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2013年3月23日 (土)

懸案のトラフズク-山形

『野鳥大鑑』には、420種類に収録されているので聞いたことのない鳥の声の解説も書かなくてはなりませんでした。その場合、レコードやCD、他の図鑑の記述を参考にしました。中には、資料が少なかったり記述がまちまちでイメージがつかめず執筆当時、文章を書くに苦労した鳥がいます。そのひとつが、トラフズクです。
 トラフズクは、冬にねぐらをしているのを見たことはあります。ところが、関東地方での繁殖は少なく声を聞く機会はありません。それに、鳥仲間にたずねてもトラフズクの声を聞いたという者はおらず、どんな声で鳴くのか、長年の懸案となっていました。
 去年、日本野鳥の会山形県支部のY川さんからトラフズクが鳴いているという情報をいただき、ご案内をお願いしましたが、ときすでに遅く聞いて録音できたのは雛の声だけでした。今年は早めに準備を整え、天候をにらみ昨日今日と行って参りました。
 Y川さんは、トラフズク3ヶ所、フクロウ1ヶ所のポイントを確認しておりました。それぞれを巡回して録音の作戦を練ります。機材は、YAMAHA W24を3台、OLYMPUS LS-100を1台用意して、各所で一晩録音することにしました。
 まずは、実際に見聞きしなくてはなりません。姿も見えて昼間も少し鳴いてくれたポイントで、本格的に鳴き始める日没を待ちます。ところが、隣接した作業場での機械音が止みません。まさか徹夜で作業をするとは思えませんが急遽、道路が近く車の音が気になったポイントへ移動。ここが、もっともペリットが落ちていたところで、活動が活発そうな個体です。
 到着すると、キジ雄の夕方の声が響き渡っていました。そして、待つこと30分。暗くなったところで、かすかに「ホ。ホ。ホ。」と聞こえます。”。”であるのは、間を表現しています。さっそく、手元に残して置いたPCM-D1で、録音開始です。私のほうへ飛んできてくれたので、鳥との距離はわずか10mほど。しかし、声は耳を澄まして、やっと聞こえるほどの小さい声です。同じように、近くで雌が「ポウ。ポウ。」と応えていますが、こちらも声量がありません。録音機のレベルメーターは、ほとんど動かないですから私の耳のせいではなく、トラフズクが声がほんとうに小さいのです。
 それにしても、なんと小さな声でしょう。フクロウ系の声は低く、そのため遠くまで聞こえるというのが特徴です。シマフクロウの声は、2km離れても聞こえるというのに、トラフズクは10mがやっと、50m離れたら聞こえないでしょう。この声に気が付くバードウォッチャーは、そうとうのベテランということになります。私も、Y川さんに教えてもらわなければ聞き逃すしてしまうところでした。
 10mの距離で録音したPCM-D1の音は、車の音がうるさく編集加工の限界を超えていました。普通、10mで鳥の声が録れれば、完璧な音源となります。ところが、声量がないためにノイズにまぎれてしまい、加工のしようがないです。
 ところで、それぞれ一晩中、録音機を稼働させていたので、データの量は半端ではありません。ざっと48時間、40G近くあります。検証するのは、明日1日かかりそうです。
 とりあえず、最初に録音しようとして作業の音がうるさかったポイントで、録れていたトラフズクの雄の声をアップします。ちなみに、作業は午後6時15分に終わっていました。YAMAHA W24で録音、トラフズクの声の音域をアップして、強めにノイズリダクションをかけています。
 
 Y川さん、ありがとうございました。すべてのポイントで、トラフズクは鳴いていました。おかげさまで貴重な声を録音することができました。重ねてお礼申し上げます。

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コメント

まつ様
私もトラフズクの営巣場所で声を聞いたことがありますが、やはり小さな控えめの声でした。聞いた後に「もしかして空耳では?」と自分の耳を疑ってしまいましたが、この録音を聞いて、やっぱり空耳ではなかったんだと確認できました。

清棲幸保さんの解説では「声は最初は小さいけどだんだん大きくなっていく」となっているので、長時間鳴き続ければもっと大きくなるのか?知りたいです。

S木様
 よく気がつきましたね。私は「鳴いている」と言われて、耳をすませてやっと聞き取れるという状態でした。
 たしかにだんだん大きくなってはいるのですが、わずかですね。ずっと聞いているY川さんもこれ以上は、大きく鳴かないと言っておりました。面白いのは、巣立った雛はすごく大きな声で鳴くのです。取材中に、近所のオバさんと話たら「雛の声はうるさい」と言っていました。

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