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暮れのお忙しいときに恐縮ですが、来週より銀座でカミさんが個展を開きます。
日本画による鳥の絵です。大好きな鳥を題材にして20点ほど展示します。絵画お好きな方、銀座でランチしたい方どうぞお立ち寄りください。
銀座煉瓦画廊(GINZA BRICKS GALLERY)で開催されます。
「鳥 トリ BIRDS 松田蘭子展」
開催日:12月2日(月曜日)~12月8日(日曜日)
開催時間:11:00~19:00(初日は午後1時より、最終日は午後5時まで)
〒104-0061東京都中央区銀座4-13-18
医療ビル2F
銀座煉瓦画廊(歌舞伎座横・木挽町通り)
TEL03-3542-8626
http://ginzarengagarou.com/
アクセス:歌舞伎座のすぐ傍。メトロ日比谷線「東銀座」歌舞伎座出口(3番出口)。歌舞伎座を正面に見て右側の角を入り歌舞伎座の建物に沿って30mほど行くと道の右側にあります。2階です。
この連休は、仲間から伊豆沼と蕪栗沼に誘われていました。ところが、1ヶ月以上にわたる風邪と風邪の後遺症の咳でパスしてしまいました。今頃は、マガンの数万羽の飛び立ちとシジュウカラガンやハクガンを見ているのかと思うと仕事に身が入りません。
ということで、今日は芝川第1調整池に行ってきました。フィールドに出るのは、六義園以外では1ヶ月以上のご無沙汰、芝川も半年ぶりです。土手の草が刈られていたり、土手に生えているクワが大きく成長しているのに驚きました。
もうひとつ、驚いたのはガビチョウの声がヨシ原から聞こえたことです。ガビチョウの生息環境は、笹薮のある林という印象があります。ようするに、林や森の鳥だと思っていました。そういえば、東京港野鳥公園でも鳴いているのを聞いていますから、ササと同じようにヨシが藪になっていればOKというこなのでしょうか。この調子で増えれば将来、ガビチョウの声のしないオオヨシキリのさえずりは録れなくなってしまうかもしれません。
武蔵野線の線路からも遠く道路からも遠い、芝川でももっとも静かなところで日向ぼっこをしていると、聞いたことのない声が聞こえてきました。PCM-D1で録音、ボリュームの増幅、低音ノイズの軽減、ノイズリダクションを強めにかけています。
「nazo13112401.mp3」をダウンロード
「ピッ」と一声鳴いてから「クイクイクイクイ」と続けています。なかほどで、ヒヨドリの声がかぶっていますが、ヒヨドリに似た「ピッ」はこの鳥の声です。声のする方向の水面にはカイツブリが1羽いて、首を伸ばしていました。「ピッ」だけ聞くとカイツブリの警戒の声にも似ています。ただ、遠いので嘴の動きまでわかりませんが、カイツブリかもしれません。また、このカイツブリいる水面までの間にはヨシ原がありますので、ヨシのなかにいるクイナ系の可能性もあります。アリスイもいるところですが、音色が違います。いずれにしても、今まで録音したことも聞いたこともない声です。
これは、自然から出題された「鳥声イントロ・ドン」ですね。
六義園の紅葉が見事になってきました。それと同時に、入園者も多く混んできます。そのため、池のカモとカワセミ、コサギはのんびりとしていますが、森の鳥たちで元気なのはヒヨドリくらいでした。このところスズメも少なく、いると久しぶりと思ってしまいます。今日も1羽を見つけたあと、1羽がやって来ただけでした。
ところで、最初に見つけた1羽がとても複雑な声で鳴き続けていました。人も多いので、録音は無理だろうと思ったのですが、あまりにも一所懸命に鳴くので録音してみました。スズメはサツキの藪のなかで鳴いていましたので、そっと録音機を置いての録音です。鳥との距離は1mもありません。これだけ近ければ混雑した騒音のなかでも、ここまでクリアに録れます。PCM-D50で録音、オバさんの笑い声とオジさんのくしゃみをカット、低音のノイズを軽減し、ノイズリダクションを軽くかけています。
「TreeSparrow131123e.mp3」をダウンロード
録音は3分ほどですが、録音前から鳴いていました。おそらく倍の6分以上は鳴き続けていたと思います。ときどきヒヨドリのような声も入っていますが、スズメです。また、鳴き始めて5分くらいで、もう1羽がやってきました。
このような鳴き方は、春に聞いたことがありますが、秋は記憶にありません。もう1羽がやって来たことから雄が雌を呼ぶ、さえずりの可能性があります。以前、小鳥が秋から冬にもさえずることと意味について記事を書きました。スズメは、春もあまりさえずりのはっきりしない鳥ですが、秋にさえずりをするのかもしれません。
東京・青山にあるNHKカルチャー(文化センター)で講演をいたします。
2013年11月27日(水)と12月11日(水)の2日にかけて2回づつ行います。テーマは、下記のとおり。
第 1回 野鳥を好きなったわけ 11月27日水曜 15:00~16:00
第 2回 渡り鳥の季節 11月27日水曜 16:10~17:10
第 3回 都会の野鳥~実は鳥は増えている 12月11日水曜 15:00~16:00
第 4回 鳥の歌の楽しみ~鳥は鳴くもの聴いて楽しむもの 12月11日水曜 16:10~17:10
なお、この講演はNHKラジオ第2の「カルチャーラジオ」の収録を兼ねています。収録された講演は、12月放送予定。生で私の話をお聞きになりたい方は、会員でなくても受講できます。
詳しくは、下記のURLをご覧ください。
http://www.nhk-cul.co.jp/programs/program_920741.html
六義園のライトアップが明日から始まります。ライトアップ中は、開園時間が午後9時まで延期されます(入園は8時30分まで)。また、いつもは閉まっている駒込駅に近い染井門も開いて、便利になります。
今日の夕方、六義園を歩いてみました。モミジは木によっては、とても良い感じに染まってきています。年によっては、ライトアップとのタイミングがなかなか合わないのですが、今年はまずまずと言ったところでしょう。写真は、閉園間際に行われていたライトアップの予行演習です。
六義園のライトアップの演出はかなり凝っていて、日本庭園が幻想的で荘厳なムードに包まれます。昼間の六義園とは、まったく違った六義園を楽しむことができますので、一度は見る価値があると思います。
ライトアップでの注意としては、夕方から夜はかなり冷えるので防寒はしっかりと。混むので早めに入園し、夕暮れ時から楽しむほうが良いと思います。写真もまだ空が明るいくらいのほうが、まとまります。ただし、順路は狭いので三脚の使用はできません。
鳥的には、ライトアップが始まると、昼間も人が多くてバードウォッチングどころではなくなってしまうのが悩みです。今年は、冬鳥や山から下りてくる鳥たちが遅れているので、バードウォッチングはライトアップが終わった頃が、良い感じになることを期待しています。
なお、六義園ライトアップは12月8日まで行われます。
野鳥録音をしていると、当然のことながら朝暗いうちから動きます。初夏でも山の夜明け前は寒く、身体は冷え切ってしまいます。そのため、宿に戻ってからの朝風呂は天国です。まして、露天風呂の温泉ならば野鳥たちの声を聞きながら、身体を温めることができます。今回も極めて個人的な意見による露天風呂ベスト3です。
第1位は、長野県中軽井沢の塩壺温泉。温泉の老舗だけに湯温管理がしっかりしています。朝風呂だと、ぬるい温泉もあるのですが、いつ入っても適温です。まだ冬の気配の残る早春、暗い中一人で露天風呂に入ったことがあります。すると、目の前にミソサザイがやって来ました。暗いのと私がお湯の中にいるため、まったく警戒していません。私が静かに顔を湯の中に沈めていくと、ちょんちょんと目の前の岩の上を移動して行き、さえずり始めました。ミソサザイが来なくても小鳥のさえずりの季節ならば、ヒガラやイカルなどの声を聞きながら入浴できます。
第2位は、北海道芽登温泉。シマフクロウが近くに棲息している宿です。運が良ければ、露天風呂につかりながらシマフクロウの声を聞けます。近くでガサゴソするとおもったらエゾシカが歩いているというロケーションです。ただし、露天風呂は混浴です(室内の風呂は男女別)。私が行ったときは、マーク・ブラジルさんご夫妻、日本野鳥の会オホーツク支部のH田さんとごいっしょしました。闇に包まれた森のなかの露天風呂で、野鳥談義に花を咲かせました。
第3位は、千葉県竜宮城ホテル三日月。小櫃川河口近くにある温泉施設です。黄金風呂をはじめ、いろいろな風呂が並んでいます。いわば、温泉のテーマパークといったところ。ここの展望大浴場から干潟が見えます。お風呂に入ってしまうと視界が開けないのですが、立ち上がって見れば、ハマシギの群れが飛び交ったり、ウミネコの飛んでいたり、お風呂の合間にバードウォッチングできます。干潟が見える温泉は、おそらくここだけでしょう。
番外は、ポロト案内舎。元日本野鳥の会職員のH高さんが、経営する北海道ポロト沼のほとりにある宿です。ここは1組4人までしか受け付けないこだわりの宿です。温泉ではないので、番外とさせていただきました。風呂は、なんと五右衛門風呂、ちゃんとお釜の形をしています。それも、四阿のようなところに置いてあるので、目の前のポロト沼を一望しながら風呂に入ることができます。もちろん丸見えですが人などおらず、この開放感は他では味わえません。サウナもあり、サウナでかいた汗を流しながらの風呂です。昼間は、ノビタキ、ノゴマ、オオジシギの声を聞きながら、夕暮れ時は星を見ながら入浴できます。写真の左からサウナ、四阿のように見えるのが五右衛門風呂、そして母屋です。
1ヶ月前に引いた風邪の後遺症で、咳がなかなか抜けません。加えてぎっくり腰となり、咳をすると体中に痛みが走ります。会議やイベント、観察会の参加をキャンセルして皆さんには、ご迷惑をおかけいたしまして申しわけございません。当ブログが更新されないので、心配してメールをいただくなど、ご心配をおかけしております。
ということで、久しぶりの更新は日光野鳥研究会の会員限定BBSに書き込んだネタです。
野鳥録音をしていますと、秋から冬もけっこういろいろな鳥がさえずっているのに気がつきました。コゲラもドラミングをするなど、春を思わせる行動に出会います。なぜ、こうした行動をするのか、よく質問を受けますので私なりに考えてみました。
まず、秋から冬のさえずりについて総括的に解説された資料を見つけたことはありません。この手のネタ本の『鳥類生態学』(黒田長久・1982)でも、冬のなわばりについては、ジョウビタキとキクイタダキくらいしか解説されていません。
また、よく暖かい日にシジュウカラやホオジロがさえずるのは、春と間違えたためと言われることがあります。もう少し、科学的には秋の日差しを春と脳が判断して、繁殖に関わるホルモンが分泌されて、さえずると解説する先生もいるかもしれません。
私としては、下記のような理由があると思います。
1. 来年の繁殖期に向けて、冬もなわばりを守っておくため。なわばりに唾を付けておく感じ。たとえば、さえずりませんがハシブトガラスの場合、なわばりの占有歴の長いものは、なわばり内に冬も留まります。また、巣の上で鳴いたりして宣言をすることがよくあります。こうすることで繁殖期が始まってからなわばりの隙間を見つけて、劣悪ななわばりを確保するより、繁殖の成功率は高いことになります。
加えてハシブトガラスの場合、貯食場所を守らなくてはならないので、貯食ポイントのあるなわばりを冬も守っていると思います。ホシガラス、カケスも同じだと思います。同じようなことが小鳥類にもあるかもしれません。
2. 繁殖期が早いために、秋から冬もなわばりを守り番形成しているタイプ。たとえば、よく聞かれるのはセグロセキレイやハクセキレイ、水鳥ではカイツブリがそうだと思います。夏鳥が来る前に巣作り、育雛をしているような留鳥に多いと思います。このほか、フクロウもそうです。ミソサザイ、カワガラスも、このタイプではと思っています。
3. 秋から冬に番形成を行うタイプ。たとえば、カワラヒワがそうです。これは長野県のカワラヒワでこの習性が発見されました。秋から番うことで、結びつきが強くなり、繁殖率を高めるのではと思います。また、別の地方のカワラヒワを調べたら、春に番形成がされることがわかり地方によって違いがあることもわかりました。東京地方でも、秋に追いかけ合いが見られるなど、長野タイプかもしれません。カワラヒワと同じように、秋に番形成をする種、あるいは地方や個体によって、秋に番形成を行うタイプがいるのかもしれません。
ハシブトガラスを見ていると一年中、番でいます。同じようにヒヨドリも、冬も2羽で行動しています。スズメは群れもありますが、住宅地では2羽でいるのをよく見ます。シジュウカラの中には群れを作らず2羽でいるものもいます。こうした種類のなかには、なわばりを守るためや雌との結び付きを強くするためにさえずるものもいるのではないかと思います。
ただ、ヒバリもよく秋にさえずりますが、どのタイプかの判断は、難しいと思います。番2羽で行動していることも多いので雌に聞かせているのか、留鳥なのでそこでそのまま繁殖をするためのなわばり確保なのか、あるいは両方なのかの判断は難しいものもあります。
また、同じ種類のなかでも、さえずらないものもいます。なわばりに固執しないもの、番わないものもいるわけで、この違いは年齢なのか、地域差なのか、あるいはもっと他の理由があるのか、いろいろ考えることができると思います。
ただ、ここまでの話は、いろいろ検証されなくてはならないことが多いので、あくまでも推量です。これから、秋から冬のさえずりを聞く機会があると思います。その理由に思いをはせる材料にしていただければ幸いです。
アップした音源は、秋のホオジロのさえずりです。ヒヨドリとジョウビタキの声が秋を思わせます。栃木県日光市善法にて2001年10月22日にPCM-M1+AT825Nで録音、低音の軽減、ノイズリダクションをかけています。
「MeadowBunting011022.mp3」をダウンロード
昨日の文化放送の帰りに銀座へ。ソニービルに、PCM-D100の実機が展示してあるとのことで、触りに行ってきました。ソニービルには、PCM-D1、PCM-D50、PCM-M10を触りに来ています。5年前のM10発売以来ですから、久しぶりの来訪です。
5年前と変わらず、オーディオ器機は2階でした。PCM-D100は、1機が展示されていて触ることができました。見た目、大きさともPCM-D50に似ていますが、全体に高級感が漂って、角が取れて丸みのあるデザイン、PCM-D1と同じくらいの大きさのマイクが付いているという違いがあります。
まず、手にとって軽いと思ったのですが、電池室を空けるとカラでした。これに単3電池4本の重さが加わることになります。カタログ値では、PCM-D50が365g、PCM-D100が395gで30g重いことになっています。この差の違いはあまり感じないでしょう。
操作は、使い馴れたPCM-D1、D50と変わりません。ただ、メニューに行くのは、MENUというボタンはなくHOMEでした。メニュー内の録音設定で、DSDと192kHz/24bitがあるのが、新鮮です。
録音ボリュームのダイヤルには、ミスで動かないようにカバーが付いています。クリックでとまるのかと思ったら、ただかぶせるだけでした。カバーが開いたときに、何かにひっかけそうでちょっと心配です。
サイトでは、気がつきませんでしたが、電池室の開け閉めをロックするボタンが裏側についていました。ときどき、落として電池が飛び出してしまうことがありましたが、これをロックしておけば良いことになります。この改良点は、気に入りました。
発売は、11月21日とのこと。現状の最安値は、89,000円と発表当時より1万円ほど安くなりました。過去の例では、あまり下がりませんでした。年内に、8万円まで行くかどうかですね。消費税の値上がりを横目で見て、買い時をさぐります。
本日は、浜松町の文化放送にて『朝の小鳥』のスタジオ収録でした。12月放送分です。12月の日曜日は5回あるので、5本録りとなりました。テーマは、6年前に行った台湾の鳥たちです。
今回、シナリオを書いていて困ったことがあります。取り上げたマルハシと言う鳥が分類的に正体不明だったのです。マルハシは、ガビチョウの仲間。ムクドリくらいの大きさの鳥で嘴が下に湾曲しているのが特徴であり、名前の由来になっています。声は、台湾の密林によく似合います。身体の模様は、頭は灰色がかった褐色、翼や背中から尾まで少し赤みのある茶色。喉から胸が白く、そこに黒い筋があります。そして、腹のほうが白くコントラストのはっきりした鳥に見えます。写真がアップされているURLです。
http://www.flickr.com/photos/mkuang/2470260579/
まず手元にある日本語の台湾の図鑑『台湾の野鳥300図鑑』(2009)を見ると、マルハシ(学名:Pomatorhinus erythrogenys erythrocnemis、英名:Rusty-cheeked Scimitar Babbler、台湾名:大彎嘴)となっています。台湾語の図鑑『台湾野鳥図鑑』(1991)も同じです。
しかし、Rusty-cheeked Scimitar Babblerを画像検索すると、この図鑑に載っている写真とは、どう見ても違う鳥が出てきます。頭から顔、脇胸がきれいなオレンジ色をしているのです。特徴である白い喉から胸にある黒い縦筋模様がありません。写真がアップされているURLです。
http://ibc.lynxeds.com/photo/rusty-cheeked-scimitar-babbler-pomatorhinus-erythrogenys/perched-branch-bushes
2つの画像を見ると、まるで別種のように違います。そして、こちらにホオアカマルハシという和名と表記されているものもありました。たしかに、ホオアカです。
そのため、マルハシと名前の付いた鳥を画像検索すると、この喉から胸に黒い筋があるのは、オオマルハシ(学名:Pomatorhinus hypoleucos、英名:Large Scimitar-Babbler)なのです。台湾の漢字名では同じになりますが、まさか種の学名まで違うはずはないだろうと、いろいろ調べて見ました。
まず、Pomatorhinus erythrogenysには、中国と台湾だけで8亜種あることがわかりました。脇喉が赤いものから黒い縦筋のあるものまでいることになります。ですから、喉の黒いものにBlack-necklaced Scimitar-Babblerという英名を表記したものがありました。ホオアカとノドグロの違いは亜種の違いだったです。
しかし、これだけ違いがあると亜種を種にする傾向のある”Birds of East Asia”(2009)ではどうなっているか見ると、やはり別種扱いになっていました。この場合、学名:Pomatorhinus erythrocnemisと種小名を種名に格上げして、Spot-breasted Scimitar-Babblerという英名が付けられていました。”Birds of East Asia”には、和名が載っていませんので、この学名と英名をキーワードに検索してみると、ムナフマルハシという和名が付いていました。結果、台湾のマルハシには、学名で2説あり、英名が3つ、和名が3つ付いていることになります。たぶん、これで良いと思いますが、調べ切れていない部分があって間違いがありましたらフォロー、よろしくお願いいたします。とにかく、これだけ確認するのに半日かかりました。
ということで、放送内容です。マルハシは4週目に登場いたします。
2013年12月の放送予定
12月1日 アオハウチワドリ
12月8日 ルリチョウ
12月15日 カノコバト
12月22日 マルハシ
12月29日 シロガシラ
人間の耳というのは、良くできているものだと思います。たとえば、すべて聞こえなくても聞こえていない部分を補填してくれます。たとえば「ホーホー」と聞こえれば、次は「ゴロスケホーホー」だろうと身構えてくれて、かすかに聞こえても「ゴロスケホーホー」と鳴いていると聞いてくれます。ですから、実際は耳で聞いているのではなくて脳で聞いていることになります。ですから初心者の頭のなかには、この情報が頭に入っていないのですから、かすかな声では聞こえないのです。
鳥の声だけでなくて会話も同じで、頭に入っている音の情報のなかで、いちばん近い音で意味のある言葉を思い浮かべることになります。鳥の名前が、いちど頭に入ってしまえば「ハシブ」まで聞けば、次は「トガラス」であろうと頭が準備してくれるので「ハシブトガラス」と聞こえることになります。この情報がないと、いちばん近い音で意味のある言葉、たとえば「足太烏(あしぶとがらす)」に聞こえてしまうわけです。
前置きが長くなりましたが、本日六義園に、オカヨシガモの雄が2羽飛来しました。最近、増えたカモですが六義園では珍しい記録です。お茶屋のお姉さん方に、見慣れないカモがいると名前をたずねられました。「オカヨシガモだよ」と答えたのですが「仲良し鴨」と覚えられてしまいました。たしかに、オカヨシと聞いて、丘と葦を思い浮かべることはできません。まして、2羽の雄はハゼの紅葉の中、寄り添うように仲良く並んで泳いでいましたら仲良しに見えたのですね。
同じように、以前職員の方にカモ名前を聞かれ「キンクロハジロだよ」と教えたら、しばらくして「この間、おそわったキンチャクハゲロが、まだいる。」と言われたことがあります。巾着と禿げという単語は頭に入っていたので、頭はそう聞いてしまったのです。たしかにキンクロハジロは、いちど聞いて覚えられる名前ではありません。
ですので、初心者の方には名前をはっきりと言うというのが、やさしい指導ではないかと思っています。
毎年開催されているジャパンバードフェステバルは、バードウォッチング業界の傾向を見るのには良い機会だと思っています。今年で13年目、毎年見ているといろいろな変化がわかります。
はじめた頃は、地元のお祭りという感じが強かったため、参加者は我孫子市民が多く、近所の親子連れが「こんな世界があるのか!?」という顔をして見て回っていたと思います。ここ数年、バードウォッチャーの参加が多くなりました。それも、東京都心を越えてやってくる友人知人に会うようになりました。少なくとも1時間以上、時間をかけて我孫子まで来て、情報を得ようという人たちです。ある意味、バードウォッチャーのお祭りらしくなって来たことになります。そのため、出展ブースも全国からの参加も多くなって、一地方というより全国区のイベントとなったと思いました。今後、さらに国際色も加われば、より意味のあるイベントになるのではないでしょうか。
今回、ある双眼鏡メーカーの担当者が、「大手の出展が、なくなった」と言っていました。さすがに見ているところが違います。ここから、ちょっと考えてみました。
今回出展しているのは、最大手はニコンでしょうが、それ以外には久しぶりに出展されたツアイス、人だかりたえないスワロフスキー、根強い人気のコーワが、大手と言ったところでしょう。なくなった大手というのは、ペンタックス、キヤノン、ソニーなどです。かつては出展してましたが、今はありません。これらメーカーは、双眼鏡事業から手を引いたか、力を入れなくなったことになります。なお、オリンパスは出展していたものの双眼鏡は一部になっていました。
バードウォッチャーは、確実に増えていると思います。それに、双眼鏡を個人で買うのはバードウォッチャーぐらいなもの、双眼鏡にこだわりのあるのもバードウォッチャーです。双眼鏡を作り売るのであれば、バードウォッチャーのお眼鏡にかなう双眼鏡作り、バードウォッチャーに売らなくては売れないと思います。そのバードウォッチャーの貴重な意見を聞くことができる場のジャパンバードフェステバルに出展をしないということは、もはやバードウォッチング業界に見切りをつけたということなのか気になります。
撤退したメーカーは、バードウォッチング業界は市場が狭くて採算が取れないと判断したのでしょうか。それとも席巻しているメーカーにはかなわないと勝負を捨てたのでしょうか。あるいは、他の理由があるのでしょうか。バードウォッチング業界の行く末のヒントがあるかもと思うと理由を知りたいものです。
撤退した大手があるかと思うと、今まであまり知られていなかったメーカーの参入が増えてきました。サイトロン、ブッシュネル、ミノックス、バンガードなど、日本では無名に近いブランドです。一部を除けば値段もリーズナブルで、そこそこの性能を持った双眼鏡を展示していました。これらのメーカーも、担当者がバードウォッチングを体験しバードウォッチャーの心情を理解して参入してくれば、当業界でのアイデンティティを発揮できると思いますが、どうなるでしょう。
ジャパンバードフェスティバルがバードウォッチング業界に根付いた今、こうした双眼鏡メーカーの動向から今後の業界の展望を推し量ることができるかもしれません。
昔、日本野鳥の会東京支部の年末室内例会はスライド大会でした。このなかで毎年、蒲谷鶴彦先生が鳴き声当てクイズをやっていました。出席している幹事は前に並ばされ、先生が流す鳥の声を当てるのです。私も一度、前に並ばされたことがありますが、10問中2問しかわかりませんでした。ベテラン幹事も同じくらいの成績で、とても難しいと思ったものです。ところがいつも間にか、このクイズがなくなってしまい、先生にどうしてなくなったのか聞いたことがあります。先生曰く「だんだん出席する幹事がいなくなってしまたので、中止になった」とのことでした。ベテランでも難しいのは当たり前、室内で季節も環境も解らないと、知っているはずの鳥の声でも頭に名前が浮かばないのです。
ということで、「鳥の声当てクイズは、嫌だ!」と言ったのですが、我孫子で開催されているジャパンバードフェステバルのイベント、「鳥声イントロどん」の舞台に引っ張り上げられました。
司会は♪鳥くん、出演は、鳥の博物館学芸員の小田谷嘉弥さん、日本野鳥の会東京幹事の石亀明さん、Hobby's Worldの續ユキ子さん、そして私で競いました。若い人たちばかりの中、私一人が高齢者。解らなかったら私が答えてオチという思惑なのでしょうが、解らなければとても恥ずかしい立場です。
案の定、若い人たちにボタンを早押しされ、あっという間に小田谷さんが3本クリア。優勝となりました。おめでとうございます。鳥の博物館の面目躍如です。
時間が残ってしまったので、残りの問題を♪鳥くんが流します。残っていたのは、けっこう難問で、なんとか私が回答!。もし、番組ならばまるでシナリオ通りの展開になったと言ったところでしょう。
今回、世界で初めての試みである鳥声イントロ・ドン、まずは成功でした。来年は、ワイバードVS.アルパインツアー、日本野鳥の会VS.山階鳥類研究所など、社運と団体の名誉をかけての団体戦っていうのはいかがでしょうか。助っ人外人OKということで、オファーを待っています。それにしても、久しぶりに楽しいイベントでした。
また、小雨のなか応援していただいた皆さま、ありがとうございました。
ジャパンバードフェステバルは、明日も開催されています。詳しくは下記URLです。
http://www.birdfesta.net/
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