"Bird Research" Vol.9-ご紹介
野鳥に興味を持ち始めた頃(1960年代)、「都会と田舎のスズメでは、騒音の多い都会のスズメのほうが、鳴き声が複雑だ」という新聞記事があったのを覚えています。私がいたのは、東京都板橋区の奥のほうだったので、まわりは田んぼだらけでスズメの声は単純だと思ったものです。鳴き声でコミュニケーションをとっている小鳥は、まわりの音で鳴き声が変わると言うことがあるのは、録音をしていて実感しています。ただ、これを証明するのは、とても難しいと思っていました。
先日、購入した"Bird Research" Vol.9(2013)には、植田睦之さんが「大きな声で鳴く沢のミソサザイと小さな複雑な声で鳴く山のミソサザイ-ミソサザイのさえずりへ騒音の影響-」と題し、環境音との検証を行っています。結論は、ミソサザイのさえずりの「音圧は山で低く沢で高い」。騒音のうるさいところほど、大きな声で鳴いているということになります。ソニーのPCM-D1で録音し、AdobeのAuditionで分析できるのですから、こういったテーマを、多くの人が調べることが可能です。
北海道のノゴマは草原と森のなかにもいるのですが、森のなかのほうが複雑で大きな声の印象がありました。ウグイスは、どうでしょう。などなど、広がっていきますね。
"Bird Research" Vol.9には、このほか論文3編、短報5編が収録されています。
ミソサザイの論文の要旨はこちらのURLで。 https://www.jstage.jst.go.jp/article/birdresearch/9/0/9_S23/_article/-char/ja/
バードリサーチのURLは、下記。
http://www.bird-research.jp/
« 舎人公園-足立自然にふれあう会 | トップページ | ヒヨドリの水浴び-六義園 »
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 奥入瀬のきのこ図鑑-紹介(2023.05.09)
- 鳴き声のモノサシ鳥-Birder誌(2023.04.15)
- 『朝の小鳥』スタジオ収録-5月は日光25年間の録音(2023.04.12)
- フォノシート『信州の野鳥』(2023.02.09)
- 『鳥屋の本読み』卒業(2023.01.24)
コメント