仲良し鴨-六義園
人間の耳というのは、良くできているものだと思います。たとえば、すべて聞こえなくても聞こえていない部分を補填してくれます。たとえば「ホーホー」と聞こえれば、次は「ゴロスケホーホー」だろうと身構えてくれて、かすかに聞こえても「ゴロスケホーホー」と鳴いていると聞いてくれます。ですから、実際は耳で聞いているのではなくて脳で聞いていることになります。ですから初心者の頭のなかには、この情報が頭に入っていないのですから、かすかな声では聞こえないのです。
鳥の声だけでなくて会話も同じで、頭に入っている音の情報のなかで、いちばん近い音で意味のある言葉を思い浮かべることになります。鳥の名前が、いちど頭に入ってしまえば「ハシブ」まで聞けば、次は「トガラス」であろうと頭が準備してくれるので「ハシブトガラス」と聞こえることになります。この情報がないと、いちばん近い音で意味のある言葉、たとえば「足太烏(あしぶとがらす)」に聞こえてしまうわけです。
前置きが長くなりましたが、本日六義園に、オカヨシガモの雄が2羽飛来しました。最近、増えたカモですが六義園では珍しい記録です。お茶屋のお姉さん方に、見慣れないカモがいると名前をたずねられました。「オカヨシガモだよ」と答えたのですが「仲良し鴨」と覚えられてしまいました。たしかに、オカヨシと聞いて、丘と葦を思い浮かべることはできません。まして、2羽の雄はハゼの紅葉の中、寄り添うように仲良く並んで泳いでいましたら仲良しに見えたのですね。
同じように、以前職員の方にカモ名前を聞かれ「キンクロハジロだよ」と教えたら、しばらくして「この間、おそわったキンチャクハゲロが、まだいる。」と言われたことがあります。巾着と禿げという単語は頭に入っていたので、頭はそう聞いてしまったのです。たしかにキンクロハジロは、いちど聞いて覚えられる名前ではありません。
ですので、初心者の方には名前をはっきりと言うというのが、やさしい指導ではないかと思っています。
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