ちょっと間が空きましたが、六義園異変の続きです。
六義園で、翼の一部が白いハシブトガラスがいるのに気がつきました。
飛ぶと初列風切羽の身体に近い羽が斑に白く、その上の雨覆いの一部も白いのです。翼に大きな白い斑があるように見えます。もう少し先まで白ければ、カササギの翼のパターンに似ています。さらに、左翼の6枚目の羽軸がわずかに波打っているので、奇形も入っているもしれません。
同じカラスです。翼を閉じると、これらの羽は隠れて一部分しか見えません。ただ、カラスは黒いので少しでも白い部分があるのは目立ちます。
実はこのカラスがいるあたりで、去年も翼の色のおかしなハシブトガラスを見ています。このカラスは、初列風切羽に淡色の縞模様がありました。前述のカラスほど、白さは顕著でなく、飛んだときにはこのパターンは目立ちませんでした(2012年11月17日に撮影)。
ただ、今回のカラスと去年にカラスがいた場所は、ほとんど同じエリアです。この間、大規模な換羽はないと思います。どちらも成鳥ですから、親子の可能性もありません。色素異常のカラスが多いため、偶然同じ所にいるということでしょうか。
なお、六義園では去年2月に頭の白いムクドリも見つかっています。これは、拙ブログで記事にしています。
私は、六義園で1984年以来、30年近くバードウォッチングをしています。さらに、1999年にカラスのシンポジウムに関わって以来、カラス類はていねいに観察しています。しかし、ムクドリもハシブトガラスも六義園で部分白化の鳥を見た記憶がありません。
これらの現象が、福島原発事故に由来する放射能の影響と断定することはできません。しかし、放射能の影響が野鳥の色素異常、とくに部分白化として出ることはチェルノブイリ事故の影響で報告されています。
私は、チェルノブイリ原発事故の後にロシア(当時はソ連)に行っています。1986年、事故から2年後です。モスクワと北に位置するのサンクトペテルブルク(当時はレニングラード)へ行きました。サンクトペテルブルグの街の中にあったミヤマガラスのコロニーにいた数羽が翼に白い部分がありました。案内してくれた鳥類学者の方が、それを見て「チェルノブイリ以後、ミヤマガラスの部分白化の個体が増えた。放射能の影響だと思う」と言っていたのを今でも覚えています。
なお、六義園内では簡易な線量計でときおり計測していますが、正常の範囲内です。比較的線量の高い千葉県西部まで直線で20km。ハシブトガラスの行動範囲を考えると、移動は充分に可能です。このようなエリアで生まれたのでしょうか。
いずれにしても、色素異常の野鳥を発見したら記録しておくことをお勧めします。そして今、身近な野鳥をよく見ておくことが重要になってきたと思います。
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