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2013年6月 3日 (月)

伝えることのできない音もある-夜の森の湖

 先週末も栃木県北部のダム湖にコノハズクをたずねました。今シーズン3回目の来訪です。毎度、A部さんにはご案内のご足労をおかけしています。
 野鳥によっては1度録音すれば、それで満足してしまう場合もあります。しかし、ここで鳴くコノハズクの声のイメージをそのままに録音しようと思っても、どうしても満足できる音にならず、苦労しています。
 ダム湖は、まわりを森に囲まれています。日が暮れていくと水面に映っている森と実際の森の区別が付かなくなり、幻想的な雰囲気に包まれます。真っ白なシカが岸辺に佇んでいそう、あるいは角のいっぱいあるシカが森の中からゆったりと出てくるような雰囲気になります。
 このダム湖は、とても静かです。人工的な音は、ときおり航空機が遠くを通る音だけです。人工的な明かりはダムの常夜灯がありますが、それが見えないところは漆黒の闇に包まれます。そこに身を置くと、不思議な気持ちになります。闇と無音ということは、視覚と聴覚に刺激がありません。そうなると、平衡感覚がなくなり身体が浮いたような不思議な感じになります。力を抜くと幽体離脱をしてしまいそうといったら良いでしょうか。いつの間にか歯を食いしばっていて、あとで歯が痛くなったこともあります。何かに捕まっていないと不安な気持ちになります。
 いつも仲間がいるので怖いという恐怖感はありません。しかし、この不思議な気持ちだけは何度行っても感じます。幻想的な自然の雰囲気と私の言うに言われぬ精神状態のなか、コノハズクの声が木霊しながら聞こえて来るのです。それを、音としてとらえるのはもう無理なのかもしれません。
 野鳥録音をしていると、ときおり記録に残せない自然というのがあるのだと思い知られされます。写真にも音にも残せない自然です。私のつたない文章では、伝えることのできない自然です。ただただ自分自身で感じ、記憶に残すだけの自然体験です。これこそ究極のバードウォッチングかもしれません。
 

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