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2013年9月

2013年9月30日 (月)

東西カラス団扇比べ-熊野神社と大国玉神社

 先日、カラス仲間のHさんから紀州熊野神社のカラス団扇をおみやげに、いただきました。なんでも、先日の台風のさなか、ツアーで紀州に行ったそうです。カラスの御利益のおかげか、熊野神社に行った際は台風一過の良い天気に恵まれたとか。
 私は、東京府中にある大国魂神社のカラス団扇を持っています。自分で買ったものはボロボロになってしまいましたが、I井さんにいただいものはまだ状態が良く、比べて写真を撮ってみました。右が紀州熊野神社、左が大国玉神社のものです。

Crowutiwa130930
 どちらも飛びながら口を開けている、たぶん鳴いているところを描いているという共通点がありますが、それ以外は意識して無理に違えているように思えてなりません。たとえば、熊野神社の方はどちらかと言ったら嘴の太さはハシブトガラスのようです。大国玉神社の方は、嘴が細いのでハシボソガラスのように見えます。さらに、団扇の地の色が白と黒、形は四角と丸と、替えられるところはあえて違えているように見えませんか。この微妙な違いが、相手を意識しているのではないかと推測してしまいます。
 歴史的には熊野神社のほうが先なのですから、デザインは単純です。大国玉神社は違いを出すため黒地にせざるをえず、そのためカラスのまわりを白く縁取りをしています。おかげで、とても粋なデザインになっています。
 ちなみに、熊野神社はいつでも売っています。大国玉神社は7月20日のすもも祭り、1日だけの販売です。この販売戦略も後発の差別化なのでしょうか。
 Hさん、ありがとうございました。

2013年9月26日 (木)

予告・鳥声クイズ・イントロどん!-打ち合わせ

 秋はイベントがメジロ押しです。なかでもバードウォッチャーにとって、楽しみなのは千葉県我孫子市で開催されるジャパンバードフェステバル2013です。今まで12回目開催され、私は皆勤しています。
 今年は、イベントに関わり出演もあります。今日は、そのための打ち合わせをしてきました。TBSの喫茶店で、ラジオに出演したばかりの♪鳥くんと取り仕切っているY口さんとお会いしました。
 企画は、なんと鳥の声のイントロクイズ、題して「鳥声クイズ・イントロどん!」です。鳥の声を流し、回答者が競争で答えるやつです。司会は♪鳥くん、出演は、鳥の博物館学芸員の小田谷嘉弥さん、日本野鳥の会東京幹事の石亀明さん、Hobby's Worldの續ユキ子さん、そして私で競います。凄いメンツでしょ。私はできても当たり前と思われしまうし、できなければかっこ悪いし微妙な立場です。正直、恥をかきたくないので辞退したいのですが、断れば自信がないからと思われるのもなんだしと、千々に心が揺れ動いての打ち合わせです。小道具はすでに手配済み、課題の鳥の声もできているそうですから、いろいろ探りを入れてみました。ご安心ください。♪鳥くんの口は、堅くヒントもくれませんでした。
 いずれにしても業界初の試み、どうなることやら楽しみです。当日は、どうぞ皆さんの応援をお願いします。
ジャパンバードフェステバルのURLです。
http://www.birdfesta.net/
鳥声クイズ・イントロどん!URLです。
http://www.birdfesta.net/jbf/event_list.html#stage_introdon

2013年9月25日 (水)

訃報-高田勝さん

 北海道の高田勝さんが、お亡くなったという情報をFacebookの情報で知りました。
 朝日新聞のデジタル版にも載っていました。
 http://www.asahi.com/area/hokkaido/articles/HOK201309240007.html
 高田さんは、1960年代の日本野鳥の会東京支部を支えた若者の一人。享年68歳とのこと、私が高校生の頃にずんぶんたよりになる大人に見えたのですが、この年になると同年代になっていること気がつきました。
 その後、高田さんは根室に風露荘という民宿を建てます。野鳥の宝庫・道東に行って、風露荘に泊まるというのが当時のバードウォッチャーのあこがれでした。往年の高野伸二さん、蒲谷鶴彦さん、薮内正幸さんの定宿としても有名で、運が良ければこれらの有名人と同宿できたのです。私も数回お世話になり、はじめてニシンの刺身をご馳走になったのを覚えています。
 最後に泊まったときは、調査で大黒島に行っているとのことで、お会いすることができず。ただ、高田さんのお母さんがいらして、いろいろお話しをうかがうことができました。お母さんもバードウォッチャーで「息子さんの影響ですか?」と聞いたら「私の方が先」とのこと。高田さんの鳥好きは母親譲りであったのです。高田さんの野鳥を見る目、自然へのまなざしが確かなのは母親の影響があったのかと、高田さんの秘密を垣間見た思いでした。
 高田さんは、道東の自然を紹介するエッセイを発表し『ニムオロ原野の片隅から』(1979年・福音館書店 )は、各界から高い評価を受けました。鳥業界から広く世間一般に情報を発信する数少ない一人となります。個人的なことを言えば、野鳥に関する文章で食べて行けそうと、私が思ったのは高田さんの活動があってからこそ。私が、今こうして活動しているのも少なからず高田さんのおかげです。
 高田勝さんのご冥福を心よりお祈りいたします。

2013年9月22日 (日)

六義園の昔の風景-ガラススライド

 ネットオークションで、ときどき思わぬ珍品を手に入れることができます。「ガラス板スライド 六義園 明治期」と言うタイトルで出品されていたのは、戦前の六義園が映し出されたガラス製のスライドでした。今はプロジェクターですが、私の子どもの頃は幻灯機と言っていました。メディアはフィルム(セルロイド製か)で、それ以前にガラス製であったことを今回知りました。
 このガラススライドは、厚い紙の台紙に挟まれたもので、台紙の大きさは82×95mmでほぼ正方形、スライド部分の大きさは24×72mmとかなり横長です。
 台紙には「RUKUGIEN GARDEN(BARON IWASAKI VILLA)、COPYRIGHT BY KOKUSAI BUNKA SHIKOKAI,TOKYO、MADE IN JAPAN 」と書かれています。国際文化振興会は国際交流基金の前身だそうで、KOKUSAI BUNKA SHIKOKAIとglassslideで検索したら、Magic Lantern Slides Collectionという外国のWebサイトが見つかりました。
 http://digicoll.manoa.hawaii.edu/lanternslides/index.php
 このサイトによると、国際文化振興会(当時)が1930年代に日本を紹介するためスライド1,500点を制作し世界の関係機関に配布したとあり、その一部であることがわかりました。ですから、オークション出品者の明治期は誤りで昭和10年頃、ちょうど日本野鳥の会が創立されて時代のものです。
 また、このサイトのデータベースによると、撮影は 1935年。スライドのサイズは 8.3 cm × 10.1 cmとなっていて、現物の8.2cm×9.5cmとは微妙に数値が異なり、別バージョンがあった可能性があります。このほか、地名は東京本郷区富士前町と昔の地名です。また敷地面積は23エイカー(=113,288㎡)と現在の87,809㎡より広く、これは現在の六義公園と六義園競技場も岩崎家の敷地に含まれていたからです。
 岩崎家が六義園を購入したのは明治1(1868)年、そして70年後の昭和13(1938)年に東京市(当時)に寄贈しています。ですから、写真が撮られた1935年当時は岩崎家のもので台紙の記述と符合します。
 このガラススライドをライドボックスに載せ、下からライティングをして撮って見ました。

Glassslide1

 六義園の入り口近くの風景です。主題となっている大きなクロマツは今はありません。左の遠景に大きな灯籠、中之島へ渡る橋が写っていて、これは今も残っています。
 比較のために、今日のほぼ同じ位置で撮影した六義園の風景です。

Rikugien130922

  今でもクロマツがありますが、小さいです。橋はわかりますが、灯籠は手前のマツが生長して陰になっています。また、芝生部分が今のほうが狭いですね。現在の売店のある広場くらいまで芝生でした。後ろのスダジイやクスも今では、かなり大きく成長していることもわかります。
 おそらく、今日も六義園では何千枚もデジタル写真が撮られていることと思います。しかし、戦前。さらには岩崎家が所有していた頃の写真はほとんど残っていません。私が見たことのある中で、もっとも古い六義園の写真となりました。

2013年9月21日 (土)

太巻と言っても食べ物ではありません

 晩夏を迎えると蚊の猛攻がいちだんと厳しくなります。野鳥録音では、いかに蚊を避けるかが良い音が録れるかどうかの分かれ道となります。1、2ヶ所刺されるならともかく、5,6ヶ所も刺されるとテンションが下がってしまい、録音していてもどうでも良くなってしまうからです。
 日光市内のコメリで「金鳥の蚊取り線香、太巻」を見つけました。太さは普通の蚊取り線香の約2倍、「広い場所に最適」「野外使用に最適」のうたい文句がパッケージに踊っています。考えてみれば本来、蚊取り線香は家の中で使うもの、ある程度閉鎖された空間でないと拡散してしまい効果は薄くなります。そのため、野外では雨上がりなどで蚊の多い時には、蚊取り線香の先端と中心に火を付けて2本炊きという裏技を使っています。太巻き1本で、それと同じ効果が期待できます。
 取り出してみると普通の蚊取り線香は緑色をしていますが、太巻きは褐色です。太さと良い、色と良い、なんだか強力そうです。
 値段は10巻で650円、普通のタイプが300円代で売っているのですから、分量の多い分、値段も約倍です。効果があれば、数100円のことですから損はありません。

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  本日、六義園で試してみました。少なくとも午前9時から10時30分までの1時間半、一度も蚊に刺されないで済みました。

2013年9月20日 (金)

秋の大潮-三番瀬

 昨夜は、中秋の名月。干潟は秋の大潮、春と秋の大潮に合わせてシギチドリの渡りがあるのは、なんとも不思議なことです。ということで、ふなばし三番瀬海浜公園に行きました。K藤さん、K久保さん、月之座さんが行きがかり上、同行してくれました。
 もくろみでは午前10時前に着けば引き始めてでちょうど良いと思ったのですが、着いてみるともうほとんど干潟が出ている感じです。見ていると、それでもまだ引き続け干潟が広がっていきます。さすが秋の大潮です。
 それだけに鳥も干潟全体に散っていて、的が絞りにくい状態です。ハマシギとミユビシギの群れは、あちこちにいて可愛い姿を楽しませてくれました。シロチドリ、ダイゼン、オバシギ、オオソリハシシギ、ソリハシシギはじっくりと観察することができました。ミヤコドリは姿が見えなかったのですが、潮が満ちて沖のカキ礁が水没すると手前にやって来てくれました。その数40羽ほど、かつての珍鳥は今年も楽しませてくれます。
 録音したのは、オオソリハシシギの鳴き合う声です。なかなか聞くことはもちろん、録音することができない声です。今日は、波が静かで遠くで鳴いても加工すれば聞くことができるレベルまで加工できました。PCM-D1で録音、ボリュームの増幅、1,500Hz以下のノイズの軽減、ノイズリダクションをかけています。
「bartailed_godwit130920.mp3」をダウンロード

2013年9月18日 (水)

オヤマボクチの花-きすげ平

  以前、記事にしたオヤマボクチの花が咲いたか見に行きました。
 台風一過のきすげ平は抜けるような青空、雲一つありません。その青空をノスリが滑るように飛んでいきます。眼下には関東平野が広がり、もう少しで太平洋が見えそうです。
 職員の方たちが、台風の被害を見回っていました。聞いてみると、雨はたくさん降ったのですが、目立った被害はなかったとのこと。安心して遊歩道を歩きました。いつもは水が流れていないところで流れが出ていたり、斜面から水が流れ出ていたり、雨がそうとう降ったことがわかります。
 鳥は、ときどきカケスの声が聞こえてくるのが秋らしいですね。まだ、チョウがたくさんいて、キベリタテハ、ミドリヒョウモン、アカタテハ、ミスジチョウ、ヒカゲチョウの仲間、セセリの仲間です。
  お目当てのオヤマボクチは、ちょうど見頃でした。写真は、以前紹介したものと同じ株です。台風のため、斜面にあるこの株はかしいでしまっていましたが、他の株は倒れることなく健在でした。

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2013年9月14日 (土)

日本ワイルドライフアート協会2013-山脇ギャラリー

 カミさんが関わり友人知人の多い日本ワイルドライフアート協会の展示会に、行ってきました。
 嵐の前の蒸し暑さで、少し頭がぼーっとしている中での来訪です。おかげで細かいところを見るという監修意欲はありませんので、皆さんの作品を楽しませていただきました。毎度、お邪魔しているだけに常連さんたちの作品は、作風と題材でだいたい解るようになりました。好きなものを好きなように描く、その喜びに満ちた作品ばかりです。野鳥と言えば写真などデジタルの機材を介しての表現に対し、アナログで表現する温かみも感じます。野生の生き物たちを表現する楽しみというのも、もっと普及して良いのではと感じました。
 市ヶ谷駅のすぐそばです。地下鉄ならば、直結しています。ご来訪いただければ幸いです。

Wildlifeart20131

 
期日:2013年9月11日(水曜日)~18日(水曜日)
   ただし、休日の15日(日曜日)、16日(月曜日)はお休みです。
時間:午前11時~午後6時
   最終日(18日)は午後2時終了です。
場所:山脇ギャラリー
   〒102-0074 東京都千代田区九段南4-8-21
   電話:03-3264-4027
   JR市ヶ谷駅より徒歩1分、三菱東京UFJ銀行の隣、地下鉄(南北線、有楽町線、都営新宿線)市ヶ谷駅A2出口に直結しています。
   入場無料です。
日本ワイルドライフアート協会のURLです。
 http://www.jawlas.jp/exhibition/index.html

2013年9月13日 (金)

SONYウワサの新機種-PCM-D100

 メモリー録音の新機種のウワサが、ネット上を駆け巡っています。2005年にSONY最初のメモリ録音機となるPCM-D1を発売したのをかわきりに、2007年にPCM-D50、2009年にPCM-M10とほぼ2年ごとに新機種を発表してきました。ところが、ここ4年間は新機種の発表がなく、そろそろではないかというのがウワサの元です。
 現状、SONYから正式なプレスリリースはありません。ただ、ドイツ・ベルリンで9月6日に開催された国際コンシューマエレクトロニクス展「IFA 2013」に新機種が出ているという記事と写真を見つけました。PCM-D100です。
   http://av.watch.impress.co.jp/docs/news/20130907_614483.html
 中国のサイトですが、今のところいちばん写真が多い。
 http://www.leiphone.com/sony-d100.html
 写真を見る限り、PCM-D50に良く似ています。PCM-D100をキーワードに検索するといろいろな情報が錯綜していて、希望的なスペックなのか、本当の機能なのか、解らなくなります。あくまでも、ウワサの範囲内での情報として以下にまとめました。
 PCM-D1、PCM-D50の後継機としての位置づけ、96kHz/24bitのPCM録音に加え、DSD 2.8MHzの録音も可能、単3電池4本で駆動、予想価格は80,000円程度。信頼できる情報をつなぎ合わせてもここまで。ガセったら、ごめんなさい。

2013年9月12日 (木)

カミさんの録音-尾瀬のコウモリ

 私が名古屋に行っている間、カミさんは鬼のいぬ間とばかり尾瀬に行き、至仏山に登ってきました。泊まりは鳩待山荘。夜寝ていると外で何か気配がするので、録音機を窓の外に置いて録音してくれました。
 録音機はYAMAHA C24、48kHz/16bitで録音。午後10時からおよそ2時間45分、録音されていました。窓の外は、ちょうど従業員の車がおいてあるような空き地です。音源を波形で表示させると、たくさん音があるのがわかります。それも短い音の連続です。しかし、聞いてみると聞こえません。声紋表示してみると、なんと音は10,000Hz以上にあり上限の22,000Hzで途切れています。
 図は、左右が時間で60秒、天地が音の高さで0~22,000Hzです。

Batspectal130910

 外の気配はコウモリでした。録音していた2時間45分、ほぼこの1分間と同じ頻度で、くまなく鳴いていました。すごく近いので、ときどきリミッターが効いていることもあるほどです。当然のことながら、この音を聞くことができません。増幅させてボリュームを上げると「ビュ、ビュ」と音のなかの低い要素がかろうじて聞こえます。ブログにアップするにはmp3に変換しなくてはなりませんし、wavファイルとしてもノートパソコンに付いているスピーカー程度では残念ながら聞くことができない音です。山のコウモリですから、いろいろ可能性がありますが、私の知識では種類の特定ができませんのでご了承ください。
 ところで聞こえる音がないか探してみると、コウモリの羽音が入っていました。羽が生えていないのに羽音はおかしいですね。正しくは翼音でしょうか。アップした音源は、翼音部分を切り出しフェードインとフェードアウトをかけただけ、無加工です。

「bat130910.mp3」をダウンロード

 いかがでしょうか。小鳥の羽音が「ブルル」と軽やかに聞こえるに対して、「パサパサ」という感じに聞こえます。皮と羽毛の違いがわかるような気がします。

2013年9月11日 (水)

念願の藤前干潟来訪

 シギやチドリの渡りの季節です。この季節、名古屋で行くべきところは藤前干潟でしょう。実は、私はまだ訪れたことはなかったのです。
 私が日本鳥類保護連盟に就職したときに、全国の干潟調査というのがありました。おかげで当時、日本でいちばん干潟を見た人になりました。この調査で、愛知県では木曽三川の河口に広がる干潟と干拓地が調査対象となっていました。また、木曽川河口に隣接する弥富干拓地が、日本で初めてソリハシセイタカシギが渡来し日本で初めてセイタカシギが繁殖したことで有名で、弥富も立ち寄りました。ところが、藤前干潟も庄内川河口も無名で訪れることはありませんでした。
  ところが、木曽三川の干拓地が造成され干潟もなくなってしまい藤前干潟が注目をあびるようになり、それとともに名古屋市が増大するゴミの処理のために藤前干潟を埋め立ててゴミ処分場を作る計画が持ち上がり保護運動が行われます。1999年頃だったと思いますが、環境庁(当時)が主催して保護のためのシンポジウムが名古屋市内で行われました。私が、司会を仰せつかり進行役を務めました。シンポジウムは、名古屋市のゴミの担当者から干潟の研究者、鳥については東京大学の樋口広芳教授(当時)と豪華な顔ぶれで、けっこう緊張して司会を進行したのを覚えています。今、思うと名古屋市にゴミ処分場のための埋め立てを断念させた環境庁との手打ちといった意味合いがあったシンポジウムではなかったかと思います。しかし、私は多忙な時期で藤前干潟に行く時間が取れず、とんぼ返りしています。そのため、司会までした藤前干潟に一度は行ってみたいと思っていたのです。
 F井教授に話すとご案内していただけることになり、セミナーのあと車で連れて行っていただきました。大学からカーナビに、あおなみ線の野跡駅を入れて1時間ほどで到着。クロマツの林を抜けると「名古屋市野鳥観察館」と「藤前干潟稲永ビジターセンター」が並んで建っていました。ただ、残念なことにまだ潮が満ちている上に昨日は小潮、あまり干潟は期待できない日でした。施設に置いてある望遠鏡で見ると、堤防の上にはカワウがずらっと並び、見渡せる範囲内だけでミサゴが5羽もいるのです。もし、これで潮が引いたらと思うと残念です。1時間ほどいると対岸の岸辺に少し干潟が出てきて、大型のシギが数羽舞い降りました。腰が白いので、ダイシャクシギだと思います。帰りの時間もあって、今日はここまで。それにしても、まわりを埋立地に囲まれたなかに干潟が忽然と現れてくるには不思議な感じです。東京湾にはない風景の中の干潟です。いずれまた藤前干潟に訪れ、シギやチドリたちの声を録音できればと思います。
 F井教授におかげで懸案だった藤前干潟の来訪が叶い、車の運転から送り迎えまでお世話になりました。重ねてお礼申し上げます。

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 写真は堤防に並んでいるカワウ、なかにダイサギやアオサギもいる。手前の干潟にはウミネコ、ダイシャクシギも写っているはずの方向です。

2013年9月10日 (火)

バナナの山-愛知学園大学早朝セミナー

 今朝は、名古屋市の愛知学園大学の早朝セミナーで、カラスの話をしてきました。早朝ですから、午前7時から始まり8時まで。実際は、挨拶が6時50分に行われ、私の話が延び、質問がありましたので8時30分まで。いずれにしても、早朝には変わりはありません。
 6時30分に会場に行くと、受付にはバナナと牛乳の山。バナナは300人分、牛乳は250人分あるとか。朝ご飯がわりに、参加者に配るためのものです。

Bananas130910

 会場は500人は入ろうかという大講堂、その会場には一人だけポツンと座っている方がすでにいます。また、間の悪いことに雨がぽつぽつと降ってきました。はたして、何人の受講者が来てくれるのか、そしてこのバナナの山があまったらどうするのか、私も責任者の一人として食べなくてはならないのか、などなど不安が頭を過ぎります。
 ところが、開始時間が迫るに従いどんどん人が集まり、用意していた資料が足らなくなってしまい急きょ増刷しなくてはなりませんでした。ということは、300人を越える方が集まってくれたことになります。私の知人は2名だけでしたから、早朝セミナーの愛好者がいかに多いか。また、月1回行われているセミナーの90回目ということで、地元に根付いていることを実感いたしました。
 主催者のF井教授は、アメリカに行ったときにアメリカでは早朝会議やセミナーが多いことに驚き、日本でもやってみようと思い立ったそうです。企画を上げたとき「そんな朝早くから誰も集まらない」と言われたそうです。それでも第1回目でさえ200人を越える受講者が来たとか。教授曰く「朝7時にスケジュールの入っている人はまずいない。講演者も受講者も時間が空いているのだから、面白そうな話題であれば人が来る」とのこと。まさにそのとおりになり、来年の100回に向けて企画を練りに練っていらっしゃいました。
 ところで、名古屋の街の中では、ハシブトガラスだけではなくハシボソガラスも多いのです。大学のある池下や繁華街の栄では、東京に比べればカラスの密度は低いもののハシブトガラスとハシブトガラスが半々くらいでした。芝生が多いとか、草原環境に変わるものがあるようには思えません。ハシボソガラスもの複雑な構造の都市環境に順応していることになります。それとも名古屋特有の何かがあるのでしょうか。
 この週末は、日本鳥学会が名古屋で開かれます。ご参加される方、カラスの種類をご覧いただければ幸いです。

2013年9月 9日 (月)

頭が禿げてきた-部分白化のハシブトガラス

  2週間前、記事にした六義園の部分白化をしたハシブトガラスは、相変わらず同じエリアにいます。しかし、頭の感じが違うのに気がつきました。
 頭の羽毛が、抜け落ちて地肌が見えています。ちょっと、あわれな感じの姿になっています。

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 飛んだ時の白化のパターンは同じなので、記事にした個体に間違いありません。ですから、ここ2週間で頭の羽毛が抜けたことになります。
しばらく見ていると、この部分白化の個体と、行動を共にしているハシブトガラスがいることに気がつきました。番のようで、こちらが身体が大きいので雄と思われます。
 雄の方には、白い部分は見当たりません。しかし、よく見るとこちらも同じように頭の羽毛がありません。

Crow1309072
 なんと、夫婦で頭の羽毛がなくなってしまっています。よく見ると、ブツブツしていますので、換羽してこれから羽毛が生えてくるのかもしれません。ときどき、頭がはげハゲタカのような顔をしたハシブトガラスを見ることがありますが、夫婦でいっしょというのは初めてです。もちろん部分白化と重ねてもありません。
 観察しやすい夫婦なので、今後の経緯がどうなるのか興味津々です。

2013年9月 8日 (日)

秋のシギチドリ-ふなばし三番瀬海浜公園

 今日は、足立自然にふれあう会の三番瀬探鳥会に参加しました。なにしろ、天気が不安定で朝、ぎりぎりまで判断に悩みました。幸いにして雨がパラついたのは数分、曇りときどき薄日が差す天気となりました。もし、晴れたら猛烈に暑くなることを思えば、まずまずの天気です。
 午前9時に集合し干潟へ行くと、ちょうど潮が引き始めシギやチドリが集まり始めていました。ミユビシギ、トウネン、ハマシギなどの小型のシギがまずやって来て、オバシギ、コオバシギ、メダイチドリがついで集まってきました。海からの風に乗って鳴き合う鳥たちの声が聞こえてきます。今日は、風が強めで録音は無理な状態でしたが、秋の干潟の音を堪能いたしました。
 あしだちの会の皆さん、今日はお疲れさまでした。また、ありがとうございました。

Sanbanse130908
 ところで、水鳥たちはそこそこ出現してくれましたが、不思議なのは小鳥が少ないことでした。いつも数羽がいるハクセキレイは1羽、スズメは2羽、ムクドリはゼロ、ついでにハシブトガラスは1羽でした。松林にはシジュウカラかメジロ、アシ原にはセッカなどいても良いのですが出会いませんでした。
 どうも今年の夏は、どこへ行っても小鳥が少ない感じです。去年の9月上旬には、各地でヤマガラが爆発したように見られ話題となりました。しかし、今年はそのような兆候がありません。鳥たちの数と種類の変化、長い間見ていれば見るほど、複雑で予測ができませんね。

2013年9月 7日 (土)

オープンテープを探す-秋葉原

 先日、文化放送の帰りに秋葉原でオープンテープの空リールを探しました。
 訳あってオープンテープの録音機を入手したため、野鳥録音の師・蒲谷鶴彦先生を偲んで同じ録音方法で録音してみたいと思い立ったからです。
 蒲谷先生が野鳥録音を本格的に始められたのは、オープンテープの出現がかなり大きなウエイトを占めています。それまでは、蝋引きのレコードに針を落として録音するしかなかったですから、革命的な録音媒体の出現となります。そのため、先生はオープンテープにこだわっておりました。コレクションの音源は、キャビネットに1,000本近い7号テープが並んでおりました。また、晩年はDATでの録音(D10-ProⅡ)でしたが、保存しておく音はオープンテープにコピーしていましたし、文化放送のスタジオにはオープンテープで音源を持参しておりました。私も先生がこだわったオープンテープで、一度は録音をしてみたいと思っての計画です。
 オープンテープの生テープは、オークションで中古をなんとか入手。しかし、7号であったために、レコーダーにかけられる5号の空リールが必要となりました。通販で買えば100円程度のもの、送料のほうが高くなります。そのため、秋葉原に行けばなんとかなると思ったのですが、甘かったです。
 インターネットで検索すると、秋葉原(地理的には御徒町に近い)で唯一オープンテープを扱っているのはハイファイ堂です。そのため、まず電話をすると5号の空テープは名古屋の本店にあるが秋葉原店にはないとのこと、出鼻をくじかれます。
 去年までは駅前にあったF商会が、あらゆる種類のテープを扱っていたのでなんとかなりました。しかし、F商会がつぶれてしまったのであとはアテがありません。そこでガード下からラジオデパート、ジャンク屋が多い一角など探しまわりましたがありません。唯一見たオープンテープは、ジャンク屋に並んでいたデッキに装着してあった7号わずか1本でした。
 マニアックなお店で、若い店員に「オープンテープを売っているところを知らないか?」と、たずねたところ「それなんですか?」と逆質問。「カセットテープの前にあったむき出しの太いテープだよ」と言ったら「ああ、見たことありませんね」と、言われてしまいました。
 今回、かなり秋葉原をほっつき歩きましたが、オープンテープはもとよりDATも1本も見つけることができませんでした。ただ、もう生産されていないはずの真空管を売っているお店が、まだ2,3軒あるのには驚きました。こういったところが秋葉原の醍醐味なのですが、オープンテープもDATも過去の遺物となりはてたことを実感いたしました。
 これから、送料がかかっても通販かオークションを探すことにします。
 写真は、録音機に付いていた5号の空リール。録音するためには、少なくとももう1本必要となります。売っていれば、たかだか数100円のものです。
Opentape

2013年9月 4日 (水)

『朝の小鳥』スタジオ収録-10月は明治神宮

 本日は、文化放送にて『朝の小鳥』10月放送分のスタジオ収録でした。
 10月のテーマは、明治神宮の森の野鳥たちです。私のバードウォッチングの知識は、日本野鳥の会東京支部の明治神宮探鳥会で培ったものです。当時はろくな入門書も図鑑もない時代ですから幹事の方々の口伝がたより。今思えば、高校生だった私に教えてくれた幹事の方々は、現在の私と同じくらいの年でした。よくまあ生意気な高校生に、親切に教えてくれたものです。
 また当時、同年代だった鳥仲間とは今だ連絡を取り合っています。その一人のF野さんは『朝の小鳥』を録音して鳥の声を勉強していました。「収録構成は、蒲谷兄弟です」の時代です。1960年代のことですから録音機はオープンリール、タイマーなんて気の利いたのものがないので目覚ましをかけて録音したと言っておりました。そのテープを借りて、私も聞いたことを思い出しました。
 そのF野さんも最近、野鳥録音を始めていろいろ質問をしてくるようになりました。彼は、すでに40年以上のキャリアを持つベテランバードウォッチャーですが、野鳥録音を始めたら新たな発見があり、さらにバードウォッチングへの思いが深まったと言っています。バードウォッチングは、知識が増えることを喜びとする人にとっては、いつまでたってもあきることのない世界と言えます。
 そんな思い出の明治神宮の野鳥たちです。
2013年10月放送予定
10月6日 オシドリ
   13日 ヒヨドリ
  20日  カケス
  27日  ウソ

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