音することができたタマシギです。このタマシギの声は、これ以上は望めないと思うくらいクリアです。4年間、兵庫県に通ったかいがあったというものです。ご案内いただいたW辺さんのおかげでもあります。W辺さん、おかげさまで番組になりました。
 あとは、シラコバトを録りに行ったときに鳴いていたコチドリ、芝川第一調節池のタイマー録音に入っていたホオジロ、舎人公園のオオヨシキリと、お馴染みの湿地の鳥たちです。どうぞ、お楽しみいただければと思います。
 あとうれしいニュースです。『朝の小鳥』は、関東一円がサービスエリアの文化放送とネット局でも放送されています。今までのネット局は茨城放送と琉球放送でしたが、4月より東北放送が加わります。サービスエリアは宮城県全域、福島県、山形県、岩手県の一部とかなりの広範囲となり、義理で聞かなくてはならない友人知人が増えると思います。
 ネット局と放送曜日と時間を下記のとおり、サービスエリアにお住まいの方、番組をお楽しみいただければ幸いです。
東北放送(TBC) 土曜日 午前06:25~06:30
茨城放送(IBS) 日曜日 午前06:00~06:05
琉球放送(RBC) 土曜日 午前05:55~06:00

2013年4月放送予定
4月7日 タマシギ
  14日 コチドリ
   21日  ホオジロ
   28日 オオヨシキリ

2013年3月12日 (火)

日本野鳥の会理事会-柳生会長ご立腹

 本日は、日本野鳥の会の理事会でした。今年度最後の理事会ですので、来年度の事業計画の承認と今年度の決算見込みの報告を受けました。あいからずの赤字体質は変わらず赤字決算、赤字予算となります。赤字幅は見込みよりは少なくなりそうですが、毎年この季節になると憂鬱になります。
 良いニュースでは、大畑孝二さんが勤続30年の表彰を受けました。去年の安西英明さんに続いて2人目となります。ついこの間まで、学生だったと思っていたご両人が最年長の勤続とは私も年をとったものです。勤続30年選手は、来年もあります。ただ、離職率も高く、今いる若い人たちがこの先30年勤めてくれる魅力ある職場になってくれればと祈るばかりです。
 理事会の後の懇親会では、珍しく柳生博会長がご立腹でした。それは、先日の3月7日にNHK総合テレビで放送された「ゆうどきネットワーク」で取り上げられた特集「野鳥の放射能汚染 その実態は?」です。この番組では、日本野鳥の会が野鳥が放射能の影響を受けていないか調査をしているという報告です。福島市では日本野鳥の会は東邦大学の桂川教授のもとに野鳥の放射線汚染状況を測定しています。チェルノブイリ原発事故では、部分白化現象のツバメが観測されるなどの野鳥に異常が確認されていますので、そのような現象が現れていないかの実態調査です。
 番組では、シジュウカラからは1kgに換算すると10ベクレルと低レベルの汚染が確認されました。しかし、シジュウカラの巣材と思われるコケから1kg換算で129万ベクレルという高濃度の汚染が確認されました。番組を見て感じたのですが、ルリビタキは低濃度、シジュウカラも低濃度、やっと巣材に放射能が見つかったという感じの流れがありました。これは、事実なのですからしかたがないといえばしかたありません。
 しかし、問題は番組の終わりにリポーターが「コケや土で作られた鳥の巣は危険。心配だったら行政や環境省に相談を」というコメントでしめたことです。すでに、日本野鳥の会にはシジュウカラ用の巣箱を撤去したという、報告も入っているといいます。
 ですから柳生会長は「問題は鳥の巣が危険なのではなく、コケや土が汚染されていることが問題なのだ!」と、ご立腹なのです。たとえば、汚染された昆虫を食べることで身体のなかで放射能が圧縮され高濃度の汚染となる生物濃縮が起きているというのならば話はわかります。しかし、巣材は鳥が自然のなかにあるままに運んできます。たかだか小鳥が運ぶ量です。それを越えるはるかな量が、自然のなかに存在し汚染されていることになります。「巣材が汚染されているということは、そのまま自然状態のコケや土が汚染されていることであり、それを指摘しないでなんのための番組だ!」と、お怒りなのです。
 さすが制作現場の経験の長い柳生会長だけに、ちゃんと見ているところは見ているのですね。まったく会長のおっしゃるとおりです。私は、ぼんやりと番組を見ていたので「シジュウカラが庭で巣を作ったと相談されても、福島市や環境省は困るだろうな」と思っただけでした。
 会長の怒り、これからの日本野鳥の会の広報の仕方について良い教訓となりました。

2013年3月10日 (日)

花粉吹きすさぶ井頭公園

 着いたときはほどよい温度、歩いているとポカポカ陽気、それが一瞬のうちに強風に見舞われ、急激な温度の低下。1日で、1ヶ月分の天気の変化を味わったような今日の井頭公園でした。
 今日は、日光野鳥研究会としては遠出の自然観察会です。井頭公園の魅力は、カモたちです。マガモの100羽を越える群れは久しぶり。少なくなったオナガガモも健在でした。コガモたちが可愛い声を出してディスプレイにいそしんでいます。そして、最後に出たトモエガモの雄の美しさと、カモの魅力を堪能することができました。
 林は、下生えがなく見通しが効いているので鳥は少なめ。それでも、ビンズイやシメの姿をじっくりと観察することができました。以前来たときとおなじように鳥の影は多い印象です。
 いずれにしても仕事と体調に関わらず、無理をして行ったかいがありました。たくさん鳥を見られるのは、なんといっても幸せな気持ちになれます。そして、それを楽しむ人たちと共有できるのも幸せでした。

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 しかし、昼から吹き始めた風は強かった。その風が、舞い上げるスギの花粉の凄いこと。目の前のスギの木にまるで火が付き煙が立ち上るように花粉が飛んでいきます。その花粉が、身体にまとわりつき染みこんでくるのかと思うと、全身がむずがゆくなります。この飛び上がる花粉を見て、花粉症の人たちは脱力感に見舞われ、まだなっていない人もなんだかムズムズして来た、これは花粉症を発症したかもと戦々恐々としています。
 今日の録音は、強風とクシャミのおかげで断念いたしました。

2013年3月 9日 (土)

明治神宮での録音-ウソ

 私がバードウォッチングの初心者の頃、板橋区の奥のほうに住んでいました。そのため、始発のバスに乗っても集合時間に間に合うのは明治神宮探鳥会くらいでした。今思えば、生意気な高校生にずいぶん親切に教えてくれたものです。
 その明治神宮に久しぶりに行きました。都会の緑地でどこまで録音できるのかの検証です。昔に比べれば樹木が高くなっている感じです。参道の左右にあるクスやスダジイの枝がつながり完全な木のトンネルになっています。その反面、森の奥まで視界が効くようになったと思います。日あたりが悪いので、ずいぶんアオキなどの低い木が減ったように思えます。
 鳥は、ヤマガラが以前より多くなったと思いました。シジュウカラと同じくらいの出会いです。また、ヒガラもいて、ソウシチョウがいたのには驚きました。また、北池のオシドリは健在ですが、南池にはカモは1羽おらず寂しい限りです。ここで、はじめてオナガガモを見た思い出があります。当時は珍しかったのですが、また少なくなってしまったことになります。
 録音は、ウソです。2,3羽が鳴きながら森の中を移動して行きました。PCM-D1で録音しています。木の高いところにいることと声が大きくありません。そのため、オリジナルの音源は、ほとんど波形が出ていません。ですから、かなりボリュームをアップしています。その分、低音域のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。ここまで、できれば、記録として都会の公園でも録音が可能なことが解っていただけると思います。

「Bullfinch130308.mp3」をダウンロード

2013年3月 8日 (金)

芸術の春を楽しむ-ワイルドライフアート展2013

 今日は、カミさんをはじめ友人知人が活動している日本ワイルドライフアート協会の展示会に行ってきました。新宿御苑のインフォメーションセンターのなかにあるギャラリーです。
 まずは新宿御苑に入り、オシドリの声の録音が可能かどうか下見をして来ました。この前に立ち寄ってきた明治神宮より距離は離れているものの数も多い上に道路からの距離も離れているので、こちらのほうが良さそうです。オシドリの帰る前にトライできたらと思います。
 作品は、いつもにまして力の入った作品が多いですね。自然や生き物のへのそれぞれの思いが伝わってくる作品ばかりです。また、会場では懐かしい人や顔なじみ会えて、楽しいひとときを過ごすことができました。
 今週末までですので、お近くの方はお立ち寄りいただければと思います。なお、最終日の10日は終了時間が早いのでご注意くださいとのことでした。

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JAWLASワイルドライフアート展2013 「日本の生きもの~その多様性」
期日:3月5日~3日10日(日曜日)
場所:新宿御苑正門(新宿門)外インフォメーションセンター内ギャラリー
時間:9:00~16:30(最終日~15:00)期間中無休。無料
交通:最寄駅;メトロ副都心線新宿3丁目駅E5出口、その他丸ノ内線新宿御苑1出口、JR新宿駅。
  日本ワイルドライフアート協会のURLです。
  http://www.jawlas.jp/exhibition/index.html

2013年3月 6日 (水)

鶴居村のチーズ-乳製品工房酪楽館

 鳥のいる所へ行って困るのはお土産です。お饅頭や羊羹と言ったただ甘いだけの食品はうんざりです。鳥の柄のTシャツでもあればめっけものですが、なかなかそうも行きません。
 カミさんの友だちのD畑さんが、北海道の鶴居村にタンチョウを見に行ったとのことで、お土産にチーズをいただきました。乳製品工房酪楽館のシルバーラベルとゴールドラベルです。どちらも受賞歴のあるチーズです。

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 私が鶴居村に行ったのは、まだDATでタンチョウの声を録音していた頃ですから、10年前になります。その頃は、このチーズ屋さんはなかったと思います。あればチーズに目がない私ですから見つけていたと思います。
 さっそく朝食にいただきました。シルバーラベルはコクがあって柔らかい食感、ゴールドラベルはよりコクがあり堅めの食感、どちらも美味しくいただきましたが、ゴールドラベルは朝食より夕食のビールにつまみに合うといった感じですね。
 いつもお土産に困っているのですから、今度鶴居村に行ったら文句なくお土産にはこのチーズを買わせていただきます。
 D畑さん、ご馳走さまでした。

2013年3月 3日 (日)

珍鳥バブル-東京港野鳥公園

 今日は思ったほど暖かくなりませんでしたが、東京港野鳥公園ではいろいろな野鳥に会えて熱くなりました。本日は、あだち自然にふれあう会の観察会におじゃまいたしました。
 例のタカサゴモズはまだ人気があり、タカサゴモズ・ポイントのハイドは満員。広場のほうも写真のように盛況でした。
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 これに加え、キレンジャクの数10羽の群れが生態園に飛来して大忙しです。おかげで駐車場はいっぱいとなり、駐車場から入り口までの坂道から券売窓口の前まで臨時の駐車場となっていました。今までずいぶん通っていますが、こんなに車が止まっているのを見たのは初めてです。
 実は、近くの多摩川でノハラツグミが出現しています。今日はあまり成果はなかったようで、ノハラツグミをあきらめた連中が、タカサゴモズを求めて東京港野鳥公園までやって来たようです。ある意味、公園は珍鳥バブルと言ったところでしょう。
 この東の東京港野鳥公園に対し、西の大阪南港野鳥園が有名です。1970年代には、宮城県の蒲生干潟を守る会、千葉県の新浜を守る会、そして大阪府の南港を守る会の活動が、自然を守ろうという若者たちの心を捕らえました。蒲生のH輪さんは日本野鳥の会やWWFJの職員となりました。新浜のH尾さんは今も行徳で活動しています。南港に関わったO原さんは日本野鳥の会の職員時代にここ東京港野鳥公園の設計をいたしました。そして、現在は生態計画研究所をしきっています。かくいう私も彼らから刺激を受け、千葉の干潟を守る会などの活動に関わり、おかげで現在があります。
 ところが、大阪南港野鳥園は大阪市の改革により廃止の方向です。日本野鳥の会大阪支部が、存続を求めて陳情など存続に向けて活動をしていますが、今のところ良いニュースはありません。理由は、お金をかけるだけの価値がないということなのです。かつては大阪湾にも広大な干潟が広がり、多くの水鳥たちの生息地でした。それを失った現在、残ったわずかな湿地は、鳥たちにとってはとても価値のあるものなのです。それを、単なる経済効率で判断するのはいかがなものかと思います。
 東京港野鳥公園も、入園料大人300円、年間来園者数万人です。これで管理運営できると思えません。大阪市と同じ価値観で、判断されたら同様の憂き目にあう可能性があります。
 この珍鳥バブル、鳥たちからの支援のように思えてなりません。

2013年3月 2日 (土)

野鳥講座-ご静聴ありがとうございました

 いつも多くても10人程度で会議をしている日本野鳥の会の会議室に、こんなに人が入れるとは思ってみませんでした。今日は、野鳥講座ということで「野鳥の鳴き声楽しみ方」と題してお話しをいたしました。予約制で定員30名のところ、なんやかやで40名の方が集まり、せまい会議室はいっぱいとなりました。おかげで、暖房が入っていないのに暑くて、私は途中からYシャツ姿でお話をいたしました。このように、野鳥の声と録音に関心が持っていただくのは、うれしい限りです。
 いつもは知った顔ぶれの方もいるのですが、今日は初めての方ばかりとお見受けいたしました。また、事務局からは会員以外の方が多いと報告を受けています。「野鳥」誌で録音の話を連載していますので、会員の方々が関心を持ってくれるのはある程度予想していました。しかし、バードウォッチャーの世界でも関心が高まっていると思うと、これからが楽しみです。
 講演内容は、野鳥はなぜさえずるのか、さえずる雄はなぜもてるのかなど、どうやって鳴くのかなど、基本的なところから解説いたしました。当たり前のことを説明するのは、意外と難しくていつも苦労をします。このあたりは、一人でもうなずいてくれる方いると、ほっといたします。熱心に聞いていただいたおかげで、話は予定時間を越えてしまいました。
 職員のT岡さんが撮影してた写真です。

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 スタッフのT瀬さん、もろもろご手配ありがとうございました。

2013年3月 1日 (金)

今日の六義園調査

 今日は、六義園のセンサス調査を行いました。K藤さんとK久保さんもお手伝いしていただきました。
 今日は、シロハラがたいへん多かったですね。全部で11羽、20世紀の調査では最多数が6羽(1991年1月26日)でしたから、倍近い記録となりました。それも、群れでいるのではなく、園内のあちらこちらに1羽ずついるのです。皆、林床で枯れ葉を頭で払いのけては食べ物探しに余念がありませんでした。どうも、春の渡りが始まり南にいたものが、通過のために六義園に集結したという感じです。
 同じように、10数羽だったキンクロハジロは、今日は110羽。過去の最多数には及びませんが、久しぶりの3桁となりました。これも、南から北へ渡る途中の群れが入ったのでしょう。
 残念なこともありました。水路に落ちた木の枝にキジバトがとまっているのを見つけました。羽が乱れていて元気がありません。しばらく見ていると、飛び立ったのですが、尾羽がありません。そして、水の中に落ちてしまいました。これが、助けることのできない水辺なので、どうしようもありません。身体のほとんどは水面から出ていますし、おぼれてはいませんので、なんとか体力を回復して飛び立ってくれたことを祈りました。
 六義園におけるキジバトの天敵は、オオタカかネコでしょう。一昨日には、六義園の塀際にキジバトの羽毛が散乱していました。広範囲に散っていましたので木の上で食べられたものでしょう。そのため、犯人はオオタカではないかと推測いたしました。
 六義園の20世紀の記録では、多い年でキジバトの羽毛散乱は5,6件ありました。当時は、オオタカはいませんでしたので、犯人はネコ。ネコは、多い時で園内に10数匹が生息していていましたので地面で食べ物を取る鳥は、キジバトばかりではなくトラツグミからスズメまでやられました。現在でも2匹のネコがいますから、ネコの可能性も捨てきれません。
 写真は一昨日、六義園で撮影したものです。鳥は、ドバトです。

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 そういえば、このクロネコは傷ついたキジバトを見つけるちょっと前にもいました。状況証拠だけですが、犯人はこいつかもしれませんね。これも都市公園の生態系のワンシーンです。

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