『折居彪二郎採集日誌』
今ならば、鳥で食べている人は数100人はいるでしょうか。ひょっとしたら1,000人いるかもしれません。私が就職した当時は、鳥で食べている人は20人もいませんでしたという話をBirder誌に投稿したところです。私自身、鳥で食べているため、鳥で食べている人にたいへん興味があります。
たとえば、日本の鳥学の黎明期に採集人という職業があって、折居彪二郎(おりい・ひょうじろう)(1883~1970)という人がいて、鳥で食べていました。剥製をもとにした分類学が主流であった当時、地の果てまで行って標本を採集してくれる採集人は、鳥学の発展のためになくてはならない存在でした。そして、採集人が職業としてなりたっていた時代があったのです。しかし、折居をはじめ採集人に関する資料は、たいへん少ないのです。採集人をやとった鳥類学者は、その成果を論文に発表したりエッセイを書いたり図鑑を編纂しているのですが、採集人の書いた文章をはじめ、フィールドノートが発表されることはありません。採集人は、日本の鳥学の黎明期を支えていたのに関わらず、黒子に徹していた感があります。
その採集人の折居の日記をはじめ関係資料が、1冊の本となって発行されたのです。限定500部発行の上に、これから関係雑誌で紹介されるというウワサがあります。売り切れたら困るので、さっそく注文いたしました。ただ、流通には乗っておらず、直接発行所への注文の上、代引きのみ。やっと、本日届きました。
定価は6,400円。税と送料が別ですので、これらを合わせれば7,880円となりますから、それなりのボリュームがあります。それにしても、これだけの資料が今まで眠っていたことになるし、それを掘り起こした大畑孝二さんをはじめとした関係者の皆さんの努力には頭が下がります。彼らは資料の採集人です。
私の行ったことのあるエリアも日記には書かれています。当時は探検だったに違いない地域です。これからじっくりと読ませていただきます。
発行元の一耕社出版の「折居彪二郎採集日誌」のURL。内容と入手方法は、このWebサイトを参考にしてください。
http://www.axis053.com/orii_pr/index.html
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