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2013年5月

2013年5月31日 (金)

センダイムシクイの遅い渡り-六義園

 今日は、六義園のセンサス調査を行いました。K藤さんとK久保さんも同行してくれいました。とても気持ちの良い日で、まるで高原を歩いているようなさわやかさのなかでの調査でした。ただ、鳥のほうはもうピークを越えた感じで、種類も数も少ない季節となりました。
 調査を終えてもう一回りしようと森の中を歩いていると、センダイムシクイらしいさえずりが聞こえてきました。SONY PCM-D50で録音、ボリュームの調整、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。



 声も小さく、はじめセンダイムシクイとはわかりませんでした。しばらく録音しながら聞いていると「チヨチヨ」だけだったり、あまり聞いたことのない節で鳴いていたりしてます。そして、アップした音源のように、ときどき「鶴千代君」と鳴いてくれセンダイムシクイと確信した次第です。
 夏鳥のなかでセンダイムシクイは、どちらかというと早く渡っていきます。4月中旬に姿を見せ、5月上旬には終わります。連休中に栃木県日光に行くとさかんに鳴いているので符合します。ところが、本日は5月最終日でとても遅い記録です。過去もっとも遅い記録は、5月17日(1984年、1986年)ですから約半月も記録を更新したことになりました。
 北海道で、センダイムシクイのさえずりを聞いたときは、すぐに名前がうかびませんでした。センダイムシクイは、サハリンからアムールなど、より北にまで分布しています。渡りが遅いことと、さえずりの違いから、より北で繁殖するタイプなのかもしれません。

2013年5月30日 (木)

久しぶりのバイノーラル録音-コノハズク

 先週末は日光でした。日光野鳥研究会の矢板市にある県民の森にて自然観察会です。この前夜は、先日のダム湖にコノハズクを録りに行きました。前回、あまりにも素晴らしい雰囲気のなかコノハズクの声が響き渡っていたので、なんとかこれを捕らえようという試みです。そのため、久しぶりにウィッグと自作のバイノーラル録音のセットを持って行きました。
 ご案内いただたA部さんによると、前の晩はこちらの山とあちらの山でコノハズクが鳴き合っていたそうです。ですから、ここにセットすればステレオ感ある音が録れるはずというところで準備をしました。
 毎度、鳴き出すのを待つときのわくわく感は楽しいですね。この季節のゴールデンタイムは午後7時20分。曇っているのでかなり暗い日没です。まずは、ヨタカが鳴き始め、ほぼ同時にコノハズクも本格的に鳴き始めました。
 闇夜に包まれゆく森の湖に響き渡る声です。マイクはPrimo EM4201、録音機はYAMAHA W24で録音。遠くで鳴いている感じを損なわないよう少しボリュームをアップ、低音ノイズの軽減をしています。ノイズリダクションはわずかです。できたら、イヤーフォンやヘッドフォーンで聞いていただきますと、よりステレオ感を味あうことができると思います。



 しかし、ウィッグを湖に落としたら大問題になると思い、神経を使いました。
 

2013年5月27日 (月)

謎の声-鳥取県八頭

  岡山、鳥取の旅の続きです。八東ふるさとの森から下りたあたりは、里山の風景が広がっています。運転をW部さんと交代しようとレンタカーをとめると、聞き慣れない声がしました。近くでは、農家のオジさんがていねいに苗床に水を撒いています。その音を超えて、聞こえてきました。SONY PCM-D1で録音、水まきの音域を下げるなどボリュームを調整しています。



 まずは録音しながら、W部さんは「アリスイか?」、私は「いや猛禽類の何かと思う?」と、車を降りて姿を懸命に探しました。どうも、声は畑の向こうに生えている灌木の中から聞こえてきます。しかし、いくら探しても姿が見えません。しかし、どこかで聞いたような声なのですから、なんとかなりそうです。それにしても、水まきの音がうるさいので、なんとかならないかと思っていると、水まきの音が止みました。これ幸いと思っていたら、オジさんが近づいてきます。
 そして、「ありゃ、鳥脅しじゃけん」と、教えてくれました。いちどう「えーっ」「なんだー」と口をあんぐり。確かに、同じ音が繰り返され間隔も同じです。よく見ると畑の畔にある木に、弁当箱くらいの緑色の箱がくくりつけてありました。音は、ここから出ていたのです。猛禽類のなにかの声と、ムクドリらしいディストレスコールを組み合わせての鳥脅し、道理で姿が見えないはずです。オジさん、教えてくれてありがとう。もし、オジさんがいなければ、謎の声としてアップするところでした。きっと、八東ふるさとの森に向かうバードウォッチャーの何人かは、この音に引っかかっていることでしょう。
 ちなみに、ウグイスは本物です。のどかな風景のなか、のどかな出来事でした。

2013年5月25日 (土)

甲高いコノハズクの声-八東ふるさとの森

 あっけなくブッポウソウの声を録音できたため、W部さんの提案で鳥取県八頭町にある”八東ふるさとの森”に行くことにしました。ここは、コノハズクとオオコノハズク、それに加えアカショウビンが見られるために野鳥カメラマンが集中し、問題が起きている場所です。去年、W部さんが訪れたときには、100人程度のカメラマンが列をなしていたとのこと。しかし、夜は写真は撮れないので録音は可能、問題の場所も見ておきたいということで、行くことにしました。途中、休憩を挟んで3時間半の長旅となりました。
 八東ふるさとの森は、ブナの林に包まれたキャンプ場です。行ってみると、野鳥カメラマンは、2,3人だけ。平日なことと、お目当ての鳥たちの渡来情報が、まだ出回っていないためでしょうか。ちょっと拍子抜けをいたしました。
 急きょバンガローに泊まることにし、録音機4台を投入して夜の録音に備えました。関東では、午後7時20分がゴールデンタイムの始まりです。西に位置する時差のため、ここでは7時30分でした。
 まず、ヨタカが鳴き、あちこちでコノハズクが鳴き始めました。ときどき、ジュウイチが相の手を入れる夜の鳥たちの競演です。コノハズクの密度はかなり高く、一度に3羽が鳴いているのを最高に、絶えず鳴き合う2羽があちこちにいます。吉備中央町のブッポウソウ同様、ここのコノハズクも巣箱の効果で、高密度で生息しています。
 YAMAHA W24で録音、コノハズクの音域のボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。



 コノハズクの声を聞いて感じたのは、栃木県日光で聞いているいるコノハズクに比べて全体に音が高い感じがしました。甲高い、あるいは金属的な響きを持った声に聞こえます。声紋を見てみると日光産が800~1,200Hzに対して、八東産が1,000~1,350Hzとなり、200~250Hzほど高い声となります。これが、個体差なのか地域差なのか、サンプル数が少ない中で確証はもてません。また、日光ならばひとつの山で1羽が鳴いていて、谷を越えてもうひとつの山で1羽鳴いているとう感じで鳴き合います。八頭町では、狭いエリアで何羽もが鳴き合うために、競争が激しく音が高くなったりテンポが速くなっているのかもしれません。
 コノハズクはほとんど一晩中、鳴いていました。おかげで、寝不足になりました。

2013年5月24日 (金)

姿のブッポウソウの声-岡山県吉備中央町

 かつて関東地方では、ブッポウソウはけして珍しい鳥ではありませんでした。栃木県日光でも記録がありますし、私が初めて見たのは神奈川県津久井湖にかかる橋の上です。その後、山中湖でも見ていますが、1970年代の後半までとなります。今でも奥多摩で繁殖しているとのことで行ったことがあります。ここは、カメラマンが集中している上に渓流のそばなので録音には難しいロケーションと判断いたしました。ということで、今回の岡山行きの目的は、姿のブッポウソウの声です。今回も、関西のバードウォッチングでは、いつもご案内をお願いしているヒクイナ研究家のW部さんといっしょです。
 岡山市内から1時間ほどで吉備中央町に着きます。なだらかな丘陵地の間に水田が広がり、のどかな風景が広がっています。ところどころ、電柱に大きな巣箱がかけてあります。これが、ブッポウソウのためのもので日本野鳥の会岡山支部が20年以上前から続けている保護活動の一環です。巣箱を見つけて、その周辺を探すとかならずと言って良いほど、ブッポウソウを見つけることができます。おおむね1本の農道に沿って設置されています。水路から遠く車の通りの少なそうなところで、録音をすることにしました。吉備中央町のWebサイトでは、ブッポウソウの観察の注意として50m以上離れること、20分以上立ち止まらないこととあり、録音機を置いて離れて観察しました。下記のような状況を観察、録音できましたので、さほど警戒させることなくできたと思います。ひとつ心配だったのは、この番と思われるブッポウソウのいる近くの畦にもう1羽が下りていたことです。まだ、雛が出るのは早すぎますし、双眼鏡で見る限り成鳥です。足の発達していない、この鳥が地面に降りることは多いとは思えず、アクシデントのようです。といって、巣箱に近づくとのははばかれますし、保護してもどうしようもありませんので、見守るしかありませんでした。なお、翌日はこの1羽はいなくなっており、無事に飛んで行ったことを祈ります。
 ブッポウソウの声についての記述は、多くありません。雄と雌で違うのか、地鳴きとさえずりの違いなど、明確な記述を見つけることができません。アップした音源は、始めのほうは2羽が電線に並んでとまり向かい合い、首を回す動作の時の声です。いかにも求愛の行動に見えます。また、後半の大きな声は1羽が飛び立ち、とまっている1羽の周りを軽快に飛びまわるときの声です。これも、求愛に思えます。いわば、さえずりに相当する声といえるでしょう。それにしても、地味な声です。姿が美しいぶん、声による伝達方法が発達しなかった鳥なのでしょうか。
 SONY PCM-D1で録音。ボリュームの調整、低音ノイズの軽減、軽くノイズリダクションをかけています。


 録音は、季節柄カエルの声がにぎやかです。これも風景の音として、生息地のイメージが音として伝わればと思います。

2013年5月23日 (木)

ササゴイの鳴き声は雌雄で違うか-岡山・後楽園

 姿と声の仏法僧を求めて、岡山県と鳥取県を巡ってきました。
  まずは、せっかく岡山に来たので後楽園に。入園するといきなり、キビタキのさえずりが聞こえてきました。もう午後4時だというのにさかんにさえずっています。録音していると、なんとアオバズクの声が聞こえます。それも2羽が鳴き合っています。こんな明るいうちに、2羽で鳴き合うことがあるのですね。
 今回で、後楽園は2度目です。ここの思い出は、はじめてカワセミに会ったことです。1970年代の話ですが、バードウォッチングを始めて7年目にしてやっとカワセミを見たのが、後楽園なのです。それも根城の東京ではなく、岡山まで来て会えたのですから、当時はそれほどカワセミが少なかったのです。
 記憶をたよりに昔、カワセミを見つけたところを探していると、ササゴイが飛んできました。昔はたくさんいたササゴイですが、今やカワセミより少なくなってしまった鳥です。見ていると、小枝をくわえて飛んでいきます。どうも、巣作りの最中のようで鳴き声を録音できるかもしれません。
 ササゴイの行った先は、順路の真上にあるマツの木です。マツの木の上に数個の巣が見え小規模なコロニーになっています。下では、結婚式の記念写真を撮る集団をはじめ、とても人通りの多い場所ですが、録音機を置いておきました。
 YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。


 
 このシーンは、マツの枝にとまっている1羽のところにもう1羽が飛んできて鳴いたところです。やって来た1羽が「キュ」と鳴き、すでにいた1羽が「ゴア」という声を出して応えました。小刻みに鳴いているのは雛の声でしょう。ところで、ひょっとするとササゴイは雄と雌とでは鳴き声が違うのかもしれません。
 ササゴイの雌雄の違いがわかりにくいので確認のしようがありませんが、ていねいに観察すればわかりそう。と思ったところで、閉園のアナウンスが聞こえてきました。確認は、次の機会になりました。

2013年5月20日 (月)

鳴き合う幼鳥たち-シジュウカラ

 先週から六義園では、幼鳥の初認が続いています。16日はスズメ、18日がシジュウカラです。ムクドリ、ヒヨドリはまだですが、これらの幼鳥が加わると、六義園の森はとてもにぎやかになります。
 シジュウカラの幼鳥の鳴き合う声を録音してみました。YAMAHA W24で録音、少しボリュームを上げ、低音ノイズを軽減し、ノイズリダクションを軽くかけています。

  シジュウカラの幼鳥の鳴き合う声は、ささやくように聞こえて、とても優しげです。しかし、声紋を見るととても複雑な声であることがわかります。Audition3.0で制作、ステレオをモノラルにしています。横軸は2.5秒、縦軸の上限は24,000Hzです。
Greattitsepetel

 基音らしい音量の大きな音域は、6,000Hzと8,000Hzの部分に波状に2本あります。そして、下は3,000Hzにかけて、上は20,000Hzを超えるところまで倍音があります。ですから、グラフの時間軸(横軸)を短縮して見ると、細い線が下から上までぎっしりと並んでいるように見えます。上の図のように時間軸を伸ばして見ると、一つひとつの音が波状にミルフィーユのように重なっていることがわかります。基音のある8,000Hzと言ったら、もっとも高い声で鳴くと言われているヤブサメのさえずりの音域なのですから、かなり高い声で鳴いていることになります。私には、近くで鳴いてくれないと聞こえない高音域です。
 低い音は遠くまで届くけれど、障害物があると聞こえない。高い音は遠くまで届かないけれど、隙間を通り抜けて聞こえるという音の特性があります。葉の茂った森のなかで聞こえる高音から、遠くまで聞こえる低音まで幅広い音域で鳴くことで、親子や兄弟とのコミュニケーションをとっていることになります。
 いわば、この音域で鳴くことで生き延びてきたわけで、命をかけて収得した鳴き声と言えるのではないでしょうか。

2013年5月19日 (日)

六義園からのスカイツリー

 昨日に続いて、創業1周年を迎えようとしているスカイツリーネタです。
 六義園からスカイツリーが見えるポイントがあります。現在、見つかっているのは2ヶ所です。まず、思いつくのが藤代峠、文京区でもっとも標高の高いポイントとも言われていますから見えるのは納得できます。ただし、てっぺんのほうだけです。
 六義園のボランティアガイドの方から、もう1ヶ所見えるところを教えてもらいました。吹上茶屋の北にある嶺花岡です。ここも、我が家のベランダと同じようにわずか数mの範囲でしかありません。木の木の間の抜けているところを探して、見なくてはなりません。それも写真のようにてっぺんだけです。ちょっとしたクイズになります。六義園にお出でのせつには、探してみてください。
Skytreerikugien130519

 私が六義園に通い始めた1980年代には、庭門から入って芝生を見渡せるところを歩くと池袋にあるサンシャインのビルが見えました。それが、今では木が生長して見えなくなりました。同じように、このスカイツリーもいつまで見えることでしょう。

2013年5月18日 (土)

我が家のスカイツリー

 スカイツリーは、もうすぐ創業1周年だそうです。なんと本日、家からスカイツリーが見えることを発見いたしました。お恥ずかしい話ですが、1年間以上、スカイツリーが見えるのに気がつかなかったことになります。

Skytree130518

 写真のとおりですから、無理もありません。このスカイツリーの頭の部分が見えるのは、ベランダのわずか1mくらいの範囲です。おそらく、2階下のベランダではもう見えないでしょう。

2013年5月17日 (金)

ガビチョウの本歌-WINGにて

 本日は、日野市にある日本野鳥の会の鳥と緑の日野センター(WING)にて会議でした。以前に記事にした「野鳥による生物多様性に富んだ森づくり検討委員会」です。久しぶりにテラスに立つと、生い茂った木々にかこまれ、まるで森のなかの別荘にでもいる感じになります。
 その森でいちばん、大きな声で鳴いていたのがガビチョウです。主席研究員のA西さんによると「生息密度が高くなったために、姿をよく見せるようになった」とのこと。たしかに、さかんに鳴きながら飛び交っている姿がよく見えました。
 ということで会議の間、録音機を外に置いておき、ガビチョウのさえずりを録音しました。この個体は、あまり他の鳥の物まねが入っていません。このあたりが、ガビチョウの本歌なのでしょうか。他のところには、今日が初音のホトトギスも入っていました。
 YAMAHA W24で録音。ボリュームはそのまま。低音ノイズの軽減、ノイズリダクションを軽くかけています。



2013年5月16日 (木)

雌雄で鳴き合うのか-トラツグミの謎

 昨日のトラツグミとコノハズクの音源を編集していて気がついたことがあります。
 トラツグミは、低い音と高い音を交互に繰り返して鳴くことがあります。そのため、雄と雌が鳴き合っているとされ、相鳴鳥の異名があります。しかし、この確認はあいまいで、近世検証されていません。そのあたりのところを拙サイトで、言及しておりますので、まずお目通しいただければと思います。下記URLで、鳥声鳥語→「相鳴き鳥の謎」へ。
  http://www.birdcafe.net/howto/howtoall.htm
 おさらいしておくと、トラツグミの低い音の「ヒュー」がだいたい1800~2000Hz。高めの「チーン」は2,100~2,300Hz、高いものでは4,000Hzを超えているものもあります。そのため、雌雄が鳴き合っている説があるわけです。
 私の経験では、関西では低い音のみが多く、関東では交互に鳴くことがあるが、それも多くないという傾向があります。
 今回、コノハズクをねらったタイマー録音に、トラツグミがよく入っていました。これを聞くと、高い音も入っている交互鳴きでした。ところが、よく聞くと低い音と高い音が交互にならず、低い音に高い音がかぶっているところがありました。
 YAMAHA W24でタイマー録音。トラツグミの音域のボリュームを上げ、低音のボリュームを下げ、ノイズリダクションをかけています。



 低い声の3声目でかぶっています。それに、交互に鳴くタイミングがバラバラです。この音源を聞く限り、高い音で鳴くものと低い音で鳴くものは、別のトラツグミであることがわかります。アップするために30秒ほど切り出しいます。全体としては声の強弱があり、移動をしていると思いますが、1時間以上あります。そのため、同じようにかぶっているところ、タイミングが合わないところがほかにもあります。
 これが雌雄なのか、音だけですからわかりませんが、雌雄が鳴き合っているのでしたら、この鳴き方では結びつきが弱そうです。

2013年5月15日 (水)

夜の鳥の競演-コノハズクとトラツグミ

 2年前、A部さんのおかげで30年ぶりにコノハズクの声を聞き、はじめて録音に成功しました。そのときの記事です。
  http://syrinxmm.cocolog-nifty.com/syrinx/2010/05/post-e94b.html
 その後、A部さんは周辺各地でコノハズクを探し出し、雌の声の録音や声による個体識別まで試みています。おかげでコノハズクは普通種となり、かなり春早くからさえずり始めることもわかりました。コノハズク=留鳥説もありますから、その傍証ともなりそうです。
 一昨日、一昨年コノハズクを録音した場所にA部さんと再訪しました。ここは、A部さんが、過去の報告書にコノハズクがいたと記録されている情報をたよりに見つけ出した栃木県北部のダム湖です。夕方、ダム湖に着くと、満水の状態です。おかげで森に囲まれた湖となり、とても神秘的で良い感じです。
 日が沈むとほぼ同時に、コノハズクが鳴き始めました。ちょうど、谷間なので声が反響して、これまた神秘的です。方向が定まりませんが、対岸の山の斜面のようです。遠くでも、もう1羽鳴いており少なくとも2羽が鳴き合っています。沈み始めた細い三日月が山陰に浮かんでいるように見えます。風もなく、夜の帷があたりを包み込みます。コノハズクらしい舞台装置が整ったなかに響くコノハズクの声です。鳥をその鳥にとってぴったりの雰囲気のなかで楽しむことこそバードウォッチングの醍醐味だと思う瞬間です。
 その後、タイマー録音を仕掛けたら、トラツグミとの競演が見事に入っていました。夜の鳥たちの命に満ちあふれた音をお楽しみいただければ幸いです。
 YAMAHA W24で録音。ボリュームのアップ、低音ノイズの軽減、ノイスリダクションをかけています。

A部さん、おかげさまでコノハズクに今年も会えました。お礼申し上げます。

2013年5月12日 (日)

ハイガシラハギマシコと思われる鳴き声-粟島

 昨日の記事にしたハイガシラハギマシコと思われる鳥の声を録音しています。1枚目の写真の雌型のほうが鳴いていました。
 録音した場所は、波の打ち寄せる海辺に近いサクラ並木でしたので、ノイズの大きな環境で録音的にはかなり厳しい条件でした。また、鳥の声も小さく、つぶやくように聞こえます。とまっている枝の下まで行って、そっと思い切り腕を伸ばしての録音です。
 PCM-D1で録音、低音ノイズの大幅に軽減、ボリュームのアップ、ノイズリダクションを強くかけています。



 スズメの声に似た「チュウ」という感じの声で、調子を変えて繰り返し鳴いています。鳴き声から、種さらには亜種の特定ができないか検索したのですが、今のところ同じような声を見つけられません。
 昨日、手元にある文献とネットでいろいろ調べて見ましたが、まだ確定に至っていません。おかげで、ハギマシコの分類には変遷があり混乱もあることがわかりました。たとえば、戦前のソビエトの文献ではハギマシコもハイガシラハギマシコも1種として12亜種に分類されていました。また、アメリカの1980年代の図鑑では、ハイガシラハギマシコ、クロハギマシコなどは1種であつかわれています。また、最近の図鑑でも亜種名を書かず、ベーリング海タイプ、沿岸タイプ、内陸タイプというような表記で、羽の色の違いを図示しています。これは、バリエーションが多く亜種として明確に図示しづらいためではと思います。また、アリューシャン列島の亜種をgriseonuchaとして、コモドール島のものをmaximaと分けているのが細かい分類。細分しない分け方では、maximaをgriseonuchaに含み、同じ亜種としている見解もあります。ようするに、まだ分類が確定していない要素があり、解明を困難にしています。
 いずれにしても、確定にはまだまだ時間がかかりそうです。 

2013年5月11日 (土)

ハイガシラハギマシコの亜種か?-粟島

 今回の粟島行きで最後に出たのは、まだ日本産鳥類として認めてられていない鳥でした。
 はじめに見つけたのは雌タイプでした。これは、ハギマシコだと思っていました。その後、見つけた雄タイプのものはハギマシコにしては、黒い、大きい、頭が黄色のはずが白っぽいため?と思い、図鑑で確認しました。持っていた『フィールドガイド日本の野鳥(英語版)』(日本野鳥の会・1982)には該当する鳥はおらず、”Bird of East Asia”(Brazil,M・2009)を見ると、アメリカ大陸に分布しているハイガシラハギマシコに似ていることがわかりました。
 最初に見つけた雌タイプです。

Greycrownedrosyfinch130509

 つぎに見つけた雄タイプです。

Greycrownedrosyfinch130509_2

 家に帰ってから、北アメリカの図鑑や画像検索をしても、なかなかそっくりな鳥を見つけることができません。ハイガシラハギマシコは、北米大陸本土に分布する基亜種(Leucosticte tephrocotis tephrocotis)のほか7亜種、このうち気になるのはアリューシャン列島からカムチャッカに分布するL. t. maximaです。地理的には、maximaの分布域が近いので出現する可能性があります。また、繁殖分布の図示はあるものの越冬地の記述がありませんので、果たして日本海側を通る可能性があるのか不明です。しかし、全体に黒く、とくに喉が黒いこと、近くにいたクロジに比べて頭一つ分くらい大きいこと、”Bird of East Asia”のイラストでは大雨覆羽の羽縁が白く描かれており、同様に白いことからmaximaの可能性が高いと思っています。ただ、イラストでは黄色に描かれている嘴がどちらも黒いことなど、合致しない部分もあります。
 今のところ、ハイガシラハギマシコではないかと思っています。ただ、ハギマシコもハイガシラハギマシコも、亜種が多い上にバリーエーションが多く、そっくりなタイプを見つけるのが難しいのです。とくに、maximaの分布域は辺境の地であり、資料が少なく確定を困難にしていることをご理解ください。
 ハイガシラハギマシコは、『日本鳥類目録第7版』(日本鳥学会・2012)には記載されていません。また、ハギマシコの亜種も1つしか記載されていません。ネット検索すると「2011年5月5-8日の山形県飛島で見た、撮影した」というブログがある程度です。また、ハギマシコの別亜種の報告はけっこうあります。そのため、現在飛島にいる日本野鳥の会やまがたのY川さんにおたずねすると「先週も記録されています。私も以前、先週と見ています。」とのこと。いずれにしても、日本海側の離島ではときおり記録されているようです。こうなると、初見でないということで誰も報告せず、いつまでたっても日本産鳥類になれないという不遇な鳥になりそうです。
 

2013年5月10日 (金)

今年も粟島

 昨日まで、新潟県粟島に行っていました。行きの船は猛烈な揺れ、この手の船では最悪でした。船倉は阿鼻叫喚の様相でしたので、デッキで柱にしがみついて鳥を探しました。おかげで、強風の中をゆうゆうと飛んでいくオオグンカンドリが4羽を発見。これからのバードウォッチングを予兆させる出会いでありました。
 粟島は、マヒワの群れに覆われていました。秋に田んぼを歩くと、バッタが次々に飛び立つことがあります。その感じで、マヒワが群れで飛び立っていきます。はじめは、飛び立たせては可愛そうと避けていたのですが、それでは歩くところがなくなってしまうほどです。

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  この群れにアトリのきれいな夏羽も交じっているのですから、うれしい限りです。つぎに多いのは、アオジ。群を作らないだけに、あちこちで顔を出します。オオルリ、キビタキ、コサメビタキなどの夏鳥も多かったですね。冬鳥と夏鳥が交差している粟島の初夏です。
 ただ、今年は寒かったですね。防寒の装備をもういちランク上げるべきでした。それに、風も強く録音的には厳しい条件です。その分、鳥が多いのですから、あきらめはつきます。また、風の強い岬方面はあきらめて、もっぱら山が風をさえぎってくれる畑方面を歩きました。それでも3日間で60種を超えました。
 なかには日本では記録の少ない鳥たち、たとえばシロハラホオジロ、カラアカハラ、マミジロタヒバリ、ツメナガセキレイ、アカガシラサギ、ムギマキ、オジロビタキ、亜種ではハチジョウツグミ、アカハラツバメなどなど。面白かったのは、一昨年と同じ所で同じようにシマゴマがさえずっていたことでしょう。そして、まるで釣り番組の流れのように最後に大物が登場してくれました。詳しくは次回に・・・
 ところで、バードウォッチャーにとっては、とても忙しい粟島ですが、島はとてものどかでした。

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2013年5月 6日 (月)

新訂・北海道野鳥図鑑-ご紹介

 今日のニュースだと北海道では、まだ雪の降っているところがあるとか。でも、7月の北海道に行くと、ちょうど今頃のような新芽の季節となります。その頃に行けば、野鳥の最高の季節を1年に2度楽しめた気分になれます。
 その北海道の野鳥の図鑑として定評のある『北海道野鳥図鑑』が新訂となりました。編著者のK井さんよりいただきましたのでご紹介いたします。

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 新訂というのは、大幅に変わった分類を取り入れたことが、まず大きな改訂です。目や科、学名が新しくなっています。本格的な図鑑としては先秋の変更以来、初めてとなります。また、なんと種として認められたオオムシクイについては、2ページを使って解説されています。当書が論文以外では、もっとも詳しいこの鳥の記載となります。
 私自身、図鑑の仕事に関わったことがありますが、なかなか改訂するまでに至りません。新知見も含めて書き直したいと思っても、企画が通らないことが多いです。地方の図鑑でありながら改訂ができるのはとてもうらやましいかぎりです。
 今後とも、この図鑑が改訂されていくことが望まれます。本州と北海道では声が違う鳥がいますので、本州の音源では役に立たないことがあります。ですから、これからは筆者の方々でぜひ録音していただき、次回は鳥の声のCDを付けていただければと思います。
 いずれにしても、この図鑑を持って北海道のバードウォッチングをじっくりと楽しむ機会を作りたいものです。

2013年5月 5日 (日)

昼間のイエコウモリ-六義園

 連休は、どこに行っても混むということで六義園に通っています。今日もキビタキのさえずりがよく聞かれました。まだ、シロハラとアカハラもいて、ときどきさえずりが聞こえてきます。ところが、昼頃になると人をかき分けて歩かないとならないほど混んできます。さすが天気の良い連休です。
 いつもキビタキが出るところで待っていると、コウモリが飛んできました。数日前、常連さんも昼間飛んでいるところの撮影に成功しています。見ていると、大きなイチョウの木の幹にべったりととまり、また飛んではとまるという行動を繰り返しています。そして、6mくらいの高さの1ヶ所にとまると、そこが気に入ったのかじっとしています。
 しかし、ちょっと目を離すとどこにいるか解らないほど、コウモリの灰色がかった褐色とイチョウの木肌の色が良く似ています。その上、コウモリの大きさは数cmしかなく、木肌のゴツゴツした大きさとそうかわりません。それだけに、この保護色に自信があるのかここで眠ることにしたようです。頭を木肌の隙間に入れて、じっとしています。3時間後、写真を撮りに行ったのですが同じ所に同じ姿勢でいました。熟睡しているようです。

Bat130505
 この場所も、順路に面していますので人通りが多いところです。ときに、50人ほどの団体が来てにぎやかです。また、このコウモリがとまっている1mくらい上にはラウンドスピーカーがあって、ときどき大音量でアナウンスが流れます。それでも、寝てられるということは、コウモリの聞くことのできる音域が高く、低い人声は気にならないのかもしれません。
 ところで、このコウモリは、大きさと耳の形、環境からイエコウモリ(アブラコウモリ)だと思います。専門外ですので、もし違っていたらフォローをお願いいたします。  

2013年5月 4日 (土)

ハシブトガラスの営巣調査-六義園

 昨日は、六義園サービスセンターに頼まれて、園内のハシブトガラスの巣探しをしました。ときおり、聞こえるキビタキやセンダイムシクイのさえずりに心引かれるものがありますが、心を鬼にしての巣探しでした。
 実は、六義園では近所からのクレームによりすでに4個の巣を落としています。「早く落としても、また作り直しをする」と説得してもダメだったそうで、カラスに対しても悪感情はまだ極まったままですね。
 過去に見つけていた巣(隣接する児童公園も含む)と、昨日見つけた巣、そして落とした巣を合計すると、12個となりました。過去14年間の調査で、六義園におけるハシブトガラスの巣の数は多い年で24個です。去年は、最少で10個でした。多い時に比べれば、減ったものの多少、増えたということになります。
 それにしても、1970年代の都心ではおよそ六義園2個分が1つのなわばりでした。現在の栃木県日光東照宮周辺では、巣と巣と距離は1kmは離れています。六義園およそ3個分です。ですから、都心の緑地ではあいかわらず高密度で、繁殖が行われていることになります。
 面白いのは、落とされた巣のなわばりの持ち主と現在営巣中の番が、ケンカをし続けていることです。昨日も朝から1日鳴き合い続けています。一昨日は、4羽が追ったり追われたりして、ときに2羽が地面で絡み合うなど、壮絶なバトルが繰り広げられました。落とされたことで、なわばりの均衡が崩れたためだと思いますが、どういう理由なのかわかりません。巣を作り直ししようとしたら、営巣中の番が嫌ってのケンカなのでしょうか。それにしてもうるさいのですから、巣を落とせとクレームを寄せた方もこの騒音に見舞われていることと思います。
 写真は1羽が1羽を地面に押し倒しところです。このバトルは、カメラマンが数人いましたが、目の前で行われました。ただ、もう夕方で暗くてブレブレの写真しかとれませんでした。あしからず、お許しください。

Largebilledcrowbattle130513

2013年5月 2日 (木)

キビタキの日-六義園

 先日、六義園のセンサス調査を行いました。K藤さんとK久保さんが同行。入園すると、いきなり聞こえてきたのはキビタキのさえずりでした。ところが、いくら姿を探しても見えません。キビタキとしては、木の上のほうにいます。葉の良く茂ったクスノキやスダジイに中にいるのですから、見つけるに苦労をします。それでも、がんばってきれいな雄のキビタキの姿を見つけ出し、一同大満足でした。
 その後、雄5羽と雌1羽を確認、別の方が別のところでもう雄1羽を見ていましたので、ここまで7羽のキビタキがいたことになります。さらに、午後に黒い部分が灰色に見えるタイプが出現して、この日の六義園には少なくとも8羽のキビタキがいたことなります。
 過去の最多数は1989年10月22日の5羽です。これは、秋の渡りでした。春の渡りでは、1986年5月11日の3羽が最多数ですから、いずれにしても新記録となります。
 最初に出会ったキビタキのさえずりです。姿も声もきれいな雄でした。PCM-D50で録音、ボリュームの調整、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。

2013年5月 1日 (水)

『朝の小鳥』6月放送分スタジオ収録-三宅島の鳥

  本日は、文化放送にて『朝の小鳥』の6月放送分のスタジオ収録でした。6月のテーマは三宅島の鳥たちです。
 三宅島には、3回行っています。2回は噴火以降、録音のための来訪でした。三宅島は、鳥が多い上に鳥が近い日本有数の探鳥地だと思います。夜明け前から起きてアオバズクからアカコッコになる瞬間を録音し、夕食後も出かけてアオバズクが鳴き始めるのを録るという1日でした。おかげで、とても疲れました。帰りの船でさえ、カツオドリやオーストンウミツバメが出るのですから、寝ていられません。帰ってきてからは、数日間ぐったりしていた思い出があります。
  それだけにたくさん録音できたのですが、番組に使えるのは思ったほど多くないことに気がつきました。というのは、たくさんの鳥が鳴いて、にぎやか過ぎるのです。コーラス状態で、1種類の鳥だけが鳴いている音源が少ないのです。番組では、1種類の鳥が鳴いているようすが、はっきり解るような音源を使い、その鳥の習性や由来を解説したいのです。今、説明している鳥の声がどれだか解らなくては困るのです。そうなると、たくさん録音できても、使える音は一部となってしまいました。鳥が多くて困るという、なんとも贅沢な悩みです。
 番組では、なるべく野鳥の声がかぶっていないところを使っていますが、それでもウグイスやホトトギスは良く鳴いてくれます。このあたりのわかりやすい鳥の声は、勘弁していただければと思います。
 スタジオ収録中にディレクターのS木さんから「湿度を感じる音ですね」と言われてました。同じことを奄美大島の鳥たちのときにも言われました。音から、空気の雰囲気が伝わるなんて、なんと素晴らしことです。ただ鳥の声を録るだけではなく、風景もとらえた音を録れればと思っているのですが、なかなか思うようには行きません。ひとつに、鳥を録るのにやっきになるあまり、周りの音まで気が回らないというのが正直なところです。今回、野鳥が多くて困るくらいの三宅島でこそ、風景までとらえることができたのかもしれません。

2013年6月放送予定
  2日  ツツドリ
   9日 ホオジロ
 16日 モスケミソサザイ
 23日 アカコッコ
 30日 アオバズク

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