ツミの子育てを見る-情報管理
今回のツミの子育ては、とても観察しづらいロケーションでした。午前中いっぱい観察して何の動きがないので、これは放棄されたかと思って帰ると、午後に来た仲間が巣に入るのが見えたと報告してくれます。もちろん卵の数は不明、雛が何羽孵ったのか確認するまで4,5人が交代で2日かかりました。それだけに、写真撮影も難しいポジションでした。巣が見えるところは、わずか4ヶ所。それぞれ1m四方しかありません。この内、1ヶ所は2ヶ月半たった後半には、木の葉が生長して見えにくくなってしまいました。
こんな条件の悪いところですし、ハシブトガラスが多い公園でどうせ子育ては成功しないだろう思い、最初は情報管理は考えませんでした。しかし、三鷹のS木さんちのツミは野鳥カメラマンに囲まれていましたし、各地で報告されている野鳥カメラマンの悪行や惨状を見る限り、気を使って使いすぎることはないと思いました。
何しろツミの巣がみえるところは、わずかしかありません。もし、5、6人のカメラマンが来たら場所取りになるでしょう。遠いだけに長い望遠レンズが必要です。そうなると三脚に設置しなければ撮れません。そうすれば長時間いすわり、場所ふさぎになってしまう可能性もあります(注:常連さんたちは三脚を使わない手持ちでの撮影です)。ということで、情報をクローズすることにしました。
今回、ブログの記事を書くにあたりツミの生殖状況を調べたり、都心への進出をネットで探しました。ツミの情報はたいへん多いのに驚きました。しかし、地名が出ている情報は少なく、もはやツミクラスの情報はクローズにするのが当たり前になった感があります。
問題は、ご近所の鳥仲間にどこまで情報を流すかでした。これも、近くにくれば見つけてしまう可能性があり、自分で見つけた情報ということで他へ伝えてしまうかもしれません。中にはブログを運営している方もいますし、Facebookに登録している人もいます。発見の喜びを発表するには、いずれもかっこうの媒体です。そのため、出会えば「他に情報を漏らさないで」と断って、場所と状況を教えてることにしました。結果、2ヶ月半の期間で常連さんにはすべて伝わり、フリの方1人に情報が伝わったことになります。大きな騒ぎやトラブルに見舞われることなく、無事に巣立ちまで見守ることができたのは、関係した皆さんの協力のたまものです。また、これだけ神経質にならければ、野鳥たちの生活も守ることができない時代になったと言えます。
今回のツミの子育てを通して、自然の厳しさを目の当たりにするとともに、命をはぐくむのも自然であることを実感いたしました。このツミの家族から、科学的な知見ばかりでなく、野生生物の生きざまから見守る仲間の心情まで、いろいろ学ぶことができたと思います。いずれにしても、2ヶ月半楽しませてくれたツミに感謝です。
写真は、巣立った幼鳥です。あの綿毛に包まれたぽわぽわの雛がわずか1ヶ月半で、こんな立派な猛禽に成長するのですから感動です。
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